とある銀河級スペース蛮族帝国のあれやそれ   作:社畜だったきなこ餅

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活動報告にネタを投げてもらった内容を一部盛り込んで第二話を颯爽と出してみるテスト。
地球のサブカル汚染を今回は入れれなかったので、次回その辺りをネタにしたい所存です。


【とある帝国の駐屯事情】

 

 とある銀河の辺境の、小惑星が入り混じるデブリ帯。

 その中に幾つか光明に偽装されつつ連結された小惑星がある。

 

 ソレらを良くみてみれば、いくつもの対空砲台やミサイル発射口等で武装をしている。

 では、どこかの帝国の宇宙基地なのかと言えばそれを示す紋章はどこにもペイントされてはおらず。

 今も宇宙基地の停泊所に係留されている大小様々なサイズの宇宙船は、その全てがデザインの統一などされていなかった。 

 

 それもその筈、彼らは寄る辺なき無法者の集団。

 騒乱があるところに潜り込んでは欲望を満たし、騒乱がないところを理不尽に荒らして自らの懐を癒す悪名高き宇宙海賊であった。

 

 そんな無法者の集団が集まり、酒に違法薬物、ついでに資源や嗜好品をかけてゲームに興じているスペースが宇宙基地の中に幾つも存在する。

 悪意の集団が集まる場所、当然……彼らに相応しい悪徳と欲望が渦巻く様子を見せている。のが今までの光景であった。

 

 だが、ここ最近彼らの表情は分かりやすい種族もわかりにくい種族も一様に顰め面を浮かべており。

 今も酒場で管を巻いてる集団の中の、直立するタコのような海賊がテーブルに乱暴にジョッキを叩きつけ恨み言を吐き出す。

 

 

「畜生!あのくそったれの売女ども! あいつら俺の兄弟を殺しやがった!!」

 

「おめーんところもか、オイラんとこは命は無事だったが『積荷』まるごと捨てる羽目になっちまったよ」

 

 

 タコ型星人の言葉に頷きながら、対面に座っている人型の軟体生物のような男は自棄気味に口の役割を果たす触手を数本グラスにつけ。

 ズゾゾゾゾ、とまるでストローで飲むかのように酒を吸い上げる。

 

 

「かー、お前も災難だな。『積荷』は何だったのよ?」

 

「勿論『淫魔』さ、高く売れるんだよなアレ」

 

「なるほどねぇ……おめー、よく無事だったな」

 

「『積荷』の中身を教えてやって、商品を詰めたコンテナごと宇宙に放り出したのさ」

 

 

 宇宙船の貨物スペースには酸素や必要最低限の生命維持が施されていたが、コンテナ単体にはそんな高級品を宇宙海賊が用意する筈もなく。

 宇宙へ放り出されたコンテナの中身の大半は、救出されるも既に息絶えていた事は言うまでもない。

 

 彼らがこの宙域で行っている後ろ暗い商売、それは何時の時代にも存在する人身売買である。

 今現在において『淫魔』の売買は禁止されているが……。

 違法であるがゆえに欲しがる顧客が大枚をはたいてでも手に入れようとし、その歪な需要と供給の状況が彼らのような存在の跳梁跋扈を許す土壌にもなってしまっていた。

 

 

「だけどよぉ、この宙域もそろそろ近くの宇宙基地に目ぇつけられてんだろ?」

 

「だろうなぁ。そもそもこの宙域のすぐ隣、『淫魔管理会』の宇宙基地作られて結構経つしな」

 

「でもまぁ、あいつらは臆病者だし。艦隊来る前にトンズラしちまえばいいか」

 

「ちげぇねぇ!」

 

 

 先ほどの怒りや不景気そうな空気はどこへやら、げらげら笑いながら酒の入ったジョッキを二人は飲み干し。

 そうと決まれば話は早い、とばかりに近場で飲んだくれていた自らの船のクルーへ声をかけ集め始める。

 

 

「おう野郎共! 次に狙うのは、淫魔共の移民船だ。がっぽりかっさらって稼ぐぞ!」

 

「おいおい、俺らの分も残しておけよ?」

 

 

