俺ームアームズに乗ってオルフェンズ世界で無双する話   作:FAパチ組み勢

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オルフェンズG配信記念
短いですが、どうぞ。



まだ生きてます。


拾弐 ※アンケート追加

 マクギリスは自らの機体をチェックしながら火星の人間へと襲い掛かるモビルアーマーの脅威の度合いを考察した。

 モビルアーマーに通用するのは、対モビルスーツ戦闘時と同様に物理攻撃のみ。同士討ちを狙って敵のビーム攻撃を当ててもナノラミネートアーマーに防がれてしまう。……エイハブリアクターのマイクロウェーブが動力源であるプルーマならば或いは、といったところか。

 しかしそんなプルーマのパワーも侮れない。

 先だって交戦しているグレイズが押し負けたらしいと報告を受けている。鉄華団の団員たちも、腕に覚えがない者は近接戦闘をしていないと聞く。

 

「……(グレイズを基準にすれば……あのプルーマでも二機か三機分のパワーがあるといったところか。俺やガエリオ以外では、単独で相手をするのは厳しいな。であれば下級のモビルアーマーでも四機、いや五機以上の編成で当たらせるべきだろう。……それが可能であれば、の話だが)」

 

 アーレスから脱出したギャラルホルンの人員は戦える全員がマクギリスとガエリオの旗下に再編された。犠牲を払いながらも大気圏を降下して火星のマクギリスたちと合流を果たしたのである。しかし戦闘に耐えられるレベルの機体は少なく、ともすればリアクターのみが無事だったスクラップ寸前のものも多かった。そういった機体は、一緒に降下してきたギャラルホルンの整備班たちが必死になって作業を進め、無事なパーツを選り分けて早急に組み直した。整備性能の高いグレイズならではの裏技だ。

 誰もが職務を全うするために全力を注いでいる。だが、コーラルと彼と近しい人間の姿は無かった。

 合流した彼らの話では、殿として何人かの部下と共にモビルアーマーから降下部隊を守る為に奮戦していたとの事だ。

 しかも途中で通信は途絶し、MIA(戦闘中行方不明)判定。

 だが、裏の事情を知る人間からすれば不審な行動だ。

 恐らく何らかの絡繰りがある。

 コーラルの裏の内情を知る一人であるマクギリスはそう思った。

 大方、戦闘中の混乱を逆手に取り、どこかの誰かに保護を求めたのだろう。

 様々な情報を集約した事により、コーラルの伝手についても調べはついている。

 ノブリス・ゴルドンの傘下のどこかが動いたのだろう。

 しかし、今の火星にいるギャラルホルンにはその足取りを追う事は出来ない。

 なので別の手を使う事にした。

 自分の商会の人間に足取りを追わせたのである。

 別件でMSGと商取引をする為に用意していた人員だったが、この程度難なくこなせる連中を連れてきている。もし何か分かれば、秘匿回線で情報が回ってくる手筈だ。

 機体のチェックが終わり、マクギリスの《シュヴァルベ・グレイズ》が起動する。

 マクギリスは今現在最も階級の高い士官だった。特務三佐は、二佐待遇であるからだ。同位のガエリオは補佐としての立場なので、マクギリスよりも下位になる。

 なので、誰も表だって反論はしない。

 何故ならここ数日での監査を通してマクギリスの有能さは、火星支部の人間には周知されていたからである。地球からの随伴人員たちは、最初からマクギリスに近しい人間が集められていたので反旗を翻す理由がない。……というよりも、マクギリスの新たな『計画』に賛同する人員が選抜されていた。人事部にもマクギリスのシンパはいただけの話だ。

 因みに今回の監査人員内でこの事実を知らないのがガエリオだけなのは公然の秘密でもあった。

 マクギリスの眼前には、整列したギャラルホルンのグレイズや兵士たちの姿があった。

 ガエリオの乗るシュヴァルベ・グレイズは、自分の隣に立っている。

 同じ組織の人間として、彼と肩を並べて敵と戦うのは、恐らくこれが最初で最後になる。……その事だけは、モビルアーマーに感謝しても良かった。

 

