喫茶鉄血   作:いろいろ

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UMP40キタァーーーーー!!!
てっきり777個開けるまで来ないと思ってましたが、思いのほか早く来てくれました。

9「家族が増えるよ! やったね45姉!」
416「おいやめろ」


第五十一話:Open your History(Black)

それは、よく晴れたある日のこと。

同じく活気にあふれた喫茶 鉄血の一角で、その人形は隠れるようにチビチビとコーヒーを啜っていた。灰鼠色のサイドテールと片目の傷跡が特徴のUMP45である。

不敵な笑みと空回りがよく似合う彼女が憂いた表情で一人コーヒーを飲む、見る者が見れば明らかに面倒ごとの予感しかしない光景だ。

・・・日課として訪れたG11はそう思った。

 

 

「・・・45?」

 

「ん? あぁ、11か。」

 

 

そう呟いて再びため息とともにカップを手に取る45。

ここでまず、9絡みではないことがわかる。シスコンを発揮した45なら、まず間違いなく11に絡んでくる。愚痴か、不平不満か、はたまた妹の行く末を心配しているかの誰かだが、今回は違うようだ。

 

 

(・・・まさか、本当に()()()()なのかな?)

 

 

今でこそポンコツで通っている45だが、かつては冷酷ながらも最も仲間思いだった。故に全員の生存が難しいような任務の前は、こうやって悩んでいたこともある。

11はスイッチを切り替え、45に尋ねた。

 

 

「何か悩んでるの? 私でよければ聞くよ?」

 

「・・・・・そうね、聞いてもらおうかな。」

 

 

一度息を吐き、スゥーっと大きく吸い込むと、45は静かに語り始めた。

 

 

「・・・今朝、ペルシカから連絡があってね。」

 

「・・・うん。」

 

「・・・・・UMP40が、妹が帰ってくるって。」

 

「代理人、アイスコーヒーとショートケーキ。 45につけといて。」

 

 

ちょっと!? と叫ぶ45をよそに、今度は11が頭を抱える。それもそうだ、心配して聞いてみれば結局シスコンではないか。いらんことに首を突っ込んでしまった自分に呆れつつ、仕方なく続きを聞いてやることにする。

 

 

「で、なんでそれで落ち込んでるというか、そんな表情なの? シスコンの名が泣くよ。」

 

「いや、その、40はね・・・あとシスコンじゃなくて妹が好きなだけよ。」

 

「それをシスコンって言うんだよ・・・・・何? 嫌いなの?」

 

「嫌いってわけじゃなくて、その・・・ね?」

 

 

な 何がね?だよ・・・と思いつつ、これは何かあるなと勘ぐり始める11。自分でも分かる、愉悦を求める自分が首をもたげている。それはつまり、美味しいネタがやってくるということだ。

 

 

「ふぅん・・・で? 何時頃くるって?」

 

「・・・多分、もう着いてる頃だと思う。」

 

「へー。」ポチポチポチポチ、ピロンッ

 

「待って、誰に何送ったのよそれ。」

 

「さぁね〜。」

 

 

内容は45の居場所、メールの宛先はカリーナ。司令部最速の情報伝達網であり、11の同志(愉悦部)だ。

あとは件の彼女がやってくるのを待つだけ。

 

 

「お待たせしました、アイスコーヒーとショートケーキです。」

 

「頂きまーす。」

 

「そしてこちらが伝票です。」

 

「いやなんで私に出すのよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

バァーーーーッン

「45! 逢いたかったわよ45!」

 

「げっ! 11! あんた私を売ったわね!?」

 

「ん〜? なんのことかな〜?」ニヤリ

 

「こんのド腐れロリ人形がぁああああ!!!」

 

 

11のタレコミによって猛ダッシュでやってきたUMP40。グレーの髪に黄色い目の元気のいい彼女は、その名の通り45や9の姉妹銃をモデルに作られている。

そんなわけで本来なら45のシスコンレーダーに引っかかるはずなのだが、当の45は珍しく引き気味だ。

・・・まぁ速攻抱きつかれた上に頬擦りまでされては当然といえば当然の反応だが。

 

 

「あ〜ん45、そんなに照れなくても〜!」

 

「照れてないわよ! ていうかくっつかないで!」

 

「あたいがいなくて寂しくなかった? 今日は一緒に寝てあげるからね! あ、妹がいるんでしょ? 紹介してよ!」

 

「ああもう一度に喋るな! 寂しくなかったし一緒に寝なくてもいい! 9は今度紹介したげるけど変なことはしないでよ!」

 

 

まるでコントのような会話に、いよいよ11の顔がにやけ始める。何せここ最近は微妙な9離れで弄るネタが減っていたのだ。おまけにこのUMP40とやらは昔の、404小隊以前の45を知っているようで、それはそれは面白い話を聞けるだろう。

 

 

「よかったじゃない45、妹が好きなら喜ばしい限りでしょ。」

 

「え? 本当? なんでそれを言ってくれないのよ〜!」

 

「ロクなことにならないからな決まってるでしょ!」

 

「あ、好きなのは否定しないんだ!」

 

「・・・チクショー」

 

 

ヤベェ超楽しい。

グリフィンきってのトラブルメーカーな45がここまで翻弄されるなどレアどころではない。これは是非ともお近づきになっておきたいものだ。

 

 

「えーと、UMP40だったよね。 404小隊のGr G11、よろしくね。」

 

「あ、どうも。 あたいはUMP40、姉がお世話になってます。」

 

