上里空は勇者になり、魔道士でもある!   作:水甲

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42 空の教え

空SIDE

 

「切り札と満開の強化?」

 

闇の書事件が終わり、元の世界に戻ってきてから一週間後のこと、僕はアリシアにある相談をしていた

 

「あぁ、若葉たちみたいに勇者の力のみだと難しいけど、魔力を持った僕なら出来ると思ってな」

 

「いや……アネモネはなんて言ってるの?」

 

『一応マスターに可能かどうか調べるように言われ、可能と答えました。それが?』

 

「可能なんだ……」

 

アリシアはものすごく呆れた顔をしていた。いや、最初僕だって思いついた時は、話したら呆れるだろうなって思っていたからな

 

『とはいえ可能なのは切り札のみですね。満開に関してはこちらの時代ではまだ出来上がっていないシステムです』

 

「まぁ変に弄って大変なことになったりしたら嫌だからね……」

 

「とりあえずアネモネが考えてくれたシステムを見てほしい」

 

僕はアネモネが作ったシステムの詳細を紙に書いたものをアリシアに見せた。アリシアはしばらく読み続け……

 

「……はっきり言うけど体への負担が満開以上だからね。それにこれを見る限り、三モードあるけど……その一つの殲滅モードは本気で危ないよ」

 

「分かってるよ」

 

「分かってないよ!!いい、この殲滅モード『黒狐』は自分の中の魔力を無理やり暴走させるって言う時点でかなりの負担がかかるんだよ!そんな状態で動けるのは精々5秒ぐらいだよ!どうしてそこまでやる必要があるのかな……」

 

アリシアは僕の方を見て怒った顔をしていた。僕はため息を付いた。

 

「前に話しただろ。天の神が言う、神の領域を超えた存在……もしも今後出会うことがあったら……僕では……いや僕らでは勝てないらしい。だけど僕はそんなことで諦めるわけにはいかないから……勝てるまで行かなくても、多少傷を負わせるぐらいはしておきたいから……」

 

そのための切り札の強化だ。無理をするということは分かってるけど、もしものときに必要だと思うからだ

アリシアは思いっきり呆れた顔をして……

 

「わかったよ。システム調整をしておくけど、黒狐は本当に必要なとき以外は使ったら駄目だからね」

 

「あぁ……」

 

「約束破ったら怒るからね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティアナは僕の姿を見て怯えていた。この黒狐……思った以上に負担が大きい。アリシアはきっと怒るだろうけど……悪いな。これは僕にとって必要なときだから……

 

「セブンテイル……バスター!!」

 

七本の尻尾から砲撃を放ち、その全てがティアナを掠めた。ティアナは反応できずそのまま尻餅をついた。僕は切り札を解除し、ティアナの傍に近寄った。

 

「ただ無理をして強くなるためだけなら誰だって出来る。だけど無理をした結果、自身に帰ってくるものがどれぐらいのもの分かっているのか」

 

「あ……」

 

「なのはは無理をした結果を知っているからこそ、お前たちに無理をさせないようにしている。それにティアナ、お前は自分に才能がないとか思っているけど、ちゃんとした才能はあるぞ。お前はそれを見えていないだけだ」

 

「見えてないだけ……」

 

「スバルあたりにでも聞いてみろよ。お前の凄い所をさ」

 

「………はい」

 

ティアナは俯きながら返事をした。さてこれでティアナは大丈夫だろうけど……正直……僕自身……きつくなってきたな……

 

意識がだんだんと薄れていき、僕はそのまま倒れるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『やぁ、目覚めたかい?』

 

聞き覚えのある声が聞こえ、目を覚ますとそこには天の神がいた。ここは僕の意識の中だよな……

 

『意識を失った君の魂を一時的に私がいる空間に招いたのだよ』

 

何でまた……

 

『いい情報を教えてあげるよ。以前私が言った神の領域を超えしもの……近い内に君たちの前に現れるだろうってことをね』

 

予知とか出来るんだな。天の神って……

 

『まぁね。ただその前に神の領域を超えしものの友達が現れるけど……驚くだろうね。君たちは』

 

友達?

 

『いずれ分かるさ。それと他の天の神から伝言だよ。もしも力がほしい時はすぐに言うように。神から武器を授かり、運命を変えた人間を手助けさせると言っていたよ』

 

そんな簡単に言うけど……僕らはそれを望まないかもしれない

 

『それはどうしてだい?』

 

僕らの戦いに他のやつが関わるのは駄目だと思ってるから……出来る限りのことは僕らだけでやりたいからさ

 

『ふふ、本当に面白いよ。それじゃまた会う時があったら会おうか』

 

天の神は指を鳴らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつくと僕は医務室のベッドで眠っていた。その近くには怒った顔をしているひなたがいた。

 

「えっと……おはよう」

 

「おはようじゃありません!お兄ちゃんは無茶をしすぎですよ!」

 

メッチャクチャ怒ってる……いやだって……

 

「ティアナさんに教えるためだけに、無茶なことをして……お兄ちゃんは私達のことを考えてください」

 

「は、はい」

 

「アリシアも怒っていますよ。きっとお兄ちゃんのことだから色々と理由をつけて約束を破ったことにしないだろうって!!私から見ても明らかに約束は破ってますからね」

 

「はい……」

 

「お願いですから……無茶をしないでください………」

 

ひなたは泣きそうになりながら僕のことを見つめた。僕はため息を付き、

 

「ごめんな。ひなた」

 

「いえ、謝ってくれたから良いですよ」

 

「そういえばティアナは?」

 

「あの後、なのはと話をして……無茶なことはしないって言ってましたよ」

 

「そっか……」

 

こうしてティアナの問題は解決できたみたいだけど……ただ気になるのは……天の神が言っていた『友達』って誰……

 




次回フォワードメンバーの休日という名のデート回となります

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