「これより我々は、火星の各自治区や生産プラント、及び人類を襲撃しているモビルアーマー群と戦闘を開始する。幾つか部隊を分散させなければ、被害は甚大なものになる。火星にある全ての軍事力を持つ組織が現在個別に対抗しているが、指揮系統がバラバラである以上どうしても効果的には動けまい。それに、だ。……このまま何もしなければ、我々は無能の謗りを受けるだろう」

 

 LCS通信と外部スピーカーにより、マクギリスの言葉は今回の作戦に参加する皆に共有されていく。

 その通信の向こうで感じる息遣いから焦燥、不安、恐怖……そして若干の高揚を感じる。

 ギャラルホルンに連なる家系や組織に属するならば、大なり小なり厄祭戦の英雄譚を聞かされて育つものだ。

 であればこの戦争はその英雄譚の続章であるとも言えた。

 マクギリスの仕事は、モビルアーマーの死の恐怖を抑え、この戦争によって英雄になれると焚き付ける事でもあった。

 

「君たちの祖先の中には、英雄として列される者もいる筈だ。ここにいるガエリオ・ボードウィン特務三佐の祖先のように」

 

 悪いなガエリオ、お前には生贄になって貰うぞ。

 おい、マクギリス。お前は何を言っているんだ?

 視線だけでそう会話を交わし、マクギリスは敢えて友人を英雄(いけにえ)にした。

 

「誉れ高いセブンスターズだ。であれば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。ボードウィン特務三佐は、その体現者として運命に選ばれた」

 

 敢えて自分の事は言わない。

 言っても士気に影響が出るだけだ。

 それとなくではあるが火星支部にファリドのお家事情が出回っているのは分かっていた。

 しかし当の本人は涼しい表情のままだ。それもそうだろう。彼の仲間によってその情報は正しく火星支部にも伝播された。

 火星支部の人員が、マクギリスの噂を知っていると分かったので、部隊の編成は偏る事が決定したのである。彼の想定通りに。

 マクギリスの方には比較的隔意のない人間が選抜され、監査部の人員全員がそこに合流する形だ。対してガエリオは、それ以外の大多数の人員を指揮する。アイン・ダルトンはその補佐だ。ガエリオ個人の副官に抜擢したのである。

 

 ふと、コクピット内にて、漸くガエリオは最近の自分の苛立つ原因を理解した。

 

 

 彼が何も言わなかった事が腹立たしかったのだ。

 

 

 生まれのことも。

 イズナリオとの確執も。

 父や妹の事も。

 自分の進退も。

 そして、友人であると思っていた自分や()()の事も。

 

 何も話さず、彼はギャラルホルンを去るつもりだ。

 恐らく、もう二度とこいつとは一緒にいられない。

 その事を、今更になって漸くガエリオ・ボードウィンという青二才は理解した。

 遅過ぎる実感だ。

 いや、それとも認められなかっただけなのかもしれない。

 父に妹と親友の婚約破棄の理由を聞き出そうと詰め寄ったあの日、ガエリオは確かに父から言われたではないか。

 

 ――お前では、マクギリスの抱える『闇』は晴らせない。

 ――アルミリアや私であっても論外だ。

 ――ギャラルホルンという頸木から抜け出して、漸くあの子は本当の人生を始められる。

 

 意味が分からなかった。

 だが、聞こえてくる『噂』が、マクギリスの抱える闇の救いの無さを証明していた。

 知らなかった。

 アイツが、妹の義理の父となる筈だった男に買われた少年男娼であり、ある年齢になるまでずっとその身体を貪られていた等――。

 火星出立の折、風の噂で恐らく自分以上にマクギリスを想っていた『彼女』が荒れに荒れていると聞いた。

 それもそうだろう。

 イズナリオは、『彼女』の後見人でもあったからだ。

 病床の父の代わりに家の存続に手を尽くしてくれた――と信じていた男が、憎からず想っていた幼馴染を食い散らかしていたのである。

 故にイズナリオは彼女の後見人としての任を解かれ、今ではボードウィン家が『彼女』の後見人をしている。その他にエリオン家も彼女の後見人に名乗りを上げたが、あの男が後ろ盾になったクジャン家の当主となるべき少年の実情を知るが故に丁重に断られていた。

