この残酷なゴブリンだらけの世界に祝福を! 作:wisterina
「……絶対に嫌だ」
「いつまで拗ねてんのよ命の恩人の目の前で」
昇格審査から三日後のお昼時、ギルドの一角にあるテーブルに、この前意気揚々と共にゴブリン退治に出撃した剣士が顔を天板の上に突っ伏している。見るも無残にやる気のない様子、目に精気も宿っていない、完全にニートの目そのものだった。その隣で女武闘家が剣士の肩を揺らして起こそうとしているが梃子でも俺に顔を上げない。
以前の希望に満ちていた剣士とはあまりにも変わりすぎて、ダクネスが唖然としている。
「で、俺にこのニート予備軍まっしぐらのこいつに何をしてやれって言うんだ」
「ニートという言葉はよくわからないけど、この腑抜けになったこいつにもう一度冒険をさせてやってください! こいつ、もうあれからずっと冒険者なんてやりたくないって駄々をこねて」
「だって、ゴブリンなんて弱いやつだと思ってたのに、俺殺されかけたんだぞ。まだあの嬲られた感覚が、体中に染み付いているんだ! もう村に帰って畑を耕して静かに過ごしたい!」
「そうかじゃあな」
俺が席を立ちあがって話を切り上げると、女武闘家が翻した俺のマントをつかみ上げて物理的に引き留めた。
ぐえ、首が、首が締まる。
「待って! そんなあっさりと引き下がらないで!」
「本人が静かに余生を過ごしたいといってんだからそれでいいだろ。面倒なもめ事を俺の所に持ってこないでくれ、それにあの女魔術師はどこに行ったんだよ。あいつと一緒に行けばいいじゃねーか」
「あの子なら、今日もめぐみんと一緒に爆裂魔法を習得するって言って街の外で練習しているわよ」
この場にいなかったあの魔術師二人組の行方を、アクアが宴会芸の練習をしながら伝えた。これだけ見れば、こいつが女神じゃなくて大道芸人に見えなくもないな。
騒音問題が解決するまで、これ以上信頼を失わないようにここ数日ゴブリン退治に行っていない。爆裂魔法をぶっ放していない欲求不満が昂ぶり、ここ数日は女魔術師に爆裂魔法を教えているようだ。この世界の人間が、俺たちの世界の魔法を実際習得できるかはわからないが……
「彼女と一緒に行くようにも言ったけど、あたしたちだけだと絶対に死ぬ目に遭うに決まっているというばかりで、なのであたしたちより実力がある恩人のカズマたちと一緒にパーティーを組んで、こいつの目を覚ませてやろうと」
ようやく女武闘家がマントを手から離してくれて、深く呼吸ができるようになった。剣士の方を見ると「冒険者なんて死にに行くようなもんだ」とうわ言のようにつぶやいている。
何がこいつらといたら命が持たないだ。だいたい危ない目にしたのは、あんな狭い洞窟の中で剣を振り回して仲間の援護ができなくして、自滅したからだろうが。おまけに回復薬も買っていない、あのときアクアがいなかったらまじで死んでたんだぞ。
だったら俺のパーティーと一時交換してお前がリーダーとなってみろ。ダストのようにあっという間に崩壊するのが目に見えるぜ。
「俺たちだって、そんな余裕ねぇんだよ。借金もあるし、バイトして稼がないと最悪今日の宿も馬小屋から追い出されるかもしんねえんだよ。ほかの上級のパーティーと組んでくれ。俺らまだ白磁級なんだぜ」
「ふふ、借金まみれでその日の宿もない。むしろ私は大歓迎なのだが」
「ダクネスさん、自分の生活苦を自虐しないでよ。ダクネスさんみたいなすごい人がそんなこと言うとこっちまで悲しくなるわ」
