聖王国では、代々聖女が国民の中から選ばれ国を魔物たちから守っていた。彼女らは国境に聖なる力を持って結界を貼り、魔物が侵入するのを防いでいた。聖女として結界を張れるのは選ばれた1人のみであり負担は相当大きくなる、だからこそ聖女の任期は短いものでどんな聖女でも10年がせいぜいである。当然聖女となったものは国から丁重に扱われる。引退後も真っ当な生活を保障され、全ての人から羨望の眼差しを受ける。
聖女が引退を宣言した場合、次代の聖女を決める神聖な儀式が行われる。国中の女性の中から最も聖力を持つ女性を決め、神の加護により聖女として生まれ変わるものだ。しかし、前々回からその方式が変更になった。というのも、その前の大会で優勝候補の1人が暗殺にされてしまったことが問題視されたのが原因だ。
それにより、聖女の資格として新たな項目として「力」を加えた新たな儀式、力の大祭が開催された!
乙女たちは立ちはだかる壁を蹴り倒し、しのぎを削り合う!
己の拳こそが道を切り開く!
そして一週間前!前回大会の覇者
「エル・ブランコ・ギガ・デスマスク」が引退宣言をし、聖女の証たるベルトを国王に返還した。
この知らせを聞いた国中の強者はこの国の中心、すなわち!聖都へと集う!
そして国の南端の森にも聖都へ旅立たんとする少女が一人!
長い黒髪三つ編みにし、ボロボロの道着を着込んでいるがそこには貶めるべき箇所はなく道着に刻まれた傷や汚れは激しい修行の現れだ。
彼女の名前はエリザベス。神に捧げる神聖なる流派『無双神拳』の伝承者。先代伝承者であるツルに対し地面に頭を擦り付けて頼み込んでなんとか権利を獲得した異端の伝承者(笑)である。
彼女が行なっているのは瞑想の修業だ、雑念を振り払うことで集中の極限へと挑む。己の中にこそ最大の敵はいるのだ。おもむろに立ち上がった彼女は流れる水のように音もなく構え、次の瞬間烈火のような激しく岩へと拳を叩き込む!
見よ!抉りこむ正拳突き、岩肌を削りとる足刀、穿つ肘!それらが一切止まることなく叩き込まれていく!
一度大きく距離をとって改めて構えを取る。
「喝!」
短くも、鋭い気合とともに足を踏み出し、彼女は前方へと
コオォォォォン・・・・・
周囲を鐘の音のような澄んだ響きが広がる、彼女が岩山に背を向けた瞬間岩山は静かに崩れ落ちた。これこそが彼女が持つ最強の必殺、名を「崩山拳」。
残心の構えを解いて息を吐き出す。
一連の演舞が彼女がいる高みを表す。一切の無駄がなく、迷いもない。あれこそが比類なき無我のきょうt...
「わーはっはっはっは!ついに身につけたわよ!無双神拳!あのクソジジイの扱き耐えた甲斐はあったわ!
これで私を笑いやがったベアトリーチェもボコボコよ。聖力の差がなによ、インファイトでその高い鼻へし折ってやるわ!ほかの聖女候補だってギッチョンギッチョンに叩きのめして、私が聖女になってやるわ!
ふふ、ははは、んがぁーはっはっはっは!」
あれ、身勝手の極みだっただろうか?