ガンダム世界でスコープドッグを作ってたらKMF紅蓮に魔改造されてしまった件   作:勇樹のぞみ

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第23話 シーマ隊救出作戦 Dパート

「アムロは、彼はみんなに希望を与えてくれる人。

 そして、みんなもそれに応えてくれる。

 だから強いんだわ。

 だから絶対に負けないのよ」

 

 その場に座り込むシーマの耳に届くつぶやき。

 幻聴だろうか、それはミヤビの涼やかな声を思い出させた。

 

「姫さん……」

「はい、なんでしょう?」

「は?」

 

 いつの間にかシーマの隣に居るミヤビ。

 その手にはドラケンE改から抜いたのだろう、ミッションディスクがあった。

 

「は? 何? ドラケンは爆発……」

「ああ、勘違いさせてしまいましたか。アレは爆発ボルトによるコクピットハッチの強制排除装置ですよ」

 

 ドラケンE改には戦闘機における射出座席のような脱出装置は組み込まれていないが、その代わりに仕込まれているもの。

 コクピット右側面にある「EMERGENCY FACE OPEN HANDLE」とマーキングされた誤操作防止カバーを開け、緊急脱出用レバーを引くことで作動する。

 ロックが壊れていたりハッチが歪んでいたりしても強制的に開けることができるが、周辺に人が居る場合はケガをする可能性があるので注意が必要。

 だからミヤビはシーマたちに爆発すると警告したのだ。

 何しろモニターがブラックアウトしていて周囲がまったく見えなかったこともあるし。

 

「軍用オプションとして通常視野だけでなく赤外線センサーも阻害する熱煙幕が仕込まれた爆発ボルトも用意されていて、今回のように戦場において爆発を偽装、煙幕に紛れ脱出を図ることができるんです」

 

 半面、救助活動の妨げになるため一般向けには販売されていない。

 軍でも優勢な戦場に展開する部隊では味方の迅速な救助活動を優先するために使用を禁止されているのが一般的。

 また偵察任務など、隠密行動が必要な部隊の機体でも利用は控えられているものだったが、ここ最近の戦況に危機感を覚えたミヤビが、

 

(こんなこともあろうかと)

 

 と装備させていたのだった。

 ともあれ、

 

「ど……」

 

 どれだけ心配したと思ってるんだい!

 

 そう叫ぼうとしたシーマだったが、

 

「よーし、ミヤビ君。こっちだ。君の設計を採用した新型だぞ!」

 

 まったく空気を読まず、運び出したコンテナ車にミヤビを連れ込むテム・レイ博士に邪魔される。

 

「は? えっ? 私の?」

 

 身に覚えがないミヤビ。

 その彼女がコンテナの中で見たものは!

 

「み…… ミヤビさん、ここでクイズです。これは何でしょう?」

 

 と自分で自分に問うてしまうほど、訳の分からない代物だった。

 

 

 

「やああああああああっ!!」

 

 荒ぶるアムロのガンキャノンは、先ほどまでとは違いグフと対等に打ち合ってみせる。

 そして、

 

『しまった!』

 

 グフ右腕のフィンガーマシンガンの弾切れ。

 この部隊のグフは両手にフィンガーマシンガンを装備しているが、右腕のヒートロッドは取り外されていない。

 なら下腕部内にあるはずの弾倉が無いのにどうして右手のフィンガーマシンガンが撃てるのか。

 それはフィンガーマシンガンがベルト給弾式であり、つまり手のひら内の機関砲と手首までのわずかな長さの給弾路内にある弾薬を使っているのである。

 親指の機関砲をオミットし弾薬消費量を抑えはしたものの、撃てる弾数は限られる。

 

 その隙をついたガンキャノンの一撃がクリーンヒットする!

