作者「野郎オブクラッシャー!」
本編とは一切関係ないので聞き流しといてください。
では今回のラインナップ紹介
・軍人たちのバレンタインデー
・出張販売、その裏で
・Photo of wedding
・訓練終わるまで帰れま10
番外37-1:軍人たちのバレンタインデー
2月14日、世間はバレンタインムード一色である。しかしそんな世間の波にも乗れず、例年をただの1日として過ごして来た者たちがいる・・・・・正規軍の面々である。
もちろん軍人といえど相手がいれば当然もらえるし渡せる。というか相手がいようがいまいが、女性であれば義理と称して渡すことでバレンタイン感を得ることができる。
がしかし、どれだけ女性軍人の数が増えようとも圧倒的男率!結果として貰えない男が大多数を占めるのだった。
『というわけでジャッジ少尉! 俺たちにチョコをください!』
「ふざけるな!」
ものの見事に一蹴されてしまった。がそれでも男たちは諦めない。というのも、彼らがジャッジに詰め寄るのには訳があった。
「なぜ私なんだ!?」
「もう少尉しかいないんですよ!」
「AK-12もANー94もいなくなっちゃったからですよ!」
「アンジェがいるだろ!」
「嫌ですよ! あの人にせびったらホワイトデーに結婚指輪とか要求されそうですし!」
「どう見ても売れ残りコースじゃないですか!」
「ほぉ、なかなか面白そうな話をしているじゃないか」
『ヒィ⁉︎』
モーゼの十戒の如く、軍人たちの群れが割れて青みがかった髪の女性が現れる。正規軍人形部隊の隊長であるアンジェリカ大尉である。もっとも、二人もグリフィンに移ってしまったため戦力縮小は否めないが。
それはともかく、失言をした男を一撃で沈めるジャッジの隣に立ってこう言った。
「お前たち! バレンタインなどと浮かれている余裕があるなら訓練に励んではどうだ?」
「ですが大尉、大尉も先週まで浮かれてまいたよね?」
「そして一昨日まで彼氏の一人もできないことに焦ってましたよね?」
「昨日にはもう全てを諦めましたよね?」
「・・・・・・グスン」
泣いてしまった。しかも可愛い泣き方でもなくどちらかというと男泣きに近い泣き方である。ジャッジも正直擁護できないので黙っている。
が、その矛先はあろうことかそのジャッジに飛んできた。
「なら貴様らは! こっちのツルペタロリ人形の方がいいと言うのか!?」
「オイコラ今なんつった!?」
『当然であります!』
「よーしお前らそこに並べ、まとめて蜂の巣にしてやる!」
いよいよ我慢ならなくなってきたジャッジだったが、それより先に爆発したのはアンジェの方だった。蹲って泣いていた状態からスッと立ち上がり、覚悟を決めた表情で高らかにこう言った。
「いいだろう、ならどちらが(女性として)優れてるか決着をつけてやる!」
「ちょっ、アンジェ!?」
「私とコイツがお前たちにチョコを作ってやる!」
『うぉおおおおおおおおお!!!!!』
ジャッジが何かを言おうとするも、男どもの歓声にかき消される。隣のアンジェなどまだ始まってもいないのにやり切った顔で佇んでおり、もう後に引けないのだと確信した。
結局その日にチョコを渡すことはできないが、翌日に食堂で配る方向で話が進む。お偉い方もなぜか乗っかり、その日のアンジェとジャッジの仕事は無くなった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
それから一夜明け、2月15日。
普段は満席になることなどない食堂だが、この日は隙間なくびっしりと満席になっていた。決して広いわけではないのだが、これだけ集まれば壮観である。あとなぜか女性も数名混ざっていた。
そんな熱狂した雰囲気の中、徹夜で作ったチョコを配る二人の様子は対照的だった。
「ジャッジちゃん! おじさんにもチョコをくれ!」
「あんた上官だろ、プライドはねぇのか!?」
「プライドでチョコがもらえるか! そんなもの捨ててやる!」
「ジャッジちゃん、俺にも!」
「俺もだ!」
「ああもぉ!!!」
「あの、大尉」
「今だけは許可してやる、『アンジェちゃん』と呼べ」
「いえ、流石にそれはキt」
「何か言ったか?」
「いえ! なんでもありません!」
正直、ジャッジはチョコを作りはしたものの後はどうでもよかった。だがアンジェの方はあわよくば彼氏を見つけようという魂胆が透けてみえ、そのためかかなり露骨なアピールが入っている。が、義手になるまでどっぷり軍生活に浸かっていたせいかズレまくったアピールしかできていないが。