 ジョッキを掲げるタコ型星人、宇宙海賊船のキャプテンである男の声に様々な種族の荒くれは思い思いの返事をジョッキを掲げて返礼し。

 さっきまで一緒に呑んでいた、口から触手の生えた人型軟体生物の船長は半笑いでタコ型星人の頭を軽く小突く。

 

 しかし、彼らが次の稼ぎに出ることは未来永劫無かった。

 その次の瞬間、宇宙基地を襲った轟音と衝撃とともに彼らが屯していたスペースが吹き飛ばされたのだから。

 

 

 

 

 

【とある帝国の駐屯事情】

 

 

 

 

 

 ここで少し時間を巻き戻すと共に、宇宙海賊らが拠点を置いていた宙域付近に勢力を構える『淫魔管理会』について説明しよう。

 

 この帝国は狂的な受容主義を掲げ、平和的な交流を尊ぶ帝国なのだが……。

 その国是が故に、領内を荒らしまわる宇宙海賊に頭を悩ませていた。

 

 肉体を持つ精神生命体とでも言うべき、独特な生態を持つ彼……否彼女達は女性しか存在せず。

 他種族の男性との交流や、時には女性同士の交流によって自分達の種族を維持している。

 彼女達にとっての最大の娯楽、そして生命維持活動は他者との精神的肉体的交流なのだ。

 

 故に、彼女達は他者を傷つけるという手段に本能的忌避感を強く、いざ戦おうとする際も初動が遅く。

 艦隊が到着する頃には、宇宙海賊はとっとと逃げ出してしまっているという事が多々起こっていた。

 

 このままでは帝国が宇宙海賊の食い物にされ続けてしまう、しかしなかなか対応が上手くいかない。

 そんな彼女たちが頼ったのは、250年前に発生した大戦争。通称『天上の戦争』と呼ばれた時に結成され今も続く星間連盟『光明協定』の一員である。

 愉快な銀河級スペース蛮族の、銀河ドラグーン帝国であった。

 

 

 星間通信にて、窮状と宇宙海賊の悪辣さを訴えられ助けを求められた銀河ドラグーン帝国。

 普通の帝国なら断る話である、宇宙海賊は戦力としては驚異ではないものの、非常に面倒な相手なのだから。

 だが、宇宙海賊にとって非常に残念なことに……銀河ドラグーン帝国は普通ではなかったのである。

 

 表向きの建前は、もはや形骸化して久しいと言えども連盟を組んだ仲間の危機を見過ごすのは誇り高き戦士のすることではない、という物であり。

 割と隠せていない本音は、肉体的な交流を喜ぶ美女種族のお願い断るなんてありえないだろ、常識的に考えて。である。  どうしようもねぇなこいつら。

 

 

 そんなこんなで、銀河ドラグーン帝国から淫魔管理会の宇宙基地に増援として幾つもの戦力が送られたワケである。

 そして、時間は宇宙海賊の荒くれが宇宙を漂うデブリの仲間入りをしたその時にまで戻り……。

 

 

《こちらアサルト1、目標への思念誘導魚雷の着弾を確認!》

 

 

 全長30mほどの流線形の船体、その中のコクピット部に腹這いとなった姿勢で収まっているドラゴンが……宇宙海賊基地のセンサーに引っかからないギリギリの場所で待機している艦隊へ、初弾の命中を報告する。

 彼もまた、銀河ドラグーン帝国から派遣された戦力の一人であり……宇宙海賊基地直近にある、淫魔管理会の宇宙基地唯一のドラゴンである。

 

 

《了解しました、こちらも艦隊を前進させます。指定の位置で待機を……》

 

《というわけでアサルト1!これより吶喊する!》

 

《え、えぇぇぇぇ?! ちょ、ちょっと待ってぇぇぇぇぇ!!》

 

 

 ドラゴンからの通信に、ピッチりとした全身タイツ状の宇宙服に身を包んだ……小柄で凹凸に乏しい体を持つ淫魔の艦隊提督は通信を返し。

 最も危険な奇襲を引き受けてくれた銀河ドラグーン帝国の戦士と、一刻も早く合流しようと艦隊に前進を命じようとするも。待てとお座りができない犬がごときドラゴンの吶喊宣言に、泡を食って必死に静止を命じる、が、ダメ!

