囚われし妖怪の運命紀行   作:震顫

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pixivの「東方夢創録 #8」にあたります。
少しだけですが、あとがきには今後の展開について書いてありますので、最後まで是非。


後編

#8

 

「……っ!?」

私はこの状況に目を開けた。あの……あの、負けたというのを聞いたことがない博麗の巫女が、私より下の妖怪にボロボロにやられているのを。

(自分の能力が使いこなせなかったか、それとも……。)

あの獏の能力が、恐ろしく強大だというのか。

彼女らの話が聞こえてきた。

「あれ、もう終わりです?呆気ない終わり方で、私としては少し不満を感じますが。」

巫女は、答える余裕がない様子だった。一体何が起こったのか、展開が急で理解が追いつかない。かと言って、無闇に出しゃばる事もできない。ただただ、この話を聞く事しかできなかった。

「あなた……、その能力で、何をしたいの……?」

彼女が気力を持ってして出した言葉だ。これに、妖怪は丁寧に答える。

「第一に、幻想郷全体の支配。第二に、あなたを一度倒してみたかったという興味ですね。この能力は、私にとって最強の巡り合わせ、つまり、相性が良過ぎるのですよ。こうなって、ふと思ってしまったんです。幻想郷最強……もとい、『無双』したいって。」

「……洒落でも効かせているつもり?」

と、巫女が問うと、

「あ、それも面白いですね。『無双』と、『ムソウ』。……なんだー、まだ洒落考える余裕あるじゃないですかー。」

と、微笑した。彼女が言った「ムソウ」という言葉には、どんな漢字を当てはめれば良いのか、全く見当がつかない。実際、これが彼女の能力に関するキーワードになるかもしれないが……。

「さて……。」

と、獏が表情を変えた。

「あなたには、これから(ピチュ)って貰います。スペルカードルールの掟ですからね。不満は無いですよね?何せ、あなた達が作ったルールなんですから。」

巫女は、あの会合の時と同じように震えていた。抑える所作もしない。当然、これに獏も気付く。

「おや、随分と自尊心が高いようで。なら、もう一回戦闘()りますか?そんな体力じゃ、やった所で勝機なんて無いですけどね。」

と、彼女はまた微笑した。

巫女の震えが……止まった。

(まさか、覚悟しているんじゃ……?)

私の問題は、生死の事では無い。別にこのルール下では、全員死ぬことがまず無いのだから。むしろ、今後の上下関係がひっくり返る事となる。この幻想郷は、おそらく頂点が人間でないといけない。それ故、人里が存続しているのであろう。それが妖怪になったら……!長らくこのルールによって齎されてきた平和が、一気に崩壊する。正直、誰が敵になるかどうかは分からないが、始めに謀反を起こしそうなのは、あの吸血鬼姉妹であろうと、私は推測する。「再び、妖怪の地位を築こう」、とか言って(無論、私はそれに賛同しないが)。

「さぁ、ご覧下さい!これが、幻想郷最強と言われた巫女さんの敗北する瞬間です!と言っても、観客は誰もいないんですけどねー。」

獏は、仕上げに入る。

(ここで、あの妖怪を喪失とせば、妹は助かる……、けど……!)

と、内心では思っているのだが、踏み出す勇気がない。もしこのままだったら?仮に負けたら?……最悪なパターンはどちらか、見当がつかない。

(でも、このままでは……。)

獏は、どこからやろうかと地点を探している。

「うーん、ここですかねぇ。では。」

彼女は構え始めた。巫女も顔を強張る。しかし、顔とは裏腹に何か別の感情が見え隠れする。これは、眼が閉じていても読み取れるような、簡単な″声″だった。多少の誤差はあるであろうが、こうだ。

(嫌……、あなたのその行動は、誤りよ!やめないと、あなたが……!)

命乞いする声が、聴こえる……。これは、決して愚行とは思えない。おそらく、あの妖怪に対する警鐘でもあろう。さっき言ったような事態が、起こりかねないのだから。

(ここには、あの二人と私だけ……。でもどうしたら?)

