三人寄れば姦しい、というお話。
「そぉい!」
変な掛け声だなぁ。
それがフランス式か?
シャルルがババーンとトイレの扉を開けました。
男子三人仲良くご到着です。
「これが……男子トイレ…」
何言ってだコイツ(ン抜き言葉)
どうして感慨深そうに呟くのか。
「どうしたシャルル? フランスのとは違うのか?」
おー、中々いい質問するじゃないか一夏。
どうなんだコラ、おう? おうお~う?
「えっ!? あ、うん! そうなんだ! 全然違うね、うん! だから少し驚いたんだ!」(こ、個室もある…! 良かった、これで何とか切り抜けられるよね!)
全然違うのか。
まぁトイレも国によって変わってくるって聞くし。日本でもまだ和式やらボットンやらが普通にあるしな。
「女子校でも男子トイレはあるんだなぁ」
ああ、それは俺も最初見た時に思ったぜ。
だが2分くらい考えたら謎が解けたんだぜ。
「女子校でも来賓とか保護者が女ばかりとは限らんからな」
我ながらこれは中々な名推理だと思う。
「あ、そっか。言われてみればそうだな」
そうだよ。
ちなみに男子トイレの小便器は、朝顔って呼び方もあるんだぜ。言わんけど。
便器の雑学なんか披露してもキモいだけだし。ただ俺のトリビアの深さはマリアナ海溝よ。これだけははっきりと真実を伝えたかった。
話を戻そう。
俺たちが着いたトイレには朝顔が横並びに3つ、対面に個室が3つである。こっちも3人な訳だし、どういうポジショニングが正解だろうか。
【うひょー! 真ん中に立てば右も左もチンコだぜ! うひょー!】
【そんな幸福くれてやる! ゲストなシャルルにくれてやる!】
そんな不幸くれてやる!
ホモなシャルルにくれてやる!
「じゃあ、シャルルは真ん中な」
「えぇっ!?」(何で指定する必要なんかあるんですか! というか真ん中って事は、僕を二人で挟んでするって事だよね!? そんなのダメだよぅ! 左右を押さえられちゃったら僕にルペニ…ッ……アレが無いのがバレる確率も倍になるじゃないかぁ!)
ここで普通にキョドるのがもうね(根拠①)
ノンケは別にキョドらないから(根拠②)
オラ、真ん中に立つんだよ。あくしろよ。
休み時間も有限じゃないんだぜ?
(うっ……旋焚玖が無言の視線で急かしてきてるよぅ。というかさ、まさかまさかの立ち位置指定とか想定できる訳ないじゃん。何その謎ルール。それがジャパニーズ式なの? おかしいよね、さっきまで僕がリードしてた筈なのにね。しかも、ここで違うカドとか選んだら、それこそ僕が握ってた主導権も奪われちゃうってば。そうなったらまた旋焚玖ワールドに引きずり込まれちゃう…! でもどうすれば…!)
何を長考する必要があるんですか。
ここでもったいぶられてもリアクションに困るんですが。
「(真ん中、真ん中……そ、そうだ!)それじゃあ、お言葉通り僕は真ん中を使わせてもらうね」
「む……」
いやどこ行って……ああ、なるほど、そうきたか。
確かにそこも真ん中だな。
意外!
それは朝顔ではなく個室ッ!
されど旋焚玖の言葉にあった『真ん中』からは外れてはおらず!
【うひょー! シャルルと同じ個室に入れるぜ! うひょー!】
【あっ、おい待てい(江戸っ子)】
ホモの個室に付いて行くのはマズいですよ! 絶対に! そんな事したら告白通り越して求婚されてると思われちゃう!