 進路を塞ぐデブリの排除を命じつつ、艦隊に前進を命じる。

 その間にも、待てもお座りも出来なかったドラゴンは流線形の船体のアフターバーナー全開で突撃しており……まともな船長ならば取らない機動をとりながら、宇宙海賊基地への攻撃を止める事なく続ける。

 

 コレには銀河ドラグーン帝国の船と戦士が色んな意味でおかしいという事もあるが、それ以上にその独自の船体構造が起因している。

 通常の30~40m級のコルベット級といわれる宇宙船でも、船長に操舵士、機関部要員に火器管制要員と少なくない人員を必要とする。

 そして、人員が多くなればなるほど指示の伝達にタイムラグが生じ、そのわずかな時間が時には衝突事故の原因にもなるからこそ……例え可能だとしても普通の船長はやらないのである。

 

 一方で銀河ドラグーン帝国のコルベット級は、その制御を全て一人のドラゴンが行う大型の宙間戦闘機ともいうべき構造をしている。

 専用のコクピットに腹這いに収まったドラゴンの両手と両足と尻尾をフルに駆使するという、機体制御システム……で終わる事はなく。

 そこに、首元に施され取り付けられた神経接続コネクタへ、コクピット部から延びたケーブルを差す事で正に人機一体ともいうべき所作を可能としているのだ。

 

 言うまでもないが、他文明からは頭おかしい扱いを受けている。残念でもなく当然であった。

 

 

《くそったれがぁ! なんでクソトカゲが出張ってきてんだよ!?》

 

《うるせぇ!泣き言ほざく暇があったら撃ちまくれぇ!!》

 

 

 混線する無線が宙域を戦う船に等しく届き……その叫びに呼応するかのように生き残った宇宙海賊基地の砲台、そして緊急発艦した海賊船達が応戦を開始。

 次々とレーザー砲にプラズマ砲、果てはミサイルすらを過剰なまでに一機の宙間戦闘機へと殺到させる。

 全弾直撃すれば、一般的な巡洋艦ですら轟沈させうるその弾幕、だが宇宙海賊を嘲笑うかのように宙間戦闘機は巧みに機体を制御し、虚空を漂うデブリをダンスパートナーに踊るかのように次々と回避。そして。

 

 

《やべぇ、かわせぇぇ!》

 

《む、むりだお頭……ぎゃぁぁぁぁ……》

 

 

 最大船速のまま、宇宙海賊の艦隊内に突撃。すれ違いざまに先鋒を務めていた駆逐艦へ、大型実弾砲と念導式誘導プラズマ砲を進呈しそのままの速度で宇宙基地へ肉薄。

 もはや声にならない宇宙海賊基地から届く命乞いの通信を聞きながら、パイロットであるドラゴンは情け容赦なく全武装のロックを解除し……。

 一撃の下に、宇宙海賊基地を沈黙させた。

 

 あまりの速度で成され、そしてあっけない自分たちの基地の終わりを一瞬呆けて見届けてしまう宇宙海賊艦隊

 だが、彼らとして修羅場をくぐっている悪党。すぐに気を取り直し宇宙基地だった場所を通り過ぎ遥か彼方へ飛び去った、彼らの言うクソトカゲの宙間戦闘機へ追いすがって追撃を始めようと艦隊を反転。

 

 その行為が、悪徳を積み続けた彼らがとった最期の愚行で……。

 長年、苦汁をなめさせ続けられた淫魔達の艦隊にとって、何よりも素晴らしい最期の善行であった。

 

 

 その後、宇宙海賊基地とそこに駐留していた宇宙海賊の艦隊の殲滅が確認された。

 

 

 

 そんなこんなで淫魔管理会の宇宙基地へと戻る帰り道。

 右往左往する宇宙海賊の艦隊との激闘に、淫魔管理会の船に少なくない損傷が目立つ中……。

 淫魔管理会の艦隊に寄り添うように、のんびり巡行モードで虚空を往く銀河ドラグーン帝国の宙間戦闘機は無傷で飛んでいた。

 この辺りが、彼らが頭のおかしい脳筋スペース蛮族と呼ばれる原因の一つなのは言うまでもない。

 

 