と、脳内では考えていた。しかし、体は、自然と巫女を守るような所作をとっていた。茂みから飛び出した上に、スペカを発動させ、巨大な右腕を出現させる。その右腕で、あの妖怪の顔面を不意打ちで殴り飛ばした。

「ゴフッ……おや、あなたは誰でしょう?」

どこか分からない所から飛び出たのだから、獏は、私のことを不思議で仕方ない様子だった。

私は巫女にサインを送った。

(退け……退け……。)

それに彼女も応じる。獏はそうはさせまいと、とどめを刺しにかかる。私は空かさず左手に剣を召喚し、逆手で左腕を切る。切創に白魔力が染み渡ったのか、獏は動きを止め、右手から能力で空間から″何か″を作り出し、私に襲いかかる。私は左腕に変換させ、引き戻した右腕と共に、その攻撃を防ぐ。ここまでで十数秒。

(この妖怪……弾幕を使ってこない!)

弾幕を使用しないのは私だけだと思っていたが、もう1人いたとは思わなかった。そして、弾幕を使用しないものは、

(能力が強力という事ね……。)

実例が少ないが、ほぼこの法則性があるのは間違いないと確信した。

さっき″何か″とは言ったが、その″何か″とは何なのか?空間を歪ませたのか、単に空気を固めたものなのか、理解できない。

「あなたが、皆が言っていた『唯一神』……?」

私が問うと、

「いかにも。」

と返ってきた。私は顔をしかめた。

「……信じてないようですね。なら、私の本領を少しばかり出してみますか。」

そう言うと、彼女は両腕を広げた。すると、景色がガラスのように割れて崩れてきた。新たにできた景色は、本来いる所であろう守矢神社の境内だった。

(……いや!)

私は気づいた。ここは、狭間の中のような仮想空間ではない。現実だ。テレポートではない、何らかの手段で現実の世界に戻ってきた。

「獏」……それは夢を食う妖怪。夢を司る妖怪。しかし、彼女はそれを超えた。

「……その顔は、私の能力が分かったようで?」

誰もが、「この夢が本当だったなら」と思ったことがあるだろう。それを彼女は叶えてくれる。

(正夢の「体言化」……?)

希望・欲望……彼女なら、何でもできる。これは、単に夢を「想って」いるのではない。夢を現実に「創って」いる。

(「夢創」は「無双」、ね……。)

 

 

私は双剣を持ち、さらにLv.2になっていた「懺悔の鎖」を使用し魔法陣を6個に増やした。空きは4つだ。

「面白いですね、そのカード。そして鎖の動きが気持ち悪くて素晴らしいッ!」

獏はそうニヤけると、夢創した双剣を手に取る。これもまた、空間を歪めたのか、空気を固めたのか分からない物だ。

彼女は私に剣を振りかざして襲ってきた。私はそれに応える。最初、この″何か″で攻撃を受けた時、腕で防いでいたため、感触が分からなかった。しかし、剣で受け止めて分かった。これは、生半可な武器で立ち向かっても無駄だ。

限りなく開いた彼女の目は、瞳孔が縮んでおり、底の光は失っていた。狂気の沙汰である。おそらく、「この戦闘に勝てば、私は真の支配者になれる!」……そう思っているのだろう。

それに伴うものなのか、剣術も徐々に強みを増してきた。鎖を巻いて抑えようにも、夢創の力で砕け散ってしまう。不意を突かれたのか、塊の形を変え、私の胸に正拳突きの如く塊を突きつけた。

「うぐッ!」

加えて後方に思いっきり飛ばされてしまった。

「ハァ……、ハァ……。」

まともに喋る事もできない。

「うん……、さっきよりは手応えあるな……。」

獏はこう呟く。

(普通なら失神ものよ、これ。)

ただただ正拳突きを食らっただけなのに、口内は逆流した血で覆われ、つい吐き出した。私はそれを袖で拭う。……這うのがやっとだった。

獏が近寄ってくる。何をするのだろうか?

(……いや、これは逆にチャンスなのかもしれない!)

