ガンダム世界でスコープドッグを作ってたらKMF紅蓮に魔改造されてしまった件   作:勇樹のぞみ

145 / 212
第37話 テキサスでボッコボコ Bパート

 テキサスの暗礁地帯に向け、リュウのコア・ブースターは進む。

 

『リュウさん、チベが第二戦闘エリアにキャッチできるはずです。気を付けてください』

 

 教育型コンピュータにインストールされた彼の相棒、サポートAIであるサラシックスが注意を促す。

 

「ああ、了解だ。今回エレメントを組むのはいつものハヤトとサラナインじゃないから、お前もそのあたりフォローを頼むぞ」

 

 笑顔で彼女に答えるリュウ。

 エレメント、とは戦闘機編隊の最小単位2機を呼ぶ言葉。

 ミリタリーマニアだとロッテ戦術、ロッテと言った方が通りが良いか。

 

『はい、分かりました』

 

 サラシックスは即座に了承するが、ふと表情を曇らせ、

 

『……ハヤトさん、安静にしてくれているといいんですけど』

 

 そう心配する。

 

「なに、お前の妹が見ててくれるんだろう」

『はい』

「だったら大丈夫だ。いざとなったらベッドに括り付けてでも止めてくれるさ」

 

 そう言ってなだめるリュウ。

 ……ミヤビがこの会話を聞いていたなら、ヒートワイヤでベッドにぐるぐる巻きにされたハヤトが暴れながらサラナインと、

 

『もうやめてください! ハヤトさん!』

「HA☆NA☆SE!!」

 

 などと言い合っている姿を思い浮かべて、常に変わらぬ表情の下、密かに笑いで腹筋崩壊させていただろう。

「とっくにミヤビの腹筋のライフは0よ!」というやつである。

 

 

 

『ポイント3AAに木馬キャッチ。各員戦闘配置に就け。リック・ドムは敵機に対して先制攻撃を掛ける』

 

 艦内放送が状況を告げるチベのモビルスーツデッキ。

 マ・クベはギャンへと乗り込む。

 

「ガンキャノンが現れたらテキサスへ誘いこめ。このギャンにはその方がやりやすい」

「は、心得ております」

「よーし、ゆけ」

 

 

 

「来たな」

『そうだね、アムロ』

 

 ガンキャノンのセンサーが敵艦隊の動きを捉えた。

 

「リュウさん、チベです。そろそろ見えますよ」

『了解だ』

 

 通信機越しに答えるリュウと、

 

『敵データ、受信しました。ありがとうございます』

 

 レーザー通信によるデータリンクでサラツーから敵の動きのデータを受取ったサラシックスが礼を言う。

 そして、

 

『敵艦発砲、ミサイルです!』

 

 敵が長距離ミサイルを撃ってきた。

 ミノフスキー粒子の影響でレーダーが利かない上、障害物も多い宙域だ。

 牽制のためのものだろうが。

 

 

 

「マーカー、どうなんだ? 敵の動きは」

「ますます岩が多くて」

 

 ホワイトベース側でもアムロたちから報告を受けていたが、詳細は分からない。

 

「正面、最大望遠だ」

 

 モニターに映し出された前方宙域。

 ミサイルの爆発光が何とか捉えられる。

 

「アムロたちを狙っているのか?」

 

 

 

「ウラガン、木馬の足を止めるのは任せたぞ。相手は一隻だが油断はするなよ」

『了解であります。出撃なさってください』

 

 マ・クベは副官のウラガンに命じると、リック・ドム隊に続きギャンで出撃する。

 なおギャンにはサポートAIがインストールされており、

 

『大佐!! ボクを男の娘に改造してどうするつもり!?』

 

 そう叫ぶと同時に驚愕の表情で、

 

『うそっ、一人称まで『ボク』に変更されちゃってるーっ!?』

 

 と、画面隅のアバターがへなへなと座り込む。

 つつましやかな、しかし確かにあった胸がぺったんこになり、股間には可愛らしいふくらみが……

 

「……戦場に向かうのに、女性連れというわけにもいくまい」

 

 いつもの調子であっさりとマ・クベが主張するとおり。

 黒い三連星が使っていたサラ=アルコルを参考にヤシマ重工からライセンス購入したサラ。

 それに男性体のアバターと会話パターンを与えたものである。

 

 なおミヤビの部下である女性担当者が、

 

「サラきゅん可愛いよ、サラきゅん。ハァハァ……」

 

