改めて、カルデアの召喚システムは、俺が知っているGO形式ではなくsn方式だ。つまり、本人の縁や触媒によって、ある程度喚べる英霊を厳選することができる。
カルデアに来る前の俺には、触媒を用意する時間があった。なら準備しておくのは当然だ。まぁ、出したら怪しまれるし、カメラとかで監視されてるし、金が無駄になりそうだけども。泣いていい?
くそう俺にTASの力さえあればと思う。それをおくびに出さずに、マシュに聞いた。
「盾はおk?」
「はい。ラウンドシールド設置完了。召喚を始めてください」
マシュが盾を設置したのを確認して、俺は前に出る。
今回の召喚は、まず1人1回。最初は俺から。
「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ───」
誰がくるかなー誰がくるかなー。前世でのガチャよりはるかに大きな期待感を持ちながら、俺は目を開いた。
煙の先に、いたのは。
「新選組一番隊隊長、沖田総司がここに。あなたが、私のマスターですか?」
沖田総司───経験値が生み出した桜セイバー。桃色の袴にブーツ、そして一振りの刀を持った女性だ。
俺の背後でまーた女性かよーと言いたげな空気が流れているのが分かる。だがなお前ら、今度の特異点もまた女だぞ。歴史家仕事して案件だぞ。
改めて、魔術協会とか歴史家への報告をオルガマリーに投げようと誓って、俺は沖田さんに話しかけた。
「あぁ、俺がマスターだ。名前は不知火半場だ。よろしく頼む」
「よろしくお願いします。これより私は、あなたの刀として、眼前の敵全てを斬り捨てましょう」
……あれ、沖田さんってこんなに真面目だっけか。戦闘の時はガチモードだったとは思うけど、召喚した直後ってこんなに真面目だっけ? ひょっとしてぐだぐだ本能寺とか、もっと言えば帝都聖杯奇譚を経験してないのか?
まぁどちらにせよ沖田さんの性能は変わらんだろうし、どうでもいいか。
『怖いこと言うわねこのサーヴァント』
「むっ!? アホ毛が喋っている!?」
「あー、このアホ毛の名前はオルガマリー。一応このカルデアの所長だ」
『一応って何よ』
「今は魂だけの状態だけど」
「そうでしたか。てっきり物の怪の類かと」
うーむ……やっぱり何か言葉の節々に違和感を感じる……。ひょっとして緊張でもしているのか? でもそれはありえんだろうしなー。
「……とりあえず、部屋に案内するよ。なんか欲しいもんとかある?」
「ありがとうございます。ですがお気遣いは不要です。満足に寝られればそれでいいですよ」
沖田さんを連れて、俺は召喚の間を出る。その際、ぐだおたちにアイコンタクトを取り、あとは任せたと伝えておく。俺も案内を終えたら、誰を召喚したか見にいくか。
そして歩く俺たちだが、その間沖田さんと話を済ませておく。なんか変な違和感感じるし。
訝しむ俺に気づいていないのか、沖田さんは普通に不敵な笑みを浮かべて話している。その姿はどことなく自信満々だ。
「まぁ、物の怪なぞ私であれば問題はありませんが。一刀のもと斬り伏せ、マスターの安全を保障しましょう」
あ、誰か来た。
「なんじゃ弱小人斬りサークルの姫ではないか。その口調はどうした気持ち悪いぞ?」
「ノッブゥ!?」
ボリボリアイスを齧りながら現れたノッブは、早々に沖田さんを煽る。
その姿が想定外だったようで、沖田さんは目を見開いている。あれ、ノッブ知ってるってことは、ぐだぐだ経験済みなのか?
「な、なんであなたがここにいるんですか!?」
「はぁ? なんじゃわしがいたらいけないと言うのか。……む? そうかそうなのかそういうことじゃな!」
なんだその三段。
ノッブは( ^ω^ )ヘーイ、みたいな顔で沖田さんを煽る。
「さては沖田貴様あれじゃな? カッチョいい感じ出して華々しい英霊デビューを果たしたかったんじゃな!? ふははは! そんなに上手くいくわけないじゃろうになぁ!! ざーんねんじゃったのぅはーっはっはっはっ!!」
「喧しいですよ!! ちょっと先に召喚された程度でなーに偉そうに言ってるんですかー!」
「当たり前ですぅー。わし先輩ですぅー。じゃから貴様は敬わなければいけないんですぅー」
「むきー!!」
なんだ、いつものぐだぐだコンビじゃないか。
ということは……あれか? ノッブの言う通り、沖田さんはカッコいいイメージでも持って欲しかったのか? ……そういえば、沖田さんって実際の聖杯戦争じゃ、性能低いからな。なおさらイメージってのは大事かもしれない。
まぁ、慣れてなかったのか、ノッブの登場でボロが出たわけだけど。
そう思っていたら、とうとう恐れていたことが起きた。
「大体何ですかその格好! なんであなた水着なんですか!」
「暑いから着替えたに決まっておるじゃろう。気にすることではないわ。……いや、気にすることじゃったな! そっち水着ないもんな! 厳密に言えば水着あるのに差分ないからな!」
「はーァ!? ちょっと、なんてこと言うんですか!」
「すまんのぅ、空気読まずにわしが先に艶姿を晒してもうて。まぁわしったら日本一ふぇいますな英霊じゃから是非もないよネ! 是非もないわー弱小人斬りサークルの姫より人気で是非もないわー」
言いやがったよこいつ! 沖田さんにとっての禁句をあっさり言いやがったよ!
