ガンダム世界でスコープドッグを作ってたらKMF紅蓮に魔改造されてしまった件   作:勇樹のぞみ

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第37話 テキサスでボッコボコ Cパート

「手馴れたパイロットたちだ。しかしパターンは読んだぞ!」

 

 また1機、リック・ドムを撃墜するアムロ。

 

 

 

「ガンキャノンとコア・ブースターはテキサスエリアに入りました」

 

 マーカーからの報告。

 ブライトはアムロたちの戦闘宙域が流されて行っていることに思案する。

 

「右舷の艦隊の動きはどうなんだ?」

「変化ありません。ゆっくり移動しているようです」

 

 これもまた妙である。

 まぁ、マ・クベのターゲットがアムロのガンキャノンに絞られているということに気付かなければ、そう感じるのも無理はない。

 

 

 

「チイッ!!」

 

 また一機、リック・ドムを撃墜するリュウ。

 しかし、

 

「何なんだ、こいつら」

『そうですね、アムロさんのガンキャノンを集中して狙っているのでこちらへの注意がおろそかになった結果、撃墜できているわけですけど』

 

 と、サラシックス共々戸惑っていた。

 アムロの黒いガンキャノンを倒せば二階級特進、などという話を知らなければ確かに不審に思うだろう。

 

 

 

「最後の一機」

 

 アムロはビーム・バズーカを連射するリック・ドムに狙いを定めるが、

 

「なに!?」

 

 不意に横殴りの小型ミサイルの乱射を受け体勢を崩す。

 

『損害軽微、戦闘継続に問題は無し。関節とか弱点部位にもらわない限り大丈夫だよ』

 

 サラツーの報告。

 アムロは直前に反応しており、とっさに回避運動を取ると同時にエルボージョイントアーマーを使って防御を行っていた。

 これは肘関節を保護するための装甲で、丸みのある形状は砲弾を受け流すために考案されたもの。

 腹部に腕を回せばシールドの代わりにコクピット部を守ることもできる。

 ミヤビの記憶の中でも後にジム・コマンド系の機体にも採用されていたやつだ。

 

 そこに隙ができたと見たかリック・ドムが追撃を仕掛けて来るが、アムロは当たり前のように回避。

 リック・ドムはそのまま飛び抜け、リュウのコア・ブースターに向かう。

 まるで先ほど攻撃してきた敵とガンキャノンを1対1で戦わせようとするかのように。

 つまり、

 

「こいつの所へ誘い込むための作戦だったのか」

 

 無論、相手はマ・クベのギャン。

 先ほどの攻撃は円形のシールド外縁部に備えられた小型のニードル・ミサイルである。

 

 シールドに誘爆の危険のある実弾兵器を付けてどうするという話もあったが、量産機中の量産機、ジェガンですらシールドにミサイルを仕込んでいたように、ギャンに限った話でも、珍しいものでもない。

 

 対モビルスーツ用のミサイルやグレネード等の弾頭は成形炸薬弾。

 その装甲貫通能力を持つメタルジェットは弾頭先端からわずか数十センチで消失してしまうものだから。

 エネルギーの70パーセントは周囲に散ってしまうため爆発の榴弾効果はあるが、元々シールドというものは機体から間隔を空けた追加のスペースドアーマー。

 すべてが爆発したところでモビルスーツ本体にそう深刻な損害は出ない。

 それにモビルスーツのシールドは消耗品。

 誘爆でシールドが失われようとも、少なくともそのきっかけとなった攻撃を1回は防御できているということでもあるし。

 

 またギャンのシールドは隠し武器的なウェポンラックとしての性格が強いもの。

 ミヤビの前世の記憶の中にあるネットワーク対戦ゲーム『機動戦士ガンダム バトルオペレーション2』では「盾のような特殊形状の専用装備」扱いで、ギャンはシールドを持っていない、とされていたぐらいだし。

 それは極端な例だが実際、

 

 敵機を発見 → 大抵は距離が空いているため、まずはシールド内装火器で射撃戦を行う → 弾薬を使い切ったら近接戦闘へ移行 → 誘爆の危険性が無くなったシールド型ウェポンラックは気兼ねなく防御に使える。

 

 というようなコンセプトが見え隠れするものだった。

 実際にそうなるかはまた別の問題だし、パイロットが違う使い方を見出したりするかも知れなかったが。

 

 

 

「さて、来てもらおうか、木馬の黒いガンキャノン」

 