 だが、

 

『てめぇ、調子づきやがってぇ……』

 

 グフはバックジャンプで距離を取ると、

 

『戦場の戦い方を教えてやるぜぇ、おい、野郎ども!』

 

 グフの要請によりドップが襲い掛かる。

 アムロは両肩のキャノン砲、そして頭部60ミリバルカンでそれを撃ち落としていくが、その隙にグフはやってきたド・ダイYSに飛び乗ってしまう。

 

『じゃあ、第2ラウンドと行こうか』

 

 上空からの攻撃がガンキャノンを襲う!

 

『卑怯者っ! 降りて戦えっ!!』

 

 思わずサラツーは叫ぶが、

 

『ばかやろう、戦争に卑怯もくそもあるか! 勝たなきゃ意味ねーんだ。負けたやつは死ぬ。それが戦場の掟なんだよ』

 

 さっきまで本物のヒーローを自称していたくせに、形勢不利と見れば主張を変える。

 

『楽しかったぜぇ、ヒーロー気取りのガキンチョよぅ』

 

 上空から左腕フィンガーマシンガンをばらまき、

 

『ダイナマーイ!』

 

 ド・ダイYSにミサイルを撃たせる。

 

「危ない!」

『もう嫌ぁ!』

 

 逃げ惑うガンキャノンに、

 

『がーっはははははぁ、大人しく地上でボコられていた方がまだマシだったろう。まだ止めは刺さねぇぞ。たっぷりと恐怖を味わってもらうぜ!』

 

 あざけりの言葉と共に攻撃が降り注ぐ。

 

「くそっ、相手が空じゃ戦いようがない」

 

 歯噛みするアムロだったが、

 

『アムロだって空飛べるでしょう』

 

 とサラツーに言われて気付く。

 

「そうか、よし、飛んでやろうじゃないか!!」

 

 上空をパスするド・ダイYSとグフに、

 

「今行くぞっ!!」

 

 そう叫ぶと全力で踏み切りジャンプ、背面、そして足裏のロケットエンジン全開で大空へと舞い上がる!

 

「逃げられないぞ!」

 

 追いすがるガンキャノン。

 しかしグフにヒートロッドを振るわれ、

 

「うわっ!」

 

 弾かれバランスを崩してしまう。

 空中で一回転、鮮やかに機体を立て直すアムロ!

 だが、敵の機影を見失い……

 

「くそっ、どこへ行った!」

『上、上!』

 

 サラツーの接近警報にアムロは急接近するド・ダイYSに気付くが、

 

「うわあっ!」

 

 そのまま押しつぶすように接近。

 接触直前に垂直離着陸用の底面ノズルから全力噴射を浴びせかけられ、地上へと突き落とされる。

 だが!!

 

「何をこれぐらい!」

 

 地面と接触、墜落しそうに見えたガンキャノンはタッチアンドゴー、つまり勢いをそのままに地上を駆け抜けることで再びジャンプ飛行に入る!

 

「スロットル全開ーっ!」

 

 ド・ダイYSに追いすがるが、

 

『アムロ、ごめん』

「しまった、ロケットエンジンが限界だ!」

 

 無限に飛べるはずもなく、背部ロケットが噴射限界で一時機能を停止して落ち始める。

 

「だ、駄目だ、自由に飛べるという訳にはいかない。どうする?」

 

 考える、アムロ。

 

「このままじゃ落ちて、押し切られて負けるぞ、どうする?」

 

 どうする、どうする、どうする?

 だが、考えても答えは出ない。

 

「……こ、ここでやられるものか。ああっ!?」

 

 

 

「ふっ、落ちたか」

 

 高度を下げ、後方カメラから消えていくガンキャノンに笑うグフのパイロット。

 しかし、

 

「なんだぁ?」

 

 ガンキャノンが再び上昇してくる。

 後方カメラを広角に切り替え、

 

「そんなのありかよ!」

 

 ガンキャノンは再びガンペリーの、開いた側面ハッチの上に立っていたのだ。

 

 

 

「ありがとうカイさん」

『いいってことよぉ。来るぞ!』

 

 接近してくるド・ダイYSとグフ。

 

「カイさん、ぶつけろ!」

『無茶ゆーな!』

 

 一瞬の交錯、振られたヒートロッドをガンキャノンは腕で辛うじて弾く。

 

「カイさん、ターンだ、ターン急げ!」

『だから無茶ゆーなっつうの、こいつは輸送機だぞ!』

 

 輸送機であるガンペリーの運動性は低いのだ。

 

『来た!』

 

 こちらのターンの途中で襲い掛かってくるド・ダイYSを、

 

「行けーッ!」

 

 アムロは叫びながら両肩のキャノン砲で撃墜!

