囚われし妖怪の運命紀行   作:震顫

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前作(11月11日)は投稿済
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11月15日

 その日、(アタイ)はいつも通り、ぬし様の図書館へ入りました――元気な挨拶をして。すると、ぬし様を見て気付いた事が、一つ。

(ん、口に咥えているのは……?)

直感で、見てはいけないものを見た気がしました。ぬし様の口に、た、タバコが……。

「ん、どうかした?」

「い、いえ。何でもないですよ……」

 ま、まさか、ぬし様は「ヘビースモーカー」っていうのじゃ……?健康体と思っていましたが、″タバコ″という嗜好物を持っていたとは。なんか失望しました。

(い、いや待てよ……。今まではただの思い込みだったんじゃ?なら、これはただの空回りなわけだけど……)

混乱して、視点が定まりません。

 そこで、私は一旦その場を離れ、気持ちを整えようと試みました。

「ちょっと……、ジュース取ってきていいですか?」

「……?別に構わないけど」

とりあえず、私は、少しぬし様から離れて、心を整えることにしました。

 冷蔵庫から、オレンジジュースを取り出して、コップに注ぎます。注いだ分は一気に飲み干しました。

 結論から言うと、ダメでした。

(信じられない……、信じられない……!)

台所にあった椅子に座って、私は頭を抱え込みました。むしろ、考える環境を自分で与えてしまったのです。

(あー……自分の首絞めたわぁ、これ)

 椅子の前脚を浮かし始めました。

(やっぱ、直接聞いた方が早かったかな……)

すると、視界が、ひとつだけ扉が閉まっていない収納を確認しました。

(……閉め忘れたのかな?)

 その扉を開けると、白い小箱がギッシリと入ってありました。

(何だろう……これ?)

「……ん?なんか閉め忘れてた?」

「ひゃえ!?」

ぬし様もやってきました。驚いて、まともな返事すらできません。

「あ、あの……これって……?」

私は、指先が震えつつ、白い小箱を指しました。

「この″菓子″?」

ぬし様は、口に咥えていた“菓子”を噛み切って、こう言いました。

「ココアシガレットよ」

「ココア……シガレット?」

 

 ぬし様は大笑いしました。

「私が、煙草を吸っていたと?そんな、確実に不健康になる物を私は嗜まないわ。それに、こいしとかあなたにすぐバレるだろうしね」

「じゃあ、なんでココアシガレットを……?」

「いやぁー、煙草は吸いたくないけど、煙草を吸う姿に憧れてね、不健康にならない方法を探ったら、これにたどり着いたって訳」

箱の中から、ココアシガレットを取り出して、ぬし様はそう答えました。

「これも、別の意味で不健康になるけど」

そう笑いながら。

「これね、外界製なのよ」

待ってました、と言わんばかりの説明。

(こういう姿も、珍しいなぁ)

何となく、微笑ましい気もします。

 説明が止まりそうになかったので、私は、人差し指を立てました。

「――1本、貰っていいですか?」

話を遮ってしまい、分が悪い気もしましたが、ぬし様は、

「一本と言わず、何本でも。何せ、ただのお菓子だからね」

と、不快を感じていないような、純粋な笑顔で、一本手渡してくれました。

 とにかく、ぬし様らしい感じで内心ホッとしました。

 

 




11月15日

喫煙姿は憧れる。けど、喫煙自体は息が臭くなるし、寿命縮まりそうだから嫌いだ。そう考えると、菓子類で、しかも全年齢いけるココアシガレットは有能だ。完全に私の要望を答えてくれたのだから。
まぁ、外界の物だから少し値は張るんだけど……。
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