BALDR GENESIS EXE~Revive of Future World~   作:デスイーター

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 BALDR GENESIS~Revive of Future World~

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開幕ーOpeningー

  --気付けば、俺は白い部屋にいた。

 

 意識は朧げで、油断すれば今にも眠りに落ちてしまいそうだった。

 

 部屋の中は妙な器具がたくさんあって、自分は円形の容器の中に寝かされているようだった。

 

 容器の中は緑色の液体で満ちていたが、不思議と息苦しくはなく、呼吸に不自由はなかった。

 

 --■覚■たか。八■■の■イ■ツ■■ンーー

 

 何処からか、声が聞こえて来る。声の方に視線を向ければ、白衣を着た女性が自分を見下ろしていた。

 

 女性の声はノイズがかかって聞き取れず、女性の表情も伺えない。その為、自分をどのような面持ちで見ているかも知る由がなかった。

 

 ーー■■てい■くれ。■は■を■ずーー

 

 再び女性の声が聞こえるが、意識が覚醒に向かっているのか、もうその姿も定かではなく…ぼんやりとした思考のまま、俺は意識を浮上させようとして…

 

 --嗚呼、■って■たわ■イ■ツ■■ン…っ! ■は、今■こ■■方を…ーー

 

 --そんな、狂おしい少女(ナニカ)の叫びを…聞いた、気がした…

 

 

 「……っ! 夢、か……」

 

 鈍痛と共に意識が覚醒し、俺はぼやけた眼で周囲を見回す。部屋の中には雑多に脱ぎ散らかした衣服と、それとは逆に几帳面に整頓された本棚、起きた際に跳ね飛ばした布団が見える。

 

 ぼんやりとした頭に脳チップ経由で活を入れ、意識を覚醒させる。

 

 脳チップからの刺激によって眠気が消えて行き、目が冴えて来る。体調の自己審査(セルフチェック)の為、俺は自分のプロフィールに目を通す。

 

 俺は八雲怜二、19歳。生年月日、両親の有無()()()()……体脂肪率は平均並、腹筋は少し割れているが全体的に細身。身長は高めで、髪色は黒の黄色人種。三白眼の為か、気の弱い相手には敬遠されがち。

 

 ……余計な情報はカット。身体、精神、脳チップ共に問題なし(オールグリーン)。活動に支障はないと判断する。

 

 時計を見れば、時刻は朝の6:30。少々早いが、()()()の事を考えるとそう早過ぎる時間というワケではない。俺は適当に身支度を整え、ダイニングに向かった。

 

 

 「あら、早いじゃない怜二。朝飯なら双葉が作ってくれたから、食べていって」

 「……ああ、おはよう。ノインさん」

 

 俺がダイニングに着くなり、ロングヘアの茶髪を揺らした女性が俺に気付き、声をかけて来る。

 

 この女性はドクター・ノイン、身寄りのいない俺を育ててくれた母親代わりの女性で、ドクター(doctor)の呼称の通り医者でもある。

 

 ノインさんは彫りの深い顔立ちの美女で、家にいる時は緑のキャミソールの上に白衣を纏い、下は太腿を剥き出しにしたショートパンツという服装が多い。

 

 ちょっとどころではなく豊満な体系なので、キャミソールを押し上げる巨乳が目に毒だった。

 

 母親代わりではあるがとても若々しい外見で、直接的な血の繋がりもない為、その無防備な姿にドキっとした事は一度や二度ではない。

 

 「あ、起きたんだね怜二。待ってて、今朝ご飯持って来る」

 

 そして、キッチンから橙色のショートカットの少女が顔を出した。少女はそう言ってキッチンに引っ込むと、トレーにハムトーストとコーヒー、サラダを載せて俺の所まで持ってくる。

 

 彼女は奈津枝双葉(なつえふたば)、俺の同居人の一人であり、この家の家事の一切を引き受ける少女である。

 

 この家の住人では唯一家事を得意とする少女で、俺もノインさんも家事はからっきしの為、彼女がいなくなるとそれだけでこの家はまともに立ちいかなくなる。

 

 彼女は俺より年下だが優秀な特級プログラマ(ウィザード)でもあり、()()()での俺のパートナーでもある。

 