「あっ、おい待てい」
「……なにかな?」(……まぁ止められるよね。同じ『真ん中』とはいえ、個室な流れじゃなかったもん。止められたって事は次に理由も聞かれる筈。ソレらしい理由も考えなきゃ…)
消去法で【下】を選んだ訳だが。
止めたら止めたで、またメンドい流れになるんじゃないかこれ。
というかお前も何で個室に入ろうとしたんだよ! まずそこがおかしいんだよこのヤロウ! 言っても『何言ってだコイツ』ってなるから言わんけど! でも心の中で言わせてよ! この【選択肢】が出た原因は完全にお前にあるんだからな! 何トンチきかせてんの!? 一休さんかてめぇ!
いや、落ち着け俺。
プリプリしてても解決はせんよ。ここは不自然じゃない妥当な質問でもしてさっさと場を流そう。
トイレだけに(どやぁ)
「何故、個室に行くのかね?」
うんこって言ったら許してやらん事もない。
「(予想通りだね! そして僕の生まれはフランス! 困った時のコレだよ!)フランスでは男性も基本的に個室を使うんだ」
お前そればっかりやんけ!
どんだけ日本とフランスは違うんだよ!?
いやまぁフランス人のシャルルがそう言うんならそうなんだろう。むしろこの場面で変に疑ったらイカンでしょ。
だってここ、トイレなんだぜ?
基本的下半身の尊重なエリアでホモと際どい話とか、どう考えても危ないから。そんな橋を自ら渡りに行ったらイカンでしょ。
「はぇ~、お国柄ってヤツなんだなぁ」
一夏も納得してるみたいだな。はぇ~とか言ってるし。
俺も足止めはさせられたものの、シャルルがどこでナニをしようが当然異議はなし。個室でしたけりゃ個室でしな!
【うんこorおしっこ?】
【聞かずとも一緒に入れば分かる】
個室推しやめろコラァッ!!
「ちなみにうんこか? それともおしっこか?」
「えぇっ!?」(そんな事聞いてどうするのさー!? いやでも自然な流れと言えば自然なのかも…? だって僕、わざわざ個室に入ろうとしてるんだし。……うぅ~…でも出来れば自重してほしかったよぅ。い、言わなきゃダメ…?)
シャルルは貴公子系ホモとは言え女ではない、れっきとした男である。ここ重要、超重要。性別って凄く大事なの、マジで。
女ならシモい話に嫌悪感を抱くだろうが、男はそうじゃない。むしろ大好物なのだ。そこに国境の壁も文化の違いもないのだ(断言)
仲良くなるには下ネタる事こそ王道なり。
男同士にゃ、こういう格言もあるくらいだからな。
「……ぅー…」(や、やっぱり言えないよぅ! 恥ずかしいよぅ! だって僕女の子だもん! どうして男の子にお…おしっこを告げなくちゃいけないのさぁ!)
ヤメろ顔を赤くさせるな。
男にモジモジ&上目遣いでチラチラ窺われて、俺はどんな顔してりゃいいんだ。苦笑いはシャルルの特権だし、とりあえず俺はキリッとしておこう(キリッ)
「おぉ、旋焚玖がキリッとしてるぜ!」
「フッ……まぁな」
「えぇ~……」(脈絡が意味不明すぎるよぅ。ジャパニーズボーイ本当にやばいよぅ。フランスの遥か彼方にまで進んじゃってるよぅ)
フツメンでもキリッとするくらい造作もない。
キリッとなる時と場所がおかしすぎるけど、そこは気にしたら負けなんだ。オラ、言うのが照れくさいってんなら、俺と一夏がアホやってるウチに覚悟キメるんだな。
(躊躇っている暇はないんだ。旋焚玖はアレだけど一夏は察しも良さそうだし、何かの拍子で僕の性別を疑われたらマズい。ただでさえ同じ部屋なんだし…! ちゃんと言うんだ、シャルロット! おしっこは人類における逃れられぬカルマ、排泄行為に過ぎない! だから恥ずかしくないもん!)
「……こ」(だ、だめだぁぁ~~~! やっぱり恥ずかしいよぅ! というかこの状況がおかしんだよ! どうして男の子に! 女の子の僕が! おしっこ宣言しなきゃいけないのさ~~~~!)
