ガンダム世界でスコープドッグを作ってたらKMF紅蓮に魔改造されてしまった件   作:勇樹のぞみ

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第31話 ザンジバル,追撃! Bパート

「追いかけてくるのはどうもザンジバルクラスの戦艦ですね。このままですと20分で追いつかれます。直撃が来ます」

 

 オペレーターのマーカーからの報告にブライトは決断。

 

「よし、コースこのまま、ポイントE3で加速する」

「はい。そうすれば、ホワイトベースはいかにも月へ向かうように見えるわね」

 

 同意するミライにブライトは、

 

「それがつけめさ」

 

 そう答える。

 そこに、

 

「シャアがでてくるわ、必ず来る」

 

 というセイラのつぶやき。

 

「セイラ、まだそこにいたのか」

「あっ……」

 

 ブライトの声に、セイラは思考の淵から意識を現実へと戻す。

 

「機体をチェックする時間もないぞ」

「す、すみません」

 

 慌てた様子で立ち上がるセイラに、ブライトは、

 

「なぜわかるんだ? シャアが来ると」

 

 と問うが、セイラは、

 

「い、いえ、ホワイトベースってあの人と因縁あるでしょ、だから」

 

 そう言葉を濁す。

 

「恐いのか?」

 

 さらに踏み込むブライトに、

 

「恐くない人、いて?」

 

 そう答え歩み去るセイラ。

 その背を見送りつつ、

 

「どう思う? ミライ」

 

 と問うブライトに、ミライは複雑な表情を浮かべた後、しかし、

 

「ええ、疲れてるんでしょ。それで怯えているんだと思うわ」

 

 そう無難に答える。

 史実とは違いジャブローでのシャアとの邂逅の現場は、彼女の代わりにミヤビが目撃しているわけだが。

 それを目にしていなくても、ニュータイプ的感か鋭いところのあるミライ。

 何か感じるものがあるのだろう。

 一方ブライトは彼女の言葉に納得したのか、

 

「だろうな」

 

 とうなずくのだった。

 

 

 

「木馬の推定コースが出ました。このままですと月へ向かいます」

「月だと? キシリア様のグラナダへ向かうのか」

 

 兵の報告に戸惑うトクワンだったが、

 

「まさかな」

「は?」

 

 シャアのつぶやきに、問うように振り返る。

 その視線を受け、シャアは説明する。

 

「引っ掛かったんだよ、我々は。木馬はおとりだ。今頃南米のジャブローからは別の艦隊が発進している頃だ」

「ならば、転進してそれを」

「本気か? 我々が背中を見せれば木馬が攻撃してくる。この機会に先制攻撃を仕掛けるしかない!」

「は」

 

 こうしてザンジバルは戦闘の準備に入る。

 

 

 

「ザンジバルをキャッチしました。最大望遠です」

 

 追って来るザンジバルを、光学センサーでもキャッチ。

 

「何分で攻撃が来る?」

「待ってください」

 

 ブライトの問いに計算するマーカー。

 

「このままなら2分20秒後に直撃がきます」

「アムロ、ガンキャノン。ミヤビさん、ドラケンE改可翔式。リュウ、ハヤトはコア・ブースター出動用意。ガンキャノンLはスタンバイのまま待機」

 

 指示を下すブライト。

 

 

 

「各砲座開け。ビーム砲開け」

 

 ザンジバルは大気圏突入機能を持つため、各火砲は収納式。

 そして以前、ランバ・ラル隊が地球に降りた際には仮の巨大投光器がセットされていた場所には、4門のメガ粒子砲が装備されており、シャッターが開くとともにその姿を現す。

 

「トクワン、ビグロ発進、いいな?」

 

 ブリッジのシャアはビグロのトクワンに指示。

 

『は』

「続いてリック・ドム二機発進用意」

『トクワン以下二名、発進します』

 

 そうしてモビルスーツデッキから発進するビグロの巨体。

 そしてその直衛のビームバズーカ装備、脚無しのリック・ドムK型。

 

 

 

『ガンキャノン、ドラケンE改可翔式、発進急げ。ホワイトベースの後方に展開して敵のモビルスーツを撃破する』

 

 ブライトからの指示を受け、カタパルトに歩み寄るアムロのガンキャノン。

 セイラはそれをガンキャノンL、ロングレンジタイプの頭部、砲手コクピットで見守りながら考える。

 

「男の人の事で悩んでいるね?」

 

