至高のレビュアーズ   作:エンピII

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※再び注意!
 このお話のアルベドは、「モモンガを愛してる」けど他のギルメンはぶっ殺す状態から、すったもんだした後に色々あって、「モモンガを愛してるけど他の至高の御方に対する忠誠心も取り戻したよ!」状態という非常に都合のよいものです。あらかじめご了承下さい。


幕間―1

 アルベドは執務中の自分の部屋に誰かが近づいてくる気配を感じ、顔を上げる。自分の部屋と言っても、ナザリックではない。アインズ・ウール・ゴウン魔導国の首都となったエ・ランテル。その中心部に築かれた巨城。その一室だ。

 気配の主がノックをする。ノックにアルベドはどうぞとだけ答えた。ノックの仕方から相手が誰なのか、既にアルベドに伝わっていたからだ。探知系スキルを持たないアルベドがノックの前に気付けたのも、相手があえてこちらに自身の気配を伝えていたからであろう。

 

「精が出るね、アルベド」

 

 アルベドは机の書類に落としていた視線をあげて、来訪者に微笑む。

 

「ええ、いくつか今日中に処理しておきたい案件があったの。でも、もう終わるわ、デミウルゴス」

 

 既に夕刻だ。そろそろ至高の御方が定めた労働時間の定刻になる。この部屋にアルベド以外いなかったのも、定刻が近いからと全員退室させていたからだ。

 アルベドの言葉にデミウルゴスが懐から懐中時計を取り出し、時刻を確認していた。そのデミウルゴスに、アルベドが微笑む。

 デミウルゴスが、今の時間を把握していない筈がない。それなのにわざわざ懐から時計を取り出し、時刻を確認したのは単純にそれそのものに触れたかったからに違いない。よく見れば随分と悪魔的なデザインの時計だ。

 

「ウルベルト・アレイン・オードル様から戴いた時計?」

 

 アルベドが少しだけ揶揄いの感情を籠めて尋ねると、それに気付いているであろうデミウルゴスは満面の笑みで微笑む。

 

「ええ、先日ご下賜していただきました」

 

 嬉しさを隠そうともしないデミウルゴスに、アルベドも微笑む。その気持ちは至高の御方々に創造された者であれば誰でも理解できる。アルベドも、今は再び理解出来るようになっていた。

 自分達は、自分は、愛されていたし、愛されている。捨てられてはいなかった。それが理解できたのだから。

 

「ふふ、デミウルゴス?今日はわざわざ自慢に来たの?」

 

「はい。と言いたいのですが、用があった訳ではありません。敢えて理由を付けるならば、なんとなくでしょうか?」

 

「なんとなくね。あなたの口から、そんな言葉が出てくるとは思わなかったわ」

 

 アルベドが小さく笑う。デミウルゴスも笑ったようだった。理由が無いという事が、とても可笑しかった。

 ならばと、アルベドもここ最近ずっと気になっている質問をデミウルゴスにすることにする。同性では無く、異性に尋ねたいと思っていたので、この意味の無い来訪は丁度いい。

 

「そうね、なら私もなんとなくデミウルゴスに質問してもいいかしら?これはナザリック第七階層守護者としてではなく、そう一人の男として答えて欲しいのだけど……」

 

「アルベドの口からなんとなくという言葉が出てくるとは、私も思いませんでした。それで、アルベド?質問というのは?」

 

 デミウルゴスの口調が、僅かに変化する。守護者統括に対する第七階層守護者のものから、至高の御方に創造された同胞に対するものに変化したのだろう。

 

「……殿方の寝室から、女の匂いがする原因に何か思い当たる事はあるかしら?」

 

「女性を連れ込む以外にあるのかね?」

 

 バキッ、という音と共にアルベドが握っていた羽ペンが折れた。アルベドはその折れた羽ペンを不思議そうに眺める。

 

「あら?不良品かしら?」

 

「……アルベド、この場にある物は全て魔導国所有の物。言い換えれば至高の御方々の物だ。備品とはいえ、大事に扱うべきだよ」

 

「そうね、その通りだわ。それで、デミウルゴス?どうしてそういう理由になるのかしら?」

 

「殿方の寝室から。女の匂い。答えは既に出ているように思えますが。……やれやれ、アルベド。構わないから、はっきり言いたまえ」

 

 困ったようなデミウルゴスに、アルベドは少しだけ不貞腐れた様な顔をしてから、渋々口を開く。

 

「……アインズ様のご寝室から、私が付けた事の無い香水の匂いがしたの」

 

 アルベドがそう言うと、デミウルゴスは呆れを隠さずに言う。

 

「……アルベド、まだそんな事をしていたのかね?」

 

 呆れるデミウルゴスに、アルベドはそっぽを向くことで答えた。

 

「……まあ、それは今はいいだろう。しかし、アインズ様のご寝室から別の香水の匂い……。私に相談するくらいだから、ナザリックのメイド達ではないと、もう調べているのだろう?シャルティアの移り香では?」

 

 アルベドは首を振る。それはアルベドが最初に考え、そして確認した事だ。シャルティアはアルベドが感じ取った香水を持っていなかった。

 そう伝えると、ふむと一言いいデミウルゴスが思考し始める。アルベドが唯一、至高の御方々を除いてだが、自分を上回る頭脳を持つと認める相手だ。自分とは違う答えを導き出すかもしれない。

 

「……情報が足らないね」

 

 だが直ぐに、デミウルゴスが肩を竦める。いくら彼でもこれだけの情報で、答えを導き出せるはずが無い。だが一つだけと前置きをし、デミウルゴスが口を開いた。

 

「至高の御方々には女性もおられる。もしそうであるならば、それはこれ以上私たちが、あれこれと詮索するべきではないはずだよ」

 

「……匂いがしたのは、至高の御方々がお出かけになられた後の事よ」

 

 至高の御方々が頻繁にナザリックから出掛けられているのは、周知の事実だ。だがその中に女性の御三方は含まれていない。

 

「やはり供回りは必要だと思わない?デミウルゴス」

 

 帰ってくる答えを理解しつつもアルベドはそう問いかけてしまう。

 

「必要ないと思うがね。私たちは本来至高の御方々の留守の間、ナザリックを守るために創造されたのだから」

 

 だからこその守護者。それは守護者統括であるアルベドも理解している。

 

「……至高の御方々はお戻りになられた。その一点だけを信じたまえ、アルベド」

 

 少しだけ強い口調で言うデミウルゴスに、アルベドは頷く。

 

「まあ、アルベドが何を心配しているのかは理解したがね。その心配は必要ないと思うよ。……こういう言い方は不敬かもしれないが、私たちは至高の御方に愛されている」

 

「ええ、そうね。それは疑い無いわ。私たちは愛されている」

 

「そうだとも。さあ、もう刻限は過ぎている。今私たちが為すべきことはナザリックに戻る事だ、アルベド」

 

 そう言って背を向けるデミウルゴスに頷く。

 そう、アルベド達は愛されている。疑いようがない。間違いなく。確実にだ。

 だからこそ、だからこそ理解出来無い事もある。愛されていることが分かるから――

 

「ペロロンチーノ様すら、シャルティアをお連れにならない事が理解出来無いのよ……」

 

 




NPCの出番を増やそうと思ったら、どんどん不穏な空気になっていってしまう。
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