ガンダム世界でスコープドッグを作ってたらKMF紅蓮に魔改造されてしまった件   作:勇樹のぞみ

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第15話 宿命の闘い! ククルス・ドアンの島 Aパート

 宇宙世紀0079。

 ルナ2と呼ばれる第二の月は宇宙都市建設に使う鉱物資源を手に入れるために運ばれてきた小惑星である。

 その隣に七番目の宇宙都市サイド7が建設され始めて二年目、ジオン公国と地球連邦軍の戦争が始まった。

 この大戦で四つの宇宙都市の群れが消滅し、わずかサイド6のいくつかの宇宙都市が残るのみである。

 

 そして、ジオン公国を名乗る宇宙都市の群れは地球から最も遠い所にあった。

 その総帥ギレン・ザビは叫ぶ。

 地球連邦の軟弱を討てと。

 あたかも人類を救うのは彼のみであるかのように。

 

 

 

 海洋上を飛行するホワイトベース。

 

「ガンペリーが予定空域に到着しました」

 

 ブリッジにオペレーターを務めるマーカーからの報告が響く。

 ブライトはうなずき通信手、フラウに指示を出す。

 

「分かった。ガンペリーのリュウたちに、慣熟訓練を開始するよう伝えろ」

「はい。リュウさん、訓練を開始してください」

 

 

 

「了解。ジョブ・ジョン、ガンキャノンを下の島に投下するぞ」

「はい、リュウさん」

 

 後にジオンからナカワレというコードネームで呼ばれることになるガンペリーは、その名のとおりカーゴスペースを左右に割り開く。

 そうして天井部分に懸架されたガンキャノンを降ろそうとするが……

 

『いや待てリュウ』

 

 ブライトからの直接通信により中断する。

 

「どうしたブライト。何かあったか?」

『そちらの方角、ポイント305から連邦空軍の緊急信号が自動発信されている』

「なに?」

『ガンキャノンを運んで調べさせてくれ』

「ああ、だが……」

 

 会話を聞いて計算していたジョブが答える。

 

「その地点だとガンキャノンを降ろしたら、すぐに帰らないと燃料が持ちませんが」

 

 ガンペリーは空力的に無理のある形をしており、3つのローターで揚力を作り無理やり浮かせているもの。

 その分、通常の航空機、輸送機より燃費は悪いのだ。

 

「ということだが」

『仕方がないだろう。それにもし戦闘になったらガンペリーは邪魔なだけだ』

「確かにそうだな」

 

 そんなわけで、訓練は中止。

 

「アムロ、ミヤビさん」

『話は聞きました。大丈夫ですよね、ミヤビさん』

『そうね、いきなり実戦になる可能性もあるかもしれないけど、この兵装は元々サイド7でテストが終わっていたものだし』

 

 アムロ、そしてガンキャノンに同乗しているミヤビもそう答える。

 そしてガンペリーはポイント305に存在する群島に向かうのだった。

 

 

 

「ポイント305、あの島か?」

 

 改めてガンペリーのカーゴスペースが開けられ、

 

『ガンキャノン、降下します』

 

 というアムロの声と共にガンキャノンの機体を固定していたロックが解除。

 ガンキャノンが地表に向けて降下を開始する。

 

「リュウさん、燃料が」

「ああ、アムロ、ミヤビさん。悪いがいったん戻らせてもらう」

『了解ですリュウさん』

『気にしないで』

 

 二人の声を聴きつつリュウはガンペリーの機首を返し、ホワイトベースへの帰路に就く。

 

 

 

『機体バランス正常。着地するよっ!』

「うん」

 

 サポートAI、サラツーの補助で着陸態勢に入るガンキャノン。

 そして、

 

『タッチダウン!』

 

 背面ランドセルのロケットエンジンを吹かしながら大地に降り立つ。

 

「大丈夫ですか、ミヤビさん」

 

 頭部コクピットのミヤビからは、

 

「ええ、問題ないわ」

 

 と返答がある。

 

 頭部コクピット……

 今回アムロとミヤビが持ち出してきたのはサラツーが、

 

『ガンキャノンL、ロングレンジタイプかぁ』

 

 と呼ぶ機体。

 どんなものかというと、

 

「そう、両肩のキャノン砲は細部こそ違うけどガンタンクと同じ120ミリ低反動キャノン砲に換装、頭部には砲手用コクピットが設置されているものね」

 

 ミヤビが言うとおりの機体。

 彼女の記憶の中にある『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』におけるガンキャノン火力試験型に近い形態のものである。

 

 ガンキャノン火力試験型は最初期型のガンキャノンを引き継ぐ形で評価試験用に製作された試作機のひとつ。

 ガンタンク初期型と同じ両肩の大口径砲、4連装機関砲を搭載し長距離支援および対地・対空戦闘用装備のテストを行ったが、発射時の反動を抑えきれず、命中率が著しく低下することが判明。