女武闘家が、テーブルに手をついて頭を抱えるような仕草をするダクネスが自虐を言っていると勘違いを起こしているようだが、残念ながらこいつは本当に最悪の状況を心の底から望んでいるんだ。しかし、本当に頭を抱えたいのはこっちのほうなんだがなぁ。は~あ、とにかく借金だけでも帳消しにできないもんかねぇ。
「無理だ。できない」
「しらばっくれても無駄よオルクボルグ。歌の中で貴方が山を燃やすほどの雷の魔法を持っているのを聞いたの」
「耳長の、お主もしつこいのう。そりゃ吟遊詩人の誇張じゃろう」
二階へ続く階段から数人の男女の声が聞こえてくる。その中に聞こえていた淡々と抑揚がなく、こもる様な声はゴブスレさんのものだとすぐに分かった。珍しく、神官ちゃん以外の人に囲まれているようだ。
この世界に来てまだ一か月程度であるが、あの人いつも周りから一歩引かれている。まあその原因が、いつも血だらけ泥だらけの鎧を街中でも身につけているからだろう。俺だって日本にいた時、自衛隊の人が迷彩の戦闘服を着て町の商店街を歩いていたら何かあったのかと、その人や周囲を警戒してしまう。ましてや、血でもついてたら絶対に近寄ろうとは思わないだろう。いい意味で平和ボケしている日本人的思考かもしれないが……
そういうわけだから彼一人か、神官ちゃんの二人だけがいつも常だから、これは珍しいと俺は階下から声をかけた。
「ゴブスレさん、なんか騒がしいっすけどどうしたんすか?」
「……雷のくだりはこのパーティーからだ」
「……えっ!?」
ゴブスレさんの後ろから女の声が驚きの声を上げると、ひょいと階段の欄干を越え、物珍しそうに俺の前にやってきた。この女性もやはり美人だ。だが俺が目を引いたのは容姿ではあるが、美人だということじゃない。銀色の髪のショートカットからタケノコのようににょきっと異様に横に伸びている耳にだった。
「もしかして、エルフか!?」
「正確には上
それって、もしかして爆裂魔法のことだよな。そこの間違いを彼女に訂正させている間、俺は感激していた。
本物、本物だ! 横に長い耳に容姿端麗な顔そして背中に背負っている弓、どこを出しても立派なエルフですと言い張れるほどのまごうことなきエルフの特徴を完璧に抑えている!・・・そういえば貴族令嬢さんの美貌に見惚れてあんまり気にしてなかったけどあの人のパーティメンバーの魔術師さんも耳が尖がっていたな。もしかしてあの人もエルフなのか?それに野伏さんの方も人間にしては小柄だったけど同じように人間じゃないのかな?
そう考えていると
「ねえ私たちの依頼を受けてみない? まだ貴方白磁級だし、私たち銀等級からの依頼だから箔がつくわよ」
「あ~、悪いけど。これから大事な用事があるからできねえんだよ」
「大事な用って?」
「工事現場でバイトだが」
「あなた、それでも冒険者なの!? なんで冒険者が、依頼を受けずに日雇い労働者のまねごとしているのよ!!」
こ、こいつ。人の生活苦事情をずけずけと言いやがって、こちとら日々の飯代とかやりくりしているってのに……
「ええ冒険者ですよ!! 日銭をあくせく稼ぐために、眠い目擦ってゴブリン退治に行き、昼間は工事現場でアルバイトをしてどっかの馬鹿がつくった飲み代の借金を返済するために日夜働いている冒険者ですが!!」
「なんでそんな借金つくったのよ!」
「俺だって知りたいよ!!」
「ハハハ、只人には色々面白いものがいるのう」
「ふむ、拙僧は只人の世には疎いのであるが、小鬼殺し殿しかりこの者しかり性格の幅が広いでありますな」
ゴブスレさんの後に続いて二人が俺たちを見ながら階段を降りてきた。
お、おおぉ!! ドワーフに、リザードマン! ファンタジー世界の定番の種族が一堂に! ドワーフは短身で強健そうな太い腕、リザードマンの人はまさしくトカゲの見た目だ!
