選択肢に抗えない   作:さいしん

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三人寄れば姦しい、というお話。



第104話 シャルルくんの受難-トイレ-

 

 

「そぉい!」

 

 変な掛け声だなぁ。

 それがフランス式か?

 

 シャルルがババーンとトイレの扉を開けました。

 男子三人仲良くご到着です。

 

「これが……男子トイレ…」

 

 何言ってだコイツ(ン抜き言葉)

 どうして感慨深そうに呟くのか。

 

「どうしたシャルル? フランスのとは違うのか?」

 

 おー、中々いい質問するじゃないか一夏。

 どうなんだコラ、おう? おうお~う?

 

「えっ!? あ、うん! そうなんだ! 全然違うね、うん! だから少し驚いたんだ!」(こ、個室もある…! 良かった、これで何とか切り抜けられるよね!)

 

 全然違うのか。

 まぁトイレも国によって変わってくるって聞くし。日本でもまだ和式やらボットンやらが普通にあるしな。

 

「女子校でも男子トイレはあるんだなぁ」

 

 ああ、それは俺も最初見た時に思ったぜ。

 だが2分くらい考えたら謎が解けたんだぜ。

 

「女子校でも来賓とか保護者が女ばかりとは限らんからな」

 

 我ながらこれは中々な名推理だと思う。

 

「あ、そっか。言われてみればそうだな」

 

 そうだよ。

 

 ちなみに男子トイレの小便器は、朝顔って呼び方もあるんだぜ。言わんけど。

 便器の雑学なんか披露してもキモいだけだし。ただ俺のトリビアの深さはマリアナ海溝よ。これだけははっきりと真実を伝えたかった。

 

 話を戻そう。

 俺たちが着いたトイレには朝顔が横並びに3つ、対面に個室が3つである。こっちも3人な訳だし、どういうポジショニングが正解だろうか。

 

 

【うひょー! 真ん中に立てば右も左もチンコだぜ! うひょー!】

【そんな幸福くれてやる! ゲストなシャルルにくれてやる!】

 

 

 そんな不幸くれてやる!

 ホモなシャルルにくれてやる!

 

「じゃあ、シャルルは真ん中な」

 

「えぇっ!?」(何で指定する必要なんかあるんですか! というか真ん中って事は、僕を二人で挟んでするって事だよね!? そんなのダメだよぅ! 左右を押さえられちゃったら僕にルペニ…ッ……アレが無いのがバレる確率も倍になるじゃないかぁ!)

 

 ここで普通にキョドるのがもうね(根拠①)

 ノンケは別にキョドらないから(根拠②)

 

 オラ、真ん中に立つんだよ。あくしろよ。

 休み時間も有限じゃないんだぜ?

 

(うっ……旋焚玖が無言の視線で急かしてきてるよぅ。というかさ、まさかまさかの立ち位置指定とか想定できる訳ないじゃん。何その謎ルール。それがジャパニーズ式なの? おかしいよね、さっきまで僕がリードしてた筈なのにね。しかも、ここで違うカドとか選んだら、それこそ僕が握ってた主導権も奪われちゃうってば。そうなったらまた旋焚玖ワールドに引きずり込まれちゃう…! でもどうすれば…!)

 

 何を長考する必要があるんですか。

 ここでもったいぶられてもリアクションに困るんですが。

 

「(真ん中、真ん中……そ、そうだ!)それじゃあ、お言葉通り僕は真ん中を使わせてもらうね」

 

「む……」

 

 いやどこ行って……ああ、なるほど、そうきたか。

 確かにそこも真ん中だな。

 

意外! 

それは朝顔ではなく個室ッ!

されど旋焚玖の言葉にあった『真ん中』からは外れてはおらず!

 

 

【うひょー! シャルルと同じ個室に入れるぜ! うひょー!】

【あっ、おい待てい(江戸っ子)】

 

 

 ホモの個室に付いて行くのはマズいですよ! 絶対に! そんな事したら告白通り越して求婚されてると思われちゃう! 

