とても臆病な捨てられた少女は狂人から身を守ろうと戦った
その魔力に目をつけた幹部はその少女を広い、育てた。

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次期魔王の少女

「起きて下さいませ、お嬢様。お時間でございます。」

 

私の従者の声がする……

布団を退け、目の前の髪の毛を掻き分けて起き上がる。

 

「おはようございます、お嬢様。」

「あぁ。おはよう。」

 

彼は私が文句という命令を言えば立場上、私に逆らう事が出来ない。

だから私が文句を言う事は余りない。

なのだが……

 

臭い。

 

「何度言ったら土足で私の部屋にあがることを止めるんだ?」

「デュラハンですのでどうぞ御容赦を……」

「上履きをはけと言ってるんだ。」

「ですから、37cmの鉄の足に耐える靴は見つからないのです。」

「だからドワーフに作らせろ!馬糞の臭いがカーペットにつくから!」

 

騎士として何十年も働いている彼はデリカシーやマナー……いや、一般的な生活への態度がなっていない。

前線基地なら分かるが、ここでその行動をされると本当に品が下がる。スライムロードに徹底的に掃除をさせているから臭いが残らないものの、もしいつかスライムロードが体調を崩してしまったら全ての服に悪臭が広がる。

『悪臭纏う次期魔王』とでも言われたら目も当てられない。

 

「早く対策をしとけ。」

「了解しました。」

 

結局いつも通りの問答に落ち着く。そして私は従者を追い出す。

寝巻きを脱ぎスライムロードを這わせて体を洗い、その間に着るものを選ぶ。

 

「おい、今日はなんか予定あったか?」

 

扉越しに予定を聞く。

従者の袋を開ける音と紙をめくる音の後に答えが返ってくる。

 

「いえ、特に何も。」

「そうか、分かった。」

 

ならば青色のローブでいいか、と考えているうちにスライムが離れる。黒色の下着にローブを羽織り、魔導書を引き寄せて持つ。

 

「クレ!」

「クワァー」

 

名前を呼んで不死鳥のクレを呼び寄せる。

ちなみに私の不死鳥は氷であり、そして自身の属性を扱える上級の不死鳥だ。そうではないと飼えないが。

 

「終わった、行くぞ。」

 

扉を開け、スライムに掃除されている従者に声をかける。

 

「了解しました……っ」

 

身を捩りながらも答えは返ってきた。

なら大丈夫だろう。

 

 

 

階層ごとにある巨大な妨害守護魔法陣が透けて見える廊下を歩き、階段を降りる。

途中に足跡を拭いている吸血鬼メイドがいた。

 

「おはようございます、お嬢様。」

「おはよう。うちの従者がすまない。」

「あはは……慣れてしまいました――よっ!」

「ぐわっ!?お嬢様の前で喧嘩をふっかけるな!」

 

メイドの箒は軽い上に武器として使える硬さを誇る。

刀で叩き切ろうとした場合、まぁまぁ切れ味がいいぐらいなら切り込みがちょっと出来るかもしれない。

 

「……本当に仲がいいな。」

「「そんな事は全く……っ!?」」

「ふふっ、その時が来たら私が十字架の下に立とう。」

「「いや、無いです……っ!」……あったとしても逆方向でお願いします!」

 

猛烈な勢いで冷や汗を隠そうと掃除を再開した。

吸血鬼は健康的な汗は出さないがな。

 

 

ホールに降りて食堂に向かう途中、リザードが向こうから歩いてきた。

 

「おはようございます、お嬢様。」

「おはよう。私のドラゴンは?」

「体調は異常無しまで回復しました。同盟国の人間の作った薬がちゃんと上手く働いています。」

 

そうなのか。単純に驚いた。

 

「……騙し討ちかと疑っていたが良かった。すまないな、近縁種だからと毒味させたのに。」

「滅相もございません!次期魔王であるお嬢様の心身を守るのが私達の役目ですから!」

「いざという時に私を守れる様に体調には気をつけろよ。」

「はっ!承知しました!」

 

そして彼女は敬礼と挨拶を同時にした。何処か阿呆な優等生だから、という理由で私のドラゴンを任せたのは正解だった様だ。

 

「「「おはようございます、お嬢様!」」」

「あぁ、おはよう。」

 

いつも通り食堂への扉の左右の壁に並んだメイドに挨拶を返す。

扉を魔力で押して入る。

 

 

 

ただひたすら大きく長い机、その中央に朝食が並んでいる。

今日は8種類か。

 

椅子に座り、まずはヨーグルトを食う。

朝食を効果的に食う為だ、別に腸内環境を整える必要は無いからな。

 

「お嬢様、お味は?」

「美味しい。」

 

毎回毎回反応を求められる……まぁ地位的に私の機嫌を探るのはしょうがないのだろうが。

そしてソーセージを食っている時にふいに思いついた。

 

