ハリほま43話以降…再びビシンくんとほまれちゃんが接触…
「輝木ほまれは、ハリーのことが大好きです!」
私はついに、想い人に告白をした。
結果は思っていた通り。
「俺も気持ちを伝えたいと思っとるヤツがおる」
振られてしまったけど、そこに後悔はなかった。だって、ハリーは正直に私の気持ちにむきあってくれたから。
だから、これでよかったのだ……。
「本当にそれでいいのかい」
聞き覚えのある声に思わず飛び退く。ビシンの声だ。
「……あれ……いない」
身を固くしたがどうやら思い違いだったようで、あたりには夜の静けさだけが広がっている。
どうしてだろう。どうしようもないことなのだと割り切ったはずなのに、そんな幻聴を聞いてしまうなんて。
「……幻聴だなんて。僕はここにいるさ」
「え……」
視線が下がっている状態で振り向いたことでその存在に気づいた。ハクビシン姿のビシンが私の足元に座っている。
私は慌ててプリハートを構える。
「まぁ待ちなよ。僕は君を襲ったりしない。今日はそのために来たんじゃない」
「そんな、よくもぬけぬけと……っ!」
変身をしようとした私だが、その前にビシンに腕を掴まれてしまう。
「僕は君を襲ったりしないと言ったけど……家族までは保証しないかな」
「くっ……!」
家の中にはお母さんがいる。ここで戦闘になったら巻き込まれかねない。
「……何しに来たの」
「話がわかるじゃないか」
ニヤリと笑ったビシンはその手を離した。
「僕がどうしてこんな所にいると思うかい」
「それは……私を人質にでもしてミライクリスタルを奪う気なんでしょ」
それ以外にビシンが私に接触するメリットはないはずだ。
「ミライクリスタルを奪うなら君よりハリーの方を襲った方が確実だろう。僕がどうしてここに“ 来れた”のかだよ」
「それは……クライアス社のネットワークを使って……」
「違う違う。もっと手っ取り早い方法があるだろう」
「手っ取り早い……方法……」
ふと気づいて私は自身の体を見た。あろうことかトゲパワワが溢れ出ている。
「トゲパワワ……でも、どうして……っ!?」
ハリーのことはもうふっ切れたはず。それなのに今更何をそんなにトゲトゲしているのだろう。
「君はハリーのことを諦めきれていない。そうだろ」
「そんなこと……っ!」
そんなことない、と言おうとしたが何故か言葉が出ない。
「じゃあハリーは僕がもらっても問題ないよね」
「それはだめ……っ!!」
思わず声を張ってしまう。だってそんなの……そんなの……。
「君はまだ自分にチャンスがあると思っている」
「別にそんなんじゃ……」
「じゃあどうしてそんなにトゲパワワが溢れているんだい。キッパリ諦めきれていないんだろう?」
私は……私は……っ!私は……どうしたいんだろう。
「君の心に聞いてご覧よ。そのトゲパワワに」
私の中に納まっていたトゲパワワが一気に解放される。そして私の心を蝕んでいく。
「いや……いやだ……いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
どれだけ抑えようと思ってもトゲパワワの増大は止まらないどころかさらに加速する。
「……クライアス社にとって、これまでにない逸材になってくれるだろうね」
私が最後に聞いたビシンの言葉だった。
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「プリキュア……倒す……」
機会人形のような黒い女がはなたちの前に現れ、プリキュアをおしていた。
「くっ……強い……!」
「私がクライアス社にいた頃はこんな方はいませんでした」
「俺も見たことない……やけど……」
なんやろう、初めて会った気がせえへん。
「ほまれ……一体何処に行っちゃったの……っ!」
五人いないと大技は出せない。苦戦しているのはほまれが行方不明になってしまったためもあるだろう。
「プリキュア……」
女の瞳には、そのトゲパワワと同じような黒い星が一点、輝いていた。