戦姫絶唱シンフォギアDF ~DIVINE FLAME~   作:私だ

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第1話「それは奇跡が起こした偶然か」後編

「ふう…疲れたデス…。」

「何回も歌い続けてると、流石にね…。」

「おーいおっさん、どうなんだ?」

 

 聖遺物(プロメテウスの火)の起動実験が始まってから、約2時間が経過した。

 聖遺物が保管されている部屋には4人の少女達が集まり、部屋の中央で専用の装置に固定されているそれに向かって指示された歌を歌っていた。

 

「どうだ2人共?」

「駄目です…数値に変化は見られません。」

「むぅ…やはりそう上手くは行かないか…。」

 

 既に何回も歌い手を変えたりあらゆる曲を歌ってみたりはしているものの、オペレーターであるあおいと“藤尭(ふじたか) 朔也(さくや)”が答えたように、残念ながら今歌い上げた時点でも成果は出なかったようだ。

 

「ひぇ~…こんなに歌ったのに全然デスか…。」

「うむ…残念だが、今日の所はこれまでだな。全員一度こちらの部屋まで来てくれ。やはり翼とマリア君の2人が戻ってくるのを待つしかないか…。」

 

 冬の時期にもなると、17時でも外は暗くなる。

 2時間歌い続け疲弊している彼女達の事を考えると、今日はここらが潮時だろうと弦十郎は終了の合図を告げる。

 少女達もそれに異存は無く、喉が乾いたやら夕飯どうするかやら他愛も無い話をしながら部屋を出ようとする。

 ただ1人を除いて…。

 

「おい何やってんだよ、戻るぞー?」

「うん…。」

 

 響が何故か名残惜しそうに聖遺物を見つめて動こうとしない。

 普段とは少し違う彼女の様子を感じ取り、クリスや他の2人の足も自然と止まる。

 何故あんなにもあの聖遺物の事を見ているのか、何か気になる事でもあるのか。

 実を言うと響本人もこうしている理由はよく分かっていないのだ。

 今も脳裏にちらつくあの光景、それは司令室のモニターでこの聖遺物の姿を見てからの出来事であった。

 ならばこの2つには何か関係があるのではと思いながら実際に目の当たりにしてみたが、特にピンとくるものは無かった。

 ならばこの推理は外れだったのだろうと諦めて踵を返せば良い筈なのだが、それでも何故かこの聖遺物から目を逸らす事が出来ない。

 まるで今ここから離れてはいけない、目を逸らしてはいけないと誰かに押さえ付けられているように身体が動かない。

 

「(いや、違う…。)」

 

 しかし響は即座にその考えを否定した。

 

「(誰かじゃ無い、私自身がここから動いちゃいけないって思ってる…?)」

 

 己の心が身体を支配している、自らの意思でこの聖遺物と向き合っている。

 そう気付いた時、響は何故か胸中に安心感が沸き上がってくるのを感じた。

 この聖遺物を見ていると心が落ち着く、しかしどこか高ぶる想いもある。

 まるでアルバムを捲り、昔の自分の事を思い起こしているような、そんな不思議な感覚…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私…この聖遺物を()()()()()…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 件の聖遺物を見つめながらそう口にした、その時だった。

 突如彼女の脳裏にとある強烈な映像が流れ込んできたのだ。

 それはもはや脳裏どころの話ではなく、まるで今自分がその光景の中に立っているのではと錯覚してしまう程。

 先程まで目にしていた無機質な部屋から一転してのこの光景。

 幻覚だと分かっているが故に現実とのギャップの激しさに耐えきれず目眩が起こる。

 そんな彼女の切迫した状況なぞ知る術も無い周りの人達は彼女が何をしているのか全く分からず、いい加減クリスが引っ張ってでも部屋から連れ出すかと考えたその時、彼女達の耳にある歌が届いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―Gatrandis babel ziggurat edenal…。―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは…絶唱?」

 

 “絶唱”…それは聖遺物の力を極限まで高める禁断の歌。

 それを口ずさんでいるのは、他ならぬ響であった。

 何故急に絶唱を歌い出したのか皆その理由を考えていたが、誰よりも早く弦十郎がその思考を中断し響に声を掛ける。

 

「響君、響君!」

「…うぇっ!?な、何ですか師匠!?」

「何ですか、ではないぞ響君。こちらの許可無しに絶唱を歌うのは感心しないな。」

 

 弦十郎が響に声を掛け絶唱の歌唱を中断させた理由、それは絶唱を歌う事による代償を懸念したからだ。

 先に述べた通り絶唱には聖遺物の力を極限まで高める作用があるが、同時にそれは聖遺物を扱う者の安全面を度外視して力を増幅させるという事なのだ。

 別に手に取っている訳でもないし一定距離は保っている為彼女の身に何かが起こる可能性は低いが、理由はどうあれ実際に聖遺物に絶唱を聞かせるのは危険が多い。

 