「本物だ。これだよ、これこそファンタジーの醍醐味だよ」
「カズマさん、なんかこの世界に来てから初めて喜んでいるようね」
いつの間にかアクアが俺の後ろからひょこっと飛び出してきた。当たり前じゃないか、この世界に来てからろくでもない目ばっかに遭ってんだ。いや、元の世界でもそうだ。あっちの世界ではエルフとかドワーフかまだファンタジーの定番種族に会っていないんだぞ。出会うのは、空飛ぶキャベツにでかいカエルにアクシズ教徒と変なのばっかりだ。
「貴方、この子とは知り合いのようね。さっきの依頼のこと話していたのだけど、もちろんただじゃないわよきちんと報酬は出すわ。冒険者なら、工事現場のバイトをするより冒険をしなきゃ」
まあ俺だって好きで工事現場で働きたいわけじゃない。あくまで死ぬ可能性が低いからやっているだけだ。それで借金返済ができるかというと雀の涙程度なんだが。俺は周りに聞こえないように、
「それぐらいなら今回の報酬で借金も帳消しにしてあげるわ。旅費もこっちで負担するし」
「いい案件じゃないかカズマ、銀等級の彼らと共にクエストを受けられ、おまけに借金も帳消しになるぞ。まあ私はもっと困難と苦痛がたっぷりのクエストのほうが良かったのだが」
ダクネスが一人妄想に耽っているのを無視して、肝心の内容のことについて聞くと話は端的に言えばゴブリン退治だった。
俺の心は揺らいでいた。もちろん借金も帳消しになるし、旅費の負担もないから俺としては万々歳なのだが、ギルドからまた爆裂魔法を慎重に使うように言われているので、中に入ってゴブリンを一匹づつ倒さないといけない危険な目に遭うんだよな。
「俺は出発する。来るのか来ないのか好きにしろ」
「えっ!? なんですと!」
まだ決めてもいないのにゴブスレさんは、一人支度を整えて歩き出そうとしていた。さすがに相談もなく一人で勝手に決めるのはどうなんだ。と俺が言いたいことを神官ちゃんが代弁してくれた。
「ゴブリンスレイヤーさん。せめてこう、みんなに相談とかしてください選択肢があるようでないです!」
「しているはずだったのだが」
「もちろん乗ったわ」
俺がまだ決定すると決めたわけでもないのに、アクアが勝手に前に出てクエストを受けることを宣言してしまった。
「だって、借金が帳消しになるんでしょ。こんなチャンス逃しちゃもったいないわよ」
「ああ、まあ確かにバイトも体力のわりにそんなもらえないし、クエストも白磁級だからわりのいいのもないから俺としても悪くはないけど」
「じゃ、けってーい! ほらほら、早く行きましょうよ。時は金なりっていうでしょ」
「かみきり丸とはえらい違いじゃのう。あっちは小鬼と言うなり報酬よりも場所のことを聞いてきおったというのに」
あの人やっぱり報酬よりゴブリン優先か。まあゴブリン退治に貴重なはずの石油を使ったから採算度外視だと思ったよ。つか、どんだけゴブリンに恨み持ってんだよ。
アクアに押されてギルドから出る前に
「ほれ、クエストに行くぞ。あのエルフさんに一緒にメンバーに入れてくれるように頼んだぜ。これでお前の目が覚めるかわかんねえけど、日銭を稼ぐ必要はあるだろ」
だが、剣士は俺が伸ばした手に意にも介さずテーブルの木目だけを見続けている。
「俺なんて足手まといだなけだし、もう依頼だなんて死にに行くようなもんだろ」
「今回は銀等級がいっぱいいるし、あたしもダクネスさんもいるから大丈夫。ほら引っ張ってでも連れていくから」
未だに抵抗していた剣士だったが女武闘家が後ろから羽交い締めにして、ずるずると宣言通り引きずっていく。剣士は諦めか観念したのか、特に抵抗もなく人形のように連れていかれた。
ゴブスレさんが先頭になってギルドから出ていこうとすると、遅れて神官ちゃんがその後に続いた。やはりあの子はついて行くようだ。思えば、よくついてこれるよなゴブスレさんどこかコミュ障気味だし。