 

「あっ、おい待てい」

 

「……なにかな?」(……まぁ止められるよね。同じ『真ん中』とはいえ、個室な流れじゃなかったもん。止められたって事は次に理由も聞かれる筈。ソレらしい理由も考えなきゃ…)

 

 消去法で【下】を選んだ訳だが。

 止めたら止めたで、またメンドい流れになるんじゃないかこれ。

 

 というかお前も何で個室に入ろうとしたんだよ! まずそこがおかしいんだよこのヤロウ! 言っても『何言ってだコイツ』ってなるから言わんけど! でも心の中で言わせてよ! この【選択肢】が出た原因は完全にお前にあるんだからな! 何トンチきかせてんの!? 一休さんかてめぇ!

 

 いや、落ち着け俺。

 プリプリしてても解決はせんよ。ここは不自然じゃない妥当な質問でもしてさっさと場を流そう。

 

 トイレだけに(どやぁ)

 

「何故、個室に行くのかね?」

 

 うんこって言ったら許してやらん事もない。

 

「(予想通りだね! そして僕の生まれはフランス! 困った時のコレだよ!)フランスでは男性も基本的に個室を使うんだ」

 

 お前そればっかりやんけ!

 どんだけ日本とフランスは違うんだよ!? 

 

 いやまぁフランス人のシャルルがそう言うんならそうなんだろう。むしろこの場面で変に疑ったらイカンでしょ。

 

 だってここ、トイレなんだぜ? 

 

 基本的下半身の尊重なエリアでホモと際どい話とか、どう考えても危ないから。そんな橋を自ら渡りに行ったらイカンでしょ。

 

「はぇ~、お国柄ってヤツなんだなぁ」

 

 一夏も納得してるみたいだな。はぇ~とか言ってるし。

 俺も足止めはさせられたものの、シャルルがどこでナニをしようが当然異議はなし。個室でしたけりゃ個室でしな!

 

 

【うんこorおしっこ?】

【聞かずとも一緒に入れば分かる】

 

 

 個室推しやめろコラァッ!!

 

「ちなみにうんこか? それともおしっこか?」

 

「えぇっ!?」(そんな事聞いてどうするのさー!? いやでも自然な流れと言えば自然なのかも…? だって僕、わざわざ個室に入ろうとしてるんだし。……うぅ~…でも出来れば自重してほしかったよぅ。い、言わなきゃダメ…?)

 

 シャルルは貴公子系ホモとは言え女ではない、れっきとした男である。ここ重要、超重要。性別って凄く大事なの、マジで。

 女ならシモい話に嫌悪感を抱くだろうが、男はそうじゃない。むしろ大好物なのだ。そこに国境の壁も文化の違いもないのだ(断言)

 

 仲良くなるには下ネタる事こそ王道なり。

 男同士にゃ、こういう格言もあるくらいだからな。

 

「……ぅー…」(や、やっぱり言えないよぅ! 恥ずかしいよぅ! だって僕女の子だもん! どうして男の子にお…おしっこを告げなくちゃいけないのさぁ!)

 

 ヤメろ顔を赤くさせるな。

 男にモジモジ&上目遣いでチラチラ窺われて、俺はどんな顔してりゃいいんだ。苦笑いはシャルルの特権だし、とりあえず俺はキリッとしておこう(キリッ)

 

「おぉ、旋焚玖がキリッとしてるぜ!」

 

「フッ……まぁな」

 

「えぇ~……」(脈絡が意味不明すぎるよぅ。ジャパニーズボーイ本当にやばいよぅ。フランスの遥か彼方にまで進んじゃってるよぅ)

 

 フツメンでもキリッとするくらい造作もない。

 キリッとなる時と場所がおかしすぎるけど、そこは気にしたら負けなんだ。オラ、言うのが照れくさいってんなら、俺と一夏がアホやってるウチに覚悟キメるんだな。

 

(躊躇っている暇はないんだ。旋焚玖はアレだけど一夏は察しも良さそうだし、何かの拍子で僕の性別を疑われたらマズい。ただでさえ同じ部屋なんだし…! ちゃんと言うんだ、シャルロット! おしっこは人類における逃れられぬカルマ、排泄行為に過ぎない! だから恥ずかしくないもん!)

 

「……こ」(だ、だめだぁぁ~~~! やっぱり恥ずかしいよぅ! というかこの状況がおかしんだよ! どうして男の子に! 女の子の僕が! おしっこ宣言しなきゃいけないのさ~~~~!)