《ありがとうございますアサルト1、貴方のおかげで我々は犠牲を出す事なく任務を達成できました》

 

《お役に立ててそいつは何よりだ》

 

《です、が! 何故突撃をしたのですか! そんなに私の命令聞けませんか!?》

 

 

 ガサゴソと、コクピットに収まったまま宇宙食のビスケットをばりばり齧る呑気なドラゴンの様子にブチ切れる淫魔管理会の提督。当然の権利である。

 どこの世界に、コルベット級の船一隻で敵艦隊を要する宇宙基地に突撃し、宇宙基地を消し飛ばした挙句そのまま舞い戻り、無傷で大戦果を挙げるバカがいると思うか。

 

 

《いやぁ、そういうわけじゃねぇよ?本当だよ?》

 

《……ではなぜですか?》

 

《そっちのが話がはえーと思っただけさ》

 

《死ぬかもしれませんよ? あんな戦い方をしていては》

 

《その時は、笑ってくたばるさ》

 

 

 通信ウィンドウ一杯に映る、幼い風貌の淫魔提督のふくれっ面に気まずそうに目を逸らすドラゴン。

 言い訳に若干力がない程度にはたじたじである、しょうがないね。

 

 実際、ドラゴンにとって淫魔達の艦隊運用は見ててもどかしい程度にじれったかったのは事実であり。

 彼自身も自分が吶喊しなければ、被害者は出ていたからいいじゃんという想いは持っている。

 だがしかし、涙目でこっちを通信ウィンドウ越しに睨んでくる幼い風貌の淫魔に口答えしない程度には彼にも分別があったらしい。

 

 ともあれ、大規模な近場の基地の殲滅を完遂した淫魔管理会の艦隊と銀河ドラグーン帝国の出向兵。

 これで安心して枕を高くして眠れるかと言えば、そういうわけにもいかないのが昨今の悲しき銀河事情である。

 

 宇宙海賊という存在は当たり前だが一枚岩ではなく、宇宙海賊と一口に言っても十把一絡げの組織が居り……今回殲滅されたのはその中の一つに過ぎないのだ。

 彼と彼女達の戦いはここからが本番なのである。

 

 

 

 ある時は、廃棄されたブラックホール観測所を拠点にしている宇宙海賊を相手どり……。

 

 

《気を付けて下さい!ブラックホールの影響で緊急退避が困難となってます!!》

 

《そいつぁいい、宇宙海賊共も逃げにくいだろうから皆殺しにし易いな!》

 

《あーもう違いますよぉぉぉ!?》

 

 

 またある時は、移民船が襲われている状況に急行し護衛しながら宇宙海賊の艦隊を叩き潰し……。

 

 

《クソッタレのクソトカゲめ!お気に入りの人形相手に腰振ってろってんだ!!》

 

《うるせーバカヤロー!人様に迷惑かけてんじゃねぇ、死ね!!》

 

《子供の口喧嘩じゃないのですから……》

 

 

 これまたある時は、銀河ドラグーン帝国や淫魔管理会が所属している星間連盟『光明協定』に加入していない帝国が裏で糸を引いている宇宙海賊を粉砕した。

 その際、政治的事情や問題から一時は見逃さないといけない状況になりかけるも。

 

 

《なっ、殺すのか私を?! そんな事をしたら国際問題になるぞ!?》

 

《知るかボケ! 他国の臣民攫って売買したクソ野郎がどの口でほざきやがる!》

 

《わ、私達も戦います! これは私達の国が背負わないといけない問題です!》

 

《いいからそこでお前らは止まってろ! 頭の悪い出向兵が命令聞かずに暴れだした、これはソレだけの話だ!!》

 

 

 口惜しそうに、悲しそうに逃げ出そうとする宇宙海賊艦隊を見送るしかない淫魔提督の様子に、ドラゴンが一人吶喊。

 機体を半壊させつつ、宇宙海賊の艦隊を旗艦以外爆散させ敵の首領の捕縛に成功したりと結構な事をやらかす。

 

