選択肢に抗えない   作:さいしん

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不意討ちんちん、というお話。



第133話 まどろみの向こう側

 

 

場面はいったんラウラが気を失う前に戻る。

生身な美女2人と生身なフツメン1人に対し、ISを顕現させてドヤ顔しているラウラの発言からリスタート。

 

 

「ほら見ろ。たとえ大勢に囲まれたとしても私なら問題ない」

 

 だから自分は一夏を批難しても良いって理論だな。

 まぁ自分が出来ない事を棚に上げて、他人を批難する奴らよりかは好感が持てる。

 

 この件においては好感もクソもないけどな。どう考えても誘拐した奴が悪くて、被害者の一夏は悪くないだろ常識的に考えて。

 

 そして俺はそれをコイツに証明してやるのだ! 

 というか、しなきゃイカンでしょ。このままだとコイツ、明日も一夏にプリプリしていくだろうし。

 

 しかし、どうやってボーデヴィッヒを納得させるか。

 

 

【一夏は当時IS持ってなかったと指摘する】

【違うシチュエーションを例示する】

 

 

 む……これは中々に中々な【選択肢】だな。

 

 たいていの奴が相手なら【上】からの論理的説得で納得してくれるんだろうが。あいにくコイツは『たいていの奴』じゃないからなぁ。千冬さん絡みとはいえ、躊躇いもなくIS展開するような奴だし。おお、こわいこわい。

 

 という訳で【下】なんだけど。

 そうだな、誘拐されるシチュエーションなんて、そう多くはない。自然と手段は限られてくる。大勢に囲まれた以外だとすれば……あ、閃いた!

 

「まぁまぁお待ちくださいな、ボーデヴィッヒさん」

 

「な、なんだ急に、気持ち悪いな」

 

 おま、そういう事言うなよ!

 というか今日だけでお前何回俺を気持ち悪がってんだコラァッ!! 鋼なメンタルの旋焚玖さんでも、さすがにそろそろ傷つくぞゴルァッ!!

 

「お前が数的不利でも上手く立ち回れるのは分かった。けど、もし大勢に囲まれたんじゃなかったら?」

 

「む……? では、どうやって誘拐されたと言うのだ」

 

「そうだな……一夏も気付かないウチに、とか? アレだよアレ、不意をつかれちまったんだよ、きっと」

 

 道行く綺麗なちょうちょ眺めてたら、後ろから口を塞がれて拉致された系。あると思います! そんでもってボーデヴィッヒの返答も読めますねぇ! 

 

 分かってんか、オイ。

 半歩前に出りゃ手の届く距離だぞ。

 

 即落ち2コマ披露したけりゃ、大いにバカにしな!

 

「フッ……ふはははは! それこそ笑止! 不意討ちなど私なら絶対にゃぁん」

 

「「 にゃぁん? 」」

 

 箒と乱の疑問に答える事はなく、ぽってり前へと倒れ込むボーデヴィッヒ。を上手く抱えてベッドにぽいっ。

 

「これで良し。テキトーに時間が経てば目ェ覚ますだろ」

 

「せ、旋ちゃん!? もしかして今、ボーデヴィッヒさんに何かしたの!?」

 

「不意討ち。見えなかったか?」

 

「膳膳」(サントリー)

 

「ブフッ……お前乱中々面白いじゃねぇか!」

 

「えへへ! 旋ちゃんの真似だよっ!」

 

 

日本と中国。

離れていても毎日メールな関係をエンジョイしまくりマクリスティーだった旋焚玖と乱は、既にツーカーな仲と言っても過言ではなかった。

 

そんな2人のやり取りを、じかに見ていた箒の心中はというと。

 

 

(……だ、ダメだ。何が面白いのか、全く分からん…! 乱は『全然』としか言ってないじゃないか! そして『真似』って何だ、『全然』くらいみんな言うだろ! それに2人のその何とも言えん距離感は何なんだ! 私とも一夏ともまた違う気がするぞ! 私の乙女スカウターに乱は反応してないが、それでも旋焚玖を取られたみたいでなんかヤダ! わ、私も会話に参加するっ!)