「え…今私、歌って…?」

「む…どうした響君?」

「あ…いえ、何でも無いです。すみません勝手に…。」

 

 だが彼女の反応を見る限り、彼女は自らが絶唱を口ずさんでいたのを覚えていない様子。

 今さっき行っていた行動を覚えていないとは、まさか悪戯の類かとも一瞬考えてしまったが、彼女はそのような事をする人物ではないというのはこれまでの付き合いで既に分かっている。

 今回は無意識に行動を誘発させてしまう程に疲労を蓄積させてしまったと考えるのが妥当だろう。

 

「いや、こちらも無理をさせ過ぎたのだろう。とにかく響君も一旦こちらの部屋に…。」

 

 報告や事後処理も最小限とし、早めに彼女達を自宅へ送ってやらねばと弦十郎が思った…その時だった。

 

「司令!聖遺物のフォニックゲイン数値に変化が!」

「何!?」

 

 あおいからフォニックゲインの数値上昇の報告が上がる。

 だがそれは決して待ち望んでいた最良の報告では無かった。

 

「フォニックゲインの数値、急激に上昇!」

「何だよこれ…あ、安定基準値超えました!!」

 

 本来予定していた基準値を一瞬で越えた数値の上昇に誰もが浮き足立つ中、更なる報告が彼等の統率を乱していく。

 

「数値、尚も上昇…司令!!聖遺物から熱反応を感知!!熱量…こちらも急激に上昇しています!!」

「何だと!?」

 

 備え付けのモニターから保管室を見てみると、聖遺物は拘束していた装置を破壊して独りでに宙に浮き、不気味にも煌々と光を放っている。

 

「おいおっさん!!一体何が起きてんだよ!!」

「退避だ!!全員部屋から退避しろ!!」

 

 通信機からクリスの声が聞こえてくる。

 モニターを確認するとまだ彼女達が保管室の中に居るのが見え、弦十郎は即座に退避の指示を出す。

 普通なら彼女達ほどの年齢だとこの非常事態にパニックを起こしているかもしれないが、そこは訓練された特殊部隊に所属する者達。

 冷静に、しかし指示された通りに急いで部屋を出る。

 しかし調がある異変に気付きその足を止める。

 

「待って!!響先輩が!!」

 

 そう、この非常事態を前にしても響はその場から動こうとしないのだ。

 

「おい何やってんだよバカ!!早くこっち来い!!」

「響君何をしている!!早く部屋から脱出するんだ!!聞こえないのか響君!!」

 

 クリスや弦十郎の声も無視して、彼女は聖遺物の前に立つ。

 その視線は変わらず聖遺物に向けられたままだ。

 

「聖遺物から発せられている熱量、なおも増大!!先程よりも上がるスピードが早くなっています!!」

「っ…!!いけません!!皆さん今すぐそこ…いや、ここ一帯から離れてください!!ここに居る皆さんもです!!」

「どういう事だエルフナイン君!?」

 

 あおいと朔也からの更なる報告、それが指し示している事をいち早く察したエルフナインが声を荒らげる。

 

「これ以上熱量が上昇してしまうと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最悪ここ一帯がその熱で熔解してしまいます!!!」

 

 

 

 

 

 もはや声にすらならない、絶句という言葉が各々の心にのし掛かる。

 

「あのバカ…って熱っつ!?」

「これじゃ近付くなんて無理デスよ!?」

「響君!!返事をしたまえ!!響君!!!」

 

 最悪の事態を回避する為少女達は響に近付こうとするも、既に室内は生身では容易に居られない程の高熱となっていた。

 迂闊に口を開けば文字通り一瞬で喉を焼かれてしまいそうな程の高熱に少女達の足は自然と室外へ歩みを進めてしまう。

 

「これは…ガ、ガングニールの起動を確認!!こちらも数値が急激に上昇しています!!」

「ガングニールだとぉ!?」

 

 次から次へと舞い込んでくる報告。

 刻々と変化していく状況にS.O.N.Gの面々は翻弄され続ける。

 

「司令!!もう時間がありません!!」

「っ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

保管室の扉を閉めろ!!装者達の安全の確保だ!!」

 

 …だからだろうか、普段ならば絶対に出さない非情とも取れる指令を彼が下したのは。

 

「なっ…おいおっさん何してんだよ!?扉を開けろ!!」

「中にまだ響先輩が…!!」

 

 少女達の目の前で扉が閉まる。

 抗議の為に強く扉を叩く少女達だが、無情にも扉のロックが外れる事は無い。

 

「聖遺物の熱量さらに増加!!!もう計測できません!!!」

「いかん!!!皆逃げろおぉぉぉぉぉ!!!」

 