 当然、彼らの後ろ盾となっていた帝国は国際チャンネルを通じて銀河ドラグーン帝国と淫魔管理会へ、開戦も辞さない勢いで猛抗議。

 だがしかし、割と彼らの陰湿さにイラっときていた銀河ドラグーン帝国の皇帝はこの抗議を一蹴。

 むしろ逆に、余らと本気で殺り合うんかアァン?と宇宙海賊顔負けの声明とセットで、出向させていなかった主力艦隊を総動員しこれ見よがしに軍事演習を開始。

 

 後日、後ろ盾になっていた帝国からは非公式にごめんなさい許して下さいという謝罪文と宇宙海賊に繋がっていた後ろ盾帝国の重臣の処刑映像が銀河ドラグーン帝国へ送られ、この騒動は幕引きとなった。

 

 

閑話休題

 

 

 銀河の反対にある地球の映画作成会社に作らせたら、エピソード6くらいにまで繋がりそうな宇宙海賊大掃除キャンペーンは何のかんの言ってようやく落ち着きを見せ始め。

 淫魔管理会の艦隊と、出向兵であるドラゴンが所属している宇宙基地でのんびりできるようになった頃には。

 淫魔提督と出向兵ドラゴンの仲が急接近していた。

 

 淫魔提督から見た出向兵ドラゴンの最初の印象は、まぁ当然最悪であったが共闘している内に見直し、良いところが気になり始め。

 トドメに、とある帝国の重臣と繋がっていた宇宙海賊を男らしく叩き潰した姿を見せられた瞬間、完全に惚れてしまったらしい。割とチョロかった。

 

 

「あ、あのさ。お弁当作ったんだけど、食べる?」

 

「ん? おう、もらうぜー」

 

 

 やがてそんな二人は、宇宙基地で休暇を過ごすたびに展望台やレクリエーションスペースでデートをしている姿が目撃され始める。

 たまったもんじゃないのは、そんなラブってコメってる姿を見せられる宇宙基地の職員達である。

 

 

「まーた、提督とあのドラゴンいちゃいちゃしてるよ」

 

「気にしちゃ負けじゃない? ってちょっとー、ブラックのコーヒー買ったのに砂糖入ってんだけどー?」

 

「目を覚ませ、それはどこをどう見てもブラックコーヒーだ」

 

 

 他文明から移民条約によって移民してきたらしい、淫魔とも違う直立する鳥。平たく言うとペンギンじみた宇宙人がげっそりとした調子で呟き。

 そんな彼をどうどうと宥めながら、同じく移民条約によって移民し今も宇宙基地で働く巨大キノコ宇宙人が自販機で買ったコーヒーを啜り……何故かコーヒーに溜息を漏らす。

 

 無論、この宇宙時代の自販機に温かいコーヒーを頼んだら熱されたサイダーが出てくるような事は早々あるわけない。

 そうしている間にも二人の関係はどんどん進み、ついでに宇宙基地職員らに独身の無常さを味合わせていく。

 

 なお余談であるが、彼に限らず淫魔管理会のあちこちに出向させられたドラゴンの大活躍により、彼女らの銀河ドラグーン帝国への好感度は鰻上りである。

 しかし現場のドラゴン達は、彼女が出来たぜヤッター。もしくはモテモテでヤッター、などと呑気な物である。

 

 

「ねぇねぇダーリン」

 

「どうしたんだい? ハニー」

 

「うふふ、呼んでみただけ♪」

 

「もー、しょうがないなーハニー♪」

 

 

 宇宙基地職員、ついでに淫魔提督の部下である淫魔らが気づいた頃には時すでに遅く。

 互いにダーリン、ハニーと呼び合うどこに出しても恥ずかしいバカップルが誕生していた。

 せめてもの救いは、提督として働いている淫魔提督、そして兵士として戦っているドラゴンはきっちり仕事を果たしているところだろうか。

 しかし……たまに、バカップルの惚気が通信に混ざるせいで、艦隊の兵士らは慣れ始めつつげんなりさせられるという状況なのは内緒である。

 

 

「なぁシイタケよう」

 

「どうしたのテバサキ、ついでにアタシャシイタケなんて名前じゃないわよぅ」

 

「俺もテバサキじゃねーよ、どーすんだよあの二人。げんなりするってレベルじゃねぇよ」

 

「アタシャもう慣れたわよ、この際いっそアタシらもくっつく?」

 