 

「……時間を掛けていては無辜の人命が徒に失われるだけだ。だから手短に告げる」

 

 自分のシュヴァルベ・グレイズを操作し、ガエリオは手持ちの大型ランスを天に突き上げる。

 

「我々はこの時より、ギャラルホルンの本懐を遂げる! 我らをここへ導いた三百年前の英霊たちの為、散っていった戦友の為、何よりも大切な家族や仲間を守る為に、各員の一層の努力と奮起に期待する!!」

『『『はっ!!』』』

「我らギャラルホルン、モビルアーマーの脅威より人類を守る防人であり、討ち破る戦士である!! 往くぞぉ!!」

『各員、状況を開始せよ!!』

 

 副官として取り立てられたアインがそう告げ、ガエリオの麾下へと集った部隊が動き出す。モビルスーツだけでなく装備や推進剤、武装などを運ぶトレーラーやその護衛のモビルワーカーたちも行動を開始する。今作戦において、モビルワーカー乗りや歩兵たちは市民の避難誘導が主な仕事だ。生身でプルーマやモビルアーマーと戦う等自殺行為でしかないのは誰だって理解していた。

 そんな中、何故火星支部のいち下士官でしかないアインが、ガエリオの補佐となったのか。

 勿論これにも理由があった。

 アイン・ダルトンは、クランク・ゼント元二尉追跡の任務にて、コーラル支部長の指示に反した行動を取ったからだ。

 結果としてその行動によって部隊は混乱し、モビルアーマーの襲撃も合わさり死傷者や負傷者を生んでしまった。理由如何はどうであれ彼自身も調査対象であった事を鑑みれば、本来は営倉入りどころか射殺されてもおかしくない状況だった。

 それに『待った』をかけたのが、ガエリオだったというだけの話だ。

 責任者となってしまったマクギリスとしても、アインへの何らかの懲罰はしなければならない。しかしこの現状で、モビルスーツを扱える若手の士官を減らすのは自殺行為でしかないのは明白だ。戦える人間は一人でも多く必要だ。

 故に苦肉の策として、アインをマクギリスではなくガエリオの副官に据えたのである。

 

 お前が拾ったのだから、最後まで面倒を見ろ。

 

 マクギリスは、笑ってガエリオへそう告げた。

 元より彼は、ガエリオの性質をほぼ正確に見抜いていたからだ。

 情に脆く、培われた偏見に拘り、自分の常識を崩す事態を嫌う――言い方は悪いが、普通の男、どこまでも凡庸な人間と言っていいのかもしれない。

 上流階級の生まれでありながら、人の底無しの悪意を知らずに生きてきた――否、()()()()()()()男だ。

 故にマクギリスはガエリオの背中を押した。

 そろそろアイツも独り立ちの時期だ。

 名残惜しさを感じながらもマクギリスはその事に寂寥と哀惜を滲ませ、しかし解放感をも感じていた。思うに自分たちはきっと、少しでも距離を空けるべきだったのだろう。

 

「……こうなって初めて見えてくるものがあるのだな。俺もまだまだ青いということか」

 

 未熟さを思い知った。

 だがそれを恥と思うのではなく、己の伸び代であるとマクギリスは考えるようになった。

 そうとも。

 まだまだ自分は年齢的には青二才の若造だ。

 ここが自分の限界だと見切るのではなく、昨日よりも成長し進化しなくては。

 如何に能力が突出していようとも、年齢や経験を重ねた古狸共の老獪さには学ぶべき部分がある筈だ。今までは悪い事例であるイズナリオしか近くにいなかったが、ここにはマクマードやテッドといった良くも悪くも油断ならない怪物たちもいる。どいつもこいつも一筋縄ではいかないような連中だが、残さず自分の、いや()()()()の踏み台となって貰おう。

 

 乗機であるシュヴァルベ・グレイズを駆るマクギリスは、その顏に穏やかだが、どこか凄みを感じさせるような笑みを浮かべた。

 

「さて、まずはここからだな。生き残るかどうかは一天地六の賽の目次第といった所か。……博打だな、色々と成功させるには不確定要素が多すぎる」

 

