ガゼルマン、チェックメイトが観戦をしている中、二人の超人が完璧超人の作り出した穴から帰ってきた。
「ト~トト」
「フィギュギュ」
「ハンゾウとヒカルドか!」
ヒカルド、ハンゾウが帰ってくるとすぐに試合観戦用のモニターを見た。
「どうやらここまで完璧超人を全員負かしているってところだな」
「あぁ、残すはネプチューンマンVSストロング・ザ・武道の試合なんだが……」
チェックメイト、ガゼルマンの顔は浮かなかった。ネプチューンマンはストロング・ザ・武道相手にまるで歯が立たない状態なのだ。全身から流血し、仮面も半分割れている。
「グロロロ、一応元完璧超人のお前への礼儀として全力でぶつかっているのだが、しぶといことだ」
「そりゃどうも、何十年間も山にこもって鍛錬は続けていたからな」
だだだだ
ネプチューンマンが武道に向かって走り出し、両足をあげるようにしながら水平にジャンプした。
『ネプチューンマン! ストロング・ザ・武道にドロップキック!!』
どごぉん
ストロング・ザ・武道に重い一撃が与えられたが、平然とした状態である。
「並の完璧超人なら有効打になっただろうが」
ぐいん
ストロング・ザ・武道はネプチューンマンを抱えて、頭上まで持ち上げてからマットにたたきつけた。
ずしぃぃぃん
「ぐはぁ!」
『ストロング・ザ・武道のボディスラム! ただのボディスラムなのに重い一撃です!! ネプチューンマンに効いているぞ!!』
「まだ……まだ……」
『ネプチューンマン! なおも立ち上がってくる! 一体どこからこの闘志は湧いてくるのか!!』
ストロング・ザ・武道は攻撃の手をいったん緩めた。
「ネプチューンマンよ、今一度聞く。何故お前はそうまでして闘うのだ? 姿を隠そうと思えば隠せる身、危険をおかしてまで、そしてよりによって私に対戦をしかけるとはな。なぜだ?」
「へっ、まずあんた相手に口先で言っても通じねえ事はよく分かる……それでもあんたと対話をしなければならなかった……」
「対話……」
「そう、俺が伝えたいのは対話の精神……目の前にいる相手の考えを正すために魂で言葉を交わす必要がある!!」
がしっ ぶぉぉん
『ネプチューンマン! なんとストロング・ザ・武道の巨体を上空へ放り投げた!! 体格で見劣りするとはいえ流石パワーファイターだけあります!!』
ネプチューンマンも上空へ飛び、ストロング・ザ・武道の首に4の地固めをかけた状態で頭から落下していく。
「新時代の新たな流れを見せよう! 俺が正義超人との交わりで手に入れた力だ!! 掟破りのロビンスペシャル!!」
『ネプチューンマン! 伝説超人のロビンマスクの必殺技を使った!!』
「惑わされおって……」
むき むき むき
ストロング・ザ・武道は自身の首の筋肉を発達させて、絡みつくネプチューンマンの脚のフックを弱くした。そして難なく技をほどいた。
『ストロング・ザ・武道! あっさりとネプチューンマンの技を破った!!』
「お返しと言ってはなんだが、お前のかつての相棒の技を出してやろう。いや、かつて私の技だったが、似非完璧超人にさも自分の技のように使われてしまった技というべきか」
すたん
『ストロング・ザ・武道! ネプチューンマンの足の上に乗っかるように自身の足をのっけて落下だ!!』
「メガトンキング落とし!!」
ががぁぁん
『あ――――っ!! ストロング・ザ・武道の巨体による落下技!! これはネプチューンマンといえども耐えきれるか!!』
「まだだ……」
ずぼっ
マットにはまった頭を抜くようにしてネプチューンマンが立ち上がった。しかし、目の焦点が合っていない状態である。
「もはや立つのもやっと状態か。お前ほどの実力者なら分かるだろ。はなっから勝負にならない戦力差だと。そこまでしてお前は何が伝えたいのだ?」
「俺が言いたいのは……他属性の超人の良いところを……完璧超人も身につけろといいたいんだ」
「下等超人の真似事をしろというのか?」
「その通りだ……俺は今日まで本当に完璧なる力を得ようと努力してきた……完璧超人、正義超人の精神を学び、良いところを吸収したつもりだ……だがそれでも満足する力には至らなかった……だからこそ俺は過去の世界において悪に手を染めた!!」
「ほう……良いだろう、お前の言い訳をたっぷりと聞いてやるか」
「ありがてえ……俺は自分がどんなにさげすまれようとも……悪の道を進んで本当の力を得るヒントが欲しかった!! でも半端な悪にしかなれなかった……変に善良心がありやがった……我ながら迷走しまくりの老害マンってところだったぜ……」
「ふん、貴様が力を得るために何をしても良いとぬかすか!! おまけに結果もともわずとは酷い有様だ!!」
「酷い有様は認めるぜ……でもな、これは俺が力を得るためだけじゃねえ! 後世の超人達へのバトンタッチに必要な行為だと思ったからだ!!」
「それはどういうことだ?