「生憎、俺は同姓でくっつく趣味ねーよ」

 

「何言ってんのよ、アタシャ女だよ」

 

「マジで?!」

 

 

 そんな二人のイチャつきを目にするのが当たり前になりつつあった、宇宙基地職員コンビのペンギンと巨大キノコが愉快な会話を繰り広げる中。

 彼らの今後はさておき、今この宇宙基地はさり気なくカップル結成が流行り始めていた。

 

 淫魔とお近づきになるべく銀河の反対からやってきた地球人類が淫魔とカップルになったり、淫魔同士で百合の塔を建てたり。

 淫魔とは関係ない移民種族同士のカップルが作られたりと、宇宙海賊が跋扈してる間は想像もできなかった幸せな空気が流れ始めていた。

 若干ここの空気ピンク色なんじゃね。と誰かが突っ込みを入れたがその発言は黙殺されたらしい。

 

 その間にもドラゴンが単騎で出撃しては宇宙海賊の基地を消し飛ばしたり、艦隊とセットで出撃して宇宙海賊を殲滅したり。

 ついでに、どこぞの宇宙海賊と繋がっていた帝国の悪党が暗躍しようとして踏み潰されたりと事件は相変わらず続くも……弛まない程度にゆるく桃色な空気が宇宙基地を包む中。

 

 

「ね、ねぇダーリン」

 

「どうしたんだいハニー、君に憂い顔は似合わないよ?」

 

「え、えっとね……赤ちゃん、出来ちゃったみたいなの」

 

「……フゥゥ! やったじゃないかハニー!」

 

 

 宇宙基地に係留している艦隊提督の懐妊である、さすがにお前ら避妊しておけよ!と宇宙基地職員総出で突っ込むが出来たもんはしょうがねぇ、と大騒ぎ。

 何のかんの言って淫魔提督は、淫魔管理会の中ではベテランかつ重要な指揮官である。そんな存在を懐妊したから解任なんて言ってる場合じゃない。

 だがしかし、そのままギリギリまで軍人させるのは人道的にどーなのよ。と淫魔管理会の理事会は紛糾。彼女達は平和主義であるがゆえに、軍人の福利厚生にも熱心なのだ。

 

 ちなみに余談だが、下手人である出向兵ドラゴンはと言えば……さすがにでかすぎるやらかしに。宇宙基地の展望台の天上から逆さにつるされる羽目となったが、大した問題ではないので割愛する。

 

 

 ともあれ、艦隊指揮官は必要。ついでに出向兵ドラゴンを問題児として返品するには、戦力と抑止力的に厳しいというのが悲しき実情であった。

 更に、今も逆さ吊りにされているドラゴンは淫魔提督が本国へ帰されるなら自分もついていくと公言するから始末に負えない。淫魔管理会の理事会員にドラゴンは本気でごめんなさいすべき案件である。

 そんなこんなで、淫魔管理会と銀河ドラグーン帝国の間で色々と協議が進み、その結果。

 

 

 新兵を含めた宙間戦闘機4機と、宙間戦闘機を4機までドッキングし補給が可能な全長約100mサイズの駆逐艦が一隻銀河ドラグーン帝国の本国から、増援として寄越される事で一旦解決となった。

 懐妊したことで一時解任となった提督の代わりは、士官学校卒業したての首席新米提督がつくことになったらしい。 彼女が今回の事件で、一番貧乏くじを引かされた存在なのは言うまでもない。

 

 

 

 そんなこんなでドタバタしたけども、淫魔管理会と銀河ドラグーン帝国は今日も平和です。

 なお、今回の騒動の主犯とも言うべきドラゴンは増援としてやってきたドラゴン達に袋叩きにされる事で、ケジメを取らされたとかなんとか。

 

 

 

 

 

 




そんなわけで拙作の2話投稿完了です。
読んで頂き、誠にありがとうございました。

ちなみにですが、ドラゴン出向兵君が乗ってる機体はゲーム的にはコルベットです。
そこに、自作MODで武装スロットを水増しした上で、別MODの追加武装を搭載してるのが彼の乗機の正体だったりします。
(本来はSスロット3つ、もしくはミサイルスロット1つにSスロット1つ程度しかコルベットは積めない)
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