「聞きたいかね?・・・・昨日までの時点でry」
というわけで今回は、『白黒モンブラン』様の作品『Devils front line』とのコラボ回!・・・・と言っても彼らはもう帰っちゃったんですけどね笑
後日談的な感じです。
悪魔たちのスタイリッシュなバトルが見たい方はコチラ↓
https://syosetu.org/novel/191561/130.html
『・・・続いてのニュースです。 先日S09地区で発生したテロについて、グリフィン&クルーガー社が記者会見に応じました』
喫茶 鉄血の穏やかなBGMのなかで、少々物騒な話題が備え付けのテレビから流れる。内容は少し前に起きたテロ事件・・・・・ということになっている、とある奇妙な出来事だ。
『先日のテロ事件において、我々グリフィンは敵勢力及び兵器の無力化に成功しております。 また、今回の事件は実行グループのみで画策されたものであると報告を受けています』
表向きは所属・目的不明のテロ組織となっており、まるで悪魔のような姿で武装した人間とその兵器であると報じられた。幸いにも当時はグリフィンの部隊が速やかに展開され、目撃者はごく少数、それも遠目からという程度で済んでいる。
だが実際は、文字通りこの世のものではないモノの仕業であった。
『目撃者の中には、不気味な繭のようなものが見えたという声もありますが』
『それについても、こちらで既に回収し、調査を進めております』
不気味な繭、当時現場に赴いていた知り合いたちからも聞いた内容だ。
だが繭は回収されていない。すでに繭は孵化し、生まれ出たモノは処分されたからだ。
「相変わらず、絶妙にぼかしてるわよね」
「そうでもしなければ、余計な不安を煽るからでしょう」
「ま、うちも警察も鉄血も口の固さは保証するわ」
そう言ってクイっとカップを傾けるFAL・・・・先の事件の際に出動し、摩訶不思議な連中と出会った人形の一人だ。
「しっかし惜しいことしたわ・・・あんないい男そうそういないわよ」
「もともとこの世界にもいませんが・・・・ちなみにどちらのことですか?」
「選べないわねぇ・・・赤い方のワイルドな感じもいいし、青のクールな感じもグッとくるのよ」
ちなみに、彼らに惹かれたという人形はFALだけではない。美青年で強く気高い彼らは、去ってもなおその存在感を残していった。
「ま、もういないんじゃどうしようもないけど・・・・・じゃぁ代理人、お会計を」
FALが帰り、食器を片付けつつ数日前の不思議な出会いを思い返す代理人。その視線の先には、小ぶりな鉢植えに植えられた桜の木・・・・・その花はピンクや白ではなく、群青色というものだった。作り物のようにも見えるが本物、それも『魔力で作られた』枯れることのない桜だ。
(悪魔・・・・よく聞くおとぎ話のものとは、随分と違うのですね)
代理人が出会った二人の悪魔、ギルヴァとブレイク。ぱっと見では人間にしか見えず、仲間思いな印象だった。
若き指揮官のシーナ、特殊な義手を扱う処刑人、口数は少ないが優しいノーネイム、そして髪型を変えたもう一人の
「・・・・・ふふっ」
「あ、代理人ったらまたそれ見て笑ってる」
声の方を向くと、ニヤリと笑うアーキテクトの姿・・・・またサボりだろうか。
「違うよっ!?」
「では休憩ですか? その割には物騒なものを持っているようですが」
「大丈夫大丈夫、私じゃこれは使えないから」
アーキテクトが持っているもの、それはあちらの処刑人から譲り受けた義手・ブリッツだ。対悪魔を想定されているらしく威力や頑丈さは目を見張るものがあり、アーキテクトは寝食を忘れかけるほど研究に没頭した(もちろんゲーガーに怒られた)。
「これ、代理人に持っといてほしいんだよね」
「・・・・はい?」
「代理人なら、もしかしたらまた会えるかもしれないでしょ? そしたらその時に返しておいてほしいんだ」
アーキテクトらしからぬ提案に困惑する代理人。あの研究バカな彼女が自ら手放すなど・・・・・明日はジュピターの雨でも降るのだろうか。
「そ、そこまで言う? ・・・・まぁそれはさておき」
「?」
「使われてる技術なんかは、興味深かったよ。 でもこれは、私たちには過ぎた代物なんだ」
悪魔という常識の埒外を打ち倒すためのもの、それがこの義手だ。そんじゃそこらの兵器を、それどころかアーキテクトが実用性度外視で作った実験品の数々すら凌駕する性能を持ち、それがたった一人の人形によって振るわれる。
確かに彼女の言うとおり、この世界では過剰なものだろう。
「だから、ね?」
「アーキテクト・・・・えぇ、わかりまs「それにね!」・・・ん?」
「もう作っちゃったんだ!」
そう言ってどこから取り出したのか、もう一つの義手を取り出す。見た目はブリッツそっくりで、彼女が作るからにはきっとそれなりの出来なのだろう。