多分、彼女は直々にとどめを刺すのであろう。あるいは、何か心残りでもあるのか。まあ、そこら辺の事はどうでもよくて、確実に私のことを触れる、その距離まで近づいてくるのが幸運だった。

残り4メートル。この所で私は足につけた鎖をレールの如く操り、彼女に向けて蹴りを入れた。だが、それを見事にかわす。

「あぁ、なんと愚かな!そのまま乙れば良かったものを!」

そう嘲笑って彼女は、私の方向に振り向く。しかし私の二手は、もう既に打ってあった。

鎖での移動は、攻撃の意も含んでいたが、あくまでも過程でしかない。私は勢い余ってしまって逆さになっている状態であの倭人……いや、布都との戦闘の如く、剣を思いっきり投げる。

「だから愚かな行為はやめろと……!」

さらに嘆いて、それをまた″何か″で防ぐ。それでも、私は再び溜まった口内の血を一回吐き、彼女に問いかける。

「……さて、『愚か者』はどっちでしょうか?」

「何を……?」と彼女が言った頃には、既に側面からもう一つの剣が、彼女の右腕を直撃していた。簡単に言えば、剣と魔法陣を繋ぐ鎖をカウボーイの捕縛縄の要領で振り投げた、という所か。

 

「……よく当たりましたねぇ。」

獏は痛みに耐えながらも、平然を保っている。しかし、心中は底から怒っているであろう。「人間に負けた妖怪が……!」そんな風に思って。

その怒りの現れなのか、満を持して初めてのスペルカードを発動させる。

「夢創『幻魔の砕動』」

すると、境内全体で爆発が始まる。だが……、

(どう見ても爆炎が上がっていない。なら、爆発じゃないって事……?)

確かに、各々の箇所で銃声が轟いている。それでも妙にこれが「爆弾が炸裂する音」とはかけ離れている気がしてならないのだ。

仮に爆発として、これが無差別のため、思うように近寄れない。そこで、今度は両腕を作成して獏を殴りにかかる。爆音が大きいだけで、威力はそんなでもなさそう……、という推測の上での行動だ。

一方の相手側も、スペルカードのみで私に対応するわけにはいかなかった。彼女も私と同じく拳で殴りかかる。素手で、だ。

しかし、殴り合いは互角だった。

(やはり……ね。)

薄々感づいていたが、素手″だけ″で鎖の拳を受け止めたのではなく、素手と鎖の隙間に″何か″を作り、緩衝させた。おそらく、メリケンサックの意も含まれていたのだろう。

……これで分かった事。それは、″何か″が空気の塊であるという事。空気を塊に夢創した、という事だ。

気付かぬうちに、鎖の手前で、今まさに砕動が起きようとしていた。

(まずい、これでは巻き込まれてしまう……!)

慌てて引き抜こうとするが、その砕動は、私の鎖を抜かせてくれない。むしろ、吸い込まれていく。同時に、鎖はメキメキと砕かれる。ついにそれを吸い切れなくなった時、今度は逆流を起こし、吸引エネルギーが全て吐き出された。それにより、私も吹き飛ばされる。明らかに作れる物ではないはずだが……。

(……いや!)

直後に思った。

(彼女は虚構を現実化する能力。こんな事をするのも容易いはず……!)

なら、どんな原理なのか?私はわざとそれに近付き、確認しようと試みた。獏は不思議がる。そりゃ、自分から相手の攻撃に突っ込むのだから、当然の反応だが。

私の少し先に、砕動の予兆が現れた。私は更に近付き、それを確認する。そして、その原理が現実とかけ離れていることが分かった。

(空間を……歪ませてる!?)

空間を弄るのは相当なエネルギーが必要だ。通常じゃありえない。しかし、今は正夢の空間。流石に、もう私も驚かなくなった。

(吹き飛ばすエネルギーが大きいのも、それが理由ねぇ……。)

さっき発生したエネルギーで、私はまた吹っ飛ばされる。一撃で、確実に当たる攻撃……。考えられたスペカは、一つしかなかった。

個人的に、最後まで温存しておきたかったが、あの時にできた、銃が描かれているスペカを発動させる。

「超音速強化単銃『オートマグ44ーj』」

そう私は名付けた。発動すると、魔法陣が右人差し指に6つ全て重なり合う。私は右手を銃の形にし、左手を添え、獏に構えた。

そのまま私は移動し始める。歯ぎしりを起こしているが、右手は異常に緊張せず、静かに銃口を向いていた。

彼女は彼女で、直撃しないように空気壁を作っていた。双剣でもっても攻略できない、空気の塊だ。

鎖を撃った。「なんて無駄な事を。トチ狂ったのか、あなたは。」……こんな事を考えているのであろう。確かに、私もこの鎖が空気壁を貫通するとは思えない。が、これは賭けだ。これが貫通できなければ、戦闘には負ける。

