選択肢に抗えない   作:さいしん

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疑念の螺旋、というお話。



第97話 2人の疑念

 

 

「……ねぇ、旋焚玖?」

 

「なんだ?」

 

 もうそろそろ授業が終わるな。

 

「どうして僕は君に抱っこされてるのかな?」

 

「気にするな」

 

 あと1分くらいでチャイムも鳴る。

 それまでの辛抱だボーイ。俺だって辛抱してるんだから。何が悲しくて男をお姫様抱っこせにゃならんのか。

 

「気にするよぅ! 何でそんなクールに振舞ってるの!? 運び役は僕だよね!? どうして僕が抱っこされてるの!? というか何で生身で抱っこ出来るの!?」

 

「……旋焚玖は武道やってるからな」(旋焚玖は普段、【打鉄】で訓練してるらしいからな。そういう意味でも【リヴァイヴ】には搭乗したくないのかもしれん。まぁ上手く言葉では断れず、力業で済まそうとしているところが旋焚玖らしいと言えばらしいな)

 

 箒の武道一辺倒なフォローが今日も輝いてるぜ。

 

「うーんこの、何とも華の無い絵面ですなぁ」

 

「野獣が貴公子をお姫様だっこしてるの図かぁ。確かに華はないよねぇ」

 

「でも背徳感は増していると思います!」

 

「あ^~、逆にアリなんじゃあ^~」

 

 うーんこの、女共からのややウケな感じ。

 めちゃくちゃウケても嬉しくねぇし、ドン引かれても嬉しくねぇし。ややウケされてもやっぱり嬉しくないじゃないか! 

 

「では午前の実習はここまでだ。午後にある実習は、諸君らにISの整備の仕方について学んでもらう。専用機持ちは訓練機と自機の両方を見るように。では解散!」

 

 よし、解放!

 残り時間が僅かだったのがまだ幸運だった。

 おかげで、俺がシャルルを抱えたまま直立不動するとかいう意味不明すぎる展開でも、何とか微妙な雰囲気になる前に終われたぜ。

 

 さて、後はシャルル班が使用した【リヴァイヴ】を格納庫に戻すだけだな。そういうのは俺に任せろー。

 

「あ、旋焚玖、僕も手伝うよ!」

 

 ISを付けたまま、シャルルが申し出てきた。

 手伝ってくれるツってんだから、わざわざ断る理由もあるまい。ここはシャルルの厚意に甘えよう。

 

「むぅ……」(デュノアに先手を打たれたか。しかし、男のデュノアが旋焚玖を手伝うのは自然な流れとも言える。私も手伝いたいが、どうしたものか。あの2人だけ専用のカートでなく、持って運んでるしなぁ。私が加わったら、かえって邪魔になるか?)

 

「ならシャルルは肩の方を持ってくれ。俺は足を持つ」

 

「うん、分かったよ」(旋焚玖が持ててる原理はまったく理解ってないけどね)

 

 よし、持ったな。

 それじゃあ格納庫までイクゾー。

 

 

【掛け声は日本式で】

【掛け声はフランス式で】

 

 

 お前掛け声とか好きだよなぁ。

 別にいいけど。

 

 シャルルはフランス人だし、ここはフランス式でプチ歓迎だ。

 

「オーイス! オーイス!」

 

 多分これで合ってると思うんだが、どうだろう。

 

「うわビックリした!? 急にどうしたの旋焚玖?」

 

「掛け声のつもりだったが、間違ってたか? オップラーの方が良かったか?」

 

「あー、そういう事か。ううん、合ってるよ。それじゃあオーイスでいこっか!」(……気を遣ってくれたんだよね。ただの変な人って訳じゃないのかも)

 

 お前中々いいノリしてるじゃねぇか!

 こういうところはやっぱ男子だよな!

 

 

【わっせろ~ぃの掛け声と共に】

【らっしゃいぜ!らっしゃいぜ!】

 

 

 急に変えるのやめてよぉ! 

 前もあったよこんな事ぉ!

 

「らっしゃいぜ!らっしゃいぜ!」

 

「オーイス…え、ちょっ!? な、何で変えるのさー!?」(やっぱり変な人じゃないか!)

 

 俺が言いたいわ!

