ヨナ大尉   作:柿の種至上主義

8 / 10
みなさんの過分な評価に震えがとまりません。
お気に入り登録者数1300人を突破、ありがとうございます。
ココよろしく’考える人’超える姿勢で
頑張りました。

よろしければ見ていってください。

活動報告でもさりげにご報告しましたが、
八割の方からご支持いただけたので、現在
エースコンバット7の二次も執筆中です。

よろしければ試し読みしていってください。

それでは本編をどうぞ


鎮魂歌

アラブ首長国連邦 ドバイ

 

アルシロップショッピングモール 中央広場

 

仲間たちから交代でそれぞれの得意な分野の授業を受け、本日の分が終了したヨナはココに半ば強引に連れ出されバルメも含めた三人でショッピングに出ていた。

 

仲間たちから授業を受ける件については、自分から頼んだのだ。己の記憶、知識はあの日の、年で言えば2000年の死都倫敦で止まっている。この少年兵の記憶がないわけではないが、紛争地帯の少年兵の知識や記憶などたかが知れてる。

 

世界情勢、新たに発見された法則や物質、新たに生まれた思想や宗教、戦争の火種は尽きない。

 

あの戦いから既に数年が経過している。たかが数年されど数年。戦争はその数年でさえ信じられないような速度で成長するからこそその分の遅れを取り戻さなければならない。

それ故に身近なものに協力を願ったのだ。

 

ボスは快く了承し、仲間たちも応じてくれた。しかしレームだけは未だに警戒しているのだろう、あまり乗り気ではなかった。結局、全員ではないが何人かに交代で語学、理科、数学、etc.を教授してもらっている。

 

ココ曰く「この街治安がすんごく良い」ため暇を持て余し、ホテルで時間を潰していたところを見つかって今に至るヨナたちであったが、そんな彼ら三人は現在、殺し屋の襲撃を受けていた。

 

 

♦♦♦♦

 

銃声が鳴り響き、悲鳴をあげながら逃げ出していく。少しでも早くこの場から離れようとわき目もふらずに、通常の銃撃戦であれば流れ弾で二三人は倒れるところであるが現状、この場にそんな銃弾の無駄遣いをする人間はいなかった。

 

牽制のための一発ですらヘマをすれば標的を仕留めるに至る、そんな激戦をココが率いるバルメやヨナと繰り広げている二人組は通称’殺し屋 オーケストラ’

 

 

出発前に見せてもらったHCLI本部から送られてくる殺し屋名簿(ヒットマンリスト)。周辺にいると確認されている危険人物をリスト化されたものにも記載があり、ココからも教えられていた殺し屋。

 

結成当初は男八人組であり、現在はそのうちの七人が死亡その後一人が参加して二人組となったと記憶している。最盛期にはフランス某所で警官隊を相手取って二万発を撃ったらしい。

 

リストの情報通りの人相、特徴から彼らがソレであると断定し、彼はココ共々身を低くして花壇を遮蔽物として応戦していた。

 

 

応戦中、かつては人狼であり”大尉”と呼ばれ今は一介の少年兵である”ヨナ”の体となっている彼はある考えを抱いていた。

 

 

 

 

彼が思い返すのは銃撃戦が始まる直前。バルメがココへのプレゼントとして腕時計を購入しようと店内に入っていく最中、興味がないことを看破され如何に素晴らしいかをボスに延々と説明されていた時に刺客が現れた。

 

警戒していなかったわけではなかった。ショーウィンドウの向こう側の商品にボスによって視界を固定されていたとしても彼が絶えず張り巡らしていた知覚の網は細かく、広かった。

 

かつて身を寄せていた組織の長とその幹部を害するために張り巡らされた、知覚が極めて困難かつ人体を容易く切断可能な極細のワイヤーを余すことなく捉えた彼の力は人になり、衰えてなお常軌を逸している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、それでも彼は網を掻い潜った刺客の女がボスの手を取るまでその存在に気づけなかった。

 

 

 

 

かつて人狼だった頃であれば気づいたかもしれない

 

視界を固定されていなければ接近前に気づいたかもしれない

 

 

言い訳はできる。しかしそれだけだ、それだけなのだ。戦場において、ifを口に出し状況を受け入れないのは敗者だ。負け犬なのだ。かつての己に近づけるよう、或いは超えられるように自分を高めてきた。殺し屋如きに後れを取ることはないと判断していたが甘かったのだ。現にボスとそう大差ない女が気配を殺し自身の索敵をすり抜けてきたのだから。

 

 

’オーケストラ’の女が問答をせずに殺しにかかってきていたら己はボスを守れただろうか’

己への問いかけが頭から離れなかった。

 

 

 

 

 

しかしだ、奴らは一方的に殺せる機会を捨てた。棒に振った。

まだ奴は、あの女は、ボスは、死んではいない。殺されていない。

己はあの人間の行く末を見届けていない。

あの中身がチグハグな人間の生き様を見終えていない。

 

故に感謝しよう、’殺し屋 オーケストラ’。

 

 

 

 

己を高める糧として、己を殺し得る強者として現れてくれたことに

 

己が見届けたい女を殺せる機会を捨ててくれたことに

 

 

 

 

 

彼の浮かべる笑みは、ココ・ヘクマティアルがこれまで見てきた何者よりも

冷たく、暗く、悍ましく、そして獣のように獰猛だった。

 

 




冒頭部分について
ヘルシングの世界は二十世紀末
ヨルムンガンドは2000年は確実に過ぎているのでこんな感じにしました。
二期でレームが1990年代の湾岸戦争を「十何年前」と言っていたからです。

つまりヘルシングには旦那がまだまだ戻ってきておらず、インテグラ局長はまだ若いのです。
小じわが増えたとかなんてないのです!(ここ重要
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