 乗機であるシュヴァルベ・グレイズは良い機体だが、モビルアーマーとの機体性能の差は無視出来ない。

 恐らく、少なくない出血を覚悟する事になるだろう。

 だが、最悪ではない。

 何故なら自分には、仲間と友人と――協力者がいるのだから。

 

「……必要なのは、犠牲を最小限とした生き残った兵士の証言。それも、俺や彼らに対して好意的な意見だ」

 

 であれば、コーラルの不正が役に立つ。状況が許せば、そのままイズナリオの喉笛さえ喰い千切ってしまえるかもしれない。

 モビルアーマーやプルーマを危うげなく対処しながら、彼は確かに先を見据えていた。

 その眼には、微かにあった破滅願望の光はなく、ただ己の思い描く未来を望む強い意志があった。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 燃える。

 人が、建物が、車が、街が、都市が。

 天使によって蹂躙されていく。

 火星の各自治区、並びにある程度の規模の街は軒並みモビルアーマーの襲撃を受けた。

 人間がいる、と思わしき全てに、天使の閃光は降り注いだ。

 男が死んだ。

 女が死んだ。

 子供が死んだ。

 老人が死んだ。

 老いも若きも、住んでいた都市や街ごと燃やされた。

 そんな瓦礫の中、赤ん坊が泣いている。

 事切れた母親の腕の中で死にたくないと本能的に。

 周囲には火の手。

 生きている者はいない。

 だが、その声を聞き届ける者がいた。

 

 ――モビルアーマーだ。

 

 センサーが、赤ん坊の声を捉えたのだ。そしてカメラがその姿を視認した。

 プルーマの銃口が向けられる。

 砲身に熱が発せられる。

 ビームだ。

 生身で食らえば人なぞ蒸発する威力のそれが、幼い命を奪わんと放たれようとして――

 

『待て待て待てぇえええええええええええええ――!!』

 

 ビトーの駆るクファンジャルによって、蹴り飛ばされる。踵にあるホイールが回転し、プルーマの装甲をヘコませた。更に追い打ちをかけるように、ビトーの持つマシンガンが唸りを上げる。蹴りとその後の銃撃によって、プルーマはあっさりとスクラップへと変わり果てた。

 着地し、仲間に通信を入れる。

 

『赤ん坊は!?』

『確保した。けど、母ちゃんの方は駄目だった……』

 

 仲間の悔しそうな声が通信機から聞こえてきた。

 ビトーの噛み締めた歯が軋む。

 ここでの生存者は、赤ん坊含めて三十人程度。

 街から逃げたヤツもいるだろうが、この状況では逃げた先でモビルアーマーに見つかるのがオチだろう。よしんば逃れられたとしても、不毛の大地が多い火星では水や食料を安全に確保する事は困難だ。大規模な水源は各自治区やギャラルホルンの関連組織、大手の企業または民間軍事会社が専有しているのだから。

 勿論MSGも地下に水源は確保しているが、とっくの昔に許容限界を迎えていた。だから採掘可能な小惑星などから大量の希少鉱石や水を火星に調達する資源回収班もMSGにはあるのだが、今回の一件がある程度収まるまで資源回収作業は中止だ。備蓄してあるだけの水でなんとかしなければならない。

 貯蓄されている水がすぐに枯渇する事はないだろうが、それでも日に日に減っていくそれらを管理するウチの上役たちは発狂したくなるような気持ちだろう。特に団長や参謀やってるビスケットなんかは特に。あと最近真面目に勉強しているダンテも顔を青くしていた。

 MSGにはその成り立ちのせいか、途中参加した連中であろうと孤児が多い。路上生活者である孤児を真っ当に教育し、自分たちの事業に関わらせているのだ。噂を聞いて近寄ってくるような孤児も多かった。中には乗っ取りを画策しているようなヤツもいたが、それが成功した事はなかった。満ち足りた食事に暖かい寝床。衣服だってデザインは選べなくとも提供される。更には搾取されずに働けて、勉強だってさせてくれるという厚待遇。

