ガンダム世界でスコープドッグを作ってたらKMF紅蓮に魔改造されてしまった件   作:勇樹のぞみ

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第36話 恐怖!?機動ビグ・ザム Cパート

 在りし時。(There was a time.)

 未だジオン公国と地球連邦が争っていた混沌の世。

 第2の月、ルナツーから訪れた異形のミドルモビルスーツは、こう呼ばれ恐れられていた。

 

 アインハンダー

 

 

 

 武器を使い果たし右肘の武装ハードポイントにも何も付けない非武装、片腕状態。

 推進剤の残りも少なくなったミヤビのドラケンE改。

 

 そのカメラセンサーが捕らえた戦場。

 ミヤビのノーマルスーツのヘルメットに搭載されたバイザー型HMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)上には、撃破されたドラケンE改の残骸に交じって拡張現実(Augmented Reality、オーグメンテッド・リアリティ、AR)によりタグ付けされた『P』や『M』といった表示が並ぶ。

 これらは敵味方識別装置(identification friend or foe、略称:IFF)を応用したビーコンによる電子タグであり、種別、および積載量のデータが表示されるようになっているのだ。

 

 サポートAIであるサラからの定型文による指示、

 

『Pick it up for speed up.(スピードアップのためにそれを取得してください)』

 

 西暦の時代のコナミのシューティングゲーム『沙羅曼蛇』からサンプリングされた合成音声に従って残された左腕、肘から先が二つに割れて大きな荷物をつかめる機能を兼ね備えた二重下腕肢により『P』とタグ表示されている円筒パーツ、すなわちP缶、プロペラントタンクをキャッチ。

 機体上面右側に接続する。

 

『Speed up!(スピーダッ!)』

 

 推進剤が補給されたことで節約モードだった背面ロケットエンジンが通常モードに復帰する。

 

 一般に、通常の増槽は弾着による引火爆発を防ぐため、残量にかかわらず会敵時に投棄されることが多かった。

 そのため先に増槽の燃料から消費し、機内タンクの燃料を温存するようになっている。

 ドラケンE改用の増槽は、機内タンクに注入する形で接続されており、残量があるうちは常に機内タンクを満タンにするようになっている。

 これはやはり、機内タンクの方が厚い装甲に守られ安全であるため。

 

 逆に本体に問題が発生し燃料投棄が必要になった場合には、機内タンクから増槽側へ移し替えた上でパージする機能も搭載している。

 これは過去、西暦の時代でも『デルタ航空89便緊急着陸事故』において低高度で燃料投棄を行った結果、地上で56人が負傷するというトラブルがあったように、周囲への被害を慮って搭載されたもの(ドラケンE改は作業機ベースのため、人口密集地での使用も当然あるため取られた対策)

 これにより、撃墜されたドラケンE改が遺したP缶には推進剤が残されていることが多いのだ。

 

 続いて、

 

『Pick it up for missile. (ミサイル射撃のためにそれを取得してください)』

 

 という指示に従い『M』とタグ表示されている円筒パーツをキャッチ、機体上面左側に接続する。

 

『Missile(ミッソー)』

 

 兵装ドライバープログラムが短距離ミサイル接続を検知、アクティブに。

 続けて、

 

『Pick it up for Vulcan. (バルカン射撃のためにそれを取得してください)』

 

 60ミリバルカンポッド弐式を拾い上げ、右肘ハードポイントに接続。

 

『Pick it up for Beam saber. (ビームサーベル使用のためにそれを取得してください)』

 

 甲壱型腕ビームサーベルを拾い上げ、わきの下、アームシャフトアンダーガードにバックアップの武器として吊り下げる。

 そうやって撃破された味方機が遺した装備類で武装する、ドラケンE改。

 

【挿絵表示】

 

 シューティングゲームのパワーアップか!

 

 という話であるが、さらに言うなら、

 

(アインハンダーだよね、これ)

 

 ということ。

 

『アインハンダー』はスクウェアから発売されたシューティングゲーム。

 作品名の『アインハンダー』はドイツ語で「一本腕」を意味しており、その名前は機体の腹部に設けられた一本のマニピュレータに由来している。

 この腕は撃破した敵から兵装を奪い取って自分の武器とすることができるのだ。

 

 軍用のドラケンE改には右腕は無く、代わりに右肩の下に可動式ハードポイントがあってそこに直接各種武装をマウントするようになっている。

 この可動式ハードポイントを便宜上、『右肘のハードポイント』などと呼んでいるが、実際には上腕に相当する部分は無く、武装を外してしまえば片腕状態になってしまう。

 そして残った一本の腕、左腕の二重下腕肢により戦場にて装備を拾い武装、ゲーム的に言えばパワーアップが可能。

 撃破した敵の武装を奪うか、撃破された味方の武装を拾うかの違いがあっても(ザクを撃破してヒートホークを奪って使うという手もあるし、60ミリバルカンポッドの場合は甲壱型腕ビームサーベルに切り替えるためにパージしたものが漂っているという場合もあるが)、そのままアインハンダーの自機のような運用であり。

 

 ミヤビが実感したとおり、相対するジオン軍の兵士たちからは『一本腕野郎(アインハンダー)』と呼ばれることになるのだった。

 

 

 

 原型を留めないほど焼き熔かされた量産型ガンキャノン。

 表面を炙られ、それだけで行動不能に陥っている様子のドラケンE改。

 

「遅かったか。いったいどんな奴だ? モビルスーツをこんな風に破壊できるのは」

 

 アムロは通路上に転がるこれら残骸を尻目に前進する。

 

「……むこうか」

 

 通路の奥には、敵機体の一部か巨大な脚が。

 その足元に接近した量産型ガンキャノンだったが、閃光に飲み込まれ、消失する。

 

「な、なんだ?」

 

 戦慄するアムロをその場に残し、敵はソロモンの出撃口である縦穴を上昇して行く。

 

 

 

「残った艦は敵主力に特攻を掛けます」

 

 ビグザムを操る部下の報告に、ドズルはノーマルスーツを着込みながら、

 

「ようし」

 

 とうなずく。

 

「ビグザムの目標は?」

「後方指揮艦を狙う。雑魚には目もくれるな!」

 

 ビグザムもまた、ティアンム艦隊に向け発進する!