これらの事を、実は早口で思っていた。この賭けが、刹那のごとく終わったのだ。……つまりは、弾速が凄まじく速かった。鎖は、乱発する砕動の隙間を通り抜け、彼女の手前まで来ていた。その勢いのまま、空気壁と対峙するのだが、数秒競り合っただけで、貫通した。鎖は獏の左肩を貫く。油断していたのか、彼女は大きく目を開く。

(幻魔の砕動……、攻略ね。)

 

肩を貫通しているにも関わらず、獏は不気味に笑う。

「ヒヒッ……、ヒヒッ……。」

笑いながらも、彼女は鎖を引く抜き、砕く。あまりに奇妙で、何も言えない。

「勝ち誇った気?笑えるねぇ。何も、チョイと本気を出しただけで、まだ氷山の一角というのは抑えといて欲しいなぁ。」

と言うと、

「全能『天上天下』」

を発動させる。すると、天上から雨が降ってきた。次第に雨量が増え、雷鳴があちこちで聞こえてくる。さっきまで晴れていたのだから、きっと夢創で天気を弄ったのであろう。

さらに地上を見ると、さっきまではなかった亀裂がある。建物を見てみると、大きく揺れ、崩れ落ちる。……浮遊しておいて良かった。

「能力を知っているだろうから話すけど、私は現象、概念その他諸々を操れる。もちろん、この天気も。まぁ、人一人殺したり、能力を変えるのは相当の気力が必要だから、今の私じゃできないけどね。」

この雨量でも声がはっきり聞こえるのも、まぁ、多分自分の声を夢創したのが理由であろう。

私が、移動しても移動しても雨は相変わらず強く降りしきっていた。雲ごと移動している。そして、私の所だけ雨が降っている。

私は、元の位置に戻った魔法陣のうち、二つを空高く飛ばし、止めた。さらに、残りの4個を集結させ、再び銃を作り出した。どうせ獏のことだし、私の事を透視で見ているはずだ。もうあの手は通用しない。

すると、彼女は手を下から振り上げる動作をした。その後に、大きい竜巻が発生する。竜巻は私の方に飛んできた。これを辛うじて避ける。

雨が止んだ。しかし、今度は下から水蒸気が立ち込める。見ると、本来ないはずの噴火口が現れており、赤くマグマが煮えたぎっていた。

(……まさか!)

私はその火口を避けた。直後、大きく噴火した。勢いは凄まじく、吹っ飛ばされる。上からは噴石が襲来し、対応できない。仕方なく、間近に来て危なかった大岩一つだけ、銃弾を飛ばして回避した。

雷鳴は相変わらずだ。私は再び銃を構える。

「現実は無情なものだよ。思った通りに事が進まないからね。」

獏は苦笑する。しかし、私はこれを好機と捉えた。

「それはどうかしら?」

私は銃を崩し、両腕を作り出す。さらに、飛ばしていた二本の鎖を双剣に変え、巨大な鎖の手にそれぞれ装備させる。

「私は、剣も腕も遠くに飛ばせるのよ!」

と、私は獏に時間差で両腕を飛ばした。それを彼女は、さっきと同じく空気壁を作って守ろうとする。しかし、それが私の目的ではなかった。

最初、右腕が彼女に近づくと共に、持っていた離す。その後に、左腕の剣も離す。その両腕は、空気壁を作った彼女を、さらに守るように巨大な手で取り囲んだ。直後、中から悲鳴が聞こえる。

推測の上だったが、どうやらこの鎖は金属製だったようだ。避雷針にして正解だった。さらに、数億ボルトの落雷数発分を相手に与えたのだから、相手のスペカに救われた。

 

 

電気が全て飛んだのか、鎖には電流が流れていない。囲いを外すと、やはり獏は間に空気壁を敷き詰めていた。やる事が、そこらの妖怪とは違う。

「私のスペカを逆に利用されたとは……、流石