ガンダム世界でスコープドッグを作ってたらKMF紅蓮に魔改造されてしまった件   作:勇樹のぞみ

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第25話 オデッサの激戦 Aパート

 マ・クベ隊の守る特殊鉱物資源の基地に対して地球連邦軍の攻撃が決定された。

 オデッサ作戦の開始である。

 レビル将軍は全軍をマ・クベ隊に向けて発進させるのだった。

 

 

 

 ホワイトベースはシーマ隊の協力を得て戦線に復帰をしたものの……

 

「最小限度の修理だけでいいんだ。作戦とやらは始まっちまってるんだからな。とにかく出撃できるようにしてくれよ」

 

 特にガンタンクの損傷は大きく、カイはメカニックたちにそう頼む。

 彼にしては珍しくやる気になっているようにも見えるが、

 

(どうせ戦わなけりゃ死ぬんだ。なら少しでも生き残る可能性を上げる方に賭けるさ)

 

 ということ。

 同時に前回の戦闘で自分を犠牲にカイを守ろうとしたサラスリーに対し、やりきれない思いを抱えているということでもあった。

 しかしメカニックたちには、

 

「わかってるよ、急かすな!」

 

 と反発される。

 

「やめとけ。前回の戦闘でやられて荒れてんだからさ」

「こっちだって同じさ!」

 

 出撃した機体がやられれば、このとおりメカニックの負担もまた増大する。

 彼らにも不満はあるだろう。

 しかしそこに、

 

「カイ」

「ん? ああ……」

 

 カイを気遣うように声をかけたのはセイラ。

 

「いけないわよ、カイ。私たちには私たちにできることをしましょう」

 

 ブライトが復帰したためセイラの艦長代理も終わり。

 そして前回の戦闘でやはりガンタンクの操縦は一人では無理と判明したため、セイラもパイロット業に復帰したのだ。

 

 なお……

 セイラの艦長代行のサポートのために託されていたモビルドールサラ。

 ホワイトベースの戦術コンピュータにインストールされたサラの操る端末、手のひらサイズの歩行型ミニドローンの扱いについてはひと悶着あった。

 

「ミヤビさん、この子私に下さいな」

「あげませんよ!」

 

 別れるのが惜しいのか、無茶を言う姫様(セイラ)。

 ミヤビはペットじゃないんだからと慌てて拒否するが、セイラは聞いてはおらず、

 

「ほら、怖くない」

 

 と、優しく、しかし獲物を見る目で手を、指をモビルドールサラに差し伸べる。

 

『ふえぇぇぇ……』

「明らかに怖がってますから!」

「おびえていただけなんだよね。ウフッ、ウフフ……」

「私の話を聞いてっ!」

 

 などというやりとりがあった。

 

 一方、アムロは、

 

「ミヤビさんがドラケンE改可翔式の慣熟飛行を兼ねてホワイトベースの進路の偵察をするっていうんですね? 一人じゃ何かあった場合に対処できません。僕も行きます」

 

 と、コア・ファイターで出ようとするが、彼が振り返ったとたん、

 

「っ!?」

 

 フラウ・ボゥのアップ!

 いつの間にか気配もなく背後に立っていた彼女に心臓を跳ねさせる。

 

「大丈夫?」

 

 と彼女は言うが、アムロが驚いたのは自分のせいだと分かっていないところが、おかしい。

 暗にその精神が均衡を崩していること、病んでいることを物語っている……

 なお、このシーンはミヤビの前世の記憶にある『機動戦士ガンダム』作中でもまったく同じように交わされていたものである。

 史実ではアムロはマチルダを失ったことに頭がいっぱいで、彼女の異様さに気付いていなかった様子だったが。

 

『アムロ、ミヤビさんが行っちゃうよ』

 

 コア・ファイターのサラツーから急かされ、

 

「ああ、分かった」

 