 双葉は奇人変人揃いの特級プログラマの例に漏れず色々とワケありで、出会った当初はとある理由で自活能力など皆無だったのだが、俺とノインさんがその双葉をして見てもあまりに生活能力に欠けていた為、俺達を反面教師とする形で家事を覚えて今に至る。

 

 双葉は俺と同じく天涯孤独の身だが、両親の存在の有無すら不明な俺と違って両親とは()()で死別している。

 

 その莫大な遺産で()()()()()不自由する事はなかったのだが、流石に幼い少女を一人で生活させるワケにはいかず、ノインさんが彼女を引き取る形で双葉は俺達家族の一員となったのだ。

 

 当初の俺達の生活と来たら洗濯物はギリギリまで溜めて、食事はインスタントか店屋物オンリー、挙句掃除も碌にしていなかったのだから、その頃と比べれば今の生活は見違える程快適と言っていい。

 

 俺達との生活ですっかり世話焼きな側面に目覚めたのか、双葉は何くれと世話を焼いて来るようになった。

 

 ……彼女は一見すると善良な普通の少女に見えるが、伊達に特級プログラマの肩書きを持っているワケではなく、善良無垢な少女に見えて割とえげつない事もサラっとやらかすあたり、変人揃いの特級プログラマの面目躍如といったところだ。

 

 双葉の服装センスはノインの影響を受けたのか、黒系のキャミソールとショートパンツに加え、パーカーを着崩して羽織っており、ノインと同様露出度が高い。

 

 顔は童顔だが胸は大きいという所謂ロリ巨乳な為、その深い胸の谷間に目を向けてしまった事も多い。

 

 双葉は俺のそんな視線には気付いているようで、ふざけてなのかわざと胸の谷間を強調するようなポーズを取ったり、場合によってはこれ見よがしに胸を押し付けて来る事もあった。

 

 その結果がどうなったかは割愛するが、とにかく俺は今この二人と一緒に暮らし、日々を生きている。()()()()()()()()()()()事で悩んだりもしたが、今となっては些細な事だ。

 

 ……俺は10歳以前の記憶が一切なく、覚えている原初の記憶は雨の日に俺を連れて此処にやって来たノインさんの姿だった。

 

 その為、俺には当初正式な戸籍というものがなかったのだが、そのあたりはノインさんと双葉が協力してどうにかしたらしく、いつの間にか俺はノインさんの養子、という事になっていた。

 彼女達がどんな方法を使ったかは、知らぬが花である。

 

 「ところで、序列が百番以内になったんですって? という事は、未踏領域(アウターゾーン)に踏み込むのかしら?」

 「ああ、手続きは昨日のうちに済ませたからね。準備が出来たら行くつもりだよ」

 

 不意に問いかけるノインさんの言葉に、俺は頷きながらそう返した。

 彼女の言う()()とは、俺の仕事である探索者(シーカー)としてのランク付け……というより階級のようなものだ。

 

 現行人類は、仮想(ネット)と共に文明を発展させて来た。人類にとって仮想とは、なくてはならないもう一つの現実(リアル)である。

 

 教科書の知識ではあるが、この世界では一度人類が滅び、今の人類文明は()()()のものであるらしい。

 

 滅びる前の人類の文明を俺達は先史文明(ロスト・ヒストリー)と呼び、彼等が残したと言われる特殊な構造体…遺跡(レムナント)から発掘される技術遺産(レガシー)と呼ばれる成果物の恩恵を受け、今の人類文明は今日まで発展を続けて来たのだ。

 

 遺跡は全部で6つ存在し、その内部には無数の自立敵性体(エネミー)(トラップ)がひしめいている為、調査には相応の危険が伴う。

 

 その為、遺跡に没入し、調査を行い技術遺産を持ち帰る事で生計を立てている者達の事を、総称して探索者(シーカー)と呼ぶ。

 

 技術遺産の換金を始めとする探索者のバックアップを行う探索者ギルドという組織があり、ギルドが定める探索者の階級こそが探索者序列(シーカーランク)だ。

 

 この序列は単純な戦闘力だけではなく、技術遺産の獲得数や探索の手際等様々な面から評価されるが…実力の高い者程上位に位置しており、100番以内は凄腕(ホットドガー)の巣窟とされている。