 俺なんてここからソレっぽい理由を考えて、さらに説明もせにゃならんのよ!? どれだけ脳ミソ使うか分かってんのかこのヤロウ!

 

「……うむ」(よし、ここは大人しく引いておこう。旋焚玖特有の世界観はまだ私には敷居が高いからな)

 

旋焚玖が見せる世界観は箒にはまだ敷居が高かった!

故に少女は大人しく教室に戻るのであった。

 

「分からんか、シャルルよ。今のはな、日仏合作なんだ」

 

「日仏合作?」

 

「ああ、そうだ。ほれ、他国同士が組む時は同盟とかって言うだろ。同盟国ってのは信頼関係をより強くするために、合同やら合作やらするだろ? 俺たちは別に国じゃないけど、まぁなんだ、これから仲良くやっていこうなーって意味で、あえて俺は日本式の掛け声を言ったのさ」

 

 強引か…?

 

「そ、そうだったの?」

 

「そうだったよ」

 

「らっしゃいぜっていうのが日本式なの?」

 

 違うと思ふ。

 

「……そうだよ」

 

「何か微妙に間があった気がするんだけど」

 

「気がするだけなら気にする必要なんてないのさ」

 

「な、何だか深い言葉だね」(う~ん……確かに旋焚玖の言う通り、別にそこまで気にしなくてもいっか)

 

 何とか納得してもらえたらしい。

 やはり俺は口先の魔術師なんだぜ!

 

「ちょいと急ぐか。俺たち男子は更衣室で着替えなきゃいけないしな」

 

「え!?……あ、ええっと……僕はちょっと機体の微調整をしていくから、先に行って着替えててよ。時間が掛かるかもしれないから、待ってなくていいからね」

 

 機体の調整か。

 シャルルは真面目なんだな。

 だが、一人で教室まで戻ってこれるか?

 

 

【それだとシャルルの着替えが見れないだろ?】

【う~ん、どうしようかなぁ(意味深)】

 

 

 いや見れなくていいだろ!?

 お前の選択肢おかしいって! 今日特におかしくない!? 何で俺にシャルルの着替えを見せようとすんの!?  

 

 俺にそういう趣味ないって知ってんだろ!? 誰よりもお前が一番知ってる筈だろぉ! まさかお前ここにきて俺の性癖開拓しようとしてんのか!? 要らんお世話だ調教師かテメェ!

 

「う~ん、どうしようかなぁ」(意味深)

 

「え!?」(な、何で悩むの!? 別に不自然な事言ってないよね僕!? 流れ的には全然アリな言い分だったよね!?)

 

 【下】も大概なんだよなぁ。

 ここで焦らす意味が1ミリ足りとも分かんねぇよ。

 

 そりゃあシャルルもそんな感じになるわ。

 

 

【せめて俺の着替えを見てくれ】

【こんな大事な事を一人で決めてはいけない】

 

 

 見れないと見せる方向に走るのやめろって!

 見たくないし見せたがりでも無いわ!

 

「……こんな大事な事を一人で決めてはいけない」

 

「えぇ!?」(だ、大事な事なの!? なんで!? や、やっぱり旋焚玖は僕を怪しんでるんじゃ…!?)

 

 テーマは男子の着替えだからな。

 必然的に俺が聞ける相手も絞られてくるか。

 

「一夏ァ!!」

 

 というか一夏以外いないわ。

 

「うわビックリした!? どうした旋焚玖?」

 

 ちょうど近くで訓練機を専用カートで運んでいた一夏に、ちょいと足を止めてもらった。

 

「シャルルがさ、機体の微調整していくから、先に着替えててくれってよ」

 

「え、そうなのか?」

 

「う、うん。それでね、時間が掛かるかもしれないから、待ってなくていいからね」

 

「ん? いや、別に待ってても平気だぞ? なぁ、旋焚玖?」

 

「ああ」

 

「ぼ、僕が気にするの! ね? 先に教室に戻ってて、ね?」

 

 む……シャルルから妙な気迫を感じる。

 何をそんなに必死になってんのか。

 

「何か必死だなぁ……どうする、旋焚玖?」

 

 結局俺が考える流れに戻ってきてんじゃねぇか!