 

「旋焚玖は武術やってるからな!」

 

 うわビックリした!?

 

「うわビックリした!? ほ、箒さん、急に大きな声出してどうしたの?」

 

「いや……ンンッ、それでだ。ボーデヴィッヒが急に倒れたのは、旋焚玖が何かしら仕掛けたからなんだな?」

 

「ああ」

 

 と言っても別に難しい事はしていない。

 

「皮一枚の打拳をアゴに掠らせただけだ」

 

 実体験的に痛くはない。

 しかし効くんだコレが。

 刃牙さんに何度コレやられて脳を揺らされた事か。

 

 喰らったモンとしては、結構な恐怖映像が待ってんだぜ。自分はしっかり立ってる筈なのに、地面が起き上がって迫りくるんだぜ? しかも刃牙さんその後す~ぐ顔踏んでくるんだもん。

 

「いやいや旋ちゃん、おかしくない? ボーデヴィッヒさんはIS展開してたよね?」

 

「フッ……旋焚玖は武術やってるからな」

 

 お、そうだな。

 

「アタシ達はともかく、ボーデヴィッヒさんが見えないとかありえないっしょ?」

 

「(心なしか乱にスルーされた気がする。こ、このままだとまた私だけ置いてけぼりになるのでは…!? しかし私を今までの私だと思うなよ! 恋に恋焦がれ恋に笑うと誓った私の恋愛道は後退のネジを外してあるのだ!)せ、旋焚玖は武術やって「箒さんは黙ってて!」……うむ」(うわ乱つよい)

 

 強い(確信)

 あの箒を黙らせるとか、中々出来る事じゃない。

 

 というか初めて見た気がする。……しゅごい(唖然)

 

「ISにはハイパーセンサーが付いてるんだよ? それに絶対防御もあるし」

 

「一夏の名誉が懸かってんのに、んなモン関係あるかよ」

 

 

一夏の名誉が懸かっているので、旋焚玖にそんなモン関係なかった!

 

 

「おぉ~……友情パワーってヤツだね!」(会うのが久々すぎて忘れてたけど、旋ちゃんに常識を当てはめちゃダメだったよ~)

 

「2000万パワーズ」

 

「へ?」

 

「気にするな」

 

 

【気持ちがいいのでもう1回言う】

【3回だよ3回】

 

 

 え、何を?

 2000万パワーズを?

 

 いや別にそれくらい繰り返すのはいいけど、そしたら何やかんやで『2000万パワーズ』の説明までしなくちゃいけない流れになるんじゃないのか? 

 

 まぁボーデヴィッヒが起きるまでの暇潰しと考えりゃいいか。俺もこのネタを語るのは嫌いじゃないし。ロングホーントレイン! 

 

 でも【1回】で十分っす。

 

 

「一夏の名誉が懸かってんのに、んなモン関係あるかよ」

 

 

 あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!

 

 そっちならそっちってちゃんと言ってくれよぉ! タイミング的に2000万パワーズだって思うだろぉ!

 

「旋ちゃんってば、言いたがり屋さ~ん!」

 

「ふふっ、2度も言わなくてもお前が友達想いな事は知ってるさ」

 

 や、やめて!

 生温かい目で見ないで!

 

 くそっ、こういうのが一番俺は苦手なんだよ!

 何か話題、話題転換するのだ!

 

 あ、そうだ。

 

「ちなみにハイパーセンサーって、そんな凄いモノなんか?」

 

「へ? それは旋ちゃんもIS乗った時に実感してるっしょ?」

 

「膳膳」(サントリー)

 

「にゃははははは!」

 

「うわははははは!」

 

 って笑い事じゃねぇんだよ!

 つい膳膳っちまった俺も悪いけど!

 

「(どうして2人が笑っているのか、さっぱり分からん! しかし、さすがにここで『武術やってるからな』発言で割り込むのは意味不明すぎるし。かと言って聞いたら負けな気がするし。とりあえず、いつもアレを呟いておこう)……うむ」

 

 うむったなコイツ!

