俺ームアームズに乗ってオルフェンズ世界で無双する話 作:FAパチ組み勢
色々と制限を自分なりに掛けて縛っていたせいで筆のノリも悪くなったので。
プロットも全部無くして思ったままに書きました。
※要は開き直ったとも言う。
最も強いモビルスーツ乗りは誰だろうか?
人が扱える機械仕掛けの巨人、その操縦センスが図抜けている人間は存在する。
『ルージュのアミダ』と異名を付けられた彼女は、確かにその一握りの上澄みであると言えた。
しかし、その乗機である『百錬』はどうか。
木星にて強い影響力を持つテイワズ、そのトップであるマクマード・バリストンが信頼する部下に渡す機体だ。弱い筈がない。
だがそれは、現行のモビルスーツの中では、という但し書きが必要になる。
厄祭戦において主力であったガンダムフレームに比べて、どうしても機体性能は劣ってしまう。
ギャラルホルンの誇る傑作機と名高いグレイズも、整備のしやすさやコストなどのトータルバランスが優れているが故にそう評価されているのだ。
どうしても人類社会の産物である以上、生産性や整備性というものは無視出来ない要因だ。
仮に機体が壊れようと、修理出来たならば戦線復帰は可能なのだから。勿論、それを扱うパイロットに相応の腕がなければただの高い棺桶へと変わるのだが。
そんな彼女が久し振りに旦那に頼み込んで購入した愛機である『フレズヴェルク=ルフス』だが、その性能は折り紙付きと言えた。
タービンズで使用している高速戦闘用モビルスーツである『百里』以上のスピードと反応のピーキーさは、アミダをして苦戦させられた。
それはその筈で、元々この機体はAI制御を前提とした機体だったのだから。フレズヴェルクシリーズは元来、有人機の護衛や随伴機としてこの世界では製造されたのである。であればこそ、その挙動は人の操縦を前提としていない無茶なものが多かった。
では、どうしてそんな物が名瀬に渡されたのか。
一つは、若社長の思い付きで、侮られない為でもあった。テイワズでも発言権のある名瀬が扱いきれないような高性能機を所有しているともなれば、同組織内でMSGに隔意や敵意を持たれ難くなるかもしれないと考えたのである。
事実として面白くなく思っていた幾つかの傘下組織は、名瀬より提供された機体データを参照し、敵対ではなく傍観ないし距離を置くことを決めた。
話を戻すが、明星も名瀬も、AI制御機構を人が搭乗するコクピットへ換装した特別機故に、性能は一段以上落ちる、そう思っていた。
だが、その常識を覆す規格外がアミダだった。
相性が良い。
色々と理由を付けられるそれらを取っ払えばその一言に尽きた。
現行の物より性能の良い規格外の耐Gスーツを若社長から贈られたとはいえど、慣熟にはさして時間はいらなかったのだから驚きだ。
苦戦したと先に述べたが、その内実アミダが苦戦したのは変形機構についてだけで、基本的な操縦に関しては時間は掛からなかったそうだ。それを聞いた若社長は口をあんぐりと開けて驚いた程だ。
勿論提供者である若社長ならば、この機体だろうと扱える。だが、使いこなせるとは言えなかった。ほぼ力業で無理矢理乗り回すのが関の山だ。
アミダのように、フレズヴェルクと人機一体の領域にはとてもじゃないが至れなかったのである。
勿論それには理由があった。
若社長、明星・龍始の中に形成されたナノマシン群体による補助脳型デバイスである阿摩羅識システムが原因だ。彼の阿摩羅識は、愛機であるヴェスパーファルクスと最高のパフォーマンスを発揮するように効率化されているのである。故にどうしても他の機体に乗ると図らずも操縦に比喩的意味でノイズが走ってしまう。
例えナノマシン接続を用いず従来通りの操縦を行おうとも、本能や無意識といった領域で感じる差異が機体の性能に影響を及ぼしてしまうのだ。
援軍としてやって来たアミダの操縦を見て改めて実感した。どうやら自分は、図らずもアミダというパイロットに最も最適な機体を用意したらしい、と。
明星は縦横無尽に
「…………チビスケ。あの挙動、AI制御と比較してどっちが上だ?」
サポロボ用コクピットである専用合一制御席(OOにあったハロのサブシートのようなもの)に接続されたチビスケは、観測したその結果を主人へと送る。
データが彼の網膜に投影され、更に龍治は絶句した。
明らかにアミダが駆るフレズヴェルクの方が強いのだ。
