『あ――っと! セイウチンの雰囲気が野獣のように変わっていった――っ!! これはもしや!! 過去の世界でネプチューンマンによって覚醒したセイウチンの野獣の姿か――っ!!』
「グロロ――ッ!!」
セイウチンが身体を前方向に回転させながらポーラマンに向かってきた。
「セイウチトゥース!!」
ガブゥ
「ぐおぁっ!!」
ポーラマンが苦痛の声をあげた。
『これは残酷!! セイウチン!! 自身の牙をポーラマンの肩にさした――っ!!』
「ぐっ! なんの!!」
『ポーラマン両手を使ってセイウチンの牙を強引に引っこ抜き、その流れでコーナーポストへ投げつけた――っ!!』
「グロロ~~!!」
セイウチンは牙をコーナーポストへ引っかけながら自身の身体を上手く回転させて、その勢いでポーラマンにドロップキックをかました。
「ボフォッ!?」
『あ――っと!! さっきとはうってかわって!! セイウチンがポーラマンを圧倒しているぞ――っ!!』
「これでおわりじゃねえだ!!」
『セイウチン!!ポーラマンの左腕を一本背負いでかついで巨体を持ち上げ、勢いよくリングに叩きつけにいった――っ!!』
ずしぃぃん
「ボッフォボッフォ、なるほど、これが本来の姿のお前ってわけか」
『あ――っと!! ポーラマン!! 平然と起き上がってきた――っ!!』
「これでも受けてみな――っ!!」
どがぁ
『ポーラマン!! セイウチンのボディに前蹴りをおもいっきりくらわした――っ!!』
「おめえの方こそ、てぇしたことねえな!!」
ぼごぉ
『なんだこれは――っ!! セイウチンの前蹴りを受けた部分が凸状に伸びて、ポーラマンを攻撃した――っ!!』
「ぐおっ!」
「次はこれだ――っ!!」
『セイウチン!! 今度は背中からのボディプレス、スワンダイブだ――っ!!」
「そんな何の変哲も無い技、容易に受け止めてくれるわ!!」
「ひっかっかったな!! ニードルファー!!」
グサグサグサ
「があああ!!」
『セイウチン!! 今度は身体をの毛皮を硬い針状にしてポーラマンを串刺しだ――っ!! ここまで猛攻をくらうと流石のポーラマンも倒れるか――っ!!』
「ボフォボフォ、期待して一通りお前の技を受けてみたが、全然大したことがねえな――っ!!」
『ポーラマン!! セイウチンの身体に刺さったのを強引に引きはがし、セイウチンごと空高く飛んだ――っ!!』
ポーラマンはセイウチンを自身の背中側にかたまてそのまま落下していった。
「くらえ、マッキンリー颪!!」
グワァガァ
「ぐほぁっ!!」
セイウチンは血反吐を吐いて倒れた。
『ポーラマン!! ここまで猛攻を受けてましたがあっさりと逆転してしまいました!!』
ワ~ン ツ~ スリ~
「ボフォボフォ、これでようやく、ポーラ一族の屈辱の歴史が終わる!! セイウチ一族との争いで大半の者が殺され、仲間や家族を失った俺に残されたのは強い自分だけだった!! もう誰も殺させまいと、完璧超人になった思いは今報われたのだ!!」
「そうか……そういうことだったか……」
エイト~ ナイ~ン
セイウチンがふらふらになりながらも立ち上がった。
『セイウチン!! あれだけ強烈な一撃をくらってもまだ倒れない!!』
「ほう、根性は大したもんだが、大人しく寝ていた方が楽に死ねるぞ?」
ポーラマンは腕を組んでセイウチンを眺めている
「おらは新世代超人の未来を守ろうと闘っていた……でもそれだけではだめだ……おめえを救わなきゃいけねえ……」
「……」
ポーラマンは黙ってセイウチンの話を聞いている。いつしかセイウチンも野獣の顔つきもなくなりいつもの優しい顔へと変化していた。
「あんたは長年苦しんできただ……家族や仲間をなくすのは誰だって悲しいだ……でもこんな口先だけでそれは伝わらねえ」
ボワァ
セイウチンの身体が金色に光った。
「話はわかった。ではお前の命で、今後のセイウチ一族の恨み辛みは一切なしにしてやるわ!!」
『ポーラマン! セイウチンにとどめをさしにいった! セイウチンを上空に放り投げ、なにやら固め技に決めていった!!』
グワガァ
「熊嵐固め!!」
『ポーラマン!! セイウチンを脱出できない体勢に固めて自身ポーラネイルをセイウチンの背中にくいこませた!!』
「楽には死なせねえ!! じわじわと苦しめて殺してやる!!」
「この試合、おらが勝つだ!!」
ムキムキ
セイウチンが肩の筋肉を発達させていく。
「な、なんだこれは!! 先程よりもパワーが違う!? 馬鹿な!! 下等超人が7200万パワーの力を持つ俺の力を跳ね返していく!?」
ずぼぉ
『セイウチン!! なんとポーラマンの技から抜けた――っ!!』