 そのままの勢いで飛びかかってくるグフに、こちらもジャンプで迎え撃つ!

 

『のわっ、アムロ、てめぇっ!!』

 

 約70トンの重量を持つガンキャノンのジャンプの足場にされたガンペリーが、一気にバランスを崩し墜落しかかる。

 

『降りるなら一言言ってからにしろって言っただろーっ!!』

 

 カイの悲鳴交じりの怒声を背に、アムロは空中でもつれ合い、殴り合い、蹴りあいながらグフと戦う。

 

『死ねぇ!』

「死ねるか!」

 

 そしてついにガンキャノンの両腕がグフの両腕を捉えた。

 

『しまった!』

「行ける!」

 

 アムロは左肩のキャノン砲をグフに押し付け発射!

 そのまま地上に落ちるグフの爆発、爆風をもクッションに使ってロケットエンジンを全開にしながら着地する。

 

 

 

『Face open!!(コクピットハッチ開放!!)』

 

 跳ね上がるコクピットハッチ。

 ミヤビは身軽に機体をよじ登り、コクピットに身を沈める。

 スロットにミッションディスクを入れ、サラを起動。

 

『Retracting head,chest block reverting chest block reverting to fixed point!(頭を引っ込め、胸部ブロックを固定して元に戻します!)』

 

 頭と胸が一体化したようなコクピットハッチを閉じ固定、ロックする。

 

『Ejecting transport armorcovers!(輸送用カバーを取り外します!)』

 

 コンテナが開いてゆき、その姿が露わになる!

 

 

 

「おおっ、出るぞ! 世紀のモビルスーツが!」

 

 喜悦の表情で叫ぶテム・レイ博士。

 

『Extending down legs!(降着ポーズ解除!)』

 

 サスを兼ねた脚部を最大に沈めた、乗降姿勢からアクチュエーターを起動。

 足を伸ばし立ち上がる!

 

『Mobile suit lift up! go out!(モビルスーツ、リフトアップ! 出ます!)』

 

 そして息を飲むシーマたちの前に姿を現したのは、

 

【挿絵表示】

 

「ありゃ?」

「こっ、これが…… テム・レイ博士が開発した新型モビルスーツだって言うのか?」

「あ、あれはただのドラケンE改だろ?」

「機体上面、二発の短距離ミサイルが無いが、未装着か?」

「うん? 背面のロケットエンジンが外されて、弁当箱みたいな四角い、でっかい箱を背負ってるぞ」

「か、かっこわりーっ、あれのどこが世紀のモビルスーツだってんだ。音までだっせー!」

「出撃してもダメかもしれんなぁ。あんな機体じゃ返り討ちだぜ……」

 

 お世辞にも上品とは言い難いシーマ隊の面々は好き勝手なことを言い並べるが……

 

 

 

『One minutes before starting the main generator! Are you sure, Miyabi=san?(メインジェネレーター始動1分前! ミヤビさん、よろしいですか?)』

 

 音が悪い、というのはまだジェネレーターが起動しておらず、予備電源で動いているから。

 

『Unlock roller dash on heel(ローラーダッシュのロックを解除します)』

 

 踵に内蔵されたインホイールモーターおよびランフラットタイヤ、ローラーダッシュのロックを解除。

 

『Engaging power to arms!(腕部武装パワー伝達!)』

 

 両腕に動力を伝達。

 右肘ハードポイントに装着された甲壱型腕ビームサーベルにもエネルギー回路が接続、先端クローがそれぞれ別々に動き動作を確認する。

 