 とアムロはコクピットに滑り込む。

 それを見送るしかないフラウ。

 彼女のような世話焼き過干渉タイプのヒロインが、主人公に相手にされず。

 さらに彼は他の女の言うことを優先し、あまつさえ行動すら共にする……

 つまり、

 

「あの子、許さない!」

 

 そういうことになる。

 

「コア・ファイター発進するぞ。フラウ・ボゥ、下がって」

 

 甲板員を兼ねるメカニックにうながされるフラウだったが、

 

「きゃあ!」

 

 そのジェット噴射のあおりを受けて、パンツ丸出しに。

 嫉妬に狂った露出狂にしか見えない彼女。

 タイツはこうよ……

 

 

 

『ミヤビさん、テム・レイ博士が作ってくれたこの機体、少し慣らし運転させてもらいますね』

 

 サラからの提案に、ミヤビはいつもどおりの人形のような冷めた表情でこくりとうなずく。

 

『行きます!』

 

 サラの制御で加速からの慣熟飛行に入るドラケンE改可翔式。

 

【挿絵表示】

 

 

 

「すいません、ブライトさん」

 

 ブリッジの通信手席に戻るフラウ。

 ブライトは、

 

「ああ。気をつけてくれよ」

 

 とだけ言うが、うるさ型の彼がそれで済ますのは珍しい。

 その上、

 

「何もしなくていい。外からのSOSが入ったら知らせてくれ」

 

 と腫物を扱うかのように言う。

 

「はい、わかりました」

 

 そう答えるフラウの瞳の奥にわだかまるヘドロのような澱み。

 さすがのブライトも、それに気づいての言動だった……

 

 

 

「フライドチキン、展開終了」

「空軍の出足が遅いぞ、なんとかしてくれ」

「ダブデがもう一台来てくれてもいいんじゃないのか?」

「マ・クベ本隊のボルシチ隊は前へ出過ぎだぞ」

 

 マ・クベ率いるジオン軍でも、連邦の攻撃に備えた動きが着々と進んでいた。

 ……食べ物の名前をコード名に使っているのは士官の趣味なのか、マ・クベの意向なのかは謎。

 

『マッシュの魂よ、宇宙に飛んで永遠によろこびの中に漂いたまえ』

 

 ジャイアントバズを撃つドム。

 

「だから俺は死んじゃいねぇ!!」

『無駄口たたいていないで、さっさと照準誤差修正してください』

「無駄口たたいてるのはお前だろう、サラ=アルコル!」

『それは叩きますよ。だって私たち、昨晩の戦闘で損傷したマッシュさんの機体調整待ちじゃないですか』

「ぐぬぬ……」

 

 そう、サラ=アルコルがおかしなことを言っているが別に弔砲を撃っているわけではなく、修理後の照準確認のための試射を行っていただけである。

 そしてサラ=アルコルは軽口をたたきながらも同時に観測手として照準誤差修正に必要なデータを計算、転送しているのだから文句もつけづらい。

 しかし、こんな会話を交わしていると、

 

「キシリア様の推薦があった兵士とはいえ、いつまで無駄な時間を潰しておるのか」

 

 当然マ・クベに怒られる。

 

「ガイア、オルテガ、マッシュ、作戦は開始されているんだぞ」

「わかっておるわい。言われずともリベンジはさせてもらう」

「リベンジではない。これは作戦だ!」

「わかっておる」

 

 ガイアはそう答え、マッシュの機体の最終調整が完了したことを確認すると、

 

「マッシュ、オルテガ、出撃するぞ」

 

 そう言って、出撃する。

 彼らの三機のドムの上空には援護のドップ編隊と、上空で戦場を監視、支援する役目を負っているのだろう、偵察機のルッグン2機が追従していた。

 

 

 

 アムロはサラツーがモニターに映し出す地形図をにらみ、慣熟飛行に専念するドラケンE改可翔式にレーザー通信による秘匿通話で注意を促す。

 

「ミヤビさん、そろそろ敵と接触するころです。気をつけてください」

 

 そしてそれに答えたのはサラ。

 