機体の通常駆動ではやはりAI制御の方がスマートな印象を受けるが、しかし人特有の柔軟性が備わった現在の方が総合的な性能は上と出ている。
AI制御の100点を越える人機一体の合計120点、とでも言うべきだろうか。
ある意味、モビルアーマーへの痛烈な皮肉がここに現れたとも言えるだろう。
イサリビの仲間が発見し、龍治が今現在戦っている火星を観測していた指揮官機モビルアーマーは、大型で随伴機も多いが、しかしそれらの露払いとしてアミダたちが周囲の敵を蹴散らしてくれたからこそ脅威の度合いは減っていた。
「……
だからこそ、フレームアームズに乗り換えたアミダたちの腕前を観察する余裕もあった。
元より凄腕だと知ってはいたが、それでも機体が変われば多少腕が落ちても仕方ないと龍始は思っていた。しかしその通説は、タービンズの戦闘組には通用しないようだ。
アミダの駆るフレズヴェルク=ルージュとでも呼ぶべき機体が形状を変えて巡航形態へと変形する。
脚部のハードポイントに接続された大型のベリルスマッシャー二丁が翼となり、人型のテールユニットに接続された二丁のベリルショット・ライフルが機首となった。
機体各部に存在するTCSオシレーターは、最低限の装甲しか持たないフレズヴェルクにとって最大の防御装置だ。更にそれを強化する機能がベリルスマッシャーには備わっているが、発生するシールドのせいで遠距離攻撃が出来なくなる。
だが、それを解決するのが機首のベリルショット・ライフルだ。
超高速で相手の死角へ移動し、シールドを一時的に解除して射撃する。
たったそれだけだが、極めればこうなると言わんばかりに彼女はスクラップを量産していく。
相手を仕留めたと確信するよりも疾く、彼女は次の獲物へと襲い掛かった。
そんな彼女を尻目に、ラピエールとそのバリエーション機であるゼファーを駆るアジーとラフタは堅実に敵を沈めていく。
カラーリングを交換した赤いゼファーと青いラピエールは、次々と近付く敵をハンドガンで撃ち落とし、淡々と遠くの敵をスナイパーライフルで撃ち抜いた。
しかし、
「ああっ、もう! しっつこい!!」
「……っ」
派手なアミダの挙動に隠れ、ラフタとアジーは実は一杯一杯だった。
それも当然で、慣熟訓練の最中にこんな鉄火場に巻き込まれてしまったのだ。
まだ前の機体である百里や百練ならば違っただろうが、しかしそれらは今回のハンマーヘッドには搭載されていなかった。艦載出来る数の問題も然ることながら、二機共にオーバーホール中だったのである。
弟分と思っている三日月や昭弘たちがぐいぐいと腕を上げているのに触発されて、二人もまた愛機に搭乗して訓練三昧の日々を送っていたのだ。
そのせいで機体はガッタガタになり、内も外も全取っ替えの大手術と相成ってしまった。
エーコを初めとした仲間からは怒られたしからかわれたりしたが、本気で怖かったのは整備班の皆だ。長時間の正座での説教のせいでその日は満足に動けもしなかった。シミュレーターでやれ、と言われたが今思えばその通りだった。
そんなワケで、繋ぎのつもりでフレームアームズに乗ったら意外に楽しかったのだ。……しかしそれは、戦闘に関係がない場合に限る、という但し書きが付くが。
「素直過ぎるのも考え物ね!」
「まったくだ……っ」
フレームアームズの中でも初期に製造されたラピエールは、その分操縦にクセが無く初心者でも扱いやすい機体であると言えた。
ーーだが。
逆に言えば、
ラフタもアジーも、腕前だけで言えば一流のパイロットだ。
独自のクセを持っており、それを自分の色として昇華している人間にとって、ラピエールは逆に扱い難い機体だった。素直な操縦性が、逆にパイロットと機体の相性を損なってしまうのだから。
そしてその事に、最前線で戦闘中の若社長とアミダは気付けない。
気付けと言うのは酷だろう。
こういう事に気付けるのは、後方で戦闘の全体図を把握出来ている人間の方だ。
……故に、大型化したイサリビと共に行動している
「……不味いな。ラフタとアジーが限界だ。エーコ、代わりのは何か出せるか?」
そう言われてエーコもまた二人がギリギリの状態である事に気付いた。
だが、
「そうしたいのは山々なんだけど、出せる機体が無くて。武器弾薬の類は沢山持ってきたけど、機体その物はあの三機の予備パーツぐらいしか持ってきてなくさ」
いや、見誤ったね。