「今日は出かけるか。厨房に昼食は要らないと伝えてくれ。」

「分かりました。」

「なんならサドネール帝国との境界に行くか?」

 

私は頬を緩ましながらそう言った。

 

「……突然、何故!?戦争地域ですよ!?」

「三体の巨大なゴーレムに苦戦していると聞いたからな、それを略奪しようかと思った。」

「失礼ながら、断固として反対しま――ぐっ!?」

 

ふっ、私の気分を悪くすればいいものを……そんなに否定されると尚更行くしかない。

魔導書を使いながら従者の鎧にヒビが入る程締め付け、空中に浮かす。

私の合図で私の頭に不死鳥が移動し私の思考を覗く。

 

「お、嬢様……っ!」

「安心しろ、見ず知らずの者に拷問紛いの事はしない。」

 

そして本を閉じる。

落下して動く事も困難な程に痛めた従者の首の切れ跡に、不死鳥が止まり魔力を流す。

みるみる鎧が直っていく。

 

「――っ!!」

「大丈夫、目的はドラゴンの散歩だ。それも小屋に十数日横になっていたドラゴンの立場に立ってみろ。喧嘩が好きなアイツがただの散歩で満足すると思うか?」

「………」

「……まぁいい。要は逃げればいいんだ、被弾したら。」

「その約束、守ってください。」

 

 

 

食事が終わり、スライムロードに頭を整えさせながら小屋に向かう。

私が近づくとリザード達は跪いて挨拶をしてきた。

 

巨大な門の脇の扉を通り、自分のドラゴンの前まで歩く。

周囲のリザードは跪く。

 

「私のドラゴンの鎖を外せ。サドネール国との戦争地域まで行く。」

 

そう言うとリザード達はざわめき、一人が立ち上がり忠告をしてくる。

 

「失礼ながら申し上げます!サドネールの野蛮な――うっ!?」

「「っ!?」」

「お嬢様!?」

 

途中で手をかざし、リザードを締め上げる。

流石に気に食わない奴を殺す様な馬鹿ではない、腹を締め付けてから投げ飛ばす。

 

檻の向こうで青いドラゴンは私を見る。

咎める様な目だ。

 

「いつから私はお前らの意見を一々聞く通俗な存在になったんだ?立場を弁えろ。そしてドラゴンの鎖を解除しろ。」

「はっ!」

 

身の危険を感じたのかは知らないが、鉄の大扉の向こうでテキパキとドラゴンが様々な制縛から解放される。

終了後扉が開き、私の方へ地響きをたてながらドラゴンが歩いてくる。

 

「ヴゥ、ゴルルルアアアアッッ!!」

 

障壁を作り、唾を防ぐ。

一通り叫んだドラゴンは大人しく頭を下げた。

 

背中に飛び乗り、ドラゴンを弱く従属させる。

それによって私の望む進行方向を簡単に伝えられるからだ。

そして乗ろうとした従者を押し返す。

問いかけてきたが、嫌だから、とだけ言った。

 

「気をつけて!」

 

リザードは手を挙げて手を振っている。

だが、その目は怯えていた。

 

ドラゴンは大きな翼を広げ、大空に舞い上がる。

 

 

 

「おい、あんなに脅す必要があったか?」

「……勿論だ。」

 

私のドラゴンがテレパシーによって会話が出来ることを知るのは極小数である。

ドラゴンの思想が私を拒絶する物になったら困るから公表する必要はない。

 

「いつか恨みで殺されても知らんぞ。」

「ふん。だから下の雑用共を丁寧に扱えと?」

「あぁ。……まぁ世話してくれる分、嬢が移っているのかもな。」

「……私の国は非世襲型のお父様を中心とした独裁国家だ。」

 

私は三大欲求と闘争しか楽しめないドラゴンに情が移ったのかもしれない。

だから私なりの考え方を説明する事にした。

 

「ああ、知ってる。」

「するとどうなる?部下の失態はお父様の失態だ。つまり全責任を国民からはお父様が持っているかのように思われている。」

「確かに。」

「つまり役所の不注意もお父様の批難材料になる。だからこそ本人は上手に権力乱用する。国民を欺く為に。規模のしょぼい事をしないと。」

「ふむ。」

「逆に善い行いは大体貴族に損があり、暗に妨害され、結局出来ない場合が多い。」

「……」

「それでも国民を尊重すれば、殺された悲しき魔王として歴史書に載るだろう。権力はあろうと悪を統べることなど絶対に出来ないからな。」

 

実際に四代前の魔王は暗殺された。

生活水準が上がる法案をかなり作っていたからだ。

奴隷は減るし、支配者の権力は弱くなるし、借金をする者も減るのだから貴族としては大変だ。

 