 ならばお前に聞こう。

 

「ちなみに箒的にハイパーセンサーってどんな感じなんだ?」

 

「む……そうだな。全身がこう…シュピーンってなる感じだな」

 

「アッハイ」

 

 何言ってだコイツ(ン抜き言葉)

 

「あーっと、ちなみに乱的には?」

 

「ん~、アタシはどっちかって言うとキュピーンって感じになるなぁ」

 

「アッハイ」

 

 ダメだコイツら2人とも擬音派だった!

 全身がシュピーンキュピーン言われてピンと来る訳ねぇだろ!

 

 

【ボーデヴィッヒに聞いてみる】

【お前ら擬音派は本当にアホだなぁ】

 

 

 無駄な事させんなよぉ!(予告)

 

「ちなみにボーデヴィッヒ的にはどうなんだ?」

 

「…………………」

 

「ボーデヴィッヒはまだ気を失ってるぞ」

 

 やっぱり無駄な事だったじゃないか(憤怒)

 

「えっとだな、全身がどうなるんだ? 出来れば擬音は無しで頼む」

 

「な…………マジか?」

 

 え、なにその反応は(困惑)

 

「旋ちゃんも中々に厳しい要求してくるじゃん…!」

 

 厳しい要求なのか(困惑)

 

 いや普通に言ってくれたらいいだけじゃん!

 もしかしてお前ら擬音の奴隷か何かか?

 

 

【確かに軽く頼んで良い件ではない。誠意を見せた頼み方が必要だ】

【お前ら擬音派は本当にアホだなぁ、そうだよアホだよ】

 

 

 いやいや軽く頼んで良い件だってコレ!

 別に無茶振りしてる訳じゃないだろ!?

 

「……頼む、このとーり!」

 

 まぁ【上】選ぶんだけどね。

 慣れ親しんだ土下座スタイル。

 今更恥じるこたぁーないね。

 

「むっ…!」

 

「むむっ…!」

 

 お、これは好感触。

 んじゃ、さっさと教えてくれ、普通に。

 

「乱! 旋焚玖が理解出来る言葉を一緒に考えるぞ!」

 

「ぅぃ!」

 

 何で俺が異端児みたいな感じになってるんですかね(憤怒)

 

 しかし内容はどうあれ、俺のためにマジな顔して2人は話し合いを始めてんだ。それを止めさせるのは普通に野暮ってなモンだ。なんてったって、俺のためにしてくれてるんだからな! そら怒りも彼方に吹っ飛びますわ。

 

(えっと…こうでこういう風に…)

(ここはこういう感じに言えばいいかも…?)

 

 何かゴニョゴニョ言ってる。

 これは期待していいのか?

 

 

 

 

「待たせたな、旋焚玖!」

 

 

【おっそぉ~~~い! ぷんぷんっ!】

【俺も今来たところだ】

 

 

 待ち合わせてねぇよアホかお前!

 使う状況が違うんだよこのヤロウ!

 

「……俺も今来たところだ」

 

 いつもの戯言なんで適当にスルーして、どうぞ。

 

「おやおやぁ? それは遠回しにデートがしたいって言ってるのかにゃ?」

 

 何言ってだコイツ(ン抜き言葉)

 

「!!!!!!!」(マ・ジ・か!! そうなのか旋焚玖!?)

 

「……ふむ」

 

 いやまぁ、そりゃしたいに決まってるけど。

 

 違う、そうじゃない。

 乱さん、乱さん。今はもうメールでのやり取りじゃないのよ? リアルな現場なんだし、斬新な返答は控えてほしいかなぁって。

 

 急にそんな爆弾投げられたって僕困っちゃう、反応に。箒もすっごい困っ…てはないけど、何かすげー驚いてたな。

 

 何だよお前そんなに俺とデートしたいのかぁ?(ポジティブ)

 

「で、ハイパーセンサーの説明はどうなんだ?」

 

 まぁそんなん言える訳ないんだけどね。

 言えたら童貞やってねぇわ。そもそもフラれた相手に言ったらイカンでしょ、気持ち悪がられるわ。だから俺は悪くねぇ!!……箒から誘ってくれねぇかなぁ(THE・童貞)

 

「う、うむ。それはコレを見てくれ」

 

 何か本を渡されたでござる。

 見知った本だなぁ、毎日見てるぞコレ……ってISの教科書やないかい!

