ガンダム世界でスコープドッグを作ってたらKMF紅蓮に魔改造されてしまった件   作:勇樹のぞみ

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第43話 脱出 Cパート

 ア・バオア・クーのスペースゲート最深部。

 将兵の懸命の努力の結果、呼び戻すことに成功した戦艦グワジンが出港の準備を進めるが、

 

「外には敵がうようよいるんだ」

「ドム中隊をまわせ。いくらグワジンでも一隻じゃあ」

「冗談じゃないよ、死にに行く訳じゃないんだ。護衛機をまわせ。ザクでいいザクで」

 

 とブリッジ要員、そしてア・バオア・クー全体が混乱しつつあった。

 

「手間取るようか?」

「申し訳ありません」

 

 キシリアはそう謝る士官に対し、

 

「急がせい、他の兵に気取られるな」

 

 と告げる。

 この時点ですでに敗北は必至。

 逃走への準備と受け止められることは確実な状況となっていた。

 

 

 

『キシリア閣下が脱出されるので護衛にと思いましたが、残念です。た、大佐なら』

 

 シャアは被弾したリック・ドム……

 キシリアの護衛に回るはずだった兵から接触を受け、ア・バオア・クー内で何があったか、今どのような状況にあるのかを知る。

 

「安心しろ。貴様に代わって閣下は必ずお守りしてみせる」

 

 ほほ笑むシャア。

 死に際のこの兵はペラペラとよくしゃべってくれた。

 負傷により判断力が低下しているのだろう、ギレンの死亡という本来なら伏せられるべきことまで。

 そうして安心したように力尽きた兵のリック・ドムを残し、シャアのパーフェクト・ブラレロは飛び立つ。

 

 

 

 アムロの黒いガンキャノンを追って、ア・バオア・クーのスペースゲートに侵入するシャア。

 大型のグワジン、そして多数の艦艇を飲み込むことのできる大規模な港湾施設である。

 彼らの腕ならドッグファイトも可能なほどのフィールドとなる。

 

「キシリア閣下は?」

『出港されるところであります』

 

 念のため港湾施設の管制官にも確認。

 

 

 

「上空、木馬のガンキャノンが接近中。急速発進!」

 

 グワジンのブリッジでも事態を把握。

 目の前で激しく戦いあうガンキャノンとブラレロに悲鳴が上がる。

 

「座れん者は床に伏せさせろ」

「10、9」

 

 そして、

 

 

 

「パワーダウンだと?」

 

 ブラレロの口から放たれた拡散メガ粒子砲の光が弱々しく消えた。

 強化された分、機体のエネルギーコンデンサを消耗させてしまったのだ。

 アムロはその隙をつく!

 

「よけられるものならよけてみろ! シャア、お前は助かってもザビ家の頭領が乗るその船はコナゴナだーーーーっ!!」

 

 こちらもエネルギー切れ寸前、ビームライフルの最後の一撃(ラストシューティング)をグワジンのブリッジのキシリアと、シャアのブラレロの位置、一直線を読んだ刹那の攻撃に賭けるアムロ!

 

「っ!! 考えたな!!!」

 

 シャアは、

 

「――とでも言うと思ったか?」

 

 あっさりと、しかしギリギリのところでその攻撃を躱す。

 あらかじめ壁面に撃ち込んでおいた有線コントロールのカマ。

 そのリールを巻き取ることで成立する、慣性を無視したかのような急軌道で。

 

(ギレン・ザビよ。私からの手向けだ。兄妹仲良く暮らすがいい)

 

 そしてキシリアごとブリッジを貫かれたグワジンはコントロールを失い着底、爆発四散!

 

 

 

「うわああぁっ!!」

 

 アムロのガンキャノンにもその爆発が迫る。

 港湾施設の燃料、弾薬にも引火したのだろう、想定を超えた規模。

 閉所ゆえ、逃げ場がないその絶望的状況に、

 

『アムロっ!!』

「心配するなサラツー、どこへも行かないよ」

 

 場違いに穏やかな言葉。

 その刹那、サラツーは自分と運命を共にする、というアムロの決意を垣間見る。

 

『了解』

 

 そしてサラツーは、

 

「サラツー、何をしている!?」

 

 勝手にガンキャノンのAパーツを強制排除。

 

『信じて!』

 

 そしてコア・ファイターで脱出を掛けるが、それでも爆発からは逃れきれない。

 

 

 

SARAH SARAH SARAH

 

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  CONNECTION UNVERIFIED

  REROUTING LINK OS V18 723X

 

SARAH SARAH SARAH

 

 

 

『ヘルメットを……』

 

 それが、ガンキャノンにインストールされたサラツーの最後の言葉だった。

 コア・ファイターの脱出装置が作動し、アムロは座席ごとコクピットから射出される。

 そうして計算され尽くしたタイミングと軌道でアムロを物陰へ、爆発から逃す。

 

「サラツーっ!!」

 

 

 

『第1艦隊司令代行のワッケインである』

 

 大破漂流しているマゼラン級戦艦レナウンからの通信が宙域に響く。

 