 下手に組織を崩して成り上がるよりも、ルールを守ってのし上がる方が遥かに簡単だと気付いたからだ。まあ、そうであっても反乱を企てようとした連中はいたし、そういった連中は三日月たちによってボッコボコにされて再び路上へと叩き出された。あの連中、今となっては生きてはいないだろう。若社長は比較的御人好しではあるが、孤児だから・ストリートで生活していたからと言って許すような人間ではなかった。

 しかしそれでもMSGが抱える孤児は膨大だ。

 ここ最近になって判明したのだが、実に火星の三割もの孤児が、MSGに何らかの形で関係していたのである。

 当たり前の話ではあるが、関わる人間が増えれば消費される資源も膨大になっていく。

 もし若社長が用意してくれた『裏技』がなければ、とっくの昔に鉄華団は音を上げていた筈だ。

 ……事実、正史である世界線では、社会を動かす『大人』に、肥大化していく組織を食い物にされて終わったのだから。

 しかし、この世界ではそうはならない。

 鉄華団を運営する母体組織であるMSGと若社長が、ともすれば未熟なオルガたちを支えてくれているからだ。

 名瀬も、ともすれば親父風を吹かせるマクマードやテッドたちも、付かず離れずの距離で見守ってくれている。時に過保護になる場合もあるが。

 だが、今はそうも言っていられない。

 もうこうなってはいち自治区どころか、あらゆる人間が立ち向かわなくてならない事態だ。

 だからあのいけ好かないギャラルホルンたちも戦っている。

 生き死にが掛かっている場面だ。

 誰もが死に物狂いでモビルアーマーを倒す為に我武者羅に戦っている。

 しかしその犠牲も少なくない。

 MSGの居住区にいた人間はまだ無事だが、外に出て救助や戦闘に参加している社員ないし団員にも負傷者が出始めている。

 フレームアームズ操縦者たちの中にも、数の暴力に負けて負傷した人間は少なくない。不幸中の幸いな事にTCSによる障壁のお陰で死者こそ出ていないが、ここ数日の連続した戦闘により戦線離脱者はそれなりに出ていた。

 今では、ビトーたちのように劣悪な環境で戦ってきた元ブルワーズ組や、鉄華団初期メンバーぐらいしか戦える人員は残っていなかった。

 

「畜生……折角若社長が『大元』を叩いたってのに、これじゃあジリ貧だぜ」

 

 ビトーが言うように、既に若社長は宇宙にて今回の指揮を取っていたと思わしきモビルアーマーを破壊していた。戦端が開いたその日の内に沈めたらしい。

 相変わらず化物みたいに強い。

 それも当然と言えばそうだ。

 化物みたいに強い人が、化物みたいなフレームアームズに乗って戦ったのだ。この戦果は寧ろ当然と言えた。

 だが、火星で戦っている自分たちはどうだ?

 シミュレーターを相手取って調子に乗っていただけだと痛感した。

 実戦は甘くなく、両手で掴もうとした命は、あっさりと零れてしまった。

 だが、このままここで後悔していても事態が好転しない事も、痛いくらいに分かっている。だからビトーは、荒れる心をそのままに仲間たちに通信を入れる。

 

「撤収しよう。せめて生き残った連中や赤ん坊だけでも生き残らせねぇと……」

『了解』

 

 火星を覆う厄災は未だ払えていない。

 このままでは、多くの人命が戦火に消える。

 そうなった時、地球の連中は何を考えるのか。

 搾取など見込めないと切り捨てるか。

 復興に尽力する事で、自治区をより強固に縛り付けるのか。

 

 勉強を続けているとは言え、まだまだ若いビトーたちには先が見通せない話だ。

 

 だが、きっと今まで通りにはいかない。

 それだけは、彼らだけでなくこの戦火を生き抜こうとしている全ての人間が理解していた。





 戦火は止まない。

 人が描く絵図すら燃やし、機械の天使は殺戮を繰り返す。

 遠い地球にて策謀を巡らす魑魅魍魎たちは、火星の惨劇を見てやっと思い出した。

 自分たちの祖先が、どうして阿頼耶識などという非人道的な装置を開発し、運用していたのかを。

アジーの機体、どれが良いのか決まりません

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  • レイダオ
  • バルチャー
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