「おいジャッジ、もしかしなくてもこれ手作りか?」
「ん? まぁ、一応な・・・・もちろん義理だぞ」
「うひょぉおおおおお!!!」
「ジャッジちゃんのツンデレチョコ!」
「違ぇよ!!!」
「くっ、ギャップ萌えとは・・・・やるな、ジャッジ」
「アンジェも何言ってんだよ!?」
その後、一通り配り終えたことでお開きとなったわけだが、結局アンジェの彼氏もできなければどちらが(女として)優れているかもあやふやなままだったという。
end
番外37-2:出張販売、その裏で
代理人以下、精鋭メンバーが司令部へ出張販売に行っている頃。長期の店長不在であっても営業できるようにDが店長代理を務められるように訓練してきたのだが、それはあくまで業務と指示が中心である。
要するに、『いかに問題児たちを好き勝手させないか』という点については、純粋にDの技量次第であるのだ。
「やぁお嬢さん、今日は一人かい?」
「おやそこの君、なかなか絵になってるじゃないか。 よかったらモデルになってくれないかな?」
「あ、ありがとうごじゃいましゅ! お、お会計、はっ、に、二千円でしゅ!」
個性があまりにも強すぎるということで出張組から外れた三人を束ねるのは、それはそれは難儀だ。
フォートレスはまだいい。コミュニケーションが苦手だがこれでもマシになった方だからだ。むしろこうして積極的に表に出る機会があった方がいい。だが残り二人に関しては、ちょっと目を離すとすぐ勝手な行動に出てしまう。
「ゲッコーちゃん! 仕事中に口説かないで!」
「おや、見つかってしまったか。 では、また会おう子猫ちゃん」
「マヌちゃんも、仕事中はそれ持ち歩かないでね」
「ちぇ〜・・・」
一応言っておくと、彼女らは決してDをなめているわけではない。店長代理としてちゃんと敬意を払っているし、指示にも従ってくれている。ではなぜ今日はこれほどまでに仕事をしないかというと・・・・・
(はぁ・・・やっぱりOちゃんはすごいなぁ。 二人がサボる前に注意しに行くんだもん)
そう、普段は代理人が主にこの二人に目を光らせているのである。少しでも何かしようとすれば、それらが全て未遂で止められてしまう。無論、自身の仕事もこなしながらであるので、それがどれだけ大変かは十分理解できた。
「ふぅ・・・フォートレスちゃん、大丈夫?」
「は、はい、なんとか・・・・・」
大丈夫そうに振る舞うフォートレスだが、その顔には疲労の色がしっかりと出ている。
(・・・・・ちょっと早いけど、お客さんもいなくなったし閉めちゃおっかな)
代理人から店を任されているDはそう決めると、手早く指示を出していく。三人に片付けを任せている間、Dは明日以降の予定を見直すことにした。
(この四人だけで回すのに慣れるために、すこし営業時間を短くして・・・二、三日したら元に戻そうかな。 フォートレスちゃんにもいろいろ経験してもらいたいし・・・・あとあの二人にもちゃんとしてもらおうっと)
今はまだ未熟だが、着々と店長としての腕を磨いていくD。とりあえず彼女は、二人に真面目にやってもらうために少々強引な手段を使うことにした。
(マヌちゃんは・・・・ペンタブ没収かな? ゲッコーちゃんはしばらく厨房担当っと・・・・)
翌日、新たな指示を聞いた二人から悲鳴が上がったのは、語るまでもない。
end
番外37-3:Photo of wedding
喫茶 鉄血という場所は、しばしば不思議なことが起こることで一部からは有名である・・・というよりもそのマスターである代理人の周りでよく起こるのだ。
もっとも、当の本人は少々驚くことはあっても取り乱すようなことはなく、しかも最近は『あぁ、またか』みたいに慣れてきつつある。そんなわけで、今回の反応もそんな軽いものだった。
「・・・・・・あら?」
「どうしたの代理人・・・・おぉ?」
「代理人さん、マヌスクリプトさん、Dさんが呼んで・・・・え?」
開店前の準備をあらかた終わらせ、店の掛札を『オープン』にひっくり返しにきた代理人はあるものを見つけ、手を止める。それを中から見ていたマヌスクリプトも表に出てくると同じく固まる。そのタイミングで二人を呼びにきたフォートレスも、思わず止まってしまった。
それは、店の軒先に引っ掛かった風船だった。
「珍しいですね、こんなところに引っかかるなんて」
「何処かから飛ばされてきた・・・・・って割には低いよね」
「近所の子どもたちの忘れ物、とかですか?」
「・・・・・・・いえ、どうやらそうではないようです」
