キスメの妨害を受けつつも何とかこいし様の待っている上層に辿り着いたのはあれから約一時間半後のことであった
勿論こいし様のご機嫌はこれでもか!とばかりに悪く、こればかりは俺にも非があるので反論することはできない
俺を妨害した当の本人は既にどこかへ消えてしまったわけだし...
「ちょっと蒼兄、聞いてる!?」
「はい!申し訳ありませんでした!」
「絶対聞いてなかったよね、そのごめんなさいは多分私の話を聞いてなかったことに対するごめんなさいだよね!」
「何でそうなるの!?いやイヤイヤイヤイヤイヤイヤ、俺はこいし様をこんなトコに一人で待たせて本当に悪いと思って...」
「嘘だッ!!」
「嘘じゃねぇし!!」
.....どうやら俺はとんでもない誤解をされているらしい
こいし様は変なトコで頑固な人だからこれは前途多難な感じがまだ地底から出てすらもないのに感じられる、しかもこのことがあのこいし様LOVEのさとり様にばれてしまった暁には.....
『そ・う・た・つ・さん♡こいしをいじめるなんてどういうことでしょうか?ホント、蒼蔦さんには困ってきまいますね〜、フフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ....♡』
.....死亡フラグが立ってしまった
何てことだ、まさかたったの七話目の冒頭早々に避けられぬ死亡フラグを立ててしまうことになるとは、話さなければバレないとかそんな甘い考えはとりあえず捨てなければならない!
なぜならばこいし様がこのことを話せばアウトだし、さとり様に心を読まれてもアウトだ...
しかも前者の方が威力百倍になりそうで余計に怖い、妖怪の怒りに触れぬように気をつけろ!という教訓はここに来て嫌という程学んだ筈なのに俺は同じ過ちを繰り返してしまうとでも言うのか!
しかし今回に至っては完全にキスメが悪い!
そうだ、キスメが悪いんじゃないか!なのにあいつは...
「銕〜さっきから何一人で叫んでんの?うるさくて昼寝できぶるへぇい!?」
背後から話しかけてきてくれたので鋼の右ストレートをブっ放ちました☆
後悔していなければ悪意もない、突然背後から現れるキスメが全て悪いんだから!
俺は今自分でもわかる、俺は今までにないくらい美しいドヤ顔になっているに違いない!!
「......蒼兄、物凄いゲスい顔してて怖いよ」
.....訂正、美しいゲス顔でした
※
「ホント申し訳ありませんでした」
俺はキスメを桶から下ろして土下座させている
全く、仮にも妖怪とは言えど見た目少女のキスメに土下座をさせるとは、俺も成長したもんだよな
流れ着いた当時はこんなこと平気でできなかったが今ではできてしまう
劇的ビフォーアフター、何か悪い方向に変わってしまったのは気のせいだ、断じてそんなことはない!
幻想郷で生き抜くには必要不可欠なスキルだからな!
何故ならばこの幻想郷、何故かはわからないがやけに女性の比率が高いのだ、博麗の巫女しかり妖怪の賢者しかり白黒の魔法使いしかり永遠に幼き赤い月しかり冥界の亡霊姫しかり月の頭脳しかり熱かい悩む神の炎しかり自称毘沙門天の生まれ変わりの虎しかり山の神しかりなど、幻想郷に必要なのはパワーバランスなどではなく男女バランスが非常に大事だと何回思ったことであろうか!
ホント霖之助とは男同士できる話があるから彼の存在は俺の中では大きいモノであり彼の存在が俺のここでの生活の支えになっていると言っても過言ではない!
.....別にホモとかそんなんじゃねぇぞ
「銕、いつまで私は桶から下りてたらいいの!?そろそろ桶に戻らないと禁断症状でウズウズしちゃうんだけど!」
「一生戻るな」
「まさかの選択肢!?」
「蒼兄、流石に酷いんじゃない?それって蒼兄と私が一緒に寝るなって言ってるみたいなもんだよ?」
「何しれっとありもしない出来事を言っちゃってるのかな、そんなくらいじゃ禁断症状は起きないから大丈夫です!」
「そんなことないよ、ほら体が震えて...」
俺のこいし様への返答を何故かキスメが受け取った
もしやキスメはこいし様を意識していない、つまりこいし様はキスメの無意識下に存在している...
つまり俺はキスメと二人で会話しているように映るわけか...
こいし様もそれをわかってやっているようで舌を出して「テヘペロ☆」とか言ってるし...
こいし様のテヘペロ☆はとりあえずスルーするとして、キスメの禁断症状はどうやらマジな方らしい...
「わかったよ、さっさと戻りな」
「え、私に地霊殿に帰れって言うの!?」
「どうしてそうなるの!?」
今度はキスメに言ったつもりがこいし様が受け取ってしまった
「ありがとね銕、あと本当にごめんね〜じゃね〜」
「おう、気ぃ付けて帰れよ」
キスメは桶に戻り、お礼と謝罪をしてどこかへと行ってしまった
全く、あの糸は本当にどこに繋がってるんだか...
「そ、そんな...蒼兄...えぐっ」
.....何やらとんでもない状況になってる気もした
「蒼兄と、蒼兄とお出かけできると、思っでだのに...!」
「あ、あの〜こいし様、どうなさったのでしょうか...?」
「蒼兄が、気をつけて帰れっ、て...」
「いや、アレはキスメに言ったことでこいし様に言ったのではなくて...」
「だっで、その前にも蒼兄がさっさど、戻れっでぇ...」
「それもキスメに言ったことッスよ、何でこいし様は」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
.....どうしてこうなったのでしょうか
俺はどこをどう間違えたんだ、このままでは本当にさとり様に殺されかねない!何とかしなければ!
「こいし様、とりあえず俺の話を聞いてください!」
俺は必死にこいし様に話を聞いてもらおうとするが、こいし様は泣きながらポケットから一枚の紙を取り出して構えの体制に入った
......え、ちょっ、待っ、それって!
深層「無意識の遺伝子」
やはりスペルカードだった!
スペルカードとは、今代の博麗の巫女が提案した幻想郷の決闘に使われる、いわゆる必殺技である
非殺生設定で必ず避けられるという条件を満たしてさえすればいいという人間と妖怪の力の差を埋める為に作られたものらしい、って俺は一体誰に解説してんだー!?
しかもこんな余裕あるんだったら避けるんだったー!!
「蒼兄のバカーーーーー!」
「グボボボボボボボバァホォ!!?」
俺はこいし様のスペルを全身に浴び気を失った
ていうかこの威力で非殺生とか確実に嘘だろ、今度博麗の巫女に抗議してやると心に誓った瞬間であった
感想、批評、評価、罵倒、その他諸々お待ちしてます(^^)