「つまり距離感が大事だと?」

「あぁ、そういう事だ。私を殺せば、貴族の要求を実行する次期魔王候補を出せるからな。だからこそ魔王になるまで労働階級に対して黒に近そうなグレーが丁度いい。」

「……よくわかんね。」

「そういうと思った。」

 

ドラゴンを撫でる。

お父様を含め、歴代の魔王はほぼ全員知性を示す者に対して拒絶状態になり赤ん坊や動物しか愛せず、そしてそれに依存してしまう事になる。

だから私はお父様から動物を与えられる事が多い。

きっと私もそうなるのだから、せめてこのドラゴンと共に生きていきたいと思っている。

 

 

 

戦線基地を確認した後、雲の上に出る。

 

すると遠くに円盤の様な物が回転しているのが見える。

そして赤い光が雲を貫き、下から雲を散らす大きな爆発が起こるのが見えた。

 

「ちっ、持ち帰れないなあれは。挑発に留めるか?それとも接近して壊すか?」

「……コアは高価じゃないか?」

「なるほど。確かにそうだ。あれ程の巨大なゴーレムを動かすには魔術が凝縮しているコアが沢山必要だな。珍しく頭が回るじゃないか。」

「お前こそドラゴンに負けて情けなくないか?」

「ふっ、確かに魔王が一匹のドラゴンに負けてたら世話ないな。」

 

ドラゴンの魔力が高まる。

不死鳥が翼を広げて共鳴し、タダでさえ高いブレスの威力が更に上がる。

魔力を感知したのか、ゴーレムの円盤とその上の装飾がこちらに向かって回転する。

 

水の息吹をドラゴンが放ち、不死鳥が氷の硬さをねじ込む。

そして息吹の中に魔力は蓄えられていた。

 

障壁は紫に輝いたが貫いて破壊し、炸裂してもう一つ障壁を破壊した。

やはりというか硬い。それにまだまだ障壁はありそうだった。

 

「あー、駄目だありゃ。代謝みたいに障壁がどんどん作り出されている。」

「……無自覚になめていたな。失敗した……来るぞ。」

「おう!」

 

ドラゴンが元気に返事すると同時に、土偶の様なゴーレムの目から赤い光線が放たれる。

恐らく対地上用の機能である予告線のおかげでとても避けやすい。

 

「低空飛行で接近しろ。」

「足元に障壁があると沈むからな!」

 

その通り。障壁は円形に作りやすい為、低空飛行するとなんなく近づける場合が多い。

地上ではやはりゴーレムを中心に布陣が組まれていた。

 

多少の空間を空けながら並ぶグループ群のそれぞれのテイマーがこちらに叫ぶ。

 

下級ドラゴンである多種多様な竜がこちらに咆哮する。

 

影を落とし、テイマーの指令で放たれる頭の悪い者共の攻撃を速度で振り切る。

沢山の爆発が私の通った跡を作る。

 

「雑魚が!空を飛べ!俺と踊れ!」

「落ち着け。下級のドラゴンも火力に秀でている奴はいる。」

 

テイマーもただ指令を発しているだけでは無い。

私は遠距離かつ迅速に出来ること、そして相手は『精霊』……内向魔力に弱い事から魔力を乱そうと考えた。

 

捕縛、妨害系の魔法に対して魔法阻害を行う。

だが精霊は外向魔法力の種族適性はとてつもなく他種族に比べて高い、ブレスはとても効きにくい。

 

「ぬうっ!?」

「きゃっ!?自分で予見しろ!」

「すまん、そうだ、敵は精霊種か!」

 

大きく大地が突き上がり私達を正面衝突させようとしてきた。

勢いを殺さず急上昇し、毒ブレスを連発する。

 

障壁によって直撃は防がれる。だが、その障壁が解かれると同時にテイマー共を苦しめる。

 

「炎だ。」

「分かった!」

「そして耐えろ。」

 

私のドラゴンはとても優秀だ。

そう、水、毒、炎を放つ事が出来る。

 

毒を警戒し障壁を浮かした所に炎をはく。

そして宙返りし障壁を体当たりで破り、そのまま竜とテイマーを潰す。

 

再び大地が私を貫こうと盛り上がる。

愚かなテイマーに感謝し、障壁を使って勢いを利用して飛び上がる。

翼から水を高圧で放ち加速する。

 

「狙え、放てぇ!!」

 

再び爆発が私の後を追う。

だが、私の進む道はゴーレムの足元。

 

「行くぞ。」

「おうよ!」

 

魔導書を開き、ゴーレムを中心に魔法陣を作り出す。

魔力の流動を減衰させる働きを持つが、不死鳥の力には一切影響を与える事が出来ない。

 

ブレスを溜めながら近づく。そして陣に入る手前で不死鳥の力を混ぜ、力を保持したまま突撃。

 

狙うは小指。

 

10mに近づいた時にブレスを放つ。

 

 

 