 よみがえる、スレッガーの言葉。

 

(もしザビ家に対して仇を討つ為なら、そんな生き方、私には認められない)

 

「兄さん……」

 

 

 

「ひっきしっ!」

「風邪ですか、大佐?」

 

 低い位置から自分を見上げる少女の目。

 シャアは心配そうに自分を見つめるアルレットに微笑むと、

 

「いや、誰かが私の噂でもしているのだろう」

 

 そう答える。

 

「………」

「大丈夫だ、アルレット」

 

 重ねて問題ないことを告げ、彼女の頭を撫でる。

 そうされることでアルレットはようやく気を抜いたように目を細め、されるがままにシャアの大きな手のひらをその身に感じ取るのだった。

 

 

 

『アムロ、ガンキャノン行きます!』

「ドラケンE改可翔式、発艦します」

 

 ミヤビのドラケンE改可翔式が右舷モビルスーツデッキから発進したのは、アムロのガンキャノンが左舷デッキから出撃した直後だった。

 くるりとターンして、接近する敵機に向かう。

 

『ミヤビさん、もっと離れてください。このまま直撃を受けたら二機ともやられてしまいます』

「了解」

 

 アムロからの助言に、死んだ目をしつつ従うミヤビ。

 彼女の知る史実でのこの戦いでは、ガンタンクはホワイトベースに砲座として固定。

 ガンキャノンはスタンバイ待機で、アムロたちが苦戦している状況を見て後からの発進だった。

 それはなぜかというと、

 

『気を付けてください、スピードを上げると重力に引っ張られて落下します。絶えず上昇する気分で飛行してください』

 

 アムロが注意を促してくれるように、地球から追いかけてくるザンジバル、その艦載機に向かうということは地球に向かうのと同じ。

 推進力の低いガンタンクでは地球の重力に捕まってしまう可能性があるし、ガンキャノンでも危ない。

 だから推力比の高いGメカ、それに支援を受け、パイロットの技量も高いアムロ、それらのみを向かわせたのだ。

 

 そして本来、このような状況下ではドラケンなど出せるはずも無かったが、

 

(テム・レイ博士の魔改造で可翔式にされて、大気圏内の単独飛行も可能になるほどの推力比を持つようになってしまったものね)

 

 ということ。

 しかし、これは諸刃の剣である。

 操作を誤れば、その高い推力であっさりと限界点を超えてしまい地球の重力に捕らわれ落下、ということにもなりかねないのだから。

 それでも、

 

「ありがとう、気を付けるわ」

 

 と感情の死んだ平坦な声でアムロに答えるミヤビ。

 断頭台に送られる死刑囚みたいな心理状態ゆえの声だったが、悲しいかなそれを耳にする者には、

 

 この状況でもまったく動揺することなく落ち着いているミヤビさん、すげぇ!

 

 と誤解される。

 そんなだから、このような厳しい戦場にも、

 

 ミヤビさんなら大丈夫!

 

 と信頼され送り出されてしまうのだが、ミヤビはそれを自覚していない。

 

『ミヤビさん、来ました』

 

 サラからの接近警告。

 機体前頂部に固定設置されている5連式多目的カメラモジュールと、右肘ハードポイントに装備された60ミリバルカンポッド弐式の照準用カメラセンサー。

 それらから得られたデータをコンピュータで統合、幾通りのモードの中から最適な画像とデータがミヤビのノーマルスーツヘルメットに装備されたバイザー型HMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)に映し出される。

 

 同時にビームの輝きがこちら、ホワイトベースに向かって放たれた。

 

 

 

「後方ミサイル、迎撃急げ」

 

 ブライトが指示を下す一方で、忙しく舵を切り回避行動を取るミライ。

 

「うっ」

 

 それでも船体に走る衝撃。

 命中弾がホワイトベースを襲う。

 

 

 

「来たな」

 

 突出して接近するビグロを見定めるアムロ。

 

「よーし、見てろ」

 

 シートのヘッドレスト側面からスコープを引き出して狙うが、

 

「うっ」

 

 想像以上の速さに攻撃のタイミングを外す。

 

「!! !! なんて素早いヤツッ」

 

 しかもビグロが狙っていたのはガンキャノンではなく……

 

 

 

「このビグロにドラケンで闘おうというのか! 侮辱を感じるがまあいい! 若気の至りとしよう!」

 

 トクワンが向かったのはミヤビのドラケン!