 限界が来た、そう察した弦十郎は全力で逃げるよう伝える。

 しかし彼等の予測に反しモニターに写る聖遺物はその姿が見えなくなる程の輝きを見せ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 瞬間、凄まじい衝撃が彼等を襲った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ…皆無事か!?」

 

 衝撃自体は一瞬だった。

 衝撃による揺れの兆候が収まったのを肌で感じた弦十郎はすぐさま全員の安否を確かめる。

 

「――…っさ…!――…おいおっさん!!聞こえねぇのか!?」

「クリス君か!?調君と切歌君は!?」

「こっち…――…2人…――無事です!」

「それよ――…輩は!?響先輩…―無事デ…―!?」

 

 室内の面々は目視で確認し、弦十郎は通信機から聞こえてくる少女達の通信に耳を澄ます。

 ノイズ混じりで正確な音声は聞き取れないが、断片的に聞こえる声から3人とも無事なのだと確認できる。

 

「響君は!?向こうの部屋はどうなっている!?」

「モニター…回復しました!!」

「映像出します!!」

 

 そして、室内に取り残されていた彼女は果たして無事なのか。

 あおいと朔也が高速でコンソールを叩き、保管室内のモニターに映像が写る。

 

「なっ…何だあれは…!?」

 

 そして写し出された映像、それを見た弦十郎は思わずそう声に出してしまった。

 よく見ると他の者達も声には出さないものの、抱いている思いは彼と同じようで、皆写し出されている映像から目を離せない。

 

「おいおっさん!!何で扉を閉めた!?あいつは無事なのかよ!?」

 

 そんな中少女達3人が部屋へと入ってきた。

 1番に室内へと入ってきたクリスは胸倉の代わりに弦十郎のネクタイを引っ張り彼女の安否を問うも、彼等が釘付けとなっているものへ視線を向けるとその先の言葉が続かなくなってしまう。

 

「な、何だよあれ…!?」

 

 調や切歌も同様に声を出せないでいた。

 そう、彼女等が見ているのは少し先の時間で未来が見たものと同じもの。

 つまりはあの黒い謎の物体だ。

 

「し、司令…。」

「どうした!?」

 

 朔也が新たな報告を告げようとする。

 その声は先程の緊迫したものとは違い、明らかに震えの入ったものであった。

 何が彼をそこまで震えさせるのか、それは次に彼の彼の口から告げられた言葉から判明し、それは同時にこの場に居る誰しもの心に刻み込まれる事となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「響ちゃんの生命反応…消失(ロスト)しています…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しんと静まり返る室内。

 その言葉に目を見開く者も居れば、彼が何を言ったのか理解していない…いや、理解しようとしない者の姿も。

 起動しているコンピューターの発する最低限の機械音のみが室内に反響する中、一抹の希望を胸にあおいがコンソールへ指を添えて動かし始めるも、次第にその動きは止まっていき、やがて朔也と同じように震えた声で新たに現実を告げる。

 

「ガングニールの反応も同様に消失(ロスト)…室内に彼女の痕跡…発見出来ません…!」

 

 彼女の震えは驚愕から来るものではない。

 受け入れ難い現実を目の当たりにしてしまい、無力感や後悔から来る涙混じりのものであった。

 

「そんな…。」

「嘘…デスよね…?」

「…そ、そうだよな…嘘に決まってるよな…ほら、映画とかでよくあんだろ?実は隠し扉が、とか…な、そうだろおっさん…?」

 

 少女達もあおいが言わんとしている事を理解したが、それでもとクリスは弦十郎に縋り寄る。

 そんな縋り寄られた弦十郎ではあるが、彼もまた表情に影が差しており、彼が今どんな面持をしているのかは1番近くに居るクリスでさえ分からない。

 

「なぁそうだろ…そうだって言ってくれよ…そうだって言えよ!!!嘘だって言ってくれよおっさん!!!」

 

 しかし何も言わずただ黙って俯いている、それだけでも彼が自分達の望む答えを出してはくれないと理解出来てしまう。

 それでもこんな現実は認められないとクリスは弦十郎に掴み掛かる。

 

「あんたが殺したんだ!!!あの時扉を閉めなけりゃ…頼むから嘘だって言ってくれよ!!!じゃなきゃあたしはあんたをぜってぇ許さねぇ!!!」

 

 そう言ってクリスは掴んでいた手を離し、首から下げているペンダントを握り絞め、右手を彼に突き付ける。

 その手に赤き銃身の拳銃を握り締めながら。

 

「っ…!?駄目!!クリス先輩!!」

「先輩駄目デスよ!!そんな事したら…!!」

「お前らは黙ってろ!!!あいつが死んだなんて…何て言や良いんだよ…!!先輩に…マリアに…あいつの家族や学校の奴等にだって…!!何より…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 未来(あいつ)に何て言えば良いんだよ…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 嗚咽混じりに言ったクリスは突き付けていた腕を力無く下げ、そのまま泣きじゃくってしまう。