 だからシャルルに言われた時「そうか、分かった」の一言で良かっただろ! 無駄なやり取りさせるなよ! まだ訓練機も運び終えてすらねぇよ!

 

 

【大人しくシャルルの着替えを覗く】

【大人しくシャルルの前で着替える】

 

 

 あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ッ!!

 その2択マジでやめろや!

 

 あーもう! 見られりゃいいんだろ、見られりゃ! 見たけりゃ見せてやるよ! 自然な誘導方法も思い付いちまったよ、ウダウダしてる間によォ!!

 

 オラ、俺の話術師っぷりを見とけよ見とけよ~。

 

「ちなみにシャルルは何処でISの微調整をするつもりなんだ?」

 

「え? えっと……もちろん、整備室だよ! ほら格納庫の隣りがそうだって表示されてるし!」(……な、何か疑ってる…?)

 

 ほい、予想通り。

 

「なら、そこで俺たちは着替えさせてもらう」

 

「えぇ!?」(な、何で!? 疑ってるとかじゃなくて、もしかして単純に旋焚玖は着替えてるところを見られたいんじゃないの!? 更衣室でもそうだったし! へ、変な人じゃなくて変態さんなの!?)

 

 これは引いてますね、間違いない。

 さて、それっぽい理由を話してやるぞー。

 

「え、俺も? というか、別に俺たちは更衣室で着替えりゃいいんじゃないか?」

 

 ほいほい、ナイスなアシストだぜ一夏よ。

 これでさらに言い易くなったな。

 

「代表候補生が専用機の整備をするんだぞ? 俺たちは知識的にも遅れてるんだから、見学させてもらった方が良いと思うんだ。ついでにそこで着替えさせてもらえば効率もいいしな」

 

「ン~~なるほど! それもそうだな! 午後の実習では俺も整備の仕方を教えなきゃいけないもんな!」

 

 どうだオラァッ!!

 これは会心の一撃だぞオラァッ!!

 

 これでも断るなら、流石に何かしらの疑念を生んじまうぞ? おうコラ、シャルル? おうお~う?

 

「そ、そうだね、勉強は大事だもんね。いいよ、一緒に行こう」(うぅ……流石にここで断ったら不自然だよぅ。一夏の反応からして、僕を疑ってる様子はないけど……旋焚玖はどっちか分かんない。僕を疑ってるのか、それとも見られたい変態さんなのか。これも整備室で分かるかも…?)

 

 チカレタ。

 やっと展開が進んでくれた。

 

 そうと決まればパパパっとIS片付けて格納庫にイクゾー。

 

 

 

 

 格納庫に着いた。

 一回、更衣室に戻って制服もちゃんと持って来たよってに。後はシャルルの整備ってるところを見つつ、着替えるだけだな。あー、なんかどっと疲れたわ。

 

「そういや、シャルルの専用機はなんて名前なんだ? あ、俺のは【白式】っていうんだ」

 

「僕のは【ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ】だね。訓練機の【ラファール・リヴァイヴ】を文字通りカスタムさせた機体なんだ」

 

 名前が長いと思った(小並感)

 

「それじゃあ、僕はちょっと整備させてもらうね」

 

 何やらモニターを出してピコピコし始めるシャルル。

 なるほど、これが整備ってヤツなのか。

 

 

【整備してるところをめっちゃ見る】

【シャルルから背を向けて着替える】

 

 

 整備しているところを見ながら着替えるのが、効率良いと思うんですけど(名推理)

 何故、行動を別個に切り離すのか。コレガワカラナイ。

 

 まぁいいや、シャルルと一夏にはISの整備見学が本当の目的みたいな風に提案したし、優先順位的にいけば【下】より【上】が妥当だろう。

 

 お前の整備っぷりを見てやるぜ!

 

「ん…?」(うおっ……すげぇな、旋焚玖。専用機を持ってないのに、めちゃくちゃ真面目に見てる。よし、俺も旋焚玖に倣って真剣に見ないとな!)

 

「(じぃぃぃぃぃ)」

 

「(じぃぃぃぃぃ)」

 

「………っ……」(す、すっごい見られてるよぅ! 見学って言うからもっと気軽な感じだと思ってたのに、全然そんな事はなかったよぅ! めちゃくちゃやりにくいよ! 2人とも、全く着替える気配ないし!)