 

 

 

「カイ、セイラ機被弾。左舷デッキより格納します」

「急げよ」

 

 損傷したガンキャノンLがホワイトベースに帰還する。

 

「格納次第、ソロモンを発進した大型モビルアーマーを追う!」

 

 

 

「サラミスです」

 

 ビグザムの侵攻を防がんと前進してくるサラミス。

 しかしドズルは、

 

「構わん。前部ビーム撃て」

 

 と指示。

 ビグザムは、サラミスのメガ粒子砲を弾くと、反撃の高出力メガ粒子砲により一撃、一撃でサラミスを撃破する。

 

 

 

 ビグザムを追いかけソロモンを出たアムロは、スレッガーと合流するが、

 

『ああっ!?』

 

 声を上げるサラツー。

 そしてスレッガーの呻きが通信機越しに届く。

 

『い、今、確かにビームをはね返した』

 

 ということ。

 

「やっぱり。ただ大きいだけのモビルアーマーじゃなかった」

 

 しかし……

 

 

 

「ビグザムは主力艦隊に特攻する。その前に各自脱出命令の発光信号を上げろ」

「は。し、しかし」

「戦力をズタズタにされすぎた。遺憾ながらソロモンを放棄する」

 

 ドズルは既に覚悟を決めていた。

 

「操縦系を切り替え私のところへまわせ。お前らも各個に脱出しろ」

「し、しかし閣下」

「無駄死にはするな。ドムとザクがいる、それに引いてもらえば戦場から抜けられるぞ」

「は、はい」

 

 無念そうに顔を伏せる部下たちに、ドズルは声を張り上げる。

 

「ようし、発光信号上げい。ビグザムは私が預かる!」

 

 そして撃ち出される信号弾。

 

「フフフ、こうも簡単にソロモンが落ちるとはな」

 

 独白する、ドズル。

 

 

 

 ザクにワイヤーでけん引されながら戦場を脱しようとする兵たち。

 

「うっ、黒いガンキャノン、木馬のやつか」

 

 すれ違う黒いモビルスーツにそうつぶやく。

 

 

 

 スレッガーはため息をつき、

 

「……ああいうのはやりづらいんだよなあ」

 

 とぼやく。

 

 

 

 集中する敵艦からのメガ粒子砲を弾きながら前進してくるビグザム。

 

「巨大モビルスーツ、強力な磁界を発生させています!」

「ミサイルだ、ミサイルで迎撃だ」

 

 ティアンムはそう指示するが、ビグザムは止まらない!

 

 

 

「わははは、なめるなよ。このビグザムは長距離ビームなどどうということはない。私の道連れに一人でも多く地獄に引きずり込んでやるわ」

 

 と豪語するドズルだったが、

 

 

 

「でも実弾だったら効くわけだよな」

「撃て撃て!」

 

 集まって来た量産型ガンキャノンが、その両肩にマウントされた240ミリ低反動キャノン砲で集中砲火を行う。

 重装甲のビグザムを前に貫通こそさせられなかったが、240ミリ弾という馬鹿げた大きさを持つ砲は、それだけ内蔵できる炸薬量が多く、榴弾効果が期待できるもの。

 戦車戦でもそうだが、徹甲弾が通じないような相手でも爆発の衝撃で内部故障を狙うことのできる榴弾は微量でもダメージを蓄積できるのだ。

 史実のジム、ボールと違って量産型ガンキャノンが主力だったことがここで生きていた。

 ミヤビの前世の記憶の中にあるシミュレーションゲーム『ギレンの野望』でも、量産型ガンキャノンによる対ビグザム戦は有効な戦術だった。

 しかし、

 

 

 

「ぬうぅぅっ、調子に乗りおって」

 

 激怒するドズル。

 

「酷い目に遭わせてやる……!」

 

 胴体部の全周に装備されたメガ粒子砲の一斉射撃が量産型ガンキャノンたちを襲う!

 

 

 

『うわーっ!』

 

 吹き飛ばされる量産型ガンキャノン、そのパイロットたちの悲鳴。

 これがイデの力かーっ! とでもいうような光景だ。

 

「あ、圧倒的だ」

 

 愕然とするアムロ。

 

 

 

「はははははっ、見たか。ビグザムが量産の暁は連邦なぞあっという間に叩いてみせるわ!」

 

 そして放たれたメガ粒子砲が、ティアンムごとその座乗艦を撃破する!




 沙羅曼蛇でアインハンダーなパワーアップ。
 ドラケンE改を使ってソロモン戦を、と考えた時から温めてきたネタでした。


>(アインハンダーだよね、これ)

 演出が最高に格好良かったですね。
 1997年発売の初代PlayStationのゲームだとは思えないというか。
 ネット上にあるプレイ動画を「最新のゲームです」と言われて見せられても信じてしまえるほどのクオリティですし。


 そしてビグザム戦。
 量産型ガンキャノンは長射程で実弾が使える量産機として『ギレンの野望』でも使いどころがある機体でした。
 そういう意味では史実よりは有利ではあるのですが……

 次回はいよいよ決着です。
 ご期待ください。

 みなさまのご意見、ご感想等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。
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