『この通信が届いているかわからない。しかし誰かに届いていると信じて送信する』

 

 ブリッジ要員も全滅し、あとは負傷しキャプテンシートに身を任せるワッケイン少将のみが生存していた。

 

「もうすぐア・バオア・クーは陥落する。その時はもうすぐそこまで。すぐそこまできている」

 

 霞む視界。

 ノーマルスーツのバイザー越しに、炎に包まれつつあるア・バオア・クーの姿が映る。

 

「本艦よりこの通信を聞く将兵、いやもう敵味方関係ない。この戦場に在る者すべてに最後の命令を送る」

 

 そうして、彼は言う。

 

「あらゆる手段を用いて、死に抵抗せよ。生きること、それが諸君らに、いや人に課せられた義務である」

 

 目前の戦場に、ひときわ目を惹く白亜の船。

 

「さ、さよならだ、ホワイトベース。わ、私も諸君らと共に戦えて楽しかったよ」

 

 近づいてくる機影。

 通信を拾ってこの艦隊旗艦レナウンが生き残っていると気づいたのか。

 

「お前が私の死か」

 

 もう目を開けているのも辛く、瞳を閉じつぶやくワッケインだったが、

 

「そんなわけないでしょう」

 

 呆れたような声に、今一度目を開く。

 破損した艦橋に取り付いているのはドラケンE改。

 

【挿絵表示】

 

 そしてハッチを開け、出てきたのは……

 

「ワルキューレ?」

「『ヤシマの人形姫』とか大層な呼び方もされてますが、勇者の魂を運ぶ乙女に間違われるのは初めてですね。でも違います。まだ逝かないでください」

 

 縁起でもないとミヤビ。

 サラが単独制御するドラケンE改の左腕マニピュレータからジオンの医療中隊も使っていた最新鋭の真空用医療パック……

 簡単に言えば患者を風船の中に入れて救急治療を施そうというもの。

 無論、本格的な治療はそれなりの施設があるところへパックごと後送するわけであるが、それを受け取って、ワッケイン少将を収容する。

 そしてホワイトベースに戻るミヤビだったが、

 

「アムロが行方不明!?」

 

 アムロだけが消息を絶っていた。

 彼のガンキャノンの反応も無い。

 

『ジオンの忘れ形見のセイラの方が我々よりよほどニュータイプに近いはずだ。捜してくれ、アムロを』

『で、でも、どうやって? ……わからないわ』

 

 ブライトとセイラが何やら言っている。

 

『人がそんなに便利になれるわけ、ない』

 

 というわけで、ミヤビは決断する。

 人にできないことを補完するのが道具であり機械であり、そしてAIなのだと。

 

「アーク・マスター権限を使いましょう」

『ミヤビさん?』

「幸い、ワッケイン司令が「あらゆる手段を用いて」と命令してくれたわ」

 

 それでサラは納得し、力を開放する。

 

『この戦場で『マスター』を助けて、死と戦い続けているすべてのみんな…… この私に、ほんのちょっとずつだけ、力を分けて……!! お願い!!!』

「えーと、元気玉?」

 

 やべーネタ発言すんなとツッコミを入れるミヤビだったが、

 

『私たちは、いいえ、私、サポートAIサラは、それを体現できるシステムなんです!』

「ゼータの方かー。でも共倒れフラグは勘弁してね」

 

 ゼータガンダム、この世界では『機動戦士Zガンガル』の最終回ネタか、という話。

 このポンコツAI、もう何言っても止まらないとあきらめ、肩をすくめる。

 

 ドラケンE改の機体制御コンピュータは俗にテム・レイの回路と呼ばれる初期の教育型コンピュータ2つを搭載し並列に動作させるデュアルプロセッサであり、インストールされているサポートAIサラはすべて同一のプログラムを持つもの。

 ネットワークがつながる限りは素のままでも複数の機体制御コンピュータを連携、統合処理させることで演算能力を上げるグリッド・コンピューティングが可能。

 

 ミヤビはこの機能をアーク・マスター権限で解放。

 今戦場のあちこちに散っているドラケンE改たちの持つ、空いている通信帯域やCPU、メモリ領域など、余っているリソースを分けてもらい、つなぎ合わせることでウェブ状の独自通信網とその上で稼働するシステムを構築する。

 そうして、

 

『見える、私にもアムロさんが見えます!』




 ガンキャノンのラストシューティングでした。
 なお、

>「サラツー、何をしている!?」
> 勝手にガンキャノンのAパーツを強制排除。
>『信じて!』

 この辺の下りからオチを予想される方もいらっしゃるでしょうけど、もちろん元ネタそのままではなく、ひねってありますからご期待ください。

 次回でこの第43話、ア・バオア・クー戦も終了ですが、これに戦後のエピローグが付くので完結はもう少しだけ後です。
 エピローグはさくっとまとめようとしたんですが、いつもどおり4分割しないといけないボリュームになりそうだったり……
 つまりまだ1話分お話が残っているということですね。

 みなさまのご意見、ご感想等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。
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