 

「(じぃぃぃぃぃ)」

 

「(じぃぃぃぃぃ)」

 

「………………」(あ、でも、これで旋焚玖の変態疑惑はなくなったね! あぁ、良かったぁ……って、ちょっと待って。それだと、やっぱり旋焚玖は僕を疑ってるんじゃ…? うぅ……何だかこの強い視線も、旋焚玖からの警告に思えてきちゃうよぅ。『変な真似しても無駄だ』って遠回しに言ってるんじゃ…?)

 

 ふむふむ。

 すっげぇピコピコしてる。

 

 なるほどなー。

 穴があくほど見て分かったぜ。

 まるでナニしてんのかわがんねって事がな。

 

 一夏はどうだろうか。

 横に立つ一夏の様子をチラリ。

 

「(´・ω・`)」(……全然分かんないゾ)

 

「うわはははは!」

 

「うわビックリした!? ど、どうしたの旋焚玖!?」(急に笑い出した!? な、何か僕やっちゃったの!?)

 

「……気にするな」

 

 邪魔してすまんなシャルル。

 いやでも今のは笑うだろ。顔だけで何思ってるか丸分かりだったもんよ。

 

「そ、そう?」(うぅ~~~……何か怪しい動きしちゃったのかなぁ。それとも僕が旋焚玖に疑いを持たれてるって疑ってるのがバレちゃったのかも。これ以上、怪しまれたら流石にマズいよね。僕も気を引き締めなきゃ…!)

 

 む、シャルルの手が止まった。

 という事は作業は終わったのかな。

 

「……もういいのか?」

 

「うん。微調整だからね。ちょっとだけでいいんだ」

 

 ふーん。

 まだまだISに詳しくない俺にはよく分からんが、代表候補生が言うんだからそんなモンなんだろう。

 

 さて、シャルルのIS微調整タイムも終わったし、ここからはお待ちかねでもない着替えタイムだ! 脱ぐぞ脱ぐぞ~。

 

「いやぁ、でもISスーツって凄いよなぁ」

 

 一夏が脱ぎ脱ぎしながら感心したように呟く。

 お前中々軽やかな脱ぎっぷりじゃねぇか!

 

 で、何が凄いんだ?

 

「わあっ!?」

 

 んぁ?

 

「どうした、シャルル? いきなり大声出して」

 

 なにこのデジャブ感。

 実習前にもあったぞ。

 

 何でコイツは着替える時にいちいちキョドるのか。女の裸を見た訳でもあるまいし……んん…? 改めて言葉にすれば、確かにおかしい。男が男の裸を見ただけで慌てるかね?……えぇ?

 

 

その時旋焚玖に電流走る。

 

 

 あー……そんなモンお前、理由なんてアレくらいしかないか? いや、別に言わんけど。

 

 

【お前ホモなんだろ?】

【俺もそうなの(告白)】

【……ソーナノ(念押し)】

 

 

 僕は違います(全ギレ)

 

 というか疑惑をそのまま口に出すのはいけないと思います。内容が内容なだけにね。しかも、別にまだそうとは決まってないし。言葉にするとすれば【上】以外だな。

 

「俺もそうなの」

 

 オラ、今の内にシャルルは動揺を落ち着かせときな。

 

「え、なにが?」

 

「気にするな。んで、ISスーツの何が凄いんだ?」

 

「ああ。俺の着てるヤツって汗の吸着はほとんど完璧なんだよ。結構動いたのにまったくベタベタしないんだ! へへっ、脱ぐ時は着る時の3倍は楽なんだ~♪」

 

 流石は特注品。

 そういう面にもたっぷり金掛けてあるんだろなぁ。

 

「だからこんなにも早く脱げちゃうんだぜ! ほらほら!」

 

 嬉しいのは分かったから、眩しい笑顔でフルチンになるなよ。お前のはガキの頃から見てきてんだから今更何も思わんわ。

 まぁそれくらいマジでストレスフリーなんだろう。一夏め、勢いよくパンツも履きおるわ。

 

 シャルルは……ああ、目を背けていらっしゃる。その行為が俺の疑惑をまた強くする。しかし好き嫌いに性別なんて関係ないしな。俺は何も言わんよ。

 

「シャルルの着てるヤツも、なんか良さそうだな」

 

「えっ……あ、うん。僕のはデュノア社特製のオリジナルでね。運動した後でも、そのまま制服を着ても問題ないタイプなんだ、あはは…」(あ、危なかったぁ。目を逸らすのがもう少し遅かったら見ちゃうところだったよぉ……でも、ナイスアシストだよ一夏! これで僕はスーツを脱がずに上から制服を着れるもんね!)