確かに俺個人的にも、沖田さんの水着実装がどうなったのかは非常に気になるけども。でもなんでそれを俺じゃなくてこいつらが言うのかねぇ。やっぱこいつらぐだぐだオーダーの記憶あるのか?
と、気づいた。
いつの間にか、沖田さんが刀を抜いていることに。
「……おい待て。なんで刀持っとるんじゃ」
「何言ってるんですか。私は刀標準装備ですよ」
「いやいやそういうことじゃなくて。っておい待て何ステップしとるんじゃ。なんで刀を突きつけておるのじゃ」
「一歩音越え、二歩無間、三歩絶刀───」
「おい待てやめろ落ち着け沖田ぁぁぁ!?!?」
瞬間、沖田が踏み出し、ノッブがギターを構えた。
やべぇ第三次ぐだぐだ大戦が始まってしまう! そして怒られるのは間違いなく俺だ!!
今すぐ止めなくては。俺は即座にプランを編み出し、見計らって飛び出す。
「
「この距離なら
「お前ら落ち着け!!」
俺は2人の向こう脛と太ももを蹴り飛ばした。
順番としては、まずノッブの太ももを流すように蹴り、その勢いで沖田さんの向こう脛も蹴り飛ばした、というところだ。沖田さんに関しては縮地も使ってるからダメージ増大だな。
ぐはあああぁぁぁ!! と部位を押さえて転がる2人の首裏を掴んで、強引に引っ張っていく。
「よし、着いたぞ。ノッブは向こう、沖田さんはあっちな」
「ちょ、ちょっと待てその子猫運ぶような掴みやめんかおい」
「足引きずってる足、こふっ!?」
強制的に2人を部屋にシュートし、俺は来た道を戻る。
なんというか、疲れた。コハエースのライダーさんはこんな気分だったんだな。そう思った。
◇◇◇
召喚部屋に戻ってきた時には、まぁ案の定ぐだおたちは召喚を終えていた。悪いな遅れて。
「あ、半場さん。お2人の案内、終わったんですね」
「おう。んで、藤丸は誰を召喚したんだ?」
清姫か? それともエリザベートか? 清姫はともかくエリザベートは勘弁な。ロックバンドやろうものならとんでもないことになる。
だが俺の予想は違うみたいだ。マシュはなんか困惑しているように、しどろもどろになりながら言った。
「何と言うか……水着の方が……」
「ん?」
水着って、誰だよいっぱいいて分からんぞ。
俺はマシュを置いて、ぐだおの召喚したサーヴァントを見る。
「あ、あなたははじめましてですね。私はマルタです。水着で杖はないですがマルタです。───ところで、少しお話しがあるのですがよろしいですか」
「うわいきなり腹痛が……!!」
「喧嘩売ってるのですねそうですねそうですか」
今更ながらキャラ紹介。あとで個別に分けときます。
・不知火半場
めだかボックスで不知火半纏って打ってみてください。大体あんな感じです。意図的なボケ担当。たまにツッコミに回る。ほとんどこいつのせい。
・両儀式
説明不要な超強いおねーさん。正々堂々と半場のアホ毛を狙ってる。あとこの人が妙なことを言ったら、全て半場のせいです。
・織田信長(バーサーカー)
水着ノッブ、ロックバンドカルデアに所属。最近メンバー募集中。現在うどん粉でちびノブを作れないか画策中。
・沖田総司
桜セイバー。コフッがアイデンティティ。なんとか病弱を消せないか頑張ってる。
・藤丸立香(男)
原作主人公だけど、原作と同じことやってるので影が薄い。ごめんね。選択肢的には真面目。ギャグ選択肢は全て半場が持っていってる。
・マシュ・キリエライト
デミサーヴァントの後輩。ぐだお側のツッコミだけど、影が薄い。ごめんね。作中唯一、半場のギャグに染まらない子。多分。
・クー・フーリン(キャスター)
頼れる兄貴。
・エミヤ(アーチャー)
カルデアのオカン。半場に爆竹製作とか任されている。
・マルタ(ルーラー)
表向きは半場のストッパー。ただ悲しきかな。アホは行動を制限された程度では止まらないのだ。
・清姫(バーサーカー)
ぐだおのストーカー。
・オルガ所長(アホ毛)
アホ毛が本体。新八的なツッコミ担当。苦労人。
・ロマニ・アーキマン
ゆるふわ系ダメ男。第2のツッコミ役。過労人。
・ダヴィンチちゃん
天才。大体この人のせい。