 スペースデブリの岩塊の上、ビームサーベルとシールドを構えるマ・クベのギャン。

 

 

 

「こいつ、小賢しいと思う」

 

 アムロはモニターに映るギャンを睨み据える。

 

「サラツー。スプレーミサイルランチャー、ファランクス・モード」

『了解、スプレーミサイルランチャー、ファランクス・モード』

 

 右肩に装備されたスプレーミサイルランチャーの一斉射撃で面の攻撃をすると同時に、それを追いかけるように突っ込むアムロの黒いガンキャノン。

 格闘ゲーム『ストリートファイターシリーズ』におけるガイルのソニック追いかけ、飛び道具を追うようにして距離を詰め攻撃するのと同じ戦法だ。

 

 しかしギャンは岩塊を蹴ることで初期加速を得ながら後方に飛びずさり避ける。

 

「速い!」

 

 ギャンは競作機のゲルググと比べ空間戦闘能力は低いが、逆に運動性能は高く評価されていた。

 今の動きはデブリの岩塊という足場を使って、それを生かした回避方法だった。

 それでもアムロはギャンを追うが、しかしガンキャノンがギャンの足場となっていた岩塊とすれ違おうとする瞬間に、それが爆発した!

 

 

 

「ははは、や、やった」

 

 珍しく歓声を上げるマ・クベ。

 

「フフ、戦いをまともにやろうとするからこういう目に遭うのだよ、ガンキャノン」

 

 仕掛けた爆薬により爆発した岩塊の破片から、シールドで機体を守りながらもほくそ笑む。

 

『本当に突っ込んで来ましたね。距離を置いて射撃戦をされたら、じり貧になると思ってたのに』

 

 そう感心するのはサポートAIのサラ=クン。

 マ・クベはというと、

 

「腕に自信があるパイロットだからこそ、足を止め距離を置いての射撃戦、火力によるごり押しなどしない。火力を生かしつつも、常に自分が主導権を取り続けるよう突入し短期による決着を望むのだ」

 

 そう語る。

 実際『機動戦士ガンダム』第22話「マ・クベ包囲網を破れ!」でもそうだったように、マ・クベの真骨頂は心理戦による予測。

 だからこそ先ほどの仕掛けも、そして史実でのこのテキサスの戦いでもアムロを罠に嵌め続けることができたのだ。

 しかし、

 

『上だよっ!』

「おおっ!!」

 

 サラ=クンからの警告。

 そして上からの狙撃!

 アムロのニュータイプゆえの直感だろう、ガンキャノンはとっさに防御姿勢を取り爆発に耐えていた。

 そして敢えて逆らわず吹き飛ばされることで衝撃を逃がし、距離を取っていたのだ。

 

『大佐!』

「うむ」

 

 マ・クベは牽制のため構えたシールドからニードル・ミサイルを撃ち弾幕を張りながら後退。

 この武器はミヤビの前世の記憶の中にあるネットワーク対戦ゲーム『機動戦士ガンダム オンライン』でもそうだったように、武装の持ち替えが発生しなく、シールド防御しながら射撃ができる点で優秀だった。

 また『機動戦士ガンダム』劇中でガンダムシールドをズタズタにしていたように威力もそれなりに高い。

 少なくともザクマシンガン以上の火力はあるのだ。

 装弾数だって56基と60基の2説があるが、いずれにせよ十分なものだ。

 

 

 

「ん? テキサスに逃げるのか?」

 

 マ・クベを追い、テキサスのドッキング・ベイに向かうアムロ。

 十分な警戒をしながらゲート部に着地。

 無人のそこに、歩を進める。

 宇宙用モビルスーツの足裏にはマグネットが装備され、それによりコロニーの無重力部分でも歩行が可能とされているのだ。

(逆にザクIIJ型等、地上用のモビルスーツでは軽量化のためこの手の宇宙用装備は外されているという)

 

 回転式スイッチをマニピュレータで操作。

 エアロックのゲートを開けていく。

 

 

 

 エレベーターでテキサスコロニーの居住区画から中央メインシャフト、マ・クベとアムロが侵入したのとは逆側のベイブロック部分に移動するシャアとララァ。

 

「何を見ているのだ?」

「大佐を。いけませんか?」

「構わんよ」

 

 そしてララァは問う。

 

「あたしにエルメスを操縦できるのでしょうか?」

「恐いのか?」

「はい」

 

 シャアは無理も無いとうなずく。

 