足を破壊、足から付け根に向かってヒビがはいる。

破壊された分、ゴーレムが傾く。

 

「ふん、中々いいじゃないか。」

 

魔法陣のおかげで傾いていくことやヒビを治すことが出来ず、その勢いで足が崩れながら倒れ込んでいく。

 

「よっしゃぁ!」

「……よし、撤退だ。」

 

遠くの空に沢山の点が見える。

それが撤退してくるドラゴンライダーである事は想像にかたくない。

 

勢いのまま急上昇する。

 

「甘いわぁ!!」

 

私のドラゴンの前に魔術師が転移したが、ボルテージの上がったドラゴンの障害には全くならない。

一種で細切れにされていた。

 

しかし、竜のブレスは予測が出来ていないとはいえ正確に後を追ってくる。

巨大なゴーレムに取り付けられた砲台が、私が空に上がった事によら砲撃してきた。

ブレスより圧倒的に速いそれを破壊する。

 

そして雲に突っ込むと進行方向にレーザーを放ってきた。

ギリギリで躱し、そのまま雲の上に出る。

ゴーレムの頭の回転より早く飛び去ろうとするが、ドラゴンライダーが私を殺そうと正面からやってきた。

 

砲撃の弾を破壊してからドラゴンライダーを中心に半回転する。

 

20匹ずつ別れ、最短、横やり、待ち伏せに別れた様だ。

とんできた砲台の弾を魔力で今度は捕まえる。

 

「お前に任せた。」

「分かった、気絶すんなよ!」

 

更に加速しドラゴンライダーに正面から突っ込む様だ。

途中で若干上向きになり、

 

まずは5人が捕縛系、残りが攻撃系を唱えている。

砲弾を投げつける。するとドラゴンは炎ブレスを同時に放った。

爆発を起こし、防御に手を回させた所に毒をはきながら体当たりを当てる。

 

「五色の銃。」

 

魔導書を開き、次のグループに近づく間、五つ魔法を唱える。

私が魔導書に記した五色の銃専用の支援魔法の順番により、五つの魔法を好きな様にセット出来る。

 

「さぁ、何を撃つんだい!?」

「炭粉、酸素、拡散と調整、任意防護、任意魔力爆発。」

「分かった!俺も撃つわ!」

 

魔法を固める。

白く輝く魔力の集合体は解析が困難だろう。

 

ドラゴンライダーが放つ魔法は直線的で、特に困難な事もなく避ける事が出来た。

私の横腹を狙う為に広がった隊列、その中央に撃ち込む。

 

「捕縛!」

 

攻撃される事無く飛んだが、爆発させる前に魔力の塊は障壁に囲まれた。

障壁を作った奴に向けて槍を作って飛ばす。

 

こっちに向かってくるドラゴンライダーを急下降で突き放しながらまず塊を爆発させる。

障壁が脆くなった事を確認し、急上昇。毒ガスで追わせないようにして体当たりすると、障壁は壊れた。

 

防護を解き、炭粉を作って拡散させ酸素を放出する。

 

「ドカンとくれてやるぜ!粉塵爆発!」

「本当の狙いは加速だが……いや、上手くやったか。」

 

爆発の勢いで吹っ飛ぶ様に滑空する。

突然の山なりの軌道は待ち伏せ部隊を大きく越えていく。

 

一段落した所で赤い予告線が私に定まった。

とはいえ、倒れゆくゴーレムの最後の一発は簡単に避ける事が出来た。

 

ゴーレムが粉砕される音は耳を塞いでも喧しく、ドラゴンも苦痛に耐えていた。

 

 

 

 

 

 

木に囲まれた河原で羽を休める。

体当たりなどで刺さった骨や武器、束縛用の鉄をドラゴンの体から抜いて、不死鳥の力で傷を治している。

 

「満足したか?」

「あぁ、思いっきりな!」

「それは良かった。」

 

あの後、戦線基地に報告しにいくと、勝手に戦況を変えるなとこっぴどく叱られ、同時に一番の脅威を一時停止に追い込んだ事を賞賛された。

そろそろゴーレムに押し負ける予想で、余裕のあるうちの戦線後退も視野に入れてたらしい。普段ならどの様に戦況が転ぶか分からないから批難されだろうが、今回に限っては英雄と評されるかもしれないな。

 

「でもそんなに強かったか?いくら俺の替えがいないからと言って、そしてお前に並ぶ力が無いとはいえ、そんで不死鳥はいないが……あー、そっか。」

「そういうこと、何十人という規模なら各個撃破されるし、私達は奇襲にピッタリだった。まぁとても危ないがな。」

「確かに俺なら見てからレーザー避けるの簡単だけど、あの太さじゃギリギリか。流石だ俺。」

「あぁ。」

 

不死鳥が私の肩に戻ってくる。

そして頭を私の顔に擦ってくる。

 

「クワー」

「よしよし。」

「クルル~」

 