「・・・で、45に最後にあったのはいつなのかな?」

 

「ん〜・・・まだ義体調整とかの段階だったから、少なくとも404に配属になる前だよ。」

 

「ほぉほぉ、ちなみにその頃の45はどんな感じなのかな?」

 

「ちょっ!? 喋らないで40! あとでスペシャルケーキ奢るから!」

 

「え!? しょーがないなー・・・まぁお姉ちゃんの頼みだし。」

 

「話してくれたら数に応じてケーキセットを奢るけどどう?」

 

「乗ったわ!」

 

「40っ!?」

 

 

40とて女の子、甘味の魅力にはかなわず、よりたくさん食べられる方を選ぶのは至極当然の結果だ。

それに45があのスペシャルケーキを出してまで止めたい話、聞かないわけにはいかない。

 

 

「そういうわけで45は縛っちゃおうねー。」

 

「ま、待って11! お願いだからやめさせて! 11ぃいいいいいい!!!」

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

『ほぉ、これが・・・。』

 

『はい、姉のUMP45と妹のUMP40です。』

 

『だが特殊任務用なのだろ? 大丈夫なのか?』

 

『はっきり言えばまだ調整段階ですが、必ず期待に応えてみせます。』

 

『・・・わかった、任せるよペルシカリア主任。』

 

 

 

 

 

『・・・45、大丈夫?』

 

『うぅ・・・グスッ・・・もうやだぁ。』

 

『命中率二割弱・・・想定外の低さね。』

 

『だ、大丈夫だって! あたいがなんとかしてみせるよ!』

 

『ふぇえええええん。』

 

『ほら、泣き止みなって。』

 

 

 

 

 

『はっ、はっ、はっ・・・』

 

『ほら! 動きながらでもちゃんと狙って!』

 

『くっ・・・に゛ゃっ!?』

 

『狙う時に足を止めない! もう一回いくよ!』

 

 

 

 

 

『・・・40、一緒に寝ていい?』

 

『ん? 怖い夢でも見た?』

 

『・・・・・うん。』

 

『ふふっ。 ほら、こっちおいで!』

 

『うん!』

 

 

 

 

 

『ーーーーそこまで、訓練終了。』

 

『やった、やったよ40! ペルシカ!』

 

『おめでと45! 特訓の成果だよ!』

 

『・・・うん、これなら十分実戦に出せるね。』

 

 

 

 

 

『・・・・・それじゃあね45、応援してるから。』

 

『ううぅ・・・40、また会えるよね?』

 

『大丈夫! だから45も頑張ってね!』

 

『・・・うん。』

 

『今度会った時は、思いっきりギュってしたげるからね!』

 

『うん、私もギュってする!』

 

『よし、じゃあ行くね。 バイバイ!』

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

「もうお嫁にいけない・・・。」

 

「大丈夫だよ45、あたいがもらったげるから!」

 

「ププッ、45も可愛い頃があったんだね・・・・・ブフッ!」

 

「うぅ・・・もういっそ殺して・・・・・。」

 

 

よほど45が好きなのか、40は話題を振るまでもなくペラペラと話してくれた。今のいろいろと汚れた45からは想像できないほどピュアな姿に、11や偶然聞いていた代理人も思わず微笑んでしまう。

40も40で、おそらくここまで45について語ったことなどなかったのだろう。それこそノンストップで語り尽くした。

 

 

「45さんのことが好きなんですね、40さんは。」

 

「もちろん、私の可愛いお姉ちゃんだからね!」

 

「いやぁ、いい話を聞かせてもらったよ。 今日は私の奢りだ。」

 

「やったぁ! じゃあこのスペシャルケーキのセット!」

 

 

耳まで真っ赤にして机に伏せる45をよそに、40はホクホク顔で運ばれてきたケーキを食べる。のそりと顔を上げた45はそれを恨めしそうに見つめるが、ため息を一つついて笑う。

 

 

「ん? どしたの45?」

 

「いや・・・・・今更だけどお帰り、40。」

 

「うん! ただいま45!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちは・・・あれ? 誰?」

 

「45と似てるわね・・・姉妹銃?」

 

「お? もしかしてあなたがUMP9? UMP40だよ!」

 

「9、416、この方は昔の45を知る貴重な人物なんだよ。」

 

「ちょっ!? 11!?」

 

「えっ!? ほんと!?」

 

「それは是非とも聞いておきたいわね。」

 

「いいよ! まずはあたいと45の出会いから・・・」

 

「も、もうやめてぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

end




45ほどいじりがいのある人形がいるだろうか?いや、いない。(反語)

45姉の意外な出自が明らかになった今回のイベントですが、本作には一切関係ないので45も40も16lab製です。
40は出たけど日課の物資箱集めは続けます。資源とかおいしいしね。



ではキャラ紹介

UMP40
45と同時期に製造された人形。特殊任務用に調整され、装備の換装なしで高機動にも高火力にもなれる。
位置的には45の妹だが、当時は散々だった45の支え役だったためむしろ姉っぽい。
シスコンではない普通の妹好き。

45(旧)
性能的にも性格的にも指揮能力的にもパッとしなかった頃。
これを今のような優秀な指揮人形に育てた40やペルシカの苦労は計り知れない。
40に会いたくなかった最大の理由。

G11
愉悦部。
趣味=睡眠だった頃のおかげか使い道のない貯金が大量にあり、それを使った買収が得意。
引き際は絶対に外さない。

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