『了解ですアムロさん。もう一度だけバレルロールを』

「ミヤビさん?」

 

 アムロはミヤビからの返事が無いことに首を傾げるが、

 

『アムロ、大気圏内での戦闘機動はGが激しいから』

 

 と、サラツーに言われて納得する。

 

「ああ、話せないミヤビさんに代わってサラが返事をしてくれたのか」

 

 そういうこと。

 なおサラツーが『大気圏内で』と限定したのは、宇宙空間だと当てはまらないから。

 

 宇宙での機動は、機体の推進力以上のGはかからないため『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』登場のデンドロビウムなど、一部の、化け物じみた推力を持つ機体以外は問題にならない。

 それこそ、ガンダム特有の哲学戦闘と呼ばれる話をしながらの戦いもできるくらいである。

 

 一方、大気圏中で戦闘機パイロットが戦闘機動(マニューバ)により生じるGでブラックアウト、失神の危険まであるのは、加速のせいではなく、慣性の付いた機体を翼の操舵で空気という相対物を掴んで無理やり進路変更させるからだ。

 宇宙空間でのことで例えるなら、アムロがガンダムでモビルアーマー、ビグロに掴まった結果、相対速度差からくるGで失神してしまったようなものだ。

 だから大気圏内用戦闘機のUI(ユーザーインターフェイス)には音声コマンド方式は向かない、何しろGでしゃべることが難しいのだから、とも言われている。

 

 逆に言えば、モビルスーツ向けにはドラケンE改可翔式のような大気圏中で空中戦闘機動可能な特殊機体か、先に挙げた化け物じみた推力を持つ機体か、ごく限られた対象でしか問題にならないし、そもそもサラ、そしてサラシリーズは音声コマンドに限定せず、パイロットの所作からやりたいことを読み取ってフォローしてくれる存在。

 それゆえ大きな問題とはならないのだった。

 

 

 

「暗号変調回路アルファゲイン、受信します。レビル将軍です」

 

 フラウの報告。

 

「なに? レビル将軍から?」

 

 ブライトは通信機から吐き出されたメッセージカードを読む。

 

「ホワイトベースは6時30分、マ・クベの基地の後ろから突入せよ、か」

 

 そしてブライトは即座に指示。

 

「フラウ・ボゥ、ミヤビさんとアムロに連絡して戻るように伝えろ。クロスサイクルWFでな」

「はい。WFですね」

「うむ」

 

 通信装置に向き直るフラウに、カツがツッコむ。

 

「できるの? ちゃんと」

「できるわよ。静かにしてなさい」

 

 ヤンデレにツッコむことができるのは、彼がまだ無邪気な子供であるからと言えようか……

 

 

 

「ん? 敵の前線がこんなに近くに?」

 

 遠方に、ジオンのダブデ陸戦艇とその護衛兵力の姿を捉えるアムロ。

 その動きに、

 

「見つかったのか?」

 

 と操縦桿を倒す。

 

「ミヤビさん、高度を下げてください。見つかったかもしれません」

『了解』

 

 短く返答したのはやはりサラ。

 

『プロペラ機のようね。ジオンにはない飛行機じゃない?』

 

 と、サラツー。

 

「調べてみてくれ」

 

 アムロの指示により望遠カメラで観測。

 

『キャッチしたよ』

 

 そうしてデータバンクとの照合から割り出された機体は、

 

『ドラゴンフライ? 連邦軍の小型連絡機だよ。どうしてジオンの基地から出てきたのかしら? 撃ち落されもしないで』

「妙だな」

 

 そこに暗号通信が入る。

 

『ホワイトベースからだわ。至急戻られたし、か。アムロ、どうする?』

「気にならないかい? サラツー」

『なるわ。行くのね、アムロ?』

「ああ」

 

 そしてアムロはドラケンE改可翔式に断りを入れてドラゴンフライを追尾する。

 

「そういえばシーマさんが言ってたな。ミデアの動きがジオンに筒抜けのようだって」

 