満足気だ。

 

ちなみに不死鳥は何も食べない。

強いて言うなら本当に時々、少量だけ周りの魔力を吸収するぐらいだ。

その代わり、過ごしやすく楽しい環境を求める。

人間だって何時でも出れる力があったならつまらない牢屋に監禁されていたいとは思わないだろう、そんな感じだ。

 

ぴょんぴょん跳ねながら反対の肩まで行き、翼をはためかせる。

とても顔が緩んでしまう。

 

だが……

 

「おい、何か来たぞ。」

「あぁ。強いな……」

「クゥ……ギギギギィィィ!!」

 

全員でとある木を睨みつける。

 

 

小細工無しの弓矢が飛んできた。

左手で掴み止める。

 

「………」

 

不意打ちをする様な奴には会話にも隙は作らない方がいい。

というより会話したくない。

 

矢を折り、足で粉々に踏み潰す。

そのまましばらくしていると、木の後ろから4人組の人間の集団が現れた。

 

「……」

 

ひたすら睨みつける。

 

「先程の矢、ごめんなさい。」

 

その人間はカクカクした言葉で話してきた。

明確な殺意を持ち、私の顔を狙っていたのだから当たり前だろう。

一番武装している男が前に出てくる。

 

「単刀直入に言おう、お前が魔王の娘だな。」

「……そういうお前は国際テロ集団の勇者御一行サマじゃないか。」

「……っ!お前らが俺たちの世界を壊そうとしているのだろうが!!」

 

この様に、神の力を渡された人間を『東立七連皇国』という人間の国は世界に出してくる。洗脳して。

勇者御一行サマは特に魔生物の世界をぶち壊しにくる……酷い話だ。

 

「ギィギィギギッギギギ!!」

「落ち着け、クレ。ここでこいつらを殺す。」

「(正気か!?何の力があるか分からないんだぞ!?)」

「いくぞ、ドラゴン。私の盾となり、矛となるのだ。」

 

私のイメージを魔力に変換し、魔力にして託しドラゴンに渡させる。

 

「いくぞ、魔王の娘!!」

「はぁ……いいだろう。」

 

わざとゆっくり魔導書を開き、懐から魔導石を出す。

その間に不死鳥はドラゴンにイメージを伝え終えた様だ、肩に戻ってきた。

ドラゴンが私を見る。

 

「……グルルルゥ!」

「ドラゴンからくるぞ!」

 

ドラゴンが高く飛び、ブレスで私の手前から焼き尽くしていく。

私と分断された三人は距離をとるが、重武装の男が私に突撃してきた。

 

「うおおおお!」

「クレ、本気でいい。」

「クワ?……クワーァァァアアア!!」

「なにっ!?鳳凰!?」

 

不死鳥が私の肩から離れ、咆哮しながら巨大化する。

みるみるドラゴンに並ぶ程に巨大化し、たった一人の人間を睨みつける。

 

さて、と。

魔導書を開き、詠唱を始める。

 

「闇に染まりし怨恨よ、抱く数多の欲望をさらけ出せ。やがて来る神の審判による復活を、拒み怯える者達よ、それを糧に狂気を示せ――」

 

私を中心に魔法陣を広げる。

黒く、そして赤く光るそれは私も恐ろしく感じる。

 

「煉獄の槍!」

「ガーッ!クロロロロロ!!」

 

燃える槍が不死鳥に当たり、瞬く間に炎に覆われる。

だが炎のついた表層を人間の上に落とし、自らの氷を伸ばして元通りになる。

 

「イリュージョンショット!」

 

流れる様に弓を私に撃ってきた事を確認し、魔導石から透明な魔力の刃を沢山振り回して幻影があろうとなかろうと切り刻む。

 

「千年を超える地縛を恨め、神の所業に異を唱えよ。軽率な死に死を……『泉下』。」

「くっ!『神の空間(ゴッドディフューザー)』!!」

 

赤黒い魔法陣から漆黒の龍頭が出てくる。そして、こっそり魔法でマーキングしといた人間に向かって一直線に食いつこうとする。

人間は胸から光ち、龍頭を遠ざける。

 

さて……勝ったな。

 

「クレ!羽を!」

「ギィィィ!」

 

傍観していた不死鳥は私の後ろに降り立ち、私の目の前に大量の羽を落とす。

山の様に積もった魔力の塊を風で飛ばし、私の周囲を囲わせる。

 

不死の自爆(静寂は終わりを迎えた)……」

「コォォォォォッッ、ギィィィィィ!!」

「うぅぅ、わぁぁぁ!!」

 

私の魔法で羽の魔力を暴走させ、それを一方向に指向させる魔法を加える。

不死鳥も合わせる様に青色の魔力を口から放つ。

 