エーコ・タービンは苦々しい顔を隠そうともせずに名瀬にそう答えた。
素直な良い子だからこそ、機体の調整を最低限にしたのが仇となった。もっと二人のクセに応じた調整をすればこうはならなかっただろうに。
服で例えるなら、あの二人は体型に合わない物を着て戦っているようなものだ。服ならまだキツかろうが大きかろうが脱ぎ捨てれば問題ないだろう。だが機械ではそうはいかない。
整備班の皆も、冷静ではいられないようだ。
名瀬もまた、冷や汗の流れる背中を感じながらも思考を回す。自分が慌ててしまっては、ラフタとアジーの命が危ないと分かっているからだ。
目下最大の障害である大型のモビルアーマーは、弟分である龍治が相手取っている。その攻撃の余波で子機も纏めて破壊しているのでそのお零れの処理がアミダたちの仕事だ。
こちらと同じタイミングでこの宙域へやって来たタントテンポの構成員らしきガンダムフレームも奮戦しているが、まだ素人臭さが抜けていないのが丸分かりだった。寧ろグレイズの改造機らしき二機の方が手際が良い。
恐らくジャンマルコの手勢だろう。借りを作ってしまうと今後に響きそうだが、差し迫った妻の命には変えられない。
腹を括ってコンソールを操作し、ヤツに援護を依頼しようとしてーー名瀬は見てしまう。
「…………なんだありゃ」
誰もが唖然となる光景を。
ーーそして、艦橋が『赫い光』に覆われた。
明星とアミダが気付いたのは、偶然ではあるが二人同時だった。
ラフタとアジーの限界が近い。
それにやっと気付く事が出来たが、既に二人とは距離が開きすぎていた。
そしてそれ以上に、ハンマーヘッドやイサリビとも距離を離されているではないか。
これではLCS通信も通じない。
『ワザとアタシらを誘い込んだみたいだね。……分断して仕留めるつもりかい』
「智天使の名前は伊達じゃねぇってことか」
『とあるパイロットが合体したがるアニメ』では雑魚扱いされるが、本来ケルビムとはかなり高位の天使なのだ。
上位三隊、父の二位。
その位置にあるのが智天使ケルビムだ。
聖書によれば、四つの頭と四つの翼を持つ天使だとある。しかもケルビムは『神』の姿を見ることが出来るそうだ。
そんな名前を付けられたモビルアーマーが、人よりも頭が良いのは寧ろ当然だ。強い獲物を隔離して弱い獲物を大多数の戦力で仕留めるつもりなのだろう。
成程、理に適っている。
しかし惜しむらくは、敵対している二機のフレームアームズの規格外さを認識していない事だ。
「アミダの姐さん」
『どうしたんだい龍治?』
「俺があの二人迄の『道』を作ります。そっからウチの
『あの二人を連れて、だね。確かに出来なくはないけど……やれるのかい?』
「やってみせましょう。どうも相性の悪い機体を売ったみたいなんで、その分サービスさせて下さいや」
『期待してるよ』
アミダとしては、ラピエール二機は別の子に回せば良いと思っているので気楽にそう言ってくれた。
なので謝罪の意味も込めて、ある文章を作成して彼女に送る事にした。
「それ、イサリビに着いたらユージンに渡して下さい」
『そりゃあいいけど、こりゃなんだい?』
「ただの指示のメールですよ。それをオルガや基地の連中にも回すようにって伝えて貰えますか?」
『いいよ。任せな』
了承するアミダに感謝を伝えて、龍治は両手と背中のコネクターを通じて、愛機と更に『繋がる』。手の甲とシートに隠れた背中が華の形に発光した。
阿摩羅識システムにより形成される両手と背中に宿る華は、個人で発光する色と形が変化する。
龍治も昔は簡素化された花のそれだったが、あれよあれよ状況に流され、気付けば大多数の部下を持つ社長などと呼ばれるような立場になってしまった。
なので、変える事にしたのだ。
花言葉など興味もなかった男が、花言葉の本を片手に頭を抱えながら選んだ花の名はーー
意味はーー『困難に
『
ヴェスパーファルクスを初めとしたフレームアームズや故郷であるタカマガハラの設備のお陰で、人生イージーモードだと舐めて掛かった今生だが、しかし人との交流を重ねて困難な状況に直面する事も多かった。
一人で散策中にスラムで子供に銃を突き付けられた。
更に破落戸共に囲まれて殺されそうになった。
契約した相手に嵌められて社員を危険に晒した。
食料や武器弾薬の値段を不当に吊り上げられた。
羽振りが良くなったと思われたのか変な投資を持ち掛けられた。
そしてーーギャラルホルンとのいざこざ。