 調と切歌も彼女の姿に感化されたか、2人寄り添って涙を流している。

 つい先程まで共に笑いあい、共に涙を流し、共に生きてきた仲間が死んだなど、一体どうやって受け止めろというのか。

 ましてやまだ10代半ばの少女達にこんな現実を受け止めろなど、酷以外の何ものでもない。

 

「まだ…死んだと決まった訳じゃない…!」

 

 だからこそ、彼は諦めようとしなかった。

 彼の瞳は、突き付けられた現実を覆そうと燃えていたのだ。

 

「各員に通達、これよりあの正体不明の物体の調査並びに立花 響の捜索を最優先事項とする。絶対に彼女を捜し出すぞ!!!

 

 弦十郎の声が室内に反響する。

 そう、まだ彼女の生存を告げる機械的な反応が無くなっただけ。

 この目で確かめるまでは、彼女が死んだなどと言わせはしない。

 彼の激励に心動かされたS.O.N.G.の面々は今一度彼女の生存を証明すべく各々の作業へと移っていく。

 

「これは俺達…いや、俺が招いてしまった事態だ。全ての責任は俺が背負う。もし彼女の生存が確認されなかった時は…」

 

 そう言って弦十郎はクリスの手を取り、銃口を自身の胸部へと向ける。

 

「君の好きにするんだ…!」

 

 クリスは涙に溢れる瞳をじっと彼に向けている。

 果たしてその引き金を引く事となるかならないか、それは約2時間後S.O.N.G.職員が総力を揚げて謎の物体の調査を進めた時まで持ち越される事となる。

 

 ―――――――――――――――――――――

 

 ―2時間後、S.O.N.G.発令室―

 

「…以上が、事の顛末だ。」

 

 その言葉を最後に、弦十郎からの説明は終わった。

 その場に居る誰もが口を紡ぐ中それ以降の事情を説明すべく、エルフナインが沈黙を破る。

 

「これまでの調査の結果、あの黒い物体はプロメテウスの火から発せられた膨大な熱エネルギーによって生じたものだと判明しました。その熱エネルギーはS.O.N.G.のスーパーコンピューターでも計測が不可能になる程のものです。」

「そんな…それじゃあ響先輩は…!?」

 

 調の表情が蒼白に染まる。

 もしその通りの事が起きたのだとしたら、あの場に居た響は無論無事では済まない。

 

「それ程の熱を耐えきる構造物など、この世界のどこにも存在しません。ですので本来ならその熱量で以て周囲一帯を熔解して、それで全て終わる筈だったんです。」

 

しかし現実には周辺はおろかあの部屋にも何かが熔解した痕跡は一切無く、代わりにあの物体が姿を現した。

あの物体は一体何なのか、立花 響はどうなったのか。

それは現在も調査中だという。

 

「…以上です。」

「以上って…他に何か分かってる事は無いんデスか!?」

「…すまないが、今はこれしか確証のある情報が無い。」

 

 何か朗報の1つでも無いのかと切歌が弦十郎に問いただしてみるも、返ってきた返事は変わらず少女達の心に影を差すものであった。

 

「…なら、確証の無い情報ならあるって事だよな?」

 

 だがクリスは言葉の裏をかき、正確性には欠けるものの彼等が何かしら情報を持っていると読んだ。

 その読みは正しかったようで、エルフナインが慌てた様子で弦十郎に視線を送る。

 すると彼はエルフナインに向かって軽く頷いた。

 秘蔵している情報を話しても良いという事だろう。

 エルフナインはそれでも1度は躊躇う素振りを見せたが、やがて意を決して少女達を見据え口を開く。

 

「これからお話しする事はあくまでも僕の希望的観測に基づく1つの仮説です。それを踏まえて聞いてください。」

 

 前置きを置いた後に語られた仮説、それは実に希望的観測と言うに相応しい荒唐無稽な話であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ボクはあの物体を、一種のワームホールだと仮定しています。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…わーむほーるって何デスか?」

「ワームホールって確か別の空間同士を繋げるっていうあれだろ?何でそんな…?」

 

 エルフナインが語ったワームホール。

 言葉としては知っていても実際に日常生活はおろかS.O.N.G.のような特殊な組織でもそうそう出てくるようなものでは無い。

 そんなものが何故今この場で出てくるのか、その根拠は一体。

 誰もが疑問に思う中、エルフナインは一旦ワームホールの説明を避け、当時の状況について説明を始めた。

 