 などと言いながらカスタマイズ作業を行っていたが……

 部下は選んだ方がいいぞ、マジで、という話である。

 

「頼んだぞ、サラ=クン」

『ええっ、個体識別名それで決まりなの!?』

 

 口調まで男の娘風に変えられてしまったサラ、いや個体識別名『サラ=クン』だった。

 

 

 

 リック・ドムの編隊に、

 

「作戦どおりやれ。テキサス近くで私は仕掛けを作る。ガンキャノンを倒せば二階級特進ものだということを忘れるな」

 

 そう告げて離脱するマ・クベ。

 ギャンはテキサスコロニーの方に向かう。

 

 

 

『来るわ、アムロ』

 

 サラツーがモニターに望遠映像を表示。

 

『モビルスーツ四、五機かしら?』

「ミノフスキー粒子と岩のおかげで判別つかないな」

 

 アムロの返答を受け、サラツーは光学センサーのデータをスペクトル分析。

 ジオン軍モビルスーツの噴射光をそれによりピックアップ。

 

『見えたわ』

 

 4つの光点が一つになり、そして2つに。

 ミヤビが見ていたら映画『トップガン』で敵機が編隊の組み方でレーダーに対し6機を2機に見せかけていたことを思い出しただろうか。

 つまり敵はアムロたちを発見して欺瞞のために味方機の影に隠れて2機編隊に見せかけている。

 しかしリック・ドムのセンサー有効半径5,400メートルに対し、ガンキャノンは6,000メートル。

 ミヤビの前世の記憶の中にあるガンダムのセンサー有効半径5,700メートル以上の性能で、余裕をもって敵の作戦を見破ることができていた。

 

『アムロ、狙える?』

「やってみるよ」

 

 アムロは左肩の240ミリ低反動キャノン砲で狙撃。

 命中はしなかったが、敵の編隊はさらに回避運動を取りながら一つの縦列になり、最大戦速で突っ込んでくる。

 

「リュウさん、敵が来ます!」

『わかったぁ!』

 

 リュウのコア・ブースターにも注意を促し、戦闘に入る。

 続けざまにすれ違うリック・ドム。

 敵からの狙撃は外れたが、アムロのガンキャノンの放ったビームは最後のドムの右腕をビーム・バズーカごと吹き飛ばす!

 

『さすがアムロ!』

 

 サラツーが感嘆するように、機動兵器同士の戦闘ではすれ違いざまの攻撃は相対速度差がありすぎてほぼ当てられない。

 交錯した後に反転し、敵の背後を取ることで相対速度差を合わせ狙い撃つというのがセオリーだが、アムロほどの腕になると違うということだった。

 しかし、

 

『油断するな、まだ生きてるぞ』

 

 と離れた位置からフォローするコア・ブースターのリュウからの通信のとおり、被弾したリック・ドムは残った左腕で背のヒート・サーベルを抜いていた。

 このまま戦闘を継続するつもりらしい。

 そしてまた、他の無事な機体も反転してガンキャノンに向かって来る!

 

「来るな」

 

 モニター上を左方向に流れていく機体は囮だ。

 ロケットエンジンをカットした慣性飛行で宇宙の闇に紛れて3機まとまって来るリック・ドムが本命か、ビーム・バズーカを発砲。

 回避するガンキャノンを尻目に三方に散って、狙いを定めさせない。

 さらにはガンキャノンが回避した先に、先ほどの隻腕になったリック・ドムが斬りかかってくる。

 

「わぁーっ!」

 

 アムロは切っ先を躱すと、その腹、コクピット部にキックを叩き込む。

 敵の動きを封じ、反動で距離を開けたところに左肩の240ミリ低反動キャノン砲を使い止め。

 リック・ドムが爆発するが、アムロはすでに、

 

「どこだ?」

 

 と次の敵を求めている。

 

 

 

「スカート付き!」

 

 アムロのガンキャノンを狙うリック・ドムだったが、それをさらに大外からリュウのコア・ブースターが狙う。

 モビルスーツは縦長。

 コア・ブースターに装備された二基のメガ粒子砲を有効に使うには機体を90度傾けて撃つ方が良い。

 ミヤビの前世でもGファイターが使っていた手だ。

 そしてリュウが放ったビームはリック・ドムの胴体、離れた位置に二条とも吸い込まれる。

 

『撃破です、リュウさん!』

 

 サラシックスが告げるとおり、爆発四散するリック・ドム。

 

 

 