『こ』しか聞こえなかったでござる。
故に『うんこ』か『おしっこ』か区別がつかんでござる。
【コイツうんこって言ったぞ! やーいシャルロットのうんこぷりぷり~!】
【不確かな状況で断定してはいけない。ちゃんと言ってもらう】
小学生なノリやめろ。
しかもまた名前間違えてんぞ。
「……聞こえん。もっかいだ」
「うぐぐ……ど、どうしても言わなきゃだめ…?」
「……ああ」
その感じもやめろ。
男に瞳をウルウルされてもどんな顔していいか分からん(キリッ)
「ぅー……わ、分かったよぅ…!」(な、ならせめて…!)
どうして寄ってくるんですか。
あ、おい、どうして肩にしがみついてくるんですか…!
ヒェッ……どうして顔を耳元に近づけてるんですか!
「お、おしっこ…」(ウィスパーヴォイス)
「……なるほどな」
あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!
男に!
男の子に!
耳元で『おしっこ』を甘く囁かれたあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!
コラァッ!!
シャルルお前コラァッ!!
どうしてそういう事が出来るんだこのヤロウ! イケメンだからってナニして許されると思うなよあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!
【お返しに自分も耳元で囁く】
【もっと大きな声で!】
「もっと大きな声で言えコラァッ!! あと囁くなマジでコラァッ!!」
「ひゃぅっ!? な、何でそんな怒ってるのさ!?」(何だよぅ! 恥ずかしいから耳元で言っただけじゃないかぁ! それに旋焚玖は僕のこと好きなんでしょ!? そんな僕に囁かれて怒るなんて心外だよ!)
男に囁かれて平気なノンケがいる訳ねぇだろこのバカ! フランス人! てめぇカッチカチのフランスパン突っ込むぞコラァッ!!
「いいから言ってくれよぉ! それで解決するんだよぉ!」
「わ、分かったよもうっ! えっと、それじゃあ……」
スススっと――。
「だから寄ってくんじゃねぇよ! お前また囁く気満々じゃねぇか!」
アホかお前!
どんだけ囁きたいんだコイツ!? 俺にもうゾッコンラヴじゃねぇか! というか一夏も居るのに大胆にも程があんだろ!?
(へへっ、旋焚玖がこんなにハシャいでるのも珍しいぜ。やっぱ男同士はこうでなきゃな!)
一歩引いて静観に徹する一夏。
しかしその瞳は優しかった。
「だ、だって恥ずかしいもん!」
何が『もん』だこのヤロウ!
可愛くねぇんだよこのヤロウ!
「なら俺にツヅケー! おしっこ! ハイッ!」
「お、おしっこ…」(まだ小声)
「何だその声!? 俺にしか聞こえてねぇぞ! ほらもっと大きく! おしっこ! ハイッ!」
「~~~~ッ、分かったよぅ! おしっこ! おしっこだよぅ! これでいいでしょ!?」
【それだ! 明日からその感じで言ってくれ!】
【コイツ男子トイレでおしっことか言い出しましたよ、やっぱ好きなんすねぇ】
【下】が畜生すぎて言葉も出ない。
流石の俺でもソレを言うのは無理だわ。
「それだ! 明日からその感じで言ってくれ!」
「明日ぁ!? 明日も言わなきゃダメなの!?」
【選択肢】に出されちゃったからね、しょうがないね。
「心配するな、俺もちゃんと言うから」
「誰もそんな心配はしてないよ! そうじゃなくてっ…!」
「一夏も言うから安心しろ」
そのための一夏あとそのための一夏。
「おう! 安心してくれシャルル!」
「一夏は黙ってて!」
「(´・ω・`)」
オチたな(確信)
次の授業もガンバルゾー。
シャル:僕が出てから下ネタ多い、多くない?
選択肢:男装してるのが悪い
シャル:(´・ω・`)
シャル:男装ヤメたらヤメてくれる?
選択肢:おう、考えてやるよ
シャル:∑(゚∀゚)