「ボクがさっき言った事を思い出してください。あの聖遺物から発せられていた熱量は計測も出来ない程のものでした。そんな熱量に耐えられる施設や設備はこの地球上のどこにも存在しません。しかし現実には聖遺物のあったあの部屋でさえも何の被害も被る事なく存在している…普通に考えて有り得ない現象です。」

 

この一連の現象はエルフナインの頭を大いに悩ませた。

有り得ないと説明されるものが今こうして現実のものとなってしまっている。

まるで神様の仕業だと匙を投げたくなる程の非現実的な事情であるが、その時エルフナインは気付いたのだ。

現実的な概念が否定されたのならば、それこそ神様のような空想的な目線で物事を計れば良いのではないかと。

 

「では何故そんな神のような所業が成されたのか、その鍵を握るのは、計測不可能な熱量とその熱源、そして…ガングニールです。」

「ガングニールが…?」

 

 鍵を握るとして出されたキーワード、その内1つは少女達にも馴染みのあるものであった。

 彼女の…立花 響の持つ力が一体あの時何をしたというのか。

 逸る皆の気を抑えつつ、エルフナインは1つずつ説明を始める。

 

「まず熱量に関してなのですが…S.O.N.G.のスーパーコンピューターは世界的に見ても他に類を見ないと言える程の物を使用していまして、概ねこの地上で起こりうるであろう現象に対して計測や演算が出来るようになっています。ですのでこのコンピューターで計測、演算が出来ないとなると、それは正しく()()()()()()()()()だという事が言えます。この事をまず頭に入れておいてください。次に熱源に関してなのですが…。」

 

そう言うとエルフナインは着ている白衣の内側からタブレットPCを取り出しそれを手近なコンソールに接続すると、司令室の巨大モニターにタブレットの画面がそのまま表示される。

 

「これは2時間前に起きた当時の状況をデータ化して算出、その時起きたであろう事をシミュレーションして3Dモデルで再現したものです。」

 

 …この2時間の何処か合間で作ったのだろう、立花 響と名前が貼り付けられた女性用の3Dモデルそのままの姿の前に円柱の3Dモデルそのままの固定台、円形の3Dモデルそのままの聖遺物、果てには背景含めその全てが着色の施されていない初期設定の灰色と、これがごく短時間で作り上げられた力作だというのがありありと見てとれる。

 エルフナイン自身もこの出来映えにはかなり頬を赤らめている。

 

「開始時間はプロメテウスの火からフォニックゲインの上昇が確認された時から始まります。そして開始から約30秒程でボク達はプロメテウスの火から発せられた熱反応を感知しました。その時なんですが…これです、これを見てください。」

 

エルフナインがタブレットを操作し画面を拡大させる。

拡大した箇所は聖遺物を写しており、いち早く未来がその変化に気付く。

 

「プロメテウスの火に色が付いてる…?」

 

そう、3Dモデルで表示されたプロメテウスの火が初期設定の灰色から黄色に変わっているのだ。

エルフナインは少女達4人がそれを認識したのを確認し、解説を続ける。

 

「実はこの時プロメテウスの火からは別の反応が検出されていたんです。調べた所、この反応は物質の燃焼…つまりこの時プロメテウスの火は名前通り火を上げながら燃えていたんです。」

「まさか、それがあの熱を出してた原因…?」

「恐らくは。」

 

尋常ならざる熱源の正体はプロメテウスの火が実際に火をあげて燃えていたから。

熱だけであの熱さなのだ、実際の火は一体どれ程の熱さだったのか。

正直あまり考えたくは無い。

 

「熱の正体は分かったけど…結局あの黒いやつの正体はなんなの?」

「アタシにはチンプンカンプンデ~ス…。」

「…まぁとにかく、問題は何でそんなワームホール()が空いたか、だろ?」

「はい。そしてその問題を解決するのが、ガングニールなんです。」

 

 エルフナインの言葉に改めて皆の注意が彼女に向く。

 何せ話の主題がかの少女が持つ撃槍、ガングニールが主体となるのだから。

 

「プロメテウスの火が暴走を初めてからしばらくして、響さんのガングニールも何らかの要因で起動を始めたんです。少し時間を進めて…ここですね、これがちょうどその時の状況です。」

 

 エルフナインが再びタブレットを操作すると、3Dモデルによる映像が流れる。

特に見栄えの無い映像が流れ、やがて時間の流れを表すタイマーの動きが止まる。

映像が終わったという事なのだろうが、特に変わった所は無かった。

何も分からないではないかと皆がエルフナインに問おうとしたが、彼女はそれを遮るように口を開き新たに説明を始める。

 

「見ての通り()()()()から見た状況はこのようになっていますす。」

「こちら側…?」

 

 エルフナインの言うこちら側というのは、響の背面を写し出している視点、つまり当時の状況で言えば弦十郎達の居た別室側であり、またクリス達が聖遺物の熱によって下がっていった時の視点でもある。