 

 

「スパイ? ありえるわね」

「確かにな。しかしスパイのためにシーマ隊が襲われたとすれば、その実態は作戦開始前までには掴みたいものだ」

 

 アムロからの通報に、ミライとブライトもスパイによる情報漏洩の可能性は大いにあり得ると判断する。

 しかし、そこにオペレーターのオスカから報告。

 

「ブライトさん、一時の方向、敵機接近です」

「なんだと? まっすぐ来ている?」

「はい。この高度でキャッチされるはずがないのに」

 

 つまり、

 

「やはり、スパイがいるという証拠ね」

 

 と、ミライの言うとおりのことらしい。

 

「対空戦闘用意。コア・ファイター、ガンタンク、出撃用意」

 

 その指示に、

 

『ちょっと、ちょっと、作戦予定時間より早いじゃないかよ、えっ?』

 

 デッキのカイから物言いがつくが、

 

「敵がこっちの都合を考えてくれるものか。無駄弾を撃つなよ」

 

 とブライト。

 カイは肩をすくめ、

 

『へいへい』

 

 とうなずき発進準備に入るのだった。

 

 

 

『アムロ、見て。連邦軍のビッグ・トレーに着艦したわ』

 

 サラツーの言うとおり、ダブデから飛び立ったドラゴンフライは今度は連邦軍の陸戦艇、ビッグ・トレーに降りた。

 それを見てコア・ファイター、そしてドラケンE改可翔式も相次いでビッグ・トレーに着艦する。

 

「誰だ? 所属部隊と名前は?」

 

 銃を構えて誰何する士官。

 敵味方識別装置(identification friend or foe、略称:IFF)があるのと、コア・ファイターが友軍機であることから迎撃はされなかったが、それでもいきなりの着艦では警戒されて当然である。

 コア・ファイターから降りたアムロは、

 

「ホワイトベースのアムロ・レイです」

 

 と名乗り、ドラケンE改可翔式から降りたミヤビを示して告げる。

 

「あちらはドラケンE改可翔式、彼女はミヤビ・ヤシマさんです」

「ドラケン? これがか?」

 

 可翔式を見たのは初めてなのだろう、士官にアムロは言い募る。

 

「そんなことより今ここに着艦したドラゴンフライ、連絡機のパイロットはどこにいるんですか?」

「ジュダックの連絡機のことか?」

 

 

 

 ジュダックはエルラン中将の元で、秘密裏に受けたマ・クベからの指示を報告していた。

 

「作戦開始と同時に裏切れ、とのことです」

「マ・クベもせわしい奴だな」

「エルラン将軍の攻撃はないものとして、マ・クベの主力はすべてレビル将軍の方へ向けております」

「わかっておる」

 

 しかし、そこにノック。

 

「なんだ?」

「は、怪しい者を捕らえました」

「怪しい者?」

 

 士官により連れて来られたのは、アムロとミヤビ。

 そしてエルランの瞳がミヤビの顔を見て見開かれる。

 

「用は?」

「人払いを願います」

 

 答えたのはアムロ。

 

「いいだろう」

 

 エルランはうなずく。

 

「諸君らは下がってよろしい」

「は」

 

 そして退出する士官と兵士たちだったが、部屋を出たところで、一緒に席を外したジュダックに銃を向ける。

 

「ジュダック、おまえも調べがある。中の話次第ではな」

 

 と。




 オデッサ作戦の開始です。
 セイラがおかしかったり、サラ=アルコルが相変わらずだったりしますが。
 そしてエルラン将軍の裏切り。
 原作では地球連邦軍の腐敗を演出するための悪役、オリジンでは小者の悪党として描かれてましたが、果たして地球連邦軍中将という社会的地位を捨てて裏切って、彼にどんなメリットがあるのか、と考えると少々疑問で。
 次回はその辺にメスを入れる予定です。

 みなさまのご意見、ご感想等をお待ちしております。
 今後の展開の参考にさせていただきますので。
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