喫茶鉄血   作:いろいろ

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基本的に迷い込む形でこの世界にやってくるお客様が多い中、なぜか狙ったタイミングで来れてしまうD08地区の方々・・・・カフェD08といい、もしかして世界線が近いのかも?

というわけで、今回はムメイ氏の『カフェD08へようこそ!』とのコラボ!
https://syosetu.org/novel/199919/47.html


第百七十二話:親子来店

異世界に行くにはどうすればいいか。

そもそも異世界があるのかもわからないにも関わらず、一定数の人間が大真面目に考えている問題である。加えて願望やら現実逃避やらで考えるのも含めると、割と大勢の人間が一度は関心を持ったことだろう。一説にはトラックが最も有効な手段であるとも言われているが、真偽は定かではない。

 

もっとも、そんな()()()()()出会いを多く体験している者にとっては、些細な問題ではあるのだが。

 

 

「この店、所謂ミステリースポットなんじゃないかな?」

 

「突然何を言い出すんですかペルシカさん」

 

 

コーヒーを啜りながら突拍子もないことを言い出すペルシカに、代理人も困惑気味に訊ねる。IoPの研究主任の中では比較的常識人であると思っていたのだが、その認識を改める必要があるのかもしれない。

 

 

「いやいや、だってその棚を見てみなさいよ、世界広しといえどもそんなもの(異世界の物)がこれだけあるのはここだけよ」

 

「そうでしょうか? もしかしたら私たちが知らないだけで、もっと多くの方がいろんなところに来ているかもしれませんよ」

 

「ないない・・・・と言い切れないところが悲しいけど、もしそうなら一件くらいは上がってくるはずよ」

 

 

ちなみに、この世界に迷い込んでくる客は大きく二種類に分かれる。一つは、道を歩いているだけで文字通り迷い込んでくるタイプ。この場合は、元の世界へ帰ることができている。

そしてもう一つ、元の世界で死を迎えたか、もしくは死に瀕しているところでこちらの世界にやってくるパターン。サクヤやノインがそうであり、後で聞いてみるとアデーラもこのパターンだったらしい。

 

 

「前者はともかく、後者はあまり増えないでもらいたいんだけどね」

 

「そうですね・・・・・」

 

 

この世界に流れてきた者たちも、それぞれ別の世界の住人であることが多い。そしてそのいずれでも、人類が衰退の一途を辿る世紀末な世界であるらしい。

この世界とは、あまりにも違う世界。今のところは問題ないが、流れ着く者が増えればなんらかのトラブルも起こり得るだろう。

 

 

「一応、サクヤにも協力してもらって、そういう人たち用の応対マニュアルも作ってはいるんだけどね」

 

「結局、私たちでは彼女たちの全てを理解することは難しいですからね」

 

 

これまで多くのそういった事例を見てきた代理人だからこその言葉だった。

様々な理由で訪れた彼らに代理人ができることは、コーヒーや軽食を出すことくらい・・・・・直接助けになれるわけではないのだ。

 

 

「ですから、私は私にできることをするだけです」

 

「・・・・・ま、それが結局一番かな」

 

 

どこか納得したようなため息をつき、ペルシカは代金を置いて店を出る。それを見送り、ふと棚に置いてある品々を眺める。こことは違う世界であるため、その出会いは文字通り一期一会・・・・のはずなのだが、これを置いているとなぜかまた会えそうな気がするのだ。

 

 

(・・・・ふふっ、そんな都合のいいことなんて)

 

カランカラン

「やっほー、代理人!」

 

「邪魔するぞ」

 

「入ってからで悪いんだが、子連れでも大丈夫だよな?」

 

「・・・・・・いらっしゃいませ」

 

 

会えそうな気はした、だがいくらなんでもフラグの回収が早すぎるだろう・・・・・代理人はこの世にいるかどうかわからない神様に向かってそう愚痴りたい気分だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、どうぞ」

 

「ん、ありがと」

 

「すまないな、いきなり押しかけて個室まで用意してもらって」

 

「構いませんよ。 それに、授乳されるのであれば個室の方がいいでしょうから」

 