「それは慣れるしかないな。私がいつもついていてあげる。そうしたらララァはすぐに私以上のパイロットになれる」

「私が? 赤い彗星以上に?」

 

 シャアはララァが示した人並外れた直感と、戦場を俯瞰視し敵味方を識別し続けられる空間認識能力を考え、そう結論付ける。

 

「当たり前だ。そうでなければ、みなしごだったララァをフラナガン機関に預けたりはしない」

 

 そうして声を和らげ、

 

「サイド6ではさびしい思いをさせてすまなかったな」

 

 そう謝る。

 それを受け、ララァは微笑む。

 シャアが本心から自分を気遣ってくれていること、それを言葉で表してくれること、どちらにも感謝して。

 

 そしてエレベーターは止まり、マリガン中尉が彼らを出迎える。

 

「大佐、マ・クベ大佐がモビルスーツでテキサスに潜入したそうです」

「マ・クベがか? 物好きな。マ・クベにそんなところがあったとはな」

 

 と腑に落ちない様子でつぶやくシャアにマリガンは、

 

「ご自分用のモビルスーツを開発させて打倒木馬と常日頃おっしゃっておられたようですから、自信があるのでしょう」

 

 そう説明する。

 彼はキシリアのひも付き。

 シャアと違ってキシリア陣営の将兵に対する情報源を持っていて、それを使って自分が役に立っているとアピールしているわけだ。

 そんな彼の内情を察しながらもシャアは自然な口調で答える。

 

「私へのあてつけだよ。そうでなければ彼がそんな軽率なことをする訳がない。しかし、黙って見ている訳にもいかんな」

 

 思案する上司に、マリガンは、

 

「FZ型ザクの受け入れは終わっています。大佐殿の技師からは調整がまだ完全ではないと言われていますが」

 

 と回答。

 

「アルレットがか?」

 

 シャアは少し考えてからこう答える。

 

「なら、テストを兼ねてマ・クベの様子を見るか」

 

 無論、アルレットからは、

 

「とんでもない! テストはテストパイロットがやるものです! 何のためにダントンが居ると思ってるんですか!!」

「俺ならいいのか?」

「ダントンは黙ってて! とにかくダメです! 絶対にノゥ!!! ノーとしか言えません!!」

 

 と猛反対されるのだが、シャア・アズナブルはそれを聞いて自重するような男ではない……

 

 

 

「まだだ」

 

 リュウは残りのリック・ドムと一対一で撃ち合う。

 リック・ドムは近接戦闘に持ち込もうとビーム・バズーカを左腕に持ち替え、右腕で背中に装備されたヒート・サーベルを抜こうとするが、

 

『今です!』

 

 サラシックスの指示に従い、メガ粒子砲を発射。

 

「やった」

 

 ミヤビの前世、ガンダムのオンライン対戦のゲームでもそうであったように、武器の持ち替え動作には一瞬の隙ができる。

 そこを狙った一撃だった。

 そして遠方で発砲の光。

 サラシックスが告げる。

 

『敵艦ですね』

 

 

 

 ホワイトベースは敵艦隊からの発砲を岩塊の影に隠れることで回避。

 

「フラウ・ボゥ、待機中のガンキャノンL、ドラケンを発進させろ」

「はい」

 

 ブライトは残りのモビルスーツを全機発艦させるよう指示。

 

「マーカー、敵艦は?」

「チベ1、ムサイ2」

 

 確認された敵艦は三隻だった。

 そうしてカイとセイラのガンキャノンL、そしてスレッガーのドラケンE改可翔式が発進。

 続けて発艦準備に入るミヤビからは、

 

「私はアムロの方のフォローに回ってもいいかしら? 敵を追いかけてテキサスコロニーに入ったせいで、彼は今単独で連絡も取れてないでしょう?」

 

 そう確認が入る。

 ブライトはまたミヤビにフォローしてもらったことに己の不甲斐なさを感じつつ、

 

「そうですね、リュウを補給のため戻しますから代わりにお願いします」

 

 と依頼。

 

『任せて、ミヤビ・ヤシマ、ドラケンE改出ます!』

 

 そうやってミヤビはテキサスコロニーに向け発進する。

 

 

 

 アムロはエアロックを加圧して、今度はコロニー内側の隔壁を開ける。

 上下に分かれてスライドして行く隔壁。

 敵の攻撃に備え、その陰に身を隠すが、重力に囚われた人間なら足を着けて下側に隠れるところを、アムロは無重力であることを利用し、上側扉の影にガンキャノンを隠す。

 この辺りはスペースノイドならではの発想だ。

 しかし…… 隔壁の裏にはそれを読んだように爆弾が仕掛けられていた。

 それも隔壁が上がっていき隠れる場所が減って行く、つまりガンキャノンが身を隠すなら位置が限定されるその時に計ったように爆発するよう、ローラレバー形の位置検出スイッチ、リミットスイッチのように隔壁の開閉状態、位置を検出して爆発するもの。

 モビルスーツサイズのブービートラップが!

