マーベラスが技を解いたが、キッドは起き上がらない。マーベラスは勝利を確信した。
「あっけなかったな。お前はテキサスの暴れ馬という異名を持つようだが、テキサスの仔馬に名前を変えたらどうだ?」
「ふ……ふざけた事言ってんじゃねえぞ……」
『あ――――――っ! キッドが満身創痍ながらも立ち上がってきた――――――っ!』
「馬鹿な! あれで立ち上がれるなんて!」
「お前は俺がテキサスの暴れ馬の異名を持つとか言っていたが……」
テリー・ザ・キッドがスカ―フェイスに指を指す。
「今お前の仲間と闘っているスカ―フェイス、あいつに異名を奪われたままなんだよ……」
スカ―フェイスが自分の名前が出てきて反応を示す。
「いつの日かパパの異名を奪え返す……あいつよりも強い男になるために……ここで倒れてられねえんだ!」
「あいつめ……」
スカ―フェイスがキッドに笑みを送る。
「キュワキュワ、なるほどな! ならばお前に最高の試練を与えてやろう! ライジングドラゴン!」
がぶ がぶ
『キッドの両脚に双龍が噛み付いた――――――っ!!』
「<完昇>双龍同体飛燕――――――っ!」
『双龍がキッドの身体に回転を加えて上昇させた――――――っ!! マーベラスが宙に飛ばされたキッドを追ってジャンプ!』
「キュワキュワ、これでとどめをさそう!」
がきぃ がきぃ
その技を見てスカ―フェイスが驚いた。
「なっ! あの技は!?」
その技はほとんどアルティメット・スカ―・バスターに近い形態のものだった。ただ、両腕を双龍に噛み付かれて、より脱出の困難なものとなっている
『これは! スカ―フェイスの必殺技アルティメット・スカ―・バスターを越えるバスター技だ――――――っ!!』
「アルティメット・マーベラス・バスター!!」
『キッド大ピンチ! この技を脱出できなければ死ぬ可能性は高い!!』
テリー・ザ・キッドは朦朧とした意識の仲で考えた。
(どうする? キン肉バスターの攻略方法は以前スカ―フェイスが示したが、その一つである首からのエスケープはできない。かといって俺には6を9にひっくり返す程のパワーもない。ロビンマスク、あんたならこんな時どうしたんだ……)
時は過去の世界へ旅立った時へ戻る。ロビンマスクがテリー・ザ・キッドに大事な話をしている。
(キッドよ、お前も薄々感じているかとは思うが、私達では時間超人達には勝てない)
(ロビン! あんたらしくねえぞ! そりゃあライトニングもサンダーも強いが……ケビンマスクを助けたくはないのか!)
(話を最後まで聞いてくれ。恐らく私達よりもキン肉マン、テリーマンの二人が闘った方が勝率は高い。そして、お前の仲間であるキン肉マンの息子を名乗る男ももしかしたら……。だから私は未来のお前に託すことにした)
(未来の俺?)
(短期間の付き合いではあるが、お前の胸に眠る正義の魂、そしてテリーマン以上の超人になるポテンシャルを、私は理解し、信じた。だから大会期間中、お前に私の全てを授けられるように鍛えよう。今後、未来の世界に時間超人以上の敵が現れても対処できるようにな)
(いいのかロビン? 本当に自身の手でケビンマスクを助けなくてもいいのか? それにもしお前の意向がばれたら総スカンものだぞ)
(私の個々の意志や評判よりも、未来の正義超人界が優先だ。お前は気にせず私の強さを引き継いでくれ)
テリー・ザ・キッドは強い意志を持った顔で頷いた。
「俺は改めて思い出したぜ……」
ぼわぁ
『あ――――――っ! キッドの身体が金色に発光した――――――っ!!』
「今更どうあがこうが、無駄だ!!」
「見てろよスカ―フェイス! これがテキサス流のバスター返しだ――――――っ!!」
ぐいん
テリー・ザ・キッドは足腰に全力をこめて前方にふった
「なっ、体勢が!?」
両者の体勢は180度反転し、テリー・ザ・キッドがキン肉バスターをかける体勢となった。
『あ――――――っ!キッド! アルティメット・マーベラス・バスターを前後方向にひっくり返し、バスター返しを繰り出した――――――っ!』
テリー・ザ・キッドはロビンマスクに過去に言われた言葉を思い出した。
(自分の父親を素直に受け止めよ。テリーマンであることを拒否せずに、テリーマン以上のテリーマンになるんだ)
「そう! 俺のパパだったら足腰の強さを活かしてこんな感じで脱出しただろうな――――――っ!!」
ずがぁぁん
「テキサスバスター返し!』
「キュワガハァ!」
マーベラスが血反吐を吐いた。
『キッド! まさかまさかのアルティメット・マーベラス・バスターを返し逆転の技を繰り出した――――――っ!!』
「まだ終わっちゃいないぜ!」
キッドがキン肉バスターの体勢を保ちながら、リングロープに登り、リングロープの弾性を利用したジャンプをしながら、マーベラスを空中に回転させて宙に放った。
ゴワッ ゴワッ ゴワッ
「テキサス流アイス・ロック・ジャイロ――――――ッ!!」
『なんだこの技は――――――っ!? マーベラスの身体が宙で凄まじいスピードと回転で飛び回り身体が凍り付いていくぞ――――――っ!!』
「キュワ~~ッ! 動けん!!」
「この技を持ってテキサスの暴れ馬を取り戻す!!」
がしぃ
『キッド! 凍り付いたマーベラスの後頭部に両膝を載せ、さらに両手を双龍に押し付けてそのままマットに落下だ――――――ッ!!』
「トリプルブランディング――――――ッ!!」
ずがぁぁぁんん ばりぃぃぃん
『決まったぁ! マーベラスと双龍の頭、計三つの頭を一気に仕留めた荒技だ――――――っ!!』
マーベラスを覆う氷は割れたが、失神していたようだった。
カン カン カン カン
「わあああああああああ!!!!」
キッドの勝利を告げるゴングの音色に観客は盛り上がった。スカーフェイスも嬉しそうな顔をしている。
『やりましたキッド! もはや駄目かと思われましたが、怒濤の反撃技で奇跡的逆転勝利をつかんだ――――――っ!!』
その様子をロビンマスクも遠くからモニターで観戦していた。
「やったな、盟友よ」
ずきん
「ぐっ!」
両手をかかげて高らかに勝利をアピールしていたテリー・ザ・キッドが右膝をおさえてうずくまった。
さらに失神していたマーベラスが意識を戻した。
「キュワキュワ、まさか下等超人に敗北するとはな……忠告しておく、お前が闘いを継続するのであれば、おれ以上の敵と闘わなければならない……その脚を完治しなければ善戦すらできないだろう……」
「ユーの忠告、しかと聞かせて貰ったぜ」
「感謝する……生き残れよ、テキサスの荒馬……」
そこまで聞いてテリー・ザ・キッドがはっと気付いた。
「待て! ガゼルマンやチェックメイトにお前達を救うように託されているんだ!」
しかしテリー・ザ・キッドは脚の痛みで思うように動けない。
「脚を痛めずに勝つぐらい強くなりな……でないと俺達の自害は止められないぜ……ライジングドラゴン!」
蒼龍がマーベラスの胸をえぐり、心臓を引きちぎった。
「がはぁっ!」
マーベラスは血反吐を吐き、すぐに息絶えた。
「マーベラス!」
だぁぁん
テリー・ザ・キッドを両手をマットに強く叩き付け、完璧超人を救えなかった悔しさを表した。
しかし、異名は取り戻した!!