 

「先程の状況を今度は別の視点から見てみましょう。そうすると…。」

 

 エルフナインの操作によって視点が切り替わる。

 エルフナインが定めた視点は響達が視線を向けていた方向を正面とし、部屋そのものを横から見た図。

 そこから当時の状況を見てみると…。

 

「これは…!?」

「何かみょーんって伸びてるデス!」

 

 不思議な事に爆発とは別の色…ガングニールと名付けられたオレンジ色の角錐が響の身体からプロメテウスの火に向かって伸びていたのだ。

これは一体何なのか、皆の抱く疑問を余所にエルフナインは別の事情を口にする。

 

「皆さんはあの時一瞬だけ強い衝撃が発生したのを覚えていますか?」

「あぁ。そういやあれは何だったんだ?何かが爆発したみたいな感じだったが…?」

 

確かにエルフナインの言う通り一瞬だが爆発の衝撃のようなものが襲ってきた。

状況が状況故に身構えていなかったとはいえ、それでもかなりの距離を身体ごと吹き飛ばされたものだ。

思えばあれは一体何だったのだろうか。

 

「その通りです、あの時確かにあの部屋では強い衝撃が発生していました。」

 

どうやらあの時本当に衝撃が発生したらしいのだが、その疑問にエルフナインはまたもそれは一旦置いておくと言って別の話を振る。

 

「少し話は逸れますが…皆さんは炉心溶融(メルトダウン)というものを知っていますか?」

「メルトダウン…?」

「カッコ良い名前デスね。」

「えっと…原子力発電で起こりうる事故災害なんですが…。」

「…あぁあれか!あのニュースとかでたまに取り上げられてる…!」

 

4人の反応が今一パッとしないものだったので意外と知られていない事なのかと焦りを見せたエルフナインであったが、何とか理解を示してもらえた事に内心ほっと一息吐く。

 

「それです。そして響さんから伸びているこれなんですが、これは恐らくガングニールから発せられた純粋なエネルギー反応です。」

 

これで素材は揃った。

後は分かるよう説明をするだけだとエルフナインは1度深呼吸をすると、まず結論からだと声に出して言う。

 

「人智を超越した熱量、その熱を発する聖遺物、そしてガングニール。この3つの要素が炉心溶融(メルトダウン)に類似した現象によって重なった事により、あのワームホールが形成されたのではとボクは考えています。」

 

よし、まずは結論を告げた。

ここから如何に噛み砕いて説明が出来るかが腕(頭?)の見せ所だと意気込むエルフナインであったが…。

 

「…ちんぷん。」

「…カンプン。」

「…デ~ス。」

「じ、順を追って説明しますから…。」

 

既にお前は何を言っているんだと言いたげな表情を見せる少女が3人。

未来も3人のように露骨に表現はしていないが、それでも纏う雰囲気は困惑の一色に染まっている。

いけない、このままではいずれ全員知恵熱で倒れる事態に成りかねない。

こういった話になるといつも無意識にも自分中心に考えて回りの人を振り回してしまう。

 

「この話を聞くに当たりまして、まず皆さんの持つ固定観念を一度捨てる必要があります。錬金術師(アルケミスト)であるボクがこう言うのもなんですが…この話を説明するのに必要なのは“空想観念”と“希望的観測”ですので。」

 

自身の悪い癖を再認識しながら、エルフナインはさらりととんでもない前置きをしてからいよいよこの話の根幹へと口を開く。

 

「まず炉心溶融(メルトダウン)の仕組みなのですが…

そもそも原子力発電というのは核燃料を燃やして水を沸かし、その蒸気でタービンという発電機を回して電気を得る発電方法です。もっと簡単に言うと水の入った容器の中に何本もの熱い鉄の棒を入れて湯を沸かし、その蒸気で発電しているような感じです。」

「な、なんか理科の授業が始まったデェス…。」

「切ちゃん、我慢。」

 

それに伴いどうしても理系の話となってしまい、日々を感覚で生きている自称常識人が早くも音を上げそうになる。

しかし相方に諭されてしまってはと、切歌は何とか理解をしようと努める。

そのやり取りを見届けたエルフナインはでは改めて、と言って続きを話し始める。

 

「そして炉心溶融(メルトダウン)というのは何らかの要因によって冷却が行われず異常な高温状態となった核燃料に炉心が耐えきれず熔けて壊れてしまう事を言います。先程の例で言うと容器の中に入れた棒が熱すぎて勢い余って容器そのものを溶かして穴を開けてしまった、といった所ですね。」

「はぁ…ん、まぁ何となく分かった。」

「…全然分かんないデス。」

「…後でじっくり教えてやるよ。で、そのメルトダウンがどうして今回の事に関わってるってんだ?」

「要はあの時この炉心溶融(メルトダウン)と同じ事があの場所で起きたのだとボクは思っているんです。そしてここで言う核燃料というのがあの聖遺物であり、炉心というのが…()()()()()()()()なんです。」