神だか何だが知らないが、泉下ならすり抜けられる結界とは違い、守護空間の場合は内側もそれ相応の魔法や魔導が生じる。

人間が耐えられる強度ならこの様に押しつぶす事も可能だ。

 

球の表面から人間の胸の光に届くヒビが入る。

龍頭の牙が食い込み、侵食して性質を理解し対応する。

 

次の瞬間、空間は黒く染め上がり爆散した。

近づいて人間の一部であったであろう黒く染まった骨を踏み砕き、地に還す。

 

「もうやっていいぞ!」

「ギュオオオ!」

 

私の呼びかけにより、ドラゴンは牽制と妨害を止めて水で切断していった。

もちろん私が魔法を妨害して結界などは作らせなかった。

 

 

 

 

「戻った。」

「「お帰りなさいませ、お嬢様!!」」

「ドラゴンは戻しておけ。」

「「はっ!」」

 

門の前に降り立ち、飼育係にドラゴンを任せる。

私の従者は……今は居ないようだ。良かった。

バサバサと何かが向かってきた。

 

「魔王からの伝言でございます!『至急正装で大広間へ向かうように』との事です!」

 

長梟が飛んできて、私に嫌な事を伝えてきた。

渋々頷き、周りを退かして館に飛んで向かう。

 

スライムロードが二匹がかりで正装のドレスを持ってきたので、指を鳴らして服を交代し、魔導書をその上に置く。

 

まぁ、ドレスと言っても不意打ちに対する戦闘が出来るように足は見える短さだが……というか、現魔王の趣向が物凄く表面化している。

立場上、言い争う事は出来ない……焦れったい所だ。

 

 

 

硝子を通して様々な光が射す大きな通路を歩き、荘厳な扉を開く。

そして沢山の保存カプセルが輝く部屋を歩き、ある位置へ向かう。

階段の上の椅子に座った影が立ち上がり、私は同時に膝をつく。

 

「来たか。」

「なんの要件でしょうか。」

「お前の代替に当たる者が見つかった。」

「そうですか。」

「……驚かないか。」

「また私と競わせるのでしょう?今度は何の親から生まれた者でしょうか。」

 

半ば呆れながら私は言う。

お父様は意に介さず、驚くだろうという期待を滲ませた弾む様な声色で話す。

 

「ドラゴンと猫獣人のハイブリッドで、多大なる筋力とかなりの魔力を持つ少女だ。」

「今までは男だったのでお見合いかと思っていました……それにしても今回の娘は私と似た様な生い立ちですね。」

「龍とドリアードの間で元が出来て、サキュバスの腹の中で育つ奴は二度とおらんだろうよ。」

 

お父様は呆れた声で言う。

努力で超えられない地力を得る環境は沢山あるが、私は生前の恩恵が非常に高い。

 

そういや……私の容姿が分からないか。

 

ちなみに大体の魔族は、勿論元となった父母の要素はあるが魔力を通わせる母の要素も入る。

 

頭には二本の湾曲し、蔦が絡まっている角が生えている。髪の毛は右から緑、黒、紫。

腕は付け根から肘まで鱗、そこから先は綺麗な白い手だが、力を入れれば骨も砕く鉤爪になる。薔薇には棘があると同じだな。

胴に関して……ドリアードの貧乳とサキュバスの馬鹿げた巨乳の間という感じだ。揺らせるが邪魔にはならない……まぁそれより多少大きさを変えれるのはサキュバス譲りといった所か。

腰はほぼドリアードだ。尾骨から尻尾が生えている訳では無い。だが、手術で埋め込めば普通に馴染むだろう。

足は腿から膝にかけてはサキュバス特有の太いのに整った足だ。そこから下は龍の脚であり、武器になる。

翼が背中から生えているが……まだまだ成長途中であり小さすぎて全く使えない。

 

さて、私の容姿を説明した所で話を元に戻そうか。

 

はっきり言って、私に近接戦闘のセンスは皆無だ。

防御こそ出来るが、攻撃となると直ぐに突かれるから……明確な得意分野があるなら諦めは肝心だ。

つまりそれだけ魔力がある。

 

私が次期魔王に選ばれた……その時の次期魔王を蹴落とせたのはそういう事だ。

 

だが、筋力と魔力を持つ者か。生い立ちからも今回は私が落とされかけないな……

早急に何人かで研究している対魔族の魔法を完成させなければ。

 

部屋に戻る途中、私は待機していた従者に急がせろと伝えるよう頼んだ。

 

 

 

本を開き、一服する。

 

社会貢献が私の楽しい事と一致する事はほとんど無い。

独裁政治の頂点ともなれば楽しい事も息苦しい状態だろう……

 

一つ間違えれば国民から睨まれ、二つ間違えれば世界から否定。

三つ間違えるなら野蛮である魔族によって命は無い、と勝手に思ったりしている。

 