『Unfolding all weapons operational!!(操作可能なすべての武器を展開!!)』

 

 全兵装のロックを解除、使用可能へ。

 

『"Beam saber" and "AIM-79" freefunctional!!(ビームサーベルおよびAIM-79空対空ミサイル機能開放)』

 

 そして、

 

『5 seconds till starting the main generator....(メインジェネレーター起動まで5秒……)』

 

 静かな、しかし力強い起動音。

 聞いただけで高精度、高出力のジェネレーターを想像させるこのメカニカルノイズは……

 

 ガスタービンエンジン? 違う。

 

 ジェットエンジン? 違う。

 

 この音は航空/航宙用の、熱核ジェット/ロケットエンジンとしても働く核融合ジェネレーター、

 

『"Type NC-3 Fusion reactor" gate open!!(NC-3型核融合ジェネレーター、動力ゲート開きます!!)』

 

 ガンキャノンのメインジェネレーターと同じ、NC-3型核融合ジェネレーター二基が起動!

 

『The vertical tail is locked! Opening wings!(垂直尾翼がロックされました! 主翼を展開!)』

 

 同時に背面に背負われたブロックから垂直尾翼が飛び出し、箱が開くように外装が割れて左右主翼が展開する!

 

【挿絵表示】

 

『"ドラケンE改可翔式" setup complete!!(ドラケンE改可翔式、セットアップ完了!!)』

 

 ヘッドマウントディスプレイに毛筆体で表示される『ドラケンE改可翔式』の文字!

 

『Start to take off!!(離陸を開始します!!)』

 

 ドラケンE改可翔式は、ドラケンE改から背面ロケットエンジンを取り外し、代わりに飛行ユニット兼メインジェネレータとしてRXシリーズのコア・ブロック兼脱出装置であるコア・ファイターの胴体部をそのままそっくり流用し取り付けたもの。

 その、正式名称を『コア・フライトユニット』とされた飛行ユニットが唸り、ドラケンE改可翔式は放たれた矢のように大空へと駆け上がる!!

 

 サイズ的にコア・ファイターの胴体部がミドルモビルスーツであるドラケンE改の背面に装備できるのか、収まるのかという話であるが、実はコア・ファイターは多くの人がイメージするよりはるかに小さい。

 元々全長8.6メートルと航空機、特にジェット戦闘機としては超小型機の部類だが、この全長は垂直尾翼の張り出し分も含むし、何よりコア・ブロック変形時には機首が折りたたまれた上、縮んで収納される。

 

 しかも後年、立体化とリアリティを考えリファインされたデザインではコア・ファイターの機首は縮んでもなお、コア・ブロックからはみ出すようになっている。

 これは立体化を考えパイロットをきちんと搭乗できるようにすると機首コクピット部が大きくなるが、設定上の全長は8.6メートルと決まっている。

 つまり胴体部をその分小さくしなければならないということでアレンジされたもの。

 そのためにコア・ファイター胴体部はさらにコンパクトなサイズであるとされているのだ。

 

 一方、ドラケンE改は全高4.921メートル。

 しかし、これは機体上面に設置された二基の短距離ミサイル発射筒を含むため、それを除いた全高は4.581メートル。

『装甲騎兵ボトムズ』におけるヘビー級アーマードトルーパーより少し高い程度だが、短い脚、そして独立した頭部を持たず、胴部に頭がめり込んだようなデザイン、横に広いボディを持ち、つまり胴体のボリュームが大きいのだ。

 

 それゆえ、背面装備の飛行ユニットとしてコア・ファイターの胴体部がそのまま流用できたわけである。

 しかし、

 

(アホじゃないの?)