 こんな作業用重機に毛が生えたようなもの、正規のパイロットなど乗っているわけも無く、噂で聞く少年兵あたりが相手だろうとあざ笑う。

 

「本気を出すまでも無い! ガキは軽くひねっておとなしくさせればいい……」

 

 クローアームを構え一気に加速!

 

「このドシロートがァーッ!!」

 

 

 

(どうしてこっちに来るの!?)

 

 ミヤビは内心悲鳴を上げながら全力回避。

 

【挿絵表示】

 

 ドラケンE改可翔式の飛行ユニット、コア・フライトユニットだが、これは機首部分を取り外されたコア・ファイターの胴体部がドラケンE改の背面上部に可動軸を設けて接続されており、必要に応じて上下、扇状に可動する。

 大気圏内では主翼、垂直尾翼を展開、斜め下方に噴射し離陸した後、地面に対して水平近くになるまで可動し飛行を続けることができるものだが。

 

 これは同時にZガンダムのロングテール・バーニア・スタビライザーのように、可動するベクタードノズルとして働く高出力スラスターとAMBAC(active mass balance auto control。能動的質量移動による自動姿勢制御)作動肢として働くスタビライザーの機能を併せ持つため、運動性が格段に上昇する。

 それをフル活用した、ある意味変態的な機動でビグロの突撃をかわすミヤビ。

 

 

 

「チィッ! 勘のイイ奴!」

 

 とりあえず蹴散らし、ガンキャノンおよびホワイトベースの動揺を誘う。

 そのために狙ったドラケンごときに攻撃をかわされたことに驚きの声を上げるトクワン。

 

「このビグロのスピードに対して回避できるだけでも大したものよ! あのパイロット!」

 

 だが……

 

 

 

「だ、駄目だ。ミヤビさん、上昇するんです」

 

 慌てるアムロ。

 

 

 

「よくやるぜ、下へ下へとまわり込んだら落ちるかもしれねえってのによォ!」

 

 とトクワンが呆れるように、ミヤビは回避を優先するあまり地球の重力に捕まりかねない方向に突き進んでしまっていた。

 

「しかしッ!」

 

 ドラケンを援護するアムロのガンキャノン。

 その右肩、スプレーミサイルランチャーから一斉射撃で放たれたミサイルをトクワンのビグロはかわしながら反転。

 

「フンッ! ミサイルの弾幕を張るっていうのはこういう風にやるのよ!!」

 

 機体左右側面に装備された4連装ミサイルランチャー二基から続けざまにミサイルを放つ。

 

 

 

(だから何でこっちを狙うの!?)

 

 コア・フライトユニットをロングテール・バーニア・スタビライザーのように活用するだけでなく。

 尾部四隅に装備された姿勢制御システム(Reaction Control System, RCS)、つまり姿勢制御用の小スラスターや、前部下面にある垂直上昇ノズルハッチからの噴射まで併用して回避運動を取ると同時に。

 コア・フライトユニット尾部下面にあるチャフ、フレアディスペンサーの射出口から、敵センサーを欺瞞するチャフとフレアーを派手に放出。

 辛うじてミサイルの弾幕を回避するミヤビ。

 

 なお、凡人たる彼女には地球の重力に捕らわれる危険性まで加味して機体制御を行う余裕などない。

 それが……

 

 

 

「あいつ…… 回避優先のとんでもねぇカミカゼ航法だァ。重力に捕らわれる恐怖ってもんを感じる感覚、欠けてんじゃねーのか、あのパイロット」

 

 ビグロに続いて戦場に到達しようとするリック・ドムK型のパイロットたちは、ドラケンの機動を見て戦慄する。

 

「なんてこった……!? トクワン大尉のビグロが突っ込みで負けてる……!?

 あんな高速で回避行動を取りながら地球の重力に捕まる限界点をかすめるなんて……

 こればっかりは機体の性能がどうのこうのって問題じゃねぇ。

 あのパイロット、アタマの中のネジが二、三個ふっとんでやがる。

 ひとつミスしたら絶対死ぬ……」

 

 そういう評価につながるのだった。




 戦闘の開始。
 ちらっと出てきましたが、ホワイトベースの新戦力はこんな具合で。
 次回はどうしてセイラの機体がガンキャノンL、ロングレンジタイプになったのか、テム・レイ博士サイドのお話をする予定です。

 みなさまのご意見、ご感想等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。
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