皆は冗談だと受け流すが……何だかんだやる事やっているお父様を見ていれば何をしているのかが分かりやすい。

逆に英雄的な事が出来れば……ふん、無理だな。

 

まぁいい……死ぬ時は死ぬもんだ、それよりこの出来損ないの魔法陣を整えないと。

 

 

 

 

さて、本日は私の生活を一変させるかもしれない一戦だ。

 

現次期魔王の私は対面時間と同じタイミングで演習場に従者達を引き連れて到着する。

 

バシン、バシンと尻尾を打ち付けながらストレッチしている女が立っていた。

ローブを整え、従者達を留めてから歩き寄り、対面する。

 

「私はドラゴニュートのファスィ!よろしくね!」

「……現次期魔王、リオネイトです。よろしく。」

 

責任感は余り無いようだ。

緊張のかけらも無いようで……困るな。アドバンテージが一つ無いことになる。

 

「本日は何の用件で?」

「たたかって〜魔王になって〜幸せな政治をする!」

「理想的で空想的な馬鹿で一般的な取り留めのない考えですね。始めましょう。」

「馬鹿って言った方が馬鹿!それじゃ政治上手くいかないよ!」

 

典型的な民主主義の癌から距離を置き、魔導書を開く。

杖を呼び出し、水晶のついたペンダントをつける。私の即席の本気衣装だ。

 

向こうは胸を抑える布以外はふかふかな体毛で終わっている。

防御が薄い彼女は両手に爪のような武器をつけていた。だが、手の甲に着けており、いつでも腰の二刀に手を伸ばせるようにしてる様だ。

100mは離れただろうか、止まれと指示された。

 

 

カーン!!

 

 

「にゃぁぁぁぁ!!」

 

突っ込んできた。50mを1秒で詰めてくる。

 

「防護、抽出、槍化。」

 

魔力に比例する防御膜を張り、地中から植物を引っ張り出し突き刺そうとする。

だが、魔力の纏った殴りにより防がれる。

尻尾があるから人間の姿である事は余り当てにならないな。

 

「ふんっ!」

「………」

 

とはいえ、私の防護が予想できる初撃に壊される訳が無い。

防護を爆発させ、吹き飛ばす。体勢を整えさせている間に再び防護を張り、魔導書を開き『五色の銃』を唱える。

 

「にゃぁっ!にゃにゃ!」

 

一撃一撃が重く、的確に魔力の篭った爪でヒビを入れてくる。

立ち止まった所に槍を放つが避けられ、破壊してくる。流石にその程度は出来ないとお父様のお眼鏡にかからないが。

 

「冷却、放水、制限、保存、操作……」

「デストロイ・クロー!」

 

防護が破壊しつつ、私の槍を横に回避する。

警戒の目が私の魔力を捕捉する。

 

「『五色の銃・大きな枷』、防護。」

 

水をルート上に叩き落とす。

ファスィは飛び退き、水はドシャリと落ちる。

 

「とおっ!……っ!?」

 

過冷却された水から膜の様に氷が剥がれて行った。

衝撃により表面の魔力が行き渡ってない部分が凍ったのだ。

これを相手に落とせば調節次第で槌にも檻にもなる。

 

私は防護に守られながら淡々と落とそうとする。

相手が音を上げるまで続ければいい……

 

「くっ……そっちからは攻めないの?」

「近接には近接のやり方があるのでしょう?私は私のやり方でやりますよ。」

 

ファスィはニヤリと笑い、腰の刀に手を伸ばしてからこちらに突撃してきた。

少し跳ね、こちらに刀を向けた。

 

「一刀両断!!」

 

――予測可能回避可能。だが防御貫通の一撃必殺。

私の防護は簡単に壊されるが、私は体勢を低くし避ける。

単純だが面白い。かなりの体力と魔力を使っただろうが、こちらに直ぐに向き直った。

 

「さぁ、余裕でいられる!?」

「……その程度は怖いとは思わないですね。」

「ふっ、黒刀!」

「防護、解析、自動構築。」

 

刀を構えたあと、突き刺す行動から防護を貫通する黒い刃が私を掠める。

フードが切れた感覚を感じながら水を操作し、避けさせて跳ばせる。

 

「黒刀。防護、魔力生成。」

「っ!?ぁぁぁぁぁぁ!!」

 

着地のタイミングを見て胴に向かって黒刀を放つ。

脇腹が裂け、痛みに怯んだ事を確認し、水を叩きつける。

 

「くぅっ!」

 

既に止血し、簡単に避ける所はドラゴンの子である証拠か。

だが体勢は整った……こちらもカードを切ろう。

 

水晶内の魔法陣を魔力で解放、魔導書を開いて両手で魔力を抑えるようにして唱える。

 

「『今から行うは始原の一撃。生命に裁きを。死を与えよ。鼓動ある者に静寂を。』」

「一刀両断!!」

 