 

のどかな世界の壁をブチ破って来たのは、こことは違う世界でカフェを営む元指揮官と戦術人形のご一行。ここに来るのは2回目、いや3回目だったか。どうやらある程度目星をつけて来ているらしく、今回も迷い込んだというよりも狙って来たといった感じらしい。

カフェ仲間ということでか、乗ってきたバンに牽引されたコンテナにはコーヒー豆やミルク、砂糖、卵などの材料類、そしてHK417・・・シーナお手製のエッグタルトが納められていた。

 

 

「だがいいのか? このコーヒーもお代はいらないなんて」

 

「等価交換、というものですよヴィオラさん。 もっとも、あれほどもらっておいてコーヒーが等価とは言い難いですが」

 

「いいのいいの、こっちの経営も安定してるし、ね?」

 

 

娘を抱きかかえたシーナがそう言ってにっこり笑う。

そう、いつの間にか彼女たちは母親になっていたのだった。シーナの娘はネーナ、ヴィオラの娘はリンというらしい。人形が子供を産むとか一夫多妻だとかツッコミどころはたくさんあるが、ひとまずお祝いの言葉は贈っておいた。

 

 

「じゃ、私らがもっと頼めば等価になるわよね? というわけでこのメニューにあるケーキ全部!」

 

「ちょっとは遠慮しなさいよロマネシア」

 

「いいの? 愛しのダーリンに『あーん』しなくても」

 

「代理人、私もスペシャルケーキひとつ!」

 

「ふふっ、かしこまりました」

 

 

子供を産んでも夫婦のラブラブっぷりは変わらないようだ。ヴィオラの方もシーナのように目に見えてではないが、やはり夫であるディーノ元指揮官に甘えたいらしい。

二人の子供もそれぞれの親に似て活発なようで、泣いたり笑ったりと元気いっぱいだ。元は気性が荒いらしいロマネシアも、この雰囲気に馴染んでのんびりと過ごしている。

 

 

(人と人形の子供・・・ですか)

 

 

注文分のケーキを、サイドアームまで使って器用に運びながら代理人は思う。

今現在、この世界では人間と人形の入籍という例はごくわずかだが存在する。もっとも、そのうち数件は彼女ら同様に異世界からきた者たちであり、この世界で成立した例は少ない。

人形と指揮官、あるいはそれに類する立場の人間との『誓約』という形でならそれなりにあるが、あくまで所有が企業から個人に移るというだけのものである。

そして当然、人形が子を生むという例など全くない。

 

 

(ですが、彼女たちのようにもしかすれば・・・・・)

 

 

脳裏に浮かぶのは、この世界のカップルたちや別の世界の友人たち。日頃から仲睦まじい彼女らにとって、それはまるで夢のような話なのではないだろうか。

まぁシーナたちの生い立ちがかなり特殊であるらしいのだが、可能性はゼロではないということだろう。

 

 

(その時は、私もお祝いさせてもらいましょうか)

 

 

代理人らしからぬ不確定な未来に想いを馳せつつ、個室の扉をノックして中に入る。

 

 

「お待たせしました、ご注文のケーキを・・・・・」

 

「あんっ、ダーリン、そろそろ代理人が・・・・・」

 

「んんっ、子供たちが寝ている間だけだぞ・・・・」

 

「パパぁ、ママたちばっかりずるいよぉ・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「・・・・・あっ」」」

 

「・・・・・3人とも?」

 

 

仲がいいのは良いことだ、いつまでも互いを愛しているというのは素晴らしい・・・・・・が、とりあえずTPOは弁えてもらうべきだと代理人は思うのだった。

 

 

 

end




それぞれの口調が合ってるか心配・・・・・他作者様のキャラはやっぱり書くのが難しいね。
その分書いてて楽しいんだけどねっ!

そしてD08のメンツといえばオッパイ、乳揉み、搾乳!
R指定ギリギリを攻める感じ、嫌いじゃないわ!


あ、私事ですが、イベントの堀周回が終わりました。
とりあえずの目的は達成したので、後は無理のない程度に進めようと思います笑
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