「おぅ…ここで来たか、その固定観念を捨てろっていうのが…。」

 

最後に発せられた言葉を聞いたクリスの表情が若干ひきつる。

言われはしたものの、実際にそう考えろというのはやはり難しいのだろう。

しかしここで納得と想像をしてもらわなければ先へ進めない。

彼女達には申し訳無いが、今暫く付き合って貰おうとエルフナインはそのまま説明を続ける。

 

「はい。そしてここで1つ訂正をします。先程核燃料を聖遺物だと言いましたが、もう1つその核燃料を構成するものがあるんです。それがあのモデルの中で響さんの身体から伸びていた角錐…ガングニールから発せられていたエネルギーです。」

「ガングニールのエネルギー…?」

 

再び声に出された聞き慣れた単語。

ここぞとばかりに食い付く少女達の勢いに負けないようにとエルフナインも説明に一層力を込める。

 

「鉄の棒を熱くする為にはそうする為の熱源が必要…つまりここで言う熱源というのが聖遺物であり、鉄の棒そのものがガングニールのエネルギー、合わせて核燃料という例えという事です。」

「…読めてきた。」

 

そこまで説明を終えると、クリスが小さく呟いた。

クリスは自分の中で組み立てられた仮説が正しいかを証明する為にエルフナインの説明を遮って自身の意見を主張する。

 

「つまりだ、メルトダウンは何かの原因で冷やせなかった燃料が容器を溶かして起こるものなんだろ?で、ここで言う冷やせなかった燃料っていうのが…。」

「はい、あの聖遺物の事です。」

「んでもってそこにガングニールのエネルギーがぶつかって…。」

「容器であるこの世界に穴が開いた。」

 

あの時皆が感じた衝撃というのはその穴が開いた際の反動なのだろう、と補足を付けてエルフナインは一先ず説明を終えた。

エルフナインは静かに皆の顔色を伺う。

クリスは自身の仮説が正しかったと僅かに笑みを溢していたが、直ぐ様その表情を引き締める。

本当に大事な事はそこでは無いという事を忘れていない。

一方未来や調は未だ思う所があるのか表情が固い。

切歌は…言わずもがなである。

 

「…よく分かんないデスけど、それって本当に出来る事なんデスかね?」

「言ったろ?固定観念を捨てろって。あの聖遺物の熱量はあたしらの想像の範疇を超えた代物なんだ、一々口で説明出来るもんじゃ無いんだろうよ。」

「…でもそれほどの熱量だったのなら、その…ガングニールから出たっていうエネルギーも熔けちゃうんじゃ…。」

 

そう言った未来の言葉にクリスはまた固定観念を捨てろと言おうとしたが、それならば未来の言っている事も正しい可能性があると肯定する事になる。

どう納得させるべきかクリスは悩むが、その疑問にはエルフナインが答える事となった。

 

「確かに未来さんの言う事にも一理あります。そこはそれこそボク達の希望的観測に従うしかありませんが…それに基づく形でなら無理矢理ですが証明する事が出来なくもないです。」

「どんな…?」

 

これまで捻りに捻くれた話から一転して納得のいく説明が出来ると豪語したエルフナイン。

当然ながら皆彼女の言葉に一層耳を傾ける。

そしてエルフナインはこれまでの長ったらしい話とは打って変わってとても短く話を纏め挙げた。

 

 

 

 

 

「皆さん思い出してください、ガングニールの特性を。」

 

 

 

 

 

「ガングニールの特性って…。」

「確か、エネルギーベクトルの操作…。」

 

 そう、ガングニールの特性はエネルギーベクトルの操作。

 あらゆるエネルギー概念の流動を自在に操作できる。

 

「そうです。プロメテウスの火から発せられていた熱エネルギーも想像の範疇を超えた代物ではありますが、そもそも皆さんの持つ聖遺物も人智を超越した代物です。

ガングニールならば“エネルギーが熔ける”という流れも操作が可能かもしれません。そして空間に穴が開いたのだとしたら、ワームホールの法則に従えばきっとその先の空間があると思われます。つまり…。」

「響はそこに居る…!」

 

 エルフナインの説明を遮る勢いで未来が口を開く。

 未来だけじゃない、ようやく彼女の生存という希望の光が見えたのだと少女達の心は浮き足立っていたのだ。

 しかし…。

 

「ですが…もしボクの仮説が正しかったとしても、響さんが無事だという保証は出来ません…。」

「…何でだよ?」

 

 その感動に釘を刺すようなエルフナインの一言。

 思わず刺のある声色で聞き返すクリスであったが、エルフナインの苦々しい表情を見てすぐに後悔の念が押し寄せる。

 

