あるところに太陽の祭壇と言われる場所あり。その場、神聖にして不可侵、犯すもの、悉く焼き払わん。
なお、素材用です。
シャルバタラスクとはなんぞや?本編のモンスター生態みてくだしあ。(・∀・)
何処ともしれない、切り立った崖と岩山だけの秘境の地。
風化か、雨か、長い年月をかけて作られた自然の造形美。花の花弁を連想させる岩塊は五つ、雌蕊と雄蕊と思われる切り立った岩はマーブルカラーのような地層を太陽の煌めきを受けて美しく映える。
全て、太陽照石と言われる希少な鉱石。太陽光をエネルギーとして溜め込み臨界まで高まったこの鉱石は黄金色に輝くという。
その秘境を抱くこの場所は、アルトマリア高原および、太陽の花船と呼ばれる祭壇。
標高5000メートルの高地であり、高地でありながら照りつける太陽の光で寒くもない。
切り立った崖には、リオス種などの捕食者が巣を作り地下にある地底湖には海竜によく似たモンスターが住まう。
地底湖の底には山頂と同じく古代の遺跡があり、この世界、いや今の時代珍しいモササウルスなどの魚竜種、シーラカンスに似たモンスターサイズの魚など多種多様な生物が住んでいる。
●●月●●日:快晴
「今日もいい天気、いや不夜の大地なんだからおかしいな。」
書士隊のメンバーであり、長い間この秘境を研究し続けてきた彼はヨレヨレになったメモ帳に新たに書き直していく。既に元のメモ帳は使い切ってしまい、植物を使い紙を梳きノートを作り続けてはこのアルトマリア高原を調べ続けている。
ここにきてから何年と経っただろうか。未だ山頂の遺跡にはたどり着けていない。なぜなら、山頂は一度だけ見たある古龍種の縄張りであり、加えて山頂に行くにはあちこちにあるリオス種の巣を突破しなければならない。
近年、発見された新大陸にあるはずのバゼルギウス、その近縁種が徘徊しているのだからハンターですらない自分は近づけない。
おまけに闘竜と言われる危険なモンスターがかの恐暴竜のように徘徊しているのだからこの仕事も命がけだ。
手に持つ鳥籠から伝書鷹を取り出すと足に今回の調査報告を括り付けギルドへ飛ばす。
たった一度だけ見た古龍種、クシャルダオラに似た骨格、琥珀色の一本角に甲殻から漏れる青色の光。
見つからないように、怯える手を、震える指を抑えその特徴を記しギルドに送った時は感動と達成感に包まれたものだ。
不夜の大地、アルトマリア高原。その主である古龍種は太陽の化身なのだと身を以て知ったのだ。
後日、ギルドからもたらされたのはこの古龍種と思われるモンスターは事実古龍種であり、シャーナ村と言われる秘境の村にいる巫女からその存在が明らかになったと綴られていた。
そう、その名はーーーー
陽光龍 シャルバタラスク
言い伝えによれば『太陽の光ある限り、その力は永遠に尽きることなく万物をその後光を持って焼き払う、陽の光の化身也。
その龍があるく度、ありとあらゆる花は咲き誇り、金色に輝き、そして枯れ果てる。あらゆる力は太陽に届かず、ひれ伏し頭を垂れるべし。』
古龍種を表す御伽噺や昔話は明確にその龍の力を示していると過言ではない。禁忌ではあるが黒龍の系譜がそれだ。
今日の予定を全て終えた私は拠点であるテントのある場所へ足を運ぶ。
だが、今までは花弁のような岩山の麓を中心だったがそろそろ岩山の調査に乗り出したいと思っていた。
理由は、ギルドがキャラバンを介して私宛に資材を送ってくれたのだ。本来ならばハンターも同行する予定ではあったが何せこんな遠い場所な上危険が入り混じる場所には送れる熟練のハンターがいないし志願してくれるハンターもいないのだそう。
まあ、いないものにぐちぐち言うことはない。何より嬉しかったのは新大陸で使われる装衣、隠れ身の装衣だ。これがあればある程度モンスターを欺けるため調査にもってこいだ。
明日が楽しみだ。
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●●月●●日:快晴 時々雲
と張り切ったはいいが、残念なことにこの岩山に関しては何も情報を持っていない。装衣だって万能じゃない。なにより、標高5000メートルの絶壁とも言えるあの場所を登らないといけないからどこから登るべきかは絞ってはあるがそれが安全とも限らないのだ。
なにせ、この岩山は登るのにとても不便な地形をしている。地質そのものが希少鉱石なためにその、ツルツルしているのだ。磨かれた、と言うべきか。とにかく登るのは得策ではない。
仕方がない、今日はここまでだ。引き返してキャンプへ。野ウサギを狩り、捌いて今夜は過ごした。
明日はどうやって登ろうか、そう考えながら眠りについた。
●●月●●日:快晴
常に快晴だから書く必要もないと思うが念のためだ。
今回は北側から見てみようと思う。麓からは風化が進んで歪んでいるように見えたからだ。
事実、この前の場所よりは登りやすい。ただ、風化が進んでいるからボロボロと落ちていく。何かの拍子に崩れたら目も当てられないな。