 

 『こ』しか聞こえなかったでござる。

 故に『うんこ』か『おしっこ』か区別がつかんでござる。

 

 

【コイツうんこって言ったぞ! やーいシャルロットのうんこぷりぷり~!】

【不確かな状況で断定してはいけない。ちゃんと言ってもらう】

 

 

 小学生なノリやめろ。

 しかもまた名前間違えてんぞ。

 

「……聞こえん。もっかいだ」

 

「うぐぐ……ど、どうしても言わなきゃだめ…?」

 

「……ああ」

 

 その感じもやめろ。

 男に瞳をウルウルされてもどんな顔していいか分からん(キリッ)

 

「ぅー……わ、分かったよぅ…!」(な、ならせめて…!)

 

 どうして寄ってくるんですか。

 あ、おい、どうして肩にしがみついてくるんですか…!

 

 ヒェッ……どうして顔を耳元に近づけてるんですか!

 

「お、おしっこ…」(ウィスパーヴォイス)

 

「……なるほどな」

 

 あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!

 

 男に! 

 男の子に! 

 耳元で『おしっこ』を甘く囁かれたあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ!! 

 

 コラァッ!!

 シャルルお前コラァッ!! 

 

 どうしてそういう事が出来るんだこのヤロウ! イケメンだからってナニして許されると思うなよあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!

 

 

【お返しに自分も耳元で囁く】

【もっと大きな声で!】

 

 

「もっと大きな声で言えコラァッ!! あと囁くなマジでコラァッ!!」

 

「ひゃぅっ!? な、何でそんな怒ってるのさ!?」(何だよぅ! 恥ずかしいから耳元で言っただけじゃないかぁ! それに旋焚玖は僕のこと好きなんでしょ!? そんな僕に囁かれて怒るなんて心外だよ!)

 

 男に囁かれて平気なノンケがいる訳ねぇだろこのバカ! フランス人! てめぇカッチカチのフランスパン突っ込むぞコラァッ!!

 

「いいから言ってくれよぉ! それで解決するんだよぉ!」

 

「わ、分かったよもうっ! えっと、それじゃあ……」

 

 スススっと――。

 

「だから寄ってくんじゃねぇよ! お前また囁く気満々じゃねぇか!」

 

 アホかお前!

 

 どんだけ囁きたいんだコイツ!? 俺にもうゾッコンラヴじゃねぇか! というか一夏も居るのに大胆にも程があんだろ!?

 

(へへっ、旋焚玖がこんなにハシャいでるのも珍しいぜ。やっぱ男同士はこうでなきゃな!)

 

一歩引いて静観に徹する一夏。

しかしその瞳は優しかった。

 

「だ、だって恥ずかしいもん!」

 

 何が『もん』だこのヤロウ!

 可愛くねぇんだよこのヤロウ!

 

「なら俺にツヅケー! おしっこ! ハイッ!」

 

「お、おしっこ…」(まだ小声)

 

「何だその声!? 俺にしか聞こえてねぇぞ! ほらもっと大きく! おしっこ! ハイッ!」

 

「~~~~ッ、分かったよぅ! おしっこ! おしっこだよぅ! これでいいでしょ!?」

 

 

【それだ! 明日からその感じで言ってくれ!】

【コイツ男子トイレでおしっことか言い出しましたよ、やっぱ好きなんすねぇ】

 

 

 【下】が畜生すぎて言葉も出ない。

 流石の俺でもソレを言うのは無理だわ。

 

「それだ! 明日からその感じで言ってくれ!」

 

「明日ぁ!? 明日も言わなきゃダメなの!?」

 

 【選択肢】に出されちゃったからね、しょうがないね。

 

「心配するな、俺もちゃんと言うから」

 

「誰もそんな心配はしてないよ! そうじゃなくてっ…!」

 

「一夏も言うから安心しろ」

 

 そのための一夏あとそのための一夏。

 

「おう! 安心してくれシャルル!」

 

「一夏は黙ってて!」

 

「(´・ω・`)」

 

 

 オチたな(確信)

 次の授業もガンバルゾー。

 

 






シャル:僕が出てから下ネタ多い、多くない?

選択肢:男装してるのが悪い

シャル:(´・ω・`)

シャル:男装ヤメたらヤメてくれる?

選択肢:おう、考えてやるよ

シャル:∑(゚∀゚)

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