「俺は一度過去で死んだんだ……でも命を賭して俺を救ってくれたお人好しのヒーローがいてな……俺に正義超人の後進の指導を頼む……悪行超人の罪深さ、正義超人としての誇り、その二つの心を持つからこそ授けられるものがある……そういってくれたんだ……」
ネプチューンマンは過去の世界でカオスに命を救われた事を思い出しながら涙ながらに話した。
「涙か、そんな感情を持つとは完璧超人として失格だな……お前の言い分は分かった……判決を下す!! お前が完璧超人の精神を忘れていないなら今すぐに自害しろ!! それが私のせめてもの慈悲だ!!」
「通じねえか……」
「なんでわからねえんだ!!」
モニター越しにヒカルドが怒りを露わにした。
「ストロング・ザ・武道! 少なくともこの俺だけはネプチューンマンの言っていることは正しいと分かる!!」
「ヒカルド……」
「俺は超人オリンピックで敗北してから孤独に一人で修行していた!! そんな時にわけのわからねえおっさんが俺を鍛えにやって来た!! でもこの肉体を通してそのおっさんは俺に超人の属性の垣根を越えた新しい超人のありかたを示してくれた!!」
ヒカルドの必死の声もストロング・ザ・武道に届いた様子はない。
「グロロ、ネプチューンマンよ。お前も罪深い奴だ。惑わされた奴があそこにもおるわ」
「そうだなヒカルド……まだまだ教えなきゃならねえ事がある! 後進達を守るためにも……そして目の前の男を救うためにも……ただで死なねえ!!!」
ぼわぁ
ネプチューンマンの体が金色に光った。
「グロ!? これは!!」
「お前の目を覚ますために、この一撃に全てをかける!!」
ドドドドド
『ネプチューンマン! 自慢の左腕を水平にかまえてストロング・ザ・武道に向かった!!』
「受けて立とう! お前の精神に!!」
ストロング・ザ・武道も対抗して左腕をかまえた。
「喧嘩ボンバ――――ッ!!」
ずがぁぁぁぁぁん
『両者左のラリアットで激突!! 凄まじい衝撃が実況席・観客席にも響いております!!』
ネプチューンマン、ストロング・ザ・武道は互いに左ラリアットを相手の顔面にくらわせる相打ちになった。
「ごはぁ!」
ネプチューンマンが血反吐を吐き倒れた。
カン カン カン カン
『あぁ――――っ!! ネプチューンマンが倒れた! 残された力を全て使い果たした乾坤一擲の一撃でしたが、勝利につなげられなかった――――っ!!』
「グロロ……」
びきん ばきぃん
『あ――――っ!! なんとストロング・ザ・武道の仮面が割れ、その素顔が明らかになった――――っ!!』
ネプチューンマンは倒れながらもストロング・ザ・武道の素顔を見た。
「やっと会えたな……ザ・マン……」
意地の一撃 偽の面を砕く!!