幻想郷にはとあるうわさがある。それは[夜に小道を歩いている時にそこには人も妖怪も関係なく入り交じった旨い居酒屋が見つけられる]と言うものだ。
その話を聞いたとある少年は本当かどうか知るために夜道を歩くのだった・・・
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少年は一人、暗い道を歩いていた。
「父ちゃんたちが言ってたことって本当なのか?こんな暗いところに店なんかあるとは思えないけど・・・」
独り言をぶつぶつ言いながら進んでいると、かなり小さいが音が聞こえてくる。その音に向かって歩いていくと、暖簾のれんのかかった小屋が見え、少年は噂の居酒屋らしきものを見つけたことで、警戒を解いてしまい後ろから近づく者に気づかず、ひょいと持ち上げられてしまった。
「おいおい、お前みてぇな小僧がこんな時間にうろついてるなんていけねぇなぁ」
少年を持ち上げたのはガタイのいい猿のような妖怪だった。
「よ、妖怪!お前なんか怖くないぞ!早く離せよ!」
暴れる少年を気にも止めず、そのまま店のなかに入っていく。店のなかには人と妖怪が仲良く騒いでいた。猿の妖怪はカウンター席に座り、少年を隣に座らせ料理を作っている妖怪に話しかける。
「よぉ、
「かっかっかっ!マシラも面白いもん拾ってきたなぁ!よぉ坊主!儂はこの店【鬼のイビキ】の店主、轟鬼っつーもんだ!酒は飲ませてやれねぇが、旨い飯なら食わせてやるぞ?」
「俺が食べられるなんてことはないよな?」
「お前さんなんか食ってなんになる!んなことしでかしたら博麗の巫女に退治されちまうってーの!」
少年の質問に明るく返す轟鬼。それを聞いていたマシラは
「旦那に博麗の巫女が勝てねぇの分かってるのにそれを言うのかよ」
と呟いていた。一方、自分が食べられないことを知ったためか、少年は調子が戻ってきたようで、
「なぁなぁ、轟鬼のおっちゃん。何でこの店は【鬼のイビキ】って名前なんだ?教えてくれよ!」
「旨いもん食わせてくれるんだよな?俺「海」ってとこの魚食ってみたい!」
と自分の思うことを言っていた。轟鬼はそれを聞き、
「料理しながらになっちまうが勘弁してくれよ?まず店の名前だっけか?あれはな、酒に強い鬼でも酔い潰れてイビキかいて寝ちまうくらい食って飲んで騒げる場所にしてぇと思ってつけたんだよ!最初は妖怪、ってか鬼の為に作った居酒屋だったんだけどよ?一人が別の妖怪つれてきてそっから他の妖怪たちが飲みに来るようになった。しばらくしたら今度は人間が迷い混んできやがったんだ。最初は追い出そうとも思ったが、そいつはどうしようもなく腹を空かせてすがり付いてきた。『飯を食わせてくれ』ってな。儂はその時に決めた![ここは妖怪も人間も関係なく食いたい奴、飲みたい奴に存分に飲み食いできる場所にする!]だから今があるって訳よ!さて、料理もできたぞ!これは「海」ってとこの鯖って魚の味噌煮だ!できたてだから気を付けろよ?」
そう言って鯖の味噌煮を皿にのせて少年にだす。受け取った少年は冷ましながらそーっと口にいれる。
「っ!!」
一口食べた少年はあまりの美味しさに暑さも気にせず無言のままかなりの勢いで食べる。しかし勢いよく食べたせいか、胸の辺りを叩き始める。
「そんなに急いで食わんでも誰も取らんわ!ほれ、早く水飲みな」
水を渡された少年はごくごくと飲み干し、ぷはぁ!と息をつく。
「これすげぇ旨いな!こんな旨い飯食ったのはじめてだ!「海」にはこんな旨い魚がいるのか!」
「ありがとさん!そういってくれると儂も嬉しいぞ!だが坊主、そろそろお仕舞いの時間だ。」
少年の称賛に笑顔で答える轟鬼だが真面目な顔をしていう。
「?どう言うこと?」
「もうすぐ今日は店じまい、お前さんも帰らねぇとな。今度会うのはお前さんが酒飲めるようになったときになるだろうな!さあ夢みてぇな時間から覚めないとな」
そういうと少年は急に眠気に誘われ始める。薄れていく意識のなか、少年は「またな」という声を聞いた気がした。
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少年が目を覚ましたのは、自分の家だった。昨日のことは全部夢だったのだろうか?そう思ったとき、自分の懐になにか入っていることに気がついた。取り出してみると一枚のメモだった。そこには
「大人にあったらまた会おうな!」
と書いてあったのだった。
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