キン肉マンⅡ世~完璧超人始祖編~   作:やきたまご

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ガゼルマン劇場の始まりだぜ!!


一番男のプライド!!の巻

 次々と決まるガゼルマンの膝蹴りに、ダルメシマンの顔から余裕の表情が消えた。

 

「調子に乗るなよ、下等超人!!」

 

がぶぅ

 

「ぐおああ!!」

 

『ダルメシマン! ガゼルマンの右肩にくらいついた――っ!!』

 

 ガゼルマンは苦痛に顔をゆがめる。

 

「ウォンウォン! ガゼルの肉は初めてだが乙な味だぜ~~!!」

 

がぶぅ がぶぅ

 

 ダルメシマンさらに噛み付いて、ガゼルマンの肩の肉を味わっている。

 

がしっ

 

「ヘラクレスファクトリーでな、こういう時にどうすればいいかも教わっていたんだぜ!!」

 

 冷や汗をかきながら、ガゼルマンは両腕でダルメシマンの身体を掴んだ。

 

『ガゼルマン! 自身の右肩をダルメシマンに噛ませたまま、ダルメシマンを後方に投げた!』

 

ガゴォ グワシィ

 

「ギャオン!」

 

 ダルメシマンは頭から叩き付けられ、同時にガゼルマンの右肩も一部もげた。

 

「敵に許しを請うくらいなら肩の肉くれてやれってな!!」

 

 ガゼルマンはヘラクレスファクトリーでラーメンマンに教わった事を実践したのだ。

 ダルメシマンにダメージを与えたものの、ガゼルマンの右肩もえぐれて、出血が激しい。

 

「ウォンウォン! 良い血の匂いだ! 野生の血が吠える! ドギーネイルキック!!」

 

『ダルメシマン! ガゼルマンに鋭い爪の生えた足で右のハイキックだ!!』

 

さっ

 

 ガゼルマンは上半身の力を抜くようにして頭を下げて、ドギーネイルキックを軽くかわした。

 

『ガゼルマン! キックボクシング技術のバックスウェーで攻撃をかわした!!』

 

「本当の蹴りっていうのはこういう蹴りをいうんだ!!」

 

バシィィン

 

「ウォン!!」

 

 ガゼルマンは左のローキックが、ダルメシマンの左脚の膝裏に命中した。

 

どたぁ

 

 ダルメシマンはハイキックの最中に軸足を蹴られたので、バランスを崩し、倒れた。

 

『ガゼルマン! お返しに鋭いローキック!! ムエタイ仕込みの凄まじい蹴りです!!』

 

「どうだ! 関節の裏は筋肉がつかず、いかなる格闘家でも鍛えづらいところだ! さぞかし痛かろうな!!」

 

「お、おのれ~~!!」

 

「ここらでフィニッシュだ!!」

 

 ガゼルマンがリングのロープにジャンプし、ロープの弾性を利用して高くジャンプし、身体を回転させながらダルメシマンへと向かっていく。

 

「サバンナヒート――ッ!!」

 

 ガゼルマンは右手に爪形の武器、アントラーフィストを装着した状態で体を回転させた。

 

『ついにガゼルマンの最大の必殺技が出ました――っ!! 正義超人軍の初の一勝目をあげるのはまさかのガゼルマンか――っ!!』

 

「ウォンウォン、そうはいくか――っ!!」

 

もぞもぞ もりもり

 

 ダルメシマンの黒ぶち模様が茶色くなり、やがて身体全体が茶色くなり筋肉質な身体となる。

 

かきぃん

 

『これは! ダルメシマンの牙がガゼルマンのサバンナヒートを受け止めた!』

 

「なに!?」

 

 ガゼルマンは自身の必殺技を防がれショックが隠せない。

 

「ウォンウォン、俺が変身したのは土佐犬。そもそも土佐犬とは日本の四国犬であった。しかし、その昔完璧超人が完璧超人ならぬ完璧超犬を産み出すために、四国犬に超人レスリング向けの犬種をミックスし生命体を産み出した!! それは闘うためだけに産まれた最強の土佐犬!! つまりおれのことだ――っ!! こんなガラスの爪、痛くもかゆくもないわ!!」

 

ぴきぴき ぱきぃん

 

 ガゼルマンのアントラーフィストが砕けた。

 

「あぁ!! 俺のアントラーフィストが!?」 

 

「思い知るが良い!! 完璧超人と下等超人の差というのをな!!」

 

 ダルメシマンがガゼルマンの頭に噛みつき、両膝をガゼルマンの側頭部にヒットさせた。

 

「ドッグイヤークラッシュ!!」

 

ドゴォン

 

「ぐほあ!!」

 

 ガゼルマンがダウンした。頭部も肩も噛まれて出血が激しくなり、ガゼルマンも意識がもうろうとしている。

 

『ガゼルマンダウン! 予想以上に善戦しましたがここまでか!!』

 

ワ~ン ツ~ スリ~

 

「終わったな」

 

 ダルメシマンがガゼルマンに対し背中を見せ、リングを降りようとする。

 

「ま、まだ、終わっちゃあいないぜ……」

 

 ガゼルマンは朦朧としながらもロープをつかんで、ゆっくりと立ち上がってきた。

 

セブ~ン エイト~

 

『ガゼルマン立った! まだ試合は終わっていない!!』

 