 

「うわぁっ!!」

 

 爆発に吹き飛ばされるガンキャノン!

 

 

 

「……なにかしら?」

 

 つぶやくララァ。

 その耳がシャアの声を捉える。

 

「わかっている。FZのデータは頭に入れてある」

 

 振り向けば、シャアがモビルスーツへと搭乗しようとしていた。

 赤く塗られたMS-06FZ、ザクII最終生産型である。

 マリガンは心配そうに、

 

「ノーマルスーツを着てはいただけませんか?」

 

 と言うが、シャアは、

 

「私はモビルスーツに乗っても必ず帰ってくる主義だ。死にたくない一心でな。だから戦闘服だのノーマルスーツなどは着ないのだよ」

 

 そう答える。

 まぁ、シャアもアムロと同様にノーマルスーツを操縦の邪魔をする煩わしいものと感じているのかもしれないが。

 

 ララァはしかし、そんなシャアを信頼しきった目で見るが、

 

「………?」

 

 先ほどの『何か』を再び感じ、首を傾げる。

 

 

 

「ん?」

 

 アムロはコロニー内に侵入、中央部の低重力地帯を飛行するが、雲の向こうからわずかな発光、噴射炎を捉えるとニードル・ミサイルの攻撃を素早く回避。

 

「サラツー。スプレーミサイルランチャー、ファランクス・モード」

『了解、スプレーミサイルランチャー、ファランクス・モード』

 

 すかさず右肩に装備されたスプレーミサイルランチャーの一斉射撃で反撃するが、

 

「……違うな」

 

 雲の先での爆発。

 それが敵機に当たってはいないことを感じ取る。

 そして敵機を追う先に現れる、多数の小さな球状の何か。

 アムロは回避しようとするが、それは辺り一帯に散布されており接触してしまう。

 

「うわーっ」

 

 触れたとたん、爆発する。

 

『これは機雷!?』

 

 サラツーが驚いた声を上げたように浮遊機雷……

 ギャンのシールドから撒かれたハイド・ボンブであった。

 

「……こ、こんな小型爆弾で」

 

 連鎖的に爆発する機雷に、たまらず回避。

 コロニー地表部へと降下する。

 ギャンの高い運動性能を生かすステージ、重力環境下へと……

 

 

 

 シャアのFZ型ザク、その足元にはララァの乗ったバギーがあった。

 

「大佐」

「ララァ、安全な場所からよく見ておけ。モビルスーツ同士の戦いというものを」

「はい」

 

 テキサスコロニー内へ発進するFZ型ザク。

 その腕に持たれているのはモビルスーツの全高をはるかに超えるほどの長大な砲身を持つ135ミリ対艦ライフル。

 ミヤビの前世の記憶では『機動戦士ガンダム MS IGLOO』登場のヅダ等が使っていた高速の砲弾を射出する兵器で、艦艇の装甲を撃ち抜く威力を持つと言われていた。

 無論、こんなものをモビルスーツが食らったらただでは済まない。

 ルナ・チタニウム製の分厚い装甲を持つガンキャノンとて、耐えることはできないだろう。

 

「さて、マ・クベのお手並みを見せてもらおうか」

 

 そうつぶやき、笑うシャア。




 ビーム兵器が使えないなら、強力な実弾兵器を使えばいいじゃない、ということでヅダが使っていた135ミリ対艦ライフルなんぞを持ち出すシャア。
 まぁ、彼はザクマシンガンが効かないと見るやすぐにヒートホークやザクバズーカを持ち出す人でしたからこんな選択もありなのでしょう。
 オリジンでも別型のMS用対艦ライフル ASR-78がザクに用意されていましたしね。

 次回は史実より強化されたギャンの真の実力が明らかに。
 そのせいで変化してしまったジオンのモビルスーツ開発事情も一緒にお届けする予定です。

 みなさまのご意見、ご感想等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。
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