その大半は裏技も使ってなんとかしたし、破落戸供だって鍛えた筋肉と培った戦闘訓練のお陰でボッコボコにする事も出来た。合流したオルガたちの方がキレて死ぬ寸前までリンチされていたが自業自得というものだ。……ついでに怒られたのは未だに納得してないが。
ギャラルホルンと事を構えた時も、泰然自若とした態度で動じてはいなかったが……拠点の放棄は考えていた。近しい人間だけを連れて、タカマガハラへの移住の計画を誰にも言わずに進めていたくらいだ。
クランクが来た事で向こうの内情が知れたので打って出たし、クーデリアを使って大掛かり式典も計画したが、元々ただの現代人なのだ。ストレスだって溜まる。
そんな中、やって来たではないか。
更にストレスを溜めさせて、しかし発散出来るスクラップ共が。
基本的にヴェスパーファルクスの三対の翼の内、最も下部にある腰部のアーセナルアームズから手の
しかし今回、彼は久し振りにちょっと本気になった。
「……オートリミッター・解除。出力上昇・開始」
唸りを上げるヴェスパーファルクス。
宇宙にあって尚黒い漆黒の装甲と黄金に彩られた魔王は、久方振りに主人の意に添って色を
紫の光が、徐々に変わる。
高出力モードによるTクリスタルの変色。
イーグルハントが取り出された事で追従している浮遊するアーセナルアームズも、倣うように総てが赫く染まっていく。
装甲を走るエネルギーラインもまた、紫から赫へと変化した。
たったそれだけの変化。
機体や装甲が変化したワケではない。
なのに、アミダが感じるプレッシャーは段違いに強くなった。
「……BSR-04、全基展開」
背部二対の翼より、手にあるそれと同じ銃が見えざる手によって外れる。
翼が解体され、浮遊する武装が更に増えた。
「全アーセナルアームズ、
浮遊している四つの砲身と複数のブレード状の武装が、砲口とその切っ先を主人が示す方向へと向ける。
「ターゲット・敵モビルアーマー」
勿論この間、敵も手を出さなかったワケではない。
ケルビムも随伴する子機たちも、この恐ろしい敵を仕留めようと躍起になって攻撃を仕掛けてきた。
だが、止められない。
出力が増大した事で展開される障壁は更に堅固になり、最早視覚的にもはっきりと見えるそれが全ての攻撃を防いでしまう。
「
背部のマルチプルシフター三基に、赫い光の翼が生成された。
赫く染まったバイザーの奥にある緑のカメラアイが、その輝きを強くする。
準備は整い、撃鉄は主人の手に委ねられた。
最早言葉は不要。
アミダは人型から巡航形態に即座に愛機を変形させる。
そして、
「 Demolition 」
総ての武装から、破滅の砲撃は放たれた。
TCS光波による砲撃。
言ってしまえば障壁そのものを水鉄砲の要領で撃つのがヴェスパーファルクスの射撃だった。
普段は弾状にTCSを成形して打ち出すが、今回はビーム状での砲撃だ。
それは本来ならばビームへ耐性のあるモビルアーマーだろうと、当たった瞬間に機体を破砕し、爆砕し、粉砕した。
宇宙に無数の花火が上がる。
その花火の中を、紅の鷲が疾走った。
TCSの障壁を全開にして、爆風なんぞ気にもせず、妹分たちを救わんと一直線に。
そして、彼女は辿り着いた。
「ラフタ! アジー!」
即座に巡航形態から人型へと戻り、呆然としている二機を引っ掴んで、更にそのままイサリビ目掛けて飛ぶ。
『ちょ、姐さん!?』
『速……っ』
包囲されジリ貧だった二人を助けた長姉は、しかしその内心を隠して軽口を飛ばす。
「いやぁ、アタシも今回は流石に肝が冷えたよ。……色んな意味で」
『あ、あはは……』
『ごめん、姐さん』
気不味そうな二人。
しかし生きてるだけ上等である。
自分にように、調整せずに相性の良い機体に巡り合う事など早々ないのだから。
今回は運がなかっただけだ。
「龍治からメッセージの配達も依頼されてるからね。このままイサリビに行くよ。アンタたちはそのままイサリビで待機」
『でも!』
『ラフタ』
ラフタが反論しようとするが、アジーがそれを押し止める。
『分かってるでしょ』
『う……』
渋々了承する。
だが、そう言うアジーも納得はしていないとアミダは見た。
嘆息し、しかしイサリビが近付くと気を取り直す。
「ユージン、聞こえるかい?」
LCS通信が届く距離となり、イサリビの艦長兼操舵手であるユージンと繋がる。
『アミダの姐さん!』