「ガンキャノン、コア・ブースター、テキサスへ流されているようです」

 

 マーカーの報告を受け、ブライトは決断。

 

「よし、ガンキャノンLおよびドラケン各機、発進スタンバイ。各員、第一戦闘配置」

 

 

 

「サンマロ軍曹、また戦いが始まってんですか?」

 

 病室を訪れたサンマロにたずねるハヤト。

 彼についているサラナインは状況を知っていても教えてはくれないのだ。

 そしてサラナインが操る小さな人形の『分かってますよね?』という視線(右目は黒いリボンの眼帯に隠されてはいるが)にサンマロはうなずいて、

 

「ハヤトは体を治すことだけを考えるんだ。それも任務だぞ」

 

 そう答える。

 

「それはわかりますが、僕の傷は思ったほどひどくないんですよ」

 

 それを判断するのはハヤトではなくサンマロである。

 しかし彼は患者であるハヤトの心情を慮ってストレートに言うことなく、

 

「あと一日二日したら起きられるんだから今はこらえるんだ」

 

 となだめる。

 

「格好良くいかんもんですね」

 

 とため息交じりに言うハヤトにサンマロは、

 

「病人の格好っていうのだってあるのさ。彼女に手間をかけさせるなよ」

 

 そう言ってサラナインに視線を走らせた後、病室を出る。

 

「カノジョって……」

 

 サンマロの言葉を違う意味に捉え、顔を赤らめるハヤト。

 そして、

 

『そんな、彼女さんだなんて……』

 

 と照れた様子で頬を押さえ『いやいやっ』と首を振ったかと思うと、『ぽわわわわっ』みたいな擬音がぴったりくる夢見るような視線を宙に向けてのぼせ上がるサラナインだった。

 

 

 

「ミラーの調節も利かないコロニーはひどいものだな、カラカラだ」

 

 牧畜とレジャーの為のこのテキサスも、戦争の余波でミラーが動かなくなり八ヶ月あまり夕暮れのままである。

 そのため砂漠化が進み、人も住まない。

 シャアはそのテキサスコロニー内を、観光用の幌馬車を使って移動していた。

 彼の隣にはララァ。

 そして、

 

「フラナガン、どうだ?」

「順調です。ララァはテストターゲットを70パーセントの確率で当てました」

 

 と幌馬車内にはララァの記録を取る研究者。

 シャアからはフラナガンと呼ばれているが、ミヤビの記憶の中にある『機動戦士ガンダム』劇場版ではフラナガン博士は別にデザインされ、彼はフラナガン機関の研究員、もしくは助手という説もあった。

 まぁ、同名の人物かも知れないし、逆に秘匿呼称で外部から呼ばれる場合は誰でもフラナガンと呼ばれるとか、そういう話もあるかも知れないが。

 ともあれシャアは、

 

「うむ、ザンジバルに戻るか」

 

 ということにする。

 しかし不意にララァが、

 

「なにかしら? 来るわ」

 

 そうつぶやき意識を集中させるそぶりを見せる。

 

「来る? 何がだ?」

「なにかしら、なにかしら、これ? 何かが来るわ」

「フラナガン、なんだ?」

「テストターゲットではありません。今までこんな脳波の共振を示したことはありません」

「あたしと同じ人がいるのかしら?」

 

 そうつぶやくララァにシャアは、

 

「ララァ、今なんと言った?」

 

 と確かめる。

 表面上はいつもどおり、しかし内心では焦っているシャアの様子にララァは、

 

「フフフ、大佐があたしの心を触った感じなんです」

 

 と笑う。

 

「私が? ララァ、冗談はやめにしてくれないか」

「はい」

 

 そう答えつつも考え込むララァ。

 

(なんだったんだろう? 今の、あの痺れるような感覚は?)

 

 なお、シャアが焦っていたのは、

 

(ララァと同じ存在? まさかあの女が宇宙(そら)に上がってきているのではあるまいな!?)

 

 と、単にイセリナの恐怖に震えていただけだったりする。

 地上ではいつの間にか背後に居たり、離れた場所でも幻聴のように語りかけて来た存在である。

 彼が恐れるのも無理はないのかもしれない。




 ギャンにインストールされたサラですが……
 黒い三連星のサラ=アルコルといい、何でジオン側の彼女たちって、こんなにキャラが濃くなるんですかね。

 次回はいよいよギャンとの戦闘開始です。
 ご期待ください。

 みなさまのご意見、ご感想等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。