なにより、真上には飛竜の巣があったため、これ以上の捜索は諦めた。
●●月●●日:雨、岩山付近は快晴
久しぶりに雨が降った。が、雨が降っているのは麓のみ。山頂は未だ快晴のままだ。
なるほど、と納得する。聖なる場所とはよく言ったもの。見慣れた私でもいつ見ても圧巻で不自然な場所だと。
雨の日には面白いものが見える。
いつもなら地底湖にいるはずの海竜に似たモンスターが地上に出て闊歩しているのだ。この海竜に似たモンスターは雨の日にしか地上に出てくることはない。不思議な生態だ。
あ、海竜もどきと………あれは迅竜か?縄張り争いかはわからないが争いを始めた。
迅竜の早さに翻弄されているが海竜もどきは………あれは泥か?泥を吐き出して迅竜を滑らせたり拘束してたりする。ふむ、泥海竜と呼ぶべきか。
結局、争いは双方痛み分けになったようだ。互いに睨み合いながら元の場所に戻っていった。
記録は怠らない。こういう日にしか見られない生態もある。
今夜は焼き魚。匂いにつられてアイルーが二匹やってきた。おすそ分けしてやると感謝された。
●月●●日:曇り時々晴れ
珍しい、曇りなんていつぶりだろう。おそらく主人たる龍が今いないために天候が快晴でないのだろう。あれからあらゆる方角から岩山を登ろうとチャレンジしたがどれも失敗だらけ。一度転落してしまい、あの時焼き魚をあげたアイルー達に助けられなければ捕食者達に食われていただろう。
まだ、怪我が治ってないので釣りをして時間を潰している。釣れた獲物のうち何匹かはアイルー達にあげた。
「ニャニャ、旦那さん。いつもあの山登ろうとしてるニャね?」
アイルーに言われ「ああ、そうだよ。」と答えるなにかと考える仕草をした後「ちょっと待っててニャ」と二人していなくなってしまった。そのまま彼らは戻ってこなかったので切り上げてキャンプへ。
今夜は刺身だ。
●●月●●日 快晴
怪我は癒えた。空は快晴。絶好の行動チャンス。
いつの日だったか、アイルー達は外からではなく中から登ったらどうか?と言われた。なるほど、それは盲点だった。地底湖が広がっているとはいえ上に通じてないとは証明されてないのだから。それに中からならば飛竜達に出くわすこともない。泥海竜に気をつければいいだけだ。
今すぐ出たいが準備がまだだ。
ハーネスよし、命綱よし、携帯食料よし………
あとはルートをアイルー達と綿密に詰めて…………
●●月●●日 快晴?
「行ってきます。」
「気をつけてニャ」
「怪我はするんニャにゃいよ?」
準備は整った。いざ、太陽の祭壇と言われる岩山その内部から山頂を目指す。キャンプに記録帳を残しておく。もしも、帰ってこなかったら誰かがこれを読むだろうから………
その日の何時頃か太陽が落ちたと思うほどにまばゆい光が一瞬照らした。
ただ、彼は、彼の脳裏には白銀の、体躯と琥珀色の角と翼膜、眩い後光が焼き付いていて離れなかった。けれど、彼は頂上に行けたのだろう。
ーーー
ーー
ー
「旦那さん、帰ってこないニャね。」
「噂に聞くハンターさんのアイルーじゃないからよくわかんないニャ。けど、お日様の怒りの買ったのニャかな?」
淡白だが、これも世の理だろう。出会いも別れもいつも一瞬だから。
ーー数ヶ月後
『ギルド定期報告』アルトマリア高原での調査隊員からの定期報告が途絶えた。途絶えてから六ヶ月。
生存は絶望と判断。追加の隊員を求む。
「大長老、アルトマリア高原での調査クエストを是非腕の立つハンターさんに任せたいのですが…………。」
「ふーーむ、アルトマリア高原か。遠い秘境な上、危険な場所じゃが………」
「黒龍を撃退したハンターさんなら多分こなせると思います。」
「よし、いいじゃろう。ハンター殿が来たら掲示して見せよ。」
「あ、ハンターさん。どうなされました?」
何か依頼はあるか?
「それでしたら………黒龍を撃退したハンターさんを見込んであるクエストを是非受けてもらいたいなと思いまして。」
ふむ?
「ええ、と調査依頼です。古龍観測所からの依頼ですね。実はここからかなり遠いのですが、アルトマリア高原と言われるエリアがあるのですがそこの調査をお願いしたいです。期間は三ヶ月、報酬はこれくらいですね。如何でしょうか?」
未知の秘境の調査か。未発見のモンスターが多くいる、か。興味があるな。受けよう。
「ありがとうございます、準備が整いましたら飛行船を手配してありますのでそちらにお願いしますね。それと、今持てる最高の装備とアイテムを用意してくださいねー。」
ああ、了解だ。
ーー彼は、彼らは旅立つだろう。
ーー未知の世界、未知の場所へ。
「いくぞーー、もたもたするなよ?」
「弾とか持ったか?調合分は?」
「装衣は?」
「持ってるさ、さあ、行こうか。」
『一狩り行こうぜ!』
こんなもん書く暇あるなら本編かけよと思った方、挙手。
その拳、甘んじて受け入れよう。さあ、来るがいい!!(ガクガクブルブル