「アンタの所の社長さんからメールだよ! 受け取りな!!」
メールを送信したアミダはそのまま反転し、砲撃を免れ追ってきた子機たちへと向き直る。
「ついでにウチの二人を回収してくれないかい? 代金として露払いはするからさ!」
『了解しました! ……って、えー?』
通信を切るその直前に、ユージンは困惑の声を出した。
多分メールの中身を見ての反応だろう。
あの若社長、一体何を書いたのやら。
「ま、それも後のお楽しみに取っとくか。……さあ来な、モビルアーマー。纏めてスクラップにしてやろうじゃないか!!」
◆◆◆◆
メールには、端的に書かれていた。
ーー出し惜しみは無しだ。全部使え。
全部という意味を、ユージンは正確に理解していた。
更に同様のメールを複製して送れとの指示も書かれてあり、その宛先は地上で戦っている筈のオルガ個人や基地司令部とあった。
「全部って、サポロボやアイツらもかよ。……マジか」
だが、確かにこの状況では出し惜しみはしていられないと思い直した。
故に彼は手早くメールを指示通りに飛ばした。
恐らく自分以上にオルガたちは驚くだろう、と思いながら。
◆◆◆◆
MSGには秘密居住区と呼ばれる場所があった。
外部どころか内部からも隔離された、ワケ有りのモノが多くある事で社内では有名だったが、その内実を知る人間は少ない。
知っているのは若社長やオルガを初めとした少数のみだ。
そこでは、複数の男がトレーニングに勤しんでいた。
そんな中に指令を受け取った一人がある人物へと近付いていく。
「“A”」
アルファベットで呼ばれた男がベンチプレスを止めて、その上体を起こす。
「どうした?」
男は、短く刈り上げた坊主頭や額に流れる汗を、タオルで拭きながら部下に向き直る。
「司令部より、出撃要請が」
「『我々』を使う、と?」
タブレットを渡され、外部の情報が纏められたそれを見る男。
太く湾曲した眉、眉間の二つ皺、痩けた頬。
しかし鍛え上げられた肉体は、男が軍属であった事を示している。
「古巣が壊滅したようだな。……クランク・ゼントも死に体でここに運び込まれたとある」
もし運び込まれたクランクに意識があり、この男と出会ったらーー彼は驚愕した事だろう。
いや、ともすれば、今現在モビルアーマーと戦っているアイン・ダルトンもまた。
特徴的な斜めにセットされた前髪の房が無かろうとも、彼の顔には見覚えがあったのだから。
彼らは、一命を取り留めた。
若社長やトドたちに、『売れる範囲で機体を壊すように』と口酸っぱく言われたのが功を奏しての事だった。
故に死ぬ寸前だった男たちは、再生ポッドに叩き込まれ生き返させられた。
何かあった時に使うカードの一つとして。
しかし生きていれば費用は嵩む。
その為、彼らは傭兵としてMSGに秘密裏に所属する事となったのである。
借金を返すために。
「……どうやら、汚名返上の機会がやってきたらしい」
身体に走る傷は、何も考えずに上役の指示に従った結果だ。だから彼は敢えて消さなかった。
「往くぞ諸君」
オーリス・ステンジャという名を捨てて、ただの“A”となった。
ギャラルホルンモビルワーカー部隊の生き残りたちもまた、名前を捨てて彼に付き従っている。
そして紆余曲折あって、今や彼らも立派なMSGの社員。
サングラスでその目を隠し、ジャケットを羽織る。
軍属である以上、戦死は覚悟していた。
だが、その死因は意味あるものであるべきだ。少なくとも彼らはそう思っていた。
なのに今回の襲撃に大義はなく、薄汚い陰謀によるものと知ってーー彼らはギャラルホルンの制服を脱ぎ捨てた。
基地で生活していれば、色々と知る事もあった。
向こうは知らずとも、しかし彼らは笑う子供たちを知った。
知ってしまった。
だからこれは贖罪ではない。
誰も自分たちは殺していないのだから。
しかしそれでも。
護ると決めたのだ、あの幼い命を。
故に彼らは、与えられた新たな剣を振るう。
今度こそ、間違えないようにと願いながら。
「諸君、さあ往こうか」
『『『ーー了解』』』
もう一人のバナナ、生存。
大丈夫大丈夫。
ガンダムの世界には陽電子砲食らってもコクピットにぶっ刺さっても銀色の宇宙生物に特攻しても死ななかった人が何人かいるしヘーキヘーキ。
アジーの機体、どれが良いのか決まりません
-
カトラス
-
迅雷
-
ジィダオ
-
レイダオ
-
バルチャー
-
その他