 

「ここだよここ! この部分にちゃんと載ってるから、目を通したまへ!」

 

 こ、コイツら説明を放棄しやがった…!

 箒なだけに(激ウマギャグ)

 

 さっきのゴニョゴニョはいったい何だったんだよ。まぁ見るけど。

 

「……クリアーな感覚が視界を中心に広がって全身に行き渡ります、か」

 

 ああ、そういや最初らへんの授業でやーまだ先生が言ってたっけ。

 

「とりあえず感覚が鋭くなるって訳か」

 

「ISを展開した瞬間、神経が剥き出しになった感覚になるな。ものすごく自分が研ぎ澄まされていくのが分かるんだ」

 

 そんなにかぁ(悟空)

 

「アタシなんか1km先の針が落ちた音も聞き取るよ!」

 

 お、青木か? カエルパンチ!

 

「で、旋焚玖もそういう感覚になっている筈なのだが」

 

「……ああ、言われてみたら」

 

 ないんだな、それが(栃木)

 

 やっぱ適性Eってクソだわ。

 ぜったい原因コレだろ。

 

 まぁでも俺くらいの男になると、IS関係なく常に研ぎ澄まされてるからな! ハイパーセンサーなんかいらねぇんだよ!(王者の強がり)

 

 うん、なんか虚しくなってきたからこの話もやめだな。

 ハイサイ!! やめやめ。

 

 ボーデヴィッヒが目を覚ますの、まぁだ時間掛かりそうですかねぇ?

 

「待ってる間、なにかする? トランプならあるよ~」

 

 お、いいな。

 ババ抜きでもしようずぇ!

 

 

【ラウラのために子守歌を熱唱する】

【婉曲表現を駆使したババ抜きを提案する】

 

 

 普通にババ抜きさせてよぉ!

 

 お前子守歌熱唱してる奴見た事あんのかよ! ロックンロールにビート刻んだ子守歌とか斬新すぎるんだよこのヤロウ!

 

 えっと、とにかく遠回しに言えばいいだろ。暗にババ抜きを仄めかすとか意味分かんねぇよチクショウ!

 

「……そうだな。2枚あるジョーカーを1枚抜くと見せかけて実は抜かずに別のカードを1枚抜くと見せかけてやっぱりジョーカーを1枚だけ抜いて始まるトランプゲームをしようか」

 

 自分で言っててクソ面倒くせぇよ!

 遠回しに伝える意味ないだろぉ!

 

「ふむ……それはつまり、ただのババ抜きだな?」

 

「お、そうだな」

 

「旋ちゃんって言葉遊び好きだよねぃ」

 

「お、そうだな」

 

 僕が好きなんじゃないです(全ギレ)

 

「……うっ……あ…れ……?」

 

 あ、ボーデヴィッヒのお目覚めだ。

 まぁ何やかんやで時間潰しにはなったな。

 

「起きたか」

 

「あーっ、やっと起きたよ~」

 

 箒と乱がボーデヴィッヒの居るベッドまで寄って行く。

 俺もイクゾー。

 

「いや、割と早い方だと思うぞ。で、気分はどうだ、ボーデヴィッヒ?」

 

「主車、旋焚玖…………ハッ…!?」

 

 お、自分の身に何が起きたか理解したっぽい?

 

「貴様…ッ! いったい私に何をした!?」

 

「不意討ち」

 

 こういう時はな、一言だけで済ました方が貫禄が増すんだぜ。

 

「は?」

 

 

【不意討ちんちん】

【不意討ち】

 

 

 さらっと小学生みたいな事言わせようとすんのヤメろアホ!

 

「不意討ち」

 

 





そして前回のラストに繋がる訳ですねぇ(*´ω`*)
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