・・・・・ところでその材料と製作時間、どこから持ってきたものなのだろうか。
「アーキテクトっ!!!」
「また勝手に資材を使いましたねアーキテクト姉さん!」
「今日という今日は私も怒るよ!」
「ゲェッ!? 三人とも!!!」
案の定というか、やはり他をすっぽかしたあげく資材をちょろまかしたらしい。連行されるアーキテクトが助けを求めるが、代理人は気にせずブリッツを戸棚にしまう。元々は食器入れとして、最近では少々特殊な客との思い出を収める場所として機能しているこの戸棚だが、その中では一際大きく物騒な代物なのではないのだろうか。
(・・・・ふふっ、ここも随分と大所帯になりましたね)
そろそろ専用のスペースでも作ろうか、と代理人は思うのだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「・・・・・・はぁ」
ところ変わって喫茶 鉄血の三階、従業員用の居住スペース。冬場はこたつが占有していたフリースペースも、暑さが目立ち始めた今はちゃぶ台と扇風機に変わっている。
他の従業員が仕事中の中、たった一人座っているフォートレスは、手に持ったものを眺めながらどこか上の空でため息をついていた。
「・・・・フォートレス、元気ないね」
「それもそうだろう、なにせ相手が悪すぎる」
「後輩の恋路は応援してあげたいけど、こればっかりはねぇ」
それを物陰から見守るのは、当店自慢のトラブルメーカーであるマヌスクリプトとゲッコー。休憩時間に自室へと戻ってきたのだが、開店前と変わらず物憂げな表情のフォートレスを前にして戻るに戻れない。
そう、ここ最近の彼女はずっとこうなのだ。おかげで仕事にも手がつかず、本日は休暇ということになっている。
「ていうかよく飽きないわね、毎日アレばっかり見て」
「飽きるはずがないだろ。 想い人からのプレゼントなんだからな」
「想い人、ねぇ・・・・・一生実らない片想いって残酷よね」
フォートレスの不調の理由、それは彼女が持っている桜のヘアアクセサリーを渡した相手である。マヌスクリプトたちはその場にいなかったが話には聞いていた・・・・・その者の名を、ギルヴァという。
「ていうかその天然たらしのせいよね? ちょっくら殴りに行ってもいい?」
「やめておけ、どうせ返り討ちが関の山だ。 それに」
「それに?」
「・・・・・フォートレスが悲しむだろ」
「あー・・・・・」
チラッと視線を戻す。相変わらずアクセサリーを眺めては熱のこもったため息を吐いているのだが、どうにも様子がおかしい。先ほどまでとは違い顔が隠れていて、肩が小刻みに震えている。そして耳をすませると、かすかに湿り気を帯びた声が聞こえてくる。
「よし、奴を○そう」
「おいバカやめろ」
「だって、あいつフォートレスを泣かせたのよ!?」
姉を自称するマヌスクリプトにとってはギルティであったようだ。いつ・どうやって○すのかは知らないが、次に会ったときが奴の命日だと豪語するマヌスクリプトと、それを呆れながら止めるゲッコー。
そんな二人の無意味な喧騒の外で、静かに失恋を受け止めていたフォートレスは涙を拭き、アクセサリーを髪につけると普段のおっとり感からはかけ離れた俊敏性で店へと戻る。
「だ、代理人さん! わ、私・・・・・」
「・・・・吹っ切れましたか?」
「! ・・・・はいっ!!」
「ふふっ、では今日はコーヒーの淹れ方を教えましょうか・・・・・今度会うときは、あなたが淹れてあげてくださいね」
誰に、と言わずとも通じるその言葉に、フォートレスは笑顔でうなずいた。
出会いがあれば別れがある・・・・喫茶 鉄血は、今日も平和であった。
end
まずはコラボ元の作者である白黒モンブラン氏に感謝を。
そしてごめんなさい!おそらく一生叶わない片思いになってしました!
まぁ失恋は女性を強くするって言うし、ね?
では今回のキャラ紹介。
代理人
もう今さら悪魔如きでは驚かなくなってしまった。
思い返せば人形なのに妊娠する娘や治療(物理)なハイエンドや血で回復する系の狩人などなど・・・・悪魔がまともに見えてくるぜ。
FAL
あちらのコラボ回にて悪魔との遭遇戦に参加した人形の一人。
苦労人にして胃薬が手放せないが最近は服用数が減ってきた・・・が、どこか遠い世界の同一人物のような独女感も出てきた。
ゲッコー&マヌスクリプト
珍しくまともな登場。
ちなみにどちらも近接戦型の人形であり、近中距離の鬼であるギルヴァとはかなり相性が悪い・・・・というかダァーイされるのがオチである。
フォートレス
とある悪魔に恋をし、そして失恋した。なお、今作では失恋キャラ第二号である(一号は残念ライフルのダネルさん)。
物静かなギルヴァとは相性が良さそうだが、文字通り世界が違うのでどうしようもない(意訳:誰かIFを書いてくれてもいいのよ<チラッ)
改めまして、コラボありがとうございます!!!