 そのためガンキャノンの武装は射程は落ちるものの砲口径を増したことで中距離支援に威力を発揮する240ミリ低反動キャノン砲で落ち着くわけである。

 

 ミヤビの生まれ変わったこの世界はオリジン準拠ではなかったが、ガンキャノン初期型で同様の試行がなされており、やはり120ミリ低反動キャノン砲はボツとなっていた。

 しかしRX-77-2ガンキャノンが正式に完成した時点で、

 

「初期型よりかなり機体性能が向上してるんだから、今なら120ミリ低反動キャノン砲を載せても大丈夫なんじゃ?」

 

 ということでやってみたら使えた、というもの。

 ある意味先祖返りな機体である。

 なお右腕については汎用性を重視し4連装機関砲などの固定武装に換装されておらず通常のマニピュレーターのままである。

 

 そして、

 

『どうしてこれ、今まで使わなかったの?』

 

 と、サラツーが言うような疑問も生じるだろうが理由は単純。

 

「サイド7へのジオンの襲撃でBパーツ、つまり下半身が失われていたのよ」

 

 そうミヤビが答えたとおり、

 

「それでノーマルなガンキャノンとこの機体、どちらか一方しか使えなくなってしまったの」

 

 そのため汎用性が高く一人で動かせるノーマルな機体ばかりが使われ、こちらはモビルスーツデッキの片隅で眠っていたのである。

 

「120ミリ低反動キャノン砲を使いたければガンタンクがあるし」

 

 ということもある。

 

 なお、何で今さら持ち出してきたのかというと……

 

 

 

 あるホワイトベースクルーが深夜、モビルスーツデッキに忘れ物を取りに戻った。

 キャットウォークを進み、モビルスーツ横を通り過ぎると、

 

『こんな時間にどうしたんです?』

 

 と声をかけられた。

 聞かれた乗員は教育型コンピュータにインストールされたサラシリーズの誰かだろうと思いながらも、

 

「忘れ物を取りに来た」

 

 と答え、通り過ぎた後で見かけないモビルスーツだったと振り返ると。

 先ほど目にしたモビルスーツの、上半身のみがモビルスーツハンガーに固定されており、

 

『遊びましょう』

 

 と笑いかけ、途端に凄い勢いで上半身のみで迫ってきた!!

 

 

 

「テケテケかっ!?」

 

 とミヤビが思わず声を上げてしまうような怪談、ホワイトベースの七不思議みたいな話が広まってしまったのだ。

 噂を耳にした者が真相を確かめに行ったが、しかしそんな知らないモビルスーツの姿など無い。

 その場はそれで収まったのだが、次の晩……

 

 

 

「きゃああああああっ!?」

 

 深夜のホワイトベース、絹を裂くような悲鳴を耳にして、オッパイさん(仮名)が『右舷』モビルスーツデッキに駆け付けて見たものは!

 

 噂の見慣れない上半身のみのモビルスーツと、腰を抜かしその場にへたり込んでしまった金髪さん(匿名希望)。

 そりゃあね、ミヤビが都市伝説のテケテケ、下半身が欠損した姿で描写される亡霊、もしくは妖怪について、

 

 冬の北海道、室蘭の踏み切りで女子高生が列車に撥ねられ上半身と下半身とに切断されたが、あまりの寒さに切断部分が凍結し、しばらくの間、生きていた。

 

 という起源から、追いかけられた末に、

 

「どこかにさらわれる」

 

 とか、

 

「噛みつかれるとその部分が腐る」

 

 とか、

 

「片手に大バサミ、片手にカマを持っていて見つかると下半身を切断されてしまう」

 

 などといったバリエーションがあるといった話を聞かれるままにしゃべってしまったから仕方ないね。

 

 呆然自失のままガタガタと震える金髪さん(匿名希望)はオッパイさん(仮名)に抱きしめられ、その豊満な胸に顔をうずめながら頭を撫でられることで何とか回復した模様。

 ただしその結果、オッパイさんのあふれる母性に魅了されてしまい、まともに顔を合わせることができなくなってしまっていたが。

 

 

 

 そしてどうしてこんな事態に発展してしまったのか、というと実はこんなからくりがあった。

 

・最初の目撃者は寝ぼけてガンキャノンやガンタンク、コア・ファイターが利用している『左舷』モビルスーツデッキではなく、ミヤビがミドルモビルスーツ、ドラケンE改の発着に用いている『右舷』モビルスーツデッキに入ってしまったのだが、それに気づかなかった。

 

・最初の目撃者に声をかけたのはドラケンE改にインストールされているサポートAI『サラ』。ミヤビがシャットダウンしなかったためスリープ状態にあったが、接近してきた足音に音響センサーが閾値を超え、自動覚醒したもの。