「ネプチューンマン、まだおらはおめえにちゃんと礼をしてなかっただな」
セイウチンは左腕をポーラマンの首にひっかけたまま高速でリング内を一周するように高速で駆けていく。
『あ――っと!! セイウチン!! ポーラマンをラリアットの体勢で高速で走る!! リングには竜巻まで出始めた――っ!!』
セイウチンはポーラマンへラリアットの体勢を崩さないまま竜巻にのってのぼっていく。
「ぐぐぐ……段々と意識が遠のいていく……」
「そうだろ、ラリアットの状態を長時間保ち続けたら、脳に血がいかなくなって、意識が薄れてくるだ。しかし、これでこの技は終わりじゃねえ」
『セイウチン! 空中で何やら技を決めにいった!! ポーラマンの頭を背中から両脚を固定し、両脚を自身の腕で掴み、そのままリングへ落下だ!!』
ガガン
「サーモンスプラッシュ――!!」
ポーラマンは頭を強く叩き付けられ、そのまま意識を失った。
カン カン カン カン
『やりましたセイウチン!! 強豪ポーラマン相手に敗北かと思いましたが、逆転勝利を収めました!!』
「当たり前だ」
超人病院内で観戦していたヒカルドがそう言うと、一緒の部屋にいた新世代超人達がふりむいた。
「ネプチューンマンが言っていたんだ。あいつは根が優しいしポテンシャルも高いから、かつてキン肉マンが得意としていた慈悲の力を使いこなせる素質はあったとな。しかし、優しすぎるがゆえに対戦相手に本気を出せないところもあり、過去に旅立つ前の時点でもそれなりの闘いのキャリアはあったが、その悪い癖は治らなかったと。また、対戦相手にも恵まれず、慈悲の力を開花させるきっかけもなかったと。荒っぽいやり方だったが、野獣として覚醒させ相手への手加減をなくすファイトスタイルを確立させた。さらにセイウチンは旧世代超人のウォーズマンと闘うことも出来た。ここまでやればあとは本人次第だとな……」
「そうか、ネプチューンマンの言動があんなにも酷かったのはそこまで考えていたからじゃったのか……」
バリアフリーマンが納得いった表情を見せた。イリューヒン、ガゼルマン、チェックメイトも納得の顔を見せる。
リングでは倒れているポーラマンへセイウチンが寄り添った。
「ポーラマン、今おめえは自決使用としていると思う。でもその前におらの話を聞いて欲しいんだ」
「いいだろう……勝者の権利だ……話ぐらい聞いてやる……」
「ありがとう。確かに先の争いでセイウチ一族とポーラ一族が闘い、セイウチ一族が勝ち、ポーラ一族負けて苦しんだという歴史があるかもしれねえ。でも、争いに勝ったも負けたもねえ、どっちも被害者なんだ……」
「ひ、被害者?」
「そうとも、ポーラマンも大事な人を多く失ったように、勝った方だって仲間を多く亡くしている。おらだって父ちゃんを亡くしちまっただ……。だからこそ憎むのではなく、互いに互いを理解して、失った物を取り戻すため、手を取り合う事が大事だと思うんだ……」
「手を取り合う……」
「この闘いが終わったら、おらが残ったポーラ一族達と話をつけにいく。遅くなったが、復興のために力を貸すと。もちろん互いに対等な立場としてだ」
「ふん……そんなこと、誰が信じるかってんだ?」
「そうだとも、おめえ含め完璧超人がおらたちを下等とみなすのと同様に、どこかで皆、上下を決めちまって対等なんて言葉忘れている。だからこそ、欲しいものがあれば下の奴から奪うという思考に至り、おらたちセイウチ一族もかつて侵略のために争いを起こしたと思うんだ……。といっても、お互い口だけでは分かり合えねえ、だからこそ、今日みたいにおもいきって喧嘩しあうことも大事かもしんねえだ。現にポーラマン、おめえと今日闘えたからこそ、この考えに至れたんだ!!」
「なるほどな……お前の考えは受け入れたいが……もう少し早くな……お前のようなセイウチ一族に会いたかったぜ……」
ポーラマンはよろよろと立ち上がってきた。
「生きるんだポーラマン、おらはおめえと仲良くなりてえ!!」
ひゅん
どこからか雷の形をしたサーベルがリングに降り注いだ。
ばしぃん
ポーラマンは咄嗟にセイウチンをリング外にふっとばした。
グサ グサ グサ
ポーラマンにサンダーサーベルが複数本突き刺さった。四階のリングのグリムリパーがサンダーサーベルをポーラマンに飛ばしていたのだ。
「ニャガニャガ、ポーラマンさん、容易に自害できない状態のようでしたから」
「ありがとうなグリムリパー……これで、俺も家族のもとへやっといける……」
ばたり
「ポ、ポーラマ―――ン!!」
セイウチンが号泣しながらポーラマンのもとへかけよるが既に息絶えていた。
平和の願いよ届け!!