「それで、その雷の魔法使いはどこにいるの。私会ってその魔法見てみたいわ」
ギルドから出ると、
俺がアクアにめぐみんがどこにいるのか聞こうとすると、西の方からチュドーン!! と爆音が街に響き渡り、遅れて爆発から生まれた爆風がそよ風となって俺たちの所にまで運ばれてきた。この爆発がどこから来たものか俺たち三人とゴブスレさんたちは知っているが、他のメンバーは呆気にとられたかのように額に汗を噴き出していた。そして、
「な、なに今の音……」
「残念だな。今日の分撃ってしまったからもう見れないな」
赤く燃えている薪がパチンと弾けた。煌々と燃え盛っている炎と空に浮かぶ月と星が十人十色の顔を映し出している。銀等級が四人と白磁級が六人。レベル差が違いすぎるというのもあるが、種族も出身も性格も内実を知っている人間からすればまったく統一性がない。ちなみに女魔術師は、爆裂魔法の練習と一度魔法を学んだ場所である賢者の学院に戻るために今回は戦線離脱している。
「ふっふっふ。我が待望は、深淵の向こう側にあり。故に我は深淵にある混沌を覗くため、唯一無二の魔の術を研鑽しているのだ」
「な、なんかすごそうね」
「ああ、こいつのいうことは気にしないでくれ。ただ単に爆裂魔法を極めたいぐらいしか言ってないですよ。それのおかげで誰ともパーティー組めなくて困窮してたし」
「む、昔のことを掘り返さないでください!」
からからと一同(ゴブスレさんを除く)が笑うと、
「そっちの子たちは?」
「あたしは、こいつとは同じ故郷の生まれでね。こいつが頼りないから一緒について行ったの。まあ保護者的な感じね。それに死んだお父さんから学んだ体術でたくさんの人を助けるためもあるかな」
「俺は……村に寄った冒険者たちの話を聞いて、冒険者ってカッコイイなぁって思って。剣もその人が長剣持ってたから。でも実際に雑魚のゴブリンに負けて嬲られて、俺なんで冒険者なったんだろうって。俺の動機ってなんかみんなと比べてもしょうもないですよね」
剣士は後半になるにつれてトーンが下がって声が小さくなっていた。なんか俺と変わんねえな目的が。だがその剣士の目的を
「なぁに、わしなんぞ、旨い物を探すためじゃからな。冒険者になる理由なんぞ何でもよいわ」
「なんでも、と言うのはいささか誇張ではありますが、そういうのはあこがれというものでありますぞ。カズマ殿はどのようなわけでありますのですかな?」
ついに俺の方にも話が振られる。もちろんここはかっこよく言うつもりであったが、アクアが先んじて話してしまった。
「どうせ、女の子にちやほやされたくて冒険者ってカッコイイって思っていただけでしょ」
「なんだ。カズマさんも俺とたいして変わんないじゃないすか」
こ、こいつ……
「というかカズマさん、さっきから何鍋かき回してんの?」
「ここ三日、芋と豆のスープと干し肉だけじゃなんか食感的に味気ないからこうやって合わせてなんかできねえかなっと料理つくってんだよ」
グルグルと鍋の中で湯がいた芋と豆のスープを入れながら何かできないかとスプーンでかき回わす。しかし、旅費が向こう持ちだから文句は言えないけど手持ちの食料がこれだけじゃなあ。どんだけやってもマッシュポテト豆のスープの出汁入りにしかなんねえぞこれ。すると、ゴブスレさんがスッと白い布に包まれたものを出した。
「それは?」
「チーズだ。俺の知り合いが牧場でつくっているのをもらった」
布が開かれると、黄色いホールケーキかと見間違うほどのきれいに成型されたチーズが現れた。みんなが試しに一切れづつ切って、それを炙ったものを口に入れると濃厚でよく発酵されたチーズのコクであっというまに支配された。
これはいけそうだと、チーズを鍋の中に入れて同じようにかき混ぜ始める。すると、芋とチーズが混ざり合い始めて最終的には一つの塊となって混ぜていたスプーンを引くと、その塊は餅のように黄色い糸を引いていた。
うぉおなんじゃこりゃ! めっちゃ伸びる!