 

 この序列二桁に入る事が出来れば、遺跡の奥に位置する危険地帯、未踏領域(アウターゾーン)への探索許可が下りるのだ。

 

 未踏領域はある程度までなら離脱(ログアウト)で逃げる事も出来る遺跡の通常領域と違い、領域内にいる限り離脱は不可能でリミッターオフ、しかも極めつけに浸蝕敵性情報体(キャンサー)と呼ばれる非常に危険な存在が跋扈している為、確かな実力を持つ者以外は踏み入る事が出来ない場所なのだ。

 

 俺も今まではそのルールに従い未踏領域へ挑む事は出来なかったが、先日の功績を以て俺も晴れて序列二桁になる事が出来た為、今日早速探索に向かうというワケだ。

 

 当然の事ながら危険度に見合うリターンも存在する為、初めての未踏領域探索に心躍らないと言えば嘘になる。

 

 この事については以前から話していた為、二人から特に反論は出ない。強いて言えば口を酸っぱくする程『油断するな』と言われるくらいで、未踏領域への挑戦自体に反対はしていないようだった。

 

 「そんなワケで、私も今日は怜二のサポートに付きっ切りになるからね。昼ご飯は作り置きしておいたから、温めて食べてねノインさん」

 「ええ、すると双葉は怜二が探索を終えるまで操作席(コンソール)の中ね」

 「うん。そうしないとサポート出来ないしね」

 

 シュミクラム乗り(ユーザー)である俺と違い、双葉に直接の戦闘能力はない。

 その為彼女をそのまま戦場に連れて行く事は出来ないので、彼女はこの家で疑似没入(ハーフダイブ)の為の操作席に入り、意識のみを仮想空間に繋げてサポートを行う事になる。

 

 通常の没入(ダイブ)を行うと()()()()()()()()()()()()()()()()為、共に没入すれば双葉を危険に晒す事になる。

 

 しかしこの疑似没入であればその心配はなく、()()()()()()()()()()()、没入した俺と接続してサポートを行う事が出来るのだ。

 

 「さて、と。行って来るよ、ノインさん」

 「ああ、気を付けてな」

 

 朝食を食べ終えた俺はおもむろに立ち上がり、双葉を伴って奥の部屋へ向かって行く。

 奥の部屋に足を踏み入れるとそこには無数のチューブに繋がれた、二つの大きなポッドがある。これが、この家に存在する操作席だ。

 

 双葉の場合は操作席に入った後、そのまま実体を操作席の中に残してサポートを行うが、俺の場合は操作席を通じて実体を電子体に変換して中継界(イーサ)へ向かい、そこから遺跡へ繋がる転送門(ゲート)を潜る事になる。

 

 無線でも没入する事は出来るが、操作席を利用する事で緊急時の強制離脱(アポート)が出来る為、遺跡を探索する場合はよっぽどの事がない限り有線(ワイアード)で行うのが基本だ。

 

 俺は隣の操作席に双葉が入った事を確認すると自分も操作席に身を横たえ、操作席の蓋が閉じた事を確認し、脳チップに命じて行動を起こす。

 

 ーー没入(ダイブ)ーー

 

 そして俺の身体は現実から消失し、電子の海へとその身を投じていくのだった。




 こちらの作品世界はBALDR SKYを原作としていますが、時間軸が違う為、原作キャラは基本登場せず、一見世界観も違うように見えます。しかしちゃんと原作がBALDR SKYである意味はあるのでご安心を。

 自分は『世界X+Ω』の時同様、実際にゲームをプレイしているつもりで書いています。

 前書きの文字はゲームのタイトル画面のつもりで、ゲームを進めるとメニューにCONTINUEやCG、SCENE等が追加される感じです。

 基本はスカイやフォースのような2D戦闘で、基本システムはスカイと同じですが新要素を幾つか入れた感じを想像しています。ただし、ダンジョンアタック的な要素が入るので、ブリンガーのミッションシステムも一部流用してたりします。

 また、自分はスカイゼロはやってないのでそっちの設定はないものとして扱って下さい。

 色々不安はありますが、自分の描く新しいバルドの世界を楽しんで頂ければ幸いです。
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