 

 デュノア社とな?

 あー、あれか。良いところの御曹司ってヤツかね。

 

 ドヤ顔でシャルルが着替えている。

 着替えって言うか、ISスーツの上から制服を着直してるだけだけどな。

 

 

【チラ見する】

【二度見する】

 

 

 何で見る必要があるんですか?

 

 チラ見はシャルルにバレた時、何かちょっといやらしい感じに捉えられてしまう恐れがあるし、ここは二度見がベターだろう。大げさにやっておいた方がいいかな。

 

 

「……!……!!!」(迫真の二度見)

 

 シャルル、ボタン留めるの上手いなぁ。

 

「な、なんで今、僕を二度見したのかな?」(うぐぐ、旋焚玖は誤魔化せなかったかも…? うぅ、やっぱりここで着替えないのは不自然だったかなぁ。何か言われる前に話題を逸らさなきゃ…!)

 

「せ、旋焚玖ってば凄い筋肉してたよね! 僕、また見てみたいなぁ! あのバーンってやつ! ね、ね、いいでしょ!?」(旋焚玖は見られたがりっぽいし、別に不自然じゃないよね!)

 

 な、何でそんな必死にねだってくるんですか?

 やっぱりホモか!?(まだ疑惑)

 

「お、いいな! 俺も見たいぜ!」

 

 純粋チックな便乗だぁ。

 そうなんだよ、リクエストするにも一夏みたいな感じで言ってもらえると俺も身構えずに済むんだよ。俺も努力の証を披露するのは嫌いじゃないしな。

 

 よし、今回は少しやり方を変えよう!

 まったく、しょうがねぇな。でもリクエストには応えなきゃいけないもんな。ンまったくぅ、しょうがねぇなぁ。

 

「……フッ…!…!……!」

 

その場でゆっくりとヒンズースクワットる旋焚玖。

 

「こ、これは…!」

 

「え、一夏は知ってるの?……あ、あれ、ちょっ…旋焚玖の筋肉が…!?」

 

まるで『ドクンドクン』と、旋焚玖の鼓動が聞こえてくるような錯覚すら、2人は感じていた。

 

「パンプアップだ」

 

「パンプ…?」

 

旋焚玖の目的はスクワットではなくパンプアップ。筋肉の一部に血液を流入させて強度とサイズを向上させるのがパンプアップである。

 

しかし、そこは常識の枠に収まらない旋焚玖。

 

「旋焚玖が大きくなったぁ!? 全体的に大きくなったよぅ!?」

 

「へへ、流石は旋焚玖だ。躰全体をパンプさせるなんて、規格外の心臓を持ってる証だ」(って千冬姉が言ってたぜ! よく分からんねぇけど、千冬姉が凄いって言ってたんだからきっと凄いんだぜ!)

 

「せ、旋焚玖って何でこの学園にいるの?」

 

 シャルルお前、それは最大級の褒め言葉じゃないか!

 ありがとよ。

 

 お前たちの無垢な賞賛が、俺に数少ない達成感を味わわせてくれるんだぜ。

 

 

 

 

旋焚玖たちが何だかんだでキャッキャしていた頃、1組の教室では緊急乙女会議が開かれていた。

 

「例の作戦、予定通り今日実行してもいいのね?」

 

「ああ、そのために今朝も早く起きて準備してきたんだ」

 

「わたくしも抜かりはなくってよ」

 

 

作戦名『ハートを掴むには胃袋から! 乙女の料理でちょいす~イチコロ大作戦~!!』(命名者:本音)

 

 

始マリノ刻まもなく開演。

 

 






清香:で、料理の自信は?

鈴:d(`・ω・´)

箒:(`・ω・´)b

セシリア:d(`・ω・´)b

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