 

 とミヤビは思うのだが。

 いくらコア・ファイターにかかっているコストの中で大きな割合を占める教育型コンピュータが付いていないとはいえ、作業機械がベースのドラケンE改に装備させるようなものじゃない。

 

『上昇完了、水平飛行に移行します』

「あー、はいはい」

 

『コア・フライトユニット』はドラケンE改可翔式の背面上部に可動軸を設けて接続されており、必要に応じて上下、扇状に可動する。

 待機状態では主翼と垂直尾翼が折りたたまれ、腰まで達する大型バックパックのように見えるが、主翼、垂直尾翼を展開、斜め下方に噴射し離陸した後、地面に対して水平近くになるまで可動し飛行を続けることができる。

 

【挿絵表示】

 

『機動戦士ガンダムSEED』におけるストライカーパックシステムの一部など、ロボットアニメに登場する飛行のためのバックパックオプションは色々あるが、この動きは『銀河漂流バイファム』登場の飛行オプション『スリングパニアー』と同様のものだ。

 

 コア・ファイターの最高速度はマッハ4.8とも、大気圏内ではマッハ3とも言われる。

 つまり西暦の時代にあった超音速・高高度戦略偵察機SR-71ブラックバードと同等かそれ以上のスピードが出せるものである。

 

 またコア・ブロックに変形後でも飛行可能な推力を持つことがミヤビの前世の記憶にある『機動戦士ガンダム』劇中で描写されている。

 まぁ、コア・ファイターの主翼形状、面積を見れば揚力が足りないのは明らかで(そのためプラモデル『U.C.HARD GRAPH 1/35 地球連邦軍 多目的軽戦闘機 FF-X7 コア・ファイター』では独自アレンジを行っている)、元々推力任せで飛んでいるとも言えるのだが。

(では翼は何のためについているかというと、翼面積に対しエルロン、そしてラダーが非常に大きいことから分かるように、主として操舵のためのもの、多少は生じるだろう揚力はおまけ、補助扱い)

 

 その推力をもってすれば、継続的な飛行も難しくはない。

 

 それにしたって、

 

(非変形で飛行可のモビルスーツってそれどんなオーパーツ? 時代を何年、何十年単位で先取りしてるの?)

 

 という話だけれど。

 既存の技術の組み合わせであって、別に特別な新技術を導入しているわけでも無いのだが、それにしたってやりすぎである。

 

『敵、来ます!』

 

 ドラケンE改可翔式はド・ダイYSに乗ったグフの攻撃を、軽々とかわす。

 コア・フライトユニットはZガンダムのロングテール・バーニア・スタビライザーのように、可動するベクタードノズルとして働く高出力バーニアと、AMBAC(active mass balance auto control:能動的質量移動による自動姿勢制御)作動肢として働くスタビライザーの機能を併せ持つため、運動性が格段に上昇するのだ。

 

「やっぱり下駄履きのモビルスーツとは違う!」

 

 ミヤビの前世の記憶の中の史実では『機動戦士Zガンダム』にてロザミア・バダムが自分の乗機、可変モビルスーツであるギャプランとサブフライトシステム依存の通常型モビルスーツを比べて言った言葉だったが。

 

「ビームサーベル展開!」

 

 右腕肘に装備された甲壱型腕ビームサーベルの先端からビーム刃が伸びる!

 

『甲壱型腕ビームサーベル起動しました。アイドリング・リミッター機能、動作良好です』

 

 サラからの報告。

 

『でも核融合ジェネレーターが載ってますから、リミッター無しでも大丈夫ですよね』

 

 コア・ファイターの胴体部をそのままそっくり流用し取り付けた『コア・フライトユニット』には、RXシリーズのメインジェネレータであり航空/航宙用の熱核ジェット/ロケットエンジンとしても働くNC-3型核融合ジェネレータ二基が搭載されており、ドラケンE改本体にもエネルギーが供給される。

 それによりドラケンE改可翔式は従来制限のあったビームサーベルのフルスペック運用が可能となっているのだ。

 

(全高5メートル以下のミドルモビルスーツに核融合ジェネレーター搭載ってなんなのさ)

 

 呆れるミヤビ。

 宇宙世紀0120年代、『機動戦士ガンダムF91』『機動戦士Vガンダム』に登場する第2期モビルスーツと呼ばれる小型機体はコクピットを胸部に、ジェネレーターを背面に張り出したバックパック部に搭載することで小型化を実現しており、このドラケンE改可翔式もまた同様のレイアウトを使っていると考えれば良いのかとも思うが、理屈でできることと実際にやってしまうこととでは天と地ほども違う。

 

 ともあれ、今は目の前の敵を倒すのみ!