二人が首を傾げていると、代理人は風船・・・の下に括られた写真を手に取り、嬉しそうに微笑んだ。
そこに映るのは、三人の男女が結婚装束に身を包み、その周りを大勢の人が囲んでいる集合写真だ。マヌスクリプトとフォートレスにとっては見覚えのない者がほとんどだが、代理人とは面識の人物たちもいる。もちろん、真ん中の三人の男性もだ。
「へぇ、結婚式の写真じゃん」
「ど、どこから流れてきたんでしょうか? 早く持ち主に返してあげないと・・・」
「ふふっ、大丈夫ですよフォートレス。 これは私宛ですから」
風船から丁寧に写真を外すと、大切にポケットにしまう。そうしてゆっくり一度深呼吸をして、今度こそ掛札をひっくり返した。
「さて、それでは今日も張り切っていきましょう。 また彼らがきてくれたときに、最高の一杯が出せるように」
end
番外37-4:訓練終わるまで帰れま10
18:30
一日の訓練やら警備やらの業務を終え、夕食を取り終えたリー・エンフィールドとスプリングフィールド、Kar98kの三名は、日が沈む直前の屋外演習場へとやってきた。屋外演習場はより実戦を想定した訓練ができるようにと作られ、そのため夜間照明などと言ったものは基本的にない。
ほぼ真っ暗な演習場に、リー・エンフィールドの声が響いた。
「さて、では約束通り始めようか」
「あ、あの、本当に一晩中やるんですか?」
「ま、真っ暗ですわ!」
「・・・・装備はこれだけですか?」
スプリングフィールドとKar98kは未だに冗談であって欲しいという願望で、そしてついでにと参加したカラビーナは与えられた装備の少なさに少々驚いている。
弾倉が三つにサイドアームの拳銃が一丁、そして銃剣が一本だけである。
「あぁそうだ。 それと、この訓練自体の時間は定められていない、規定の成績を出せば日が変わる前に終えることもできる」
「! じゃあ!」
「つまり、結果を出せなければ日が昇っても終わらないということだ」
「「 」」
「それで、訓練の内容はなんでしょうか?」
二人が絶望のあまり真っ白になる中、唯一こういった状況に適応できているカラビーナが質問する。
「指揮官に許可をもらって、廃棄予定の古い訓練ドローンの使用許可をもらっている。 それをこの訓練で全て使う」
「く、クリア条件は?」
スプリングフィールドが恐る恐る尋ねる。それに対し、全く表情を変えずにリー・エンフィールドは言った。
「規定ラインまで前進し、そこに置いてある通信設備で救援を要請。 その後一定時間ラインを死守することが条件だ」
「・・・・・・・」
「それと、貴様らの装備は訓練中
要するに、最初の一回で成功できなければ消耗した状態で再戦である。地獄以外の何物でもない。
そしてここにきて、スプリングフィールドは彼女が敬愛するリー・エンフィールドが一種のバトルジャンキーであることを思い出す。それも、重度の銃剣突撃主義者であるのだ。
「開始は19:00、それまでに覚悟は決めておけよ」
「「・・・・・」」
「了解です」
「・・・他、返事は!?」
「「は、はいぃ!!!」」
ちなみに、この訓練に投入されるドローンは廃棄予定のものであるため数に限りがある。リトライを重ねるうちに数が減っていくのだが、そのことを三人は知る由もない。
逃げ回ったり突撃したり隠れたりとあの手この手で戦いながら、結局終わったのは日が昇る直前だったという。
end
今年ももう2ヶ月が終わろうとしている、いやぁ時間が経つのは早いなぁ。
さて、これ以上書くこともないので各話の紹介です。
番外37-1
暇を持て余した軍人たちの遊び(ガチ)
ログイン画面でヘリアンさんと並んでる時点でもう救いは・・・え?カリーナ?貢げばいいんじゃないかな
ちなみにアンジェの階級は適当に決めたもの。特に深い意味はない。
番外37-2
やべぇ問題児しかいねぇ。
Dって怒らせると怖いと思う。普段ニコニコしてるだけに思ったら無表情になるとか、もしくは目が笑ってない笑顔とか。
番外37-3
NTK様の『人形達を守るモノ』でのコラボ(https://syosetu.org/novel/190134/61.html)のお返し。
摩訶不思議な現象には定評のある喫茶 鉄血です。
番外37-4
リー・エンフィールドさんによるライフルのみの夜間演習。ちなみに廃棄ドローンは廃材なんかをくっつけた即席装甲兵。それに銃剣突撃しろと暗に言うリーさんは鬼だと思う。
ぶっちゃけカラビーナは問題なく達成できるはず。