「アリゴよ。それアリゴって料理じゃない!?」
アクアが俺が偶然できた料理の名前を言うと、神官ちゃんや剣士、武闘家ら元剣士パーティーだった面々が喉を鳴らして今にもほしそうな顔をして並んでいる。
「はいはい、ちゃんと全員分やるから待ってろって」
鍋の中でぽつんと黄色と肌色が合わさった塊であるアリゴを、全員分均等に分けると最初に声を発したのは神官ちゃんだった。
「お、おいしいです!」
「おいしい。芋とチーズってこんなに相性良かったんだ。カズマさんって料理ができたのね。意外」
「まぁ、それほどでも」
料理ができるのは、元の世界で料理スキルを習得したおかげだからなんだけどな。だが、俺がたまたまできてしまったアリゴとか言うものは好評を博していたのであった。
「おお! これは、先ほどの食したのよりも美味でありますな」
「こりゃいい酒のつまみができよったわ。これは
「あー、俺はちょっと遠慮しようかな……」
と俺が遠慮していると、
「うん。辛口だが、これはなかなか良い酒だ」
「プハッー、このお酒おいしいじゃない! カズマさんこんなおいしいお酒が飲めないだなんて人生の九割は損しているわ。でも水割りにしてもいいかも、それ《花鳥風月》」
「水がいっぱい! 一体どこから」
「オホッー、こりゃすごいの。もう一回見せてくれんか」
「じゃ、カズマの代わりに私が」
「子供には飲ませねぇ!」
めぐみんが酒瓶を取る前に奪い取り、酒をそのまま直接あおった。……視界が歪み始めた。体も火照ってくる。どうやら俺は酩酊状態になったようだ。
「ぐぇへへへ」
「ああ、カズマがもうでき上がってしまいました」
「いいんじゃないの。もっと飲みなさいよカズマ。というかこっちにそれ渡しなさいよ」
「ひっく、だいたいなぁんで、冒険者なのにバイトしてんのよ。借金なんかつくって馬鹿じゃないの? すごい魔法使いがいても宝の持ち腐れじゃない」
「これこれ金床、絡み酒になっとるぞ」
「うるしぇえ! しゃんざん好き放題言いやがってこのぺったんこめ。真の男女平等主義者であるこの俺は、女にだって手を出しぇるんだからな。そしてお前が二度と俺の前でその口うるさいのを封じることだってできることをなっ!」
「二人とも、喧嘩は止めてください」
俺たちが諍いを始めると、神官ちゃんが仲裁に入って止めに入ってきた。
「ちょっと悪酔いしているところわるいんですけど、カズマさんの十八番のスティールは発動が分んないってこの前言ってたはず……ってその構えはまさか」
「そうだ。スティールの発動方法は、もう分かっている」
指をグーパーして開くと土を蹴る。スティールの発動は叫んだだけでは発動せず、自分の手足を使って実際に奪い取るのだ。目的のものが取れるかは技と運頼みであるが俺はやらねばなるまい。この金床に見せつけなければならない。
目標はただ一点、それを突き詰めるのみ、俺は、この、女の、パンツを、取る!!
「スティール!!」
あいつの脇を通り抜けると、俺はスティールが成功したことを確信した。手の中に柔らかく温かな布の感触が染みわたっているのだ。その温かさと言ったら、さっきまで私は女の子のぬくもりと恥部を守っていたんですと静かにそして恥ずかしげに主張しているように伝わってくるぜ。
手の中につかんだ戦利品を広げると、真っ白なパンツだ。まるで新品のように染み一つもなく清潔にしかし何度も穿いた証拠であるパンツから出た一本の糸がその証拠だ。
そして、その所有者であった金床
「であぁぁははは!! どーだ見ろ金床エルフ!! お前のパンツが公衆の前で晒されているぜ。アハハハハ」
「そのパンツ誰のよ。私下着着てないわよぉ」
酔っぱらいながらしれっと下着を穿いていないことを吐露したことに「へぁ?」と俺は声を止めた。
すると、
「パ、パンツ。返して……ください……」
「ハ、ハハハ、ヒャーハハハハ。やなこった! スティールのカズマ様の面子に変えてでも――ガッ!?」
突如、後頭部を殴られて俺の体は横倒しになった。徐々に視界が暗くなり薄れていく意識の中に最後に映ったのは、ゴブスレさんが俺の手の中にある戦利品を持ち去ったところだった。
質問です。原作では妖精弓手である金床が、このssはカズマ視点の一人称で話が進んでいるので森人になっているのですが表記でも大丈夫でしょうか?