 

「大切断!」

 

 直下をすれ違いざまに垂直に立てたビームサーベルでド・ダイYSをど真ん中から真っ二つに切り離す!

 

『DIE SET DOWN?』

 

 サラが聞き間違えたのは『仮面ライダーアマゾンズseason2』の主題歌タイトルだったり。

 

 

 

「おおっ!?」

「ひ? 飛行機斬りィイイイ!?」

 

 マンガみたいに左右にずれていくド・ダイYSに、コクピットのパイロットたちも驚きの声を上げる。

 まぁ、史実だとアムロがガンダムのビームジャベリンでガウ攻撃空母に対してやっていたことではあるのだけれども。

 

 

 

「地球での自由落下というやつは、言葉で言うほど自由ではないのよね」

 

 どこかで聞いたセリフを口にしながら、ミヤビは落下中で回避が難しいグフへロックオン。

 

『Fire! Fire! Fire!』

 

 照準ロックがかかるたびに発せられるサラの音声指示に従いトリガーを絞り、コア・フライトユニット左右胴部に内蔵されるAIM-79空対空ミサイルを続けざまに撃ち込む。

 ペンシル型ミサイル、マイクロミサイルとも呼ばれる小型ミサイルだが、『機動戦士ガンダム』第23話劇中で実際にアムロのコア・ファイターがこれを使ってグフを撃墜していたとおり、グフの正面装甲を破るほどの破壊力を持ち、対モビルスーツ戦に十分な威力を発揮するもの。

 問題なくグフを撃破する。

 

『左右胴部に4発づつ、合計8発が搭載されていますね』

 

 と、サラの報告。

 当たり前だがコア・ファイターと一緒だ。

 

『これの射線を通すために従来搭載されていた胴体上部の二発の短距離ミサイル発射管は撤去されてますけど、それを補って有り余る火力の増強ですよね』

 

 短距離ミサイルの撤去は水平飛行時の空力特性向上とコア・フライトユニットのエアインテークの空気吸入を邪魔しないためでもあるのだが。

 

 

 

「……ドラケンE改可翔式、あれが」

 

 大空はばたく紅の翼。

 その姿を見上げつつ、アムロはつぶやくのだった。

 

 

 

次回予告

 一人でも操作が可能となったガンタンクで、カイはサラスリーと共に出撃する。

 だが重モビルスーツ・ドムを駆る歴戦の勇士、黒い三連星と、その影に寄り添う不吉な星、死兆星が彼らを窮地に陥れる。

 次回『黒い三連星、第四の刺客!?』

 サラスリーの命はあと僅か? 消えよ、死兆星。




 ようやくのことでお届けできました主役機交代イベントです。
 アホみたいな機体ですが、成り立ちなど詳細については次回、お届けする予定です。

 文字だけでは伝わらないだろうなということで(いや普通、ドラケンの背中にコア・ファイターの胴部が付くとは思えませんよね、大きさのイメージ的に)拙い腕でプラモデルを組んでるんですが……
 ミニスケールのプラモって撮影が大変なんですよ!
 コンパクトデジカメ買ったけど、小さすぎて最短撮影距離より近づかないと駄目とか、ならズームを使えばと思えば「ズームを使うと最短撮影距離が伸びます」とか。
 スマホのカメラもここまで小さいと難しく、ならマクロレンズを付ければとやってみると今度は本当の接写になるので全体像が収まらないとか、微妙に扱いに困る大きさなんですね、これ。
 ですから写真の粗さには目をつぶってください。

 みなさまのご意見、ご感想等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。

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