「お前、まだ闘う気か? これ以上やってもお前の弱さを思い知る事になり、惨めになるだけだぞ?」

 

「弱さを思い知る? 惨めになる? ハハハハハハ!!」

 

 ガゼルマンは突然大笑いした。

 

「どうやらドッグイヤークラッシュで頭をおかしくしたようだな」

 

 ダルメシマンはやれやれと言わんばかりの顔をしている。

 

「恥ずかしい話、こちとら自分の弱さをよぅく知っているさ~~。なんせ公式戦におけるめざましい活躍がないに等しいからな。最初こそ皆俺に注目していたが、いつしか誰も俺を戦力とみなさなくなり、色んな奴に内心馬鹿にされて、惨めの中の惨めってポジションになってしまった」

 

「ウォンウォン、よく自分を見ているが、自虐的すぎて笑えないぜ」

 

「でもな……いつしか万太郎達が闘えない状況が来たら、仲間のために、そして、俺の失った誇りを取り戻すためにリングに立つと決めたんだ――っ!!」

 

 ガゼルマンの目に闘志が戻ってきた。

 

「では、このダルメシマン様がお前を英雄として戦死させてやろうではないか――――っ!!」

 

『ダルメシマン! 再びガゼルマンに襲いかかる!!』

 

「ここで負けたら、もう俺は永遠に金魚の糞! 二度と仲間達と肩を並べられる立場にはなれねぇんだ――っ!!」

 

ボワァ

 

 ガゼルマンの身体が金色に光った。

 

「ウォン!? なんだこの発光は!?」

 

「これが、ガゼルマン様の実力だ――っ!!」

 

ビシィ ズゥン ガキィン ドゴォ

 

 ガゼルマンはダルメシマンに素早く左ジャブ、右ストレート、左アッパー、右膝りのコンビネーションをくらわした。

 

「ウォォン!?」

 

『すごいぞガゼルマン! もはや駄目かと思われましたが、起死回生の猛反撃だ!!』

 

「ば、ばかな! さっきとはスピードもパワーも違う!?」

 

 ダルメシマンはグロッキー状態である。

 

「今だ!」

 

がしっ

 

 ガゼルマンはダルメシマンを脚からつかみ、空中へと高くジャンプした。そしてダルメシマンの身体を逆さにしつつ、両腕でダルメシマンの両脚の膝を折りたたむように曲げていく。さらに、自身の太ももとふくらはぎの間にダルメシマンの腕をはさみ、ダルメシマンの頭をたたきつけにいく。技としてはパイルドライバーに近い形の技である。

 

「初公開! これがおれの新必殺技! ワイルドスト――ムッ!!」

 

ドガァァァン

 

 ガゼルマンの技は見事に決まった。ダルメシマンはマットに頭から勢いよく叩き付けられ、身体もくの字に折れて背骨が折れた。

 

「ごはぁ!」

 

 ダルメシマンは血反吐を吐き、やがて意識を失い立ち上がれなくなった。

 

カン カン カン カン

 

『やりましたガゼルマン! 奇跡の勝利です!! 完璧超人無量大数軍から一勝目をあげました!』

 

 ガゼルマンの勝利を期待していなかった観客が多く、思わぬ勝利に大いに盛り上がった。

 

「ガゼルマン! ガゼルマン! ガゼルマン!」

 

「うぅ……」

 

 ダルメシマンが意識を取り戻した。ダメージが残っており満足に立ち上がれず、四つん這いである。ガゼルマンは四つん這いのダルメシマンに近寄り、右手を差し出した。

 

「お前のおかげで俺は自分の力を限界以上に引き出せた。だから感謝の気持ちを示したい」

 

 ガゼルマンの眼は先程まで敵に対する闘争心に満ちたものだったが、、今はライバルに対する敬意で満ちている。

 

ばし

 

 ダルメシマンがガゼルマンの手を払いのけた。

 

「負けた完璧超人に情けは無用だ!」

 

 ダルメシマンは、何とか立ち上がる。

 

ぼきぃ

 

 ダルメシマンは自分の牙の一本をへし折った。

 

「お前……かつてはヘラクレスファクトリーで一番だったんだよな……」

 

 ダルメシマンの思わぬ言葉にガゼルマンは驚いた。

 

「一番に戻れる日もそう遠くないかもな……」

 

 ダルメシマンはガゼルマンに向かって、寂しそうな笑みを浮かべた。

 

「ダルメシマン、お前まさか……」

 

「これが敗北した完璧超人の最期だ――――――っ!!」

 

グサァ どぼぁ

 

 ダルメシマンは自分がへし折った牙を、自身の心臓にめがけて刺した。心臓にピンポイントで刺さり、胸部から大量の出血が見られる。

 

「ダルメシマン!?」

 

「ウォン……」

 

 ガゼルマンがかけよったが、ダルメシマンはすぐに息を引き取った。

 

「なんだよ……なんだよ――っ!! お前……俺に負けて悔しくねえのかよ……俺だったらめちゃくちゃ悔しいぞ――っ!! お前悔しいと思うならよ、今からでも地獄から戻って来い!! ダルメシマ――――ン!!」

 

 ガゼルマンの悲痛な叫びが響いた。しかしその声はもうダルメシマンには届かなかった……。




両者の誇りはすれ違った……
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