 

・最初の目撃者が追いかけられた、と思ったのは驚いて逃げ出した際に、自分の足音がデッキに反響していたのを追跡者の足音(足無いけど)と勘違いしたため。

 

・覚醒したサラは、デッキ片隅のモビルスーツハンガーに固定されたガンキャノンLのAパーツを覆っていたカバーシートがいつの間にか落ちているのを発見。苦労しながらもかけなおす。

 

・後日、最初の目撃者当人や、噂を聞いた人間が確認したのは『左舷』モビルスーツデッキで、当然ながらそこにはガンキャノンLは無い。またサラシリーズ全員に話を聞くも、証言は得られない。

 

・ミヤビは噂を聞いたものの、ガンキャノンLの存在についてはカバーがかかっていたので知らなかった。またサラも落ちたカバーを直した程度のことを報告したりはしなかったし、彼女は噂について知らなかった。

 

・ガンキャノンLを覆っていたカバーシートが落ちたのは固定用金具に不具合があったため(ロックがかかったように見えるが実際は少し力がかかるだけで外れる)なので、金髪さん(匿名希望)が『右舷』モビルスーツデッキに立ち入った時にはまたずり落ちていた。

 

 というもの。

 まぁ、ヒューマンエラー事例にはよくある、複数存在する設備を取り違えるというパターンだ。

 階段を下りて、右に曲がれば作業対象の1号機なのに、何を思ったか左に曲がってしまったため、作業対象ではない2号機を操作、結果、止めてはいけない機器を止めてしまったので事故につながってしまった、などというようなもの。

 これだから銘板の指差呼称は絶対必要だし、可能ならフールプルーフなどの設備対策が必要なのだ。

 

 

 

 そんなわけで、存在が広く知られることになったガンキャノンLのAパーツ。

 この先、出番が無いとも言えないわけで、余裕があるうちに慣熟訓練を行おうということで今回持ち出されたのだった。

 

「それで問題の緊急信号の発信源だけど……」

『それなら降下中に周囲をサーチしたら、海岸に連邦軍戦闘機らしい機影を見つけたよ』

 

 サラツーが報告。

 

 ガンキャノンLの頭部には『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』のガンタンク初期型のようにバイザーの奥に有視界戦闘もできる砲手コクピットが設けられており、メインカメラは額に搭載されていた。

 このセンサーカメラは上下二連になっており、ミヤビの知るガンダムと同様の四角い枠を持つメインカメラとは別に、ガンタンク初期型に類似した円形の照準用長距離カメラが搭載されている。

 おかげでセンサー有効半径はノーマルのガンキャノン、ガンタンクと同じ6000メートルを確保。

 これは史実におけるRX-78ガンダムの5700メートルを上回るものだ。

 マスク部分の装甲が強化された頭部は、コクピットを内蔵していることもありやや大型となっている。

 まぁ、ノーマルのガンキャノンがSサイズのフルフェイスヘルメットならこちらはMサイズという程度の違いだが。

 

 そしてサラツーはその頭部メインカメラにより捉えられていた記録映像をモニターに映し出す。

 

「これは……」

 

 そこには砂浜に打ち上げられたような傷ついた戦闘機の姿があった。

 

「行ってみましょう」

「ええ」

 

 そうして戦闘機に向かって近づくガンキャノンL。

 戦闘機は大きく傷つき横たわっていた。

 

「私が調べてみるわ。アムロとサラツーは周囲を警戒して」

「了解です」

『分かったわ』

 

 そしてミヤビは差し伸べられたガンキャノンLのマニピュレーターに乗って砂浜に降りた。

 腰のホルスターからアーマーマグナムを抜き、フォアグリップを前後させ薬室に初弾、非殺傷のスタン弾を装填。

 マニュアルセーフティ、安全装置をかけた上で、さらに機関部下面のローディングゲートから銃身下のチューブマガジンにショットシェルを装填することで2+1、合計3発を撃てるようにする。

 そうしてミヤビは警戒しながら戦闘機へと近づくのだった。




 ガンキャノンL、ロングレンジタイプの登場でした。
 そしてテケテケな登場秘話。
 金髪さん(匿名希望)、そしてオッパイさん(仮名)とは一体誰なんだ……


> 彼女の記憶の中にある『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』におけるガンキャノン火力試験型に近い形態のものである。

 ガンキャノンL、ロングレンジタイプはオリジンのガンキャノン火力試験型から肩のキャノン砲と砲手コクピットを内蔵した頭部をノーマルのガンキャノンに移植しただけ。
 複座の長距離砲撃戦仕様ですね。
 この機体の今後の扱いについては色々と考えていますので、ご期待ください。


 みなさまのご意見、ご感想等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。

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