「まず響さんはあの時生身の状態でした。直前にガングニールが起動したとはいえ、計測不能の熱量を発していた聖遺物の近くに居て、さらに空間という概念を穿ち開いたワームホールの吸引。この2つの障害を前にして、果たして響さんの身体が持ちこたえられるのかどうか…。それにワームホール自体未だ解明されていない未知の現象です。ワームホールを通った先がどうなっているのかはそれこそ検討の仕様がありません。ワームホールを通った先に何かしら世界や空間があるという事さえ、ボク達の希望的観測に過ぎないのですから…。」

 

 そう、あらゆる分野で自分達よりも遥かに膨大な知識を得ているエルフナインでさえ今回の件は未知の領域なのだ。

 それも大切な仲間の命が掛かっているにも関わらず未だ少しの解明にも至っていないとなれば、彼女にしか分からぬ募りというものもある。

 その思いが果たして自分達に理解出来るものか。

 そしてそれは、普段自分達を引っ張ってくれている大人達も然りだ。

 

「…すまない未来君、これは俺のミスだ。どれだけ謝罪の言葉を綴ったとしても、どんな贖罪をしたとしても、償いきれる事じゃない。だからもしもの事があったその時にはクリス君…いや、皆共々好きにして良い…。」

「私は…。」

 

 事の成り行きを見守っていた弦十郎の言葉に未来は俯く。

 幼い頃から常に寄り添い、家族同然に生きてきた2人の心はお互いがお互いの存在に大きく支えられている。

 そんなお互いに半身とも言える存在が、運命の悪戯によって引き裂かれてしまった。

 また会える、そんな甘い言葉は許さないとでも言うような現実を突き付けながら。

 好きにして良いなどと言いはしたが、彼女の胸中に渦巻く思いは、きっとそんな程度の事では晴れるものでは無いだろう。

 そしてそれは回りに居る全ての者達にも同様に言える事だろう。

 弦十郎は皆からのどんな仕打ちも受け入れるつもりだった。

 そんな彼に未来が向けたものは…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は…響の事を信じてます…S.O.N.G.の皆さんの事も…だから…!!」

 

 涙に溢れながらも、決して希望を捨てない強い眼差しであった。

 突き付けられた現実に抗う術が無く、ただ涙を流す事しか出来ない。

 それでも諦めたくはない、彼女がまたいつも通りに皆の前に現れる事を信じている。

 それを叶えてくれるのは、目の前に居る大人達しか居ない。

 

「あぁ、必ず期待に応えてみせる…!!」

 

 彼女の切実な思いを受けた弦十郎は彼女の肩に手を乗せ、しっかりと頷く。

 彼女の…皆の期待に応えるべく、それが大人のやる事だと。

 その後調査が続く中少女達には自室待機が命じられたが、その命令に従う者は1人としていなかった。

 ある者は待機室でじっと待ち、ある者は相応の事態に備えて訓練室へと向かい、そしてある者は少女の無事を、ただ祈り続けていた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どこかの国、どこかの街。

 深夜と呼ぶにはまだ早いが、辺りはすっかり暗くなったこの時間。

 1件の宿屋にある青年が帰ってきた。

 

「ただいま。」

「おかえりなさい。あら?その子は…?」

 

 その宿屋の宿主である女性が出迎えるも、青年が背負っている人物を見て首を傾げる。

 

「帰り際にちょっと。こんな時間だから医者はどこも空いてなくて…今夜はここで彼女を寝かせたいんですが…。」

「なら2階に1部屋空いてるわよ、1番奥ね。」

「ありがとうございます。すみません急に…。」

「良いのよ、それよりもその子を…。」

「えぇ。」

 

 事情を理解した女性は快く引き受け、青年を中へと通す。

 青年は承諾をしてくれた女性に礼を言うと2階へと続く階段を上がっていく。

 背に背負っている少女や他の利用客を起こさないよう、慎重に。

 大人達は、少女達は、そして青年はまだ知らない。

 今この出会いこそが新たな物語の運命が交差した瞬間だという事を。

 青年の背に眠る少女…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少女の名は、立花 響という。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




・翼マリ

→海外主張中です


・逃げろと指示するよりも大きな声で言う「ガングニールだとぉ!?」

→シンフォの肝だからね、しょうがないね


・ギアも纏わずに拳銃引っ提げるクリスちゃん

→サブマシンガンまで出したんだ、拳銃くらい訳無い筈だ!…ぶ、部分展開的な事も出来る筈だ…!(この作品は作者の多大な妄想が8割を占めています)


・メルトダウンの説明

→合ってるかどうか?そんな事、俺が知るか!(電気バリバリ)


・ラストに出てきた青年達

→やっと出てきました

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