私の体が横に裂ける。

だから腹が切られ、飛んでいく前に切られた所から水晶の治癒魔法で治す。

 

「ひっ……化け物!?」

「『如何なる力であろうと朽ちさせよ。根源を破壊せよ。』」

 

魔導書に緑色の光が集まり、新たな魔法陣が作られる。

私はそれをファスィに向ける。

その時、ファスィがもう一つの刀に手を伸ばした。

 

「『始原の一撃』」

「完全な遮断!!」

 

魔導書を中心とした魔法陣から命を消し尽くす緑色の光が放たれる。

ファスィが構えた刀から魔法陣が見えた気がしたが……さぁどうなるか。

 

光は緑から紫色に変色していく。

それと共に攻撃も変質していく。

 

「う、ぁぁぁぁ!!」

 

悲鳴が聞こえた……

 

 

土煙が舞い上がり、痛みに喘ぐ声は聞こえない。

水晶の魔力を抑え、魔導書を閉じる。

 

「ふん……防護。」

「一刀――」

「一転攻勢。」

 

煙の中から飛び出てきた所を防護で吹き飛ばす。

転がっていくファスィは立つことも辛そうだ。

 

「防護。」

「くぅっ……!」

「勝敗はついた。どうする。」

「……まだ、終われ――」

 

水を叩きつける。

窒息させない為、氷漬けになった所を切り崩し手と足に氷の枷がついている状態に変える。

 

「さようなら。このまま強くなればきっとお父様の親衛隊になれると思いますよ。」

 

私はファスィの頭を撫で、致命傷を治しながらそう言った。

目で合図し、長梟に病院へ連れていかせる。

 

 

 

 

その後、私は自室に戻った。

賞賛を周りから受けながら。

 

満足感を得る事が出来て嬉しかったが……

……この思考力を持ったままファスィの様な環境に行けば楽しそうだ、とつい思ってしまう。

馬鹿になったら意味が無いが。

 

明日は何もない、か……

 

 

 

夜中に起きる。

『泉下』を唱え、夜中に死んだ者達の魂を喰らわせる。

時折補充すると更に強くなってくれるからだ。

 

……何となく喰われた者の思考が理解出来るのだが、やはり努力しないで国に貶められたと叫ぶ馬鹿は多い。

いや、私が気にしすぎているからそれが聞こえるだけなのは分かるのだが……

 

……私は臆病者だな。やはり独裁者に向いてない……

『泉下』を消して自室に戻り、酒を引っ張り出して飲む。

やっている事や目的はヤクと変わらないがまだマシだ……




数十年後


「もぬけの殻だ……」
「財宝だけ貰って帰りますか?」

「まぁ待て、客人。」

指を鳴らす音に引き返そうとした勇者は振り向く。
明るい日によって生じる闇の中、そこにある壇の上に立つ五つの影がいた。

「誰だ!?」

その問いかけに、余り身長の高くない中央の影が降りながら答える。

「察せないのか?力が強くても元がこれではな……」

「……まさかっ!」

「警戒しながらお前らは廊下を歩いていたが、ただこの方が認識阻害してだだけだぞ〜」
「ふふ、怯えながら歩く姿は従者達にバカ受けでしたわ。逃げ帰ってもその映像が流布されてしまいますわね。」

「――っ、姑息だぞ!!」
「なんて卑劣な……」

「滑稽なのは認識阻害に気づけないお前達だよなぁ?」
「さて、ここで一つ問題です!今、喋らないお仲間さんは何なのでしょう?」

勇者は振り向く。
数人にノイズが走り、目と口を黒く、大きく広げて消えていった。
10人の集団は5人へと減る。

「くそっ!『災魔を討つ剣(エクスカリバー)』!!」
「神の加護!」
「『怒りの錨(フューリー・アンカー)』!!」
「希望の聖歌!」
「死に至る闇の芳香。」

ニヤリと日に照らされる所まで降りた魔王は笑った。
周囲に浮かせた大分朽ちた魔導書から真新しい魔導書が全て開く。
様々な魔法陣が紡がれ、浮かび上がる。

「防護、魔力生成、『思想の制限・無間地獄』『輪廻の崩壊・死誕終焉』『五色の補足・七色の弾丸』」

魔力と魔力が衝突する。



「ふむ、何だかんだいいな。」
「認識阻害つったのにカメラマンに気づかなくてワロタ〜。」
「もうちょっとセクシーに出来たかしら。」
「あっ、俺、目を閉じてるじゃん!」
「尻尾と爪のお陰で目立って嬉しい!」
「まぁ、これでやっとかっこいい集合写真が撮れたな。」

力による独裁政治はクーデターも暗殺も全て叩き潰していた。
だが、民衆を優遇する政治にレジスタンスは余り発生しなかった。
国民は全体的に向上し、幸福になっていく。


―――だが、他国は天災に苦しんでいた。

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