選択肢に抗えない   作:さいしん

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問題児な転校生に対する、というお話。



第127話 選択肢式アプローチ

 

 2時間目の授業が終わったぜ!

 

 

【ラウラに話し掛けに行く】

【ボーデヴィッヒに話し掛けに行く】

 

 

 同一人物ゥ!!

 

 何か入学初日にもこんな感じの【選択肢】が出なかったか?

 

 ああ、確か出たぞ。

 相手はセシリアだった筈だ。

 

 そう言えば、アイツも最初は俺や一夏に当たりが強かったっけ。だから【選択肢】も似たモン出してきてんのかな。

 

 まぁいいや。

 ウダウダ言ったところで、ボーデヴィッヒに話し掛けるのは決定事項なんだ。なら、さっさと済ませちまおう。

 

「おい、ボーデヴィッヒ」

 

「……なんだ、また貴様か」

 

 すまんな。

 

 正直俺としては、さっきの話の続きをしたいんだが、人が大勢いるところではひみちゅだって言われたからなぁ。

 

 そうなると他に何か話題、話題は……。

 

 

【眼帯似合ってねぇなお前な】

【眼帯キャラを知ってるか確認してみる】

 

 

 あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!

 

 

 意味不明なのに実質【下】しか選べない【選択肢的構造】やめてくれませんかね!? お前俺がすかさず【上】を選べるメンタル持ってねぇの知ってんだろがい!

 

「……夏侯惇って知ってるか?」

 

「何だ急に。誰だそれは」

 

 眼帯キャラ。

 ちなみに俺が闘らされたのは三國無双の夏侯惇だったな。ふふ、余裕で彼方まで吹き飛ばされたんだぜ。モウトクー。

 

「気になるなら山田先生に聞いて来るんだな」

 

「分かった、聞いて来る」

 

「え?」

 

「え?」

 

「いや……ンンッ。ああ、聞いて来い」

 

 わざわざ聞きに行くのか。

 変なとこで素直なんだな。

 まだまだコイツの性格が掴めんわ。

 

(無駄に長い休み時間。かと言ってISを整備できる程の時間はない。正直、手持ち無沙汰だった感は否めない。カコウトンとやらには興味ないが、職員室に行って帰ってくる。ちょうどいい暇潰しになるだろう。教官ともお話できるかもしれないしな!)

 

 お、ボーデヴィッヒが席を立った。

 

 

【ディーフェンス! ディーフェンス!!】

【それじゃあ俺も】

 

 

 オレも行くッ!

 行くんだよォー!!(ナランチャ)

 

「む……何だ貴様。何故、付いて来る?」

 

「俺も行くからな」

 

「何故だ?」

 

 

【暇潰し】

【穀潰し】

 

 

 同じ【潰し】でも意味がまるで違うんだよなぁ。

 

「暇潰し」

 

「(む……私と目的は同じなのか。ここで断れば私の行動理由も否定する事になる、か)分かった、許可しよう」

 

 何で上から目線やねん(ツッコミ)

 

 

【何で上から目線やねんアホかお前殺すぞ立場弁えろカス】

【職員室までどっちが早く着けるか競争だ!】

 

 

 あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!

 

 そこまで言ってないよぉ!

 勝手に上乗せしないでよぉ!

 

「職員室までどっちが早く着けるか競争だ!」

 

「はぁ?」

 

「いいだろオラ競争しようぜ競争」(やけっぱち)

 

 【ディフェンス】選んでりゃ良かった(後悔)

 

「馬鹿馬鹿しい。貴様1人で勝手にやってろ」

 

 スタスタ歩いて行くボーデヴィッヒ。

 超クール。

 転校生はクールビューティー。

 

 しかしコイツの反応が当たり前なんだよなぁ。出会って俺達はまだ5時間すら経ってないっての。そういう提案は、もうちょい仲が良くなってからじゃないと成立しないだろ。常識的に考えて。

 

 断られたけど、まぁ展開は進んだしこれで良しだな。

 

 

【ボーデヴィッヒのやる気を迸らせる】

【大人しく諦める】

 

 

 【下】から罠の気配がプンプンするんですけど(疑心暗鬼)

 いやだって……ないでしょコレ。【下】選んだ瞬間、さらに変なモン出てくるパターンでしょコレ。

 

 見せかけの安全策に引っ掛かる俺と思う事なかれ! パッと見不正解的【上】が実は正解ルートなのである!(凡&凡推理)

 

「おやおや、どうやら軍人殿は身体能力に自信が無いようでござるなぁ」

 

 こういう時は、とりあえず挑発してみて相手の出方を観察するのが大事なのよ。とは言え、こんなあからさまな挑発で釣れる訳ないけどな、HAHAHA!

 

「……なんだと?」

 

 あらやだ、釣れちゃったでござる。

 そういや煽り耐性なかったなコイツ。

 

 軍隊ってトコはそういうメンタル面までは鍛えないのかな。まぁおかげで俺はやりやすいから良いんだけど。

 

 というかアレだな。

 競争ついでにこの際だ、敗北もプレゼントしちまうか。 

 

「まさかビビッてんのかよ? なら競争の話は忘れてくれ。俺も弱い者イジメは気が引けるからな、HAHAHA!」

 

 一夏をドツいた分のお返しってヤツだ。

 殴った理由も結局俺は分からずじまいだし。

 

 ダチをドツかれた分の溜飲くらい下げさせろオラ。顔が良いからって仕返しまで俺がしないと思うなよ。ソレはソレってヤツだ。

 

「……いいだろう、そのフザけた誘いに乗ってやる」

 

 やったぜ。

 その沸点の低さに敬意を表して、俺も本気でやってやろう。敗北に派手なリボンを備え付けてやるずぇ!(孫策)

 

「職員室までの道のりは把握済みかね?」

 

「無論だ」

 

 ならば話は早い。

 あとはスタートの合図だが。

 

 

【はい、よーいスタート(棒読み)】

【Ready........GO!!!!!!】

 

 

 これはRTAじゃないから。

 英語は万国共通語だし、ドイツ人なボーデヴィッヒも分かるだろ。

 

「Ready...........」

 

「「「「ごくり……」」」」

 

 何かみんな見まくってきてるけど、気にしたら負けだ。いつものように『アホがアホな事してるわ~、今日の犠牲者はボーデヴィッヒさんかぁ~』って思っててね!

 

 ボーデヴィッヒも気にしてないのか、スタートに向けて構える。

 俺は自然体のままでいい(強者の理論)

 

 勝つのは当然――。

 

「GO!!!!!!」

 

 俺だ――ッ!!

 

 

【ミ~モヽ(・ω・oヽ)ミ~モヽ(o・ω・o)ノミモ(ノo・ω・)ノミモモモ~ミモ♪】

【スタートを切ったラウラの喉元にチョーーーップ!!】

 

 

 あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!

 RTA選んでりゃ良かったあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!

 

「いくぞッ……ぁ?」

 

「ミ~モヽ(・ω・oヽ)ミ~モヽ(o・ω・o)ノミモ(ノo・ω・)ノミモモモ~ミモ♪」

 

「はぁっ!? お、おい貴様、何をしている!? 何だその激しい動きは!?」

 

 ミーモ・ダンシング(げっそり)

 

 どうして俺は【下】の【Ready Go】にもっと疑問を抱かなかったのか。日本語だって今じゃ万国共通語だろうに、なのにあえて英語縛りとか裏があってもおかしくないだろうが!

 

「ヒューッ! 旋焚玖、ヒューッ!!」

 

 うるさいんじゃい!

 

「ひゅ~っ! ちょいす~、ひゅ~っ!!」

 

 のほほんなんじゃい!

 

「ヒューッ! 兄弟、ヒューッ!!」

 

 可愛いんじゃい!

 (ホモのフリしてた事)もう許せるぞオイ!

 

「……ふんふむ。んーっと……よし」

 

 

旋焚玖の一連の行動を観察、そこから周りの反応もしっかりと吟味。以上を踏まえて旋焚玖の行動理由を推理した結果。

 

 

「ヒューッ! 旋ちゃん、ヒューッ!!」

 

 

乱音的にはヒューッ!だった!

 

 

「いや、オイ……ちょっと。おい……おいってば!」

 

 

しかし、好スタートを切った筈のラウラは止まらずにはいられなかった!

 

 

「ミ~モヽ(・ω・oヽ)ミ~モヽ(o・ω・o)ノミモ(ノo・ω・)ノミモモモ~ミモ♪」

 

 ボーデヴィッヒが俺に声を掛けてくる。

 そのまま無視して走って行けば、お前の勝利になるものを。でも俺は俺で身体が勝手に動いちゃう。だって【選択肢】の奴隷だもん。

 

「何だコイツ……何なんだコイツは…! おい、そこの貴様ら! この男は一体何がしたいんだ!?」

 

「まぁ……旋焚玖は武術やってるからな」

 

「アンタ旋焚玖関連で困った時はだいたいソレよね」

 

「うむ。だいたいはソレで何とかなるからな」

 

 なってないんだよなぁ。

 ほら見ろ、ボーデヴィッヒもプルプル震えてるじゃないか。あの震えは怒りからくるヤツだろ。

 

「わたくしは普通に奇行だと思いますわ」(名推理)

 

 これはイギリスの誇れるエリート。

 理論派を自称するだけあって、仲良くなっても、こういうトコでは正常な判断が利くんだなぁ。

 

「まぁ、でも? 旋焚玖さんはそれくらい余裕があるという事でしょうね」(凡推理)

 

 これはイギリスの愛されエルィィィト。

 二律背反女子とか素敵やん?

 

「もういい! こんな馬鹿共と同じ教室に居られるか! 私は職員室へ行くぞ!」

 

 プンスカぷんなボーデヴィッヒは、扉を乱雑に開け放って出て行った。しかしお前、その言動はホラー映画だと死亡フラグだぞ。まぁある意味この状況もホラーだし、間違っちゃいないのかな。

 

 だがボーデヴィッヒの言動は、死亡フラグとまではいかなくとも、どうやら敗北フラグにはなったようだ。

 

 アイツの姿が見えなくなった瞬間、俺の身体に自由が戻ったんだからな!

 

「……んじゃ、行ってくる」

 

 誰に言った訳でもない。

 それでも激しく踊ってた奴がさ、急に無言で出ていく絵は割と怖いだろ。だからアレだ、とりあえずの一言ってヤツだ。

 

 とか思ってたら真正面に乱が!

 お、怒られる…?

 

「織斑さんのリベンジなんでしょ? ドカーンとやっちゃえ、旋ちゃん!」

 

「「「「!!!???」」」」

 

 やっぱり乱ママがナンバー1!

 いやいや乱さん、見抜きレベル半端ねェな! もしかして既に千冬さんの領域まできてんのか!?

 

「フッ……行ってくる」

 

 そんでもって、こういう時はあえて肯定しない方が説得力を増させるんだぜ! オラお前ら尊敬の眼差しで俺の背中を見送るんだぜ!

 

 乱ママのパーフェクトすぎるアシストに、俺のリミットゲージも一気に溜まった。徐々にギアを上げていこうと思っていたが、初速からMAXで行くずぇ!(孫策)

 

 

そして少年は風になった。

 

 





話が進まなければ?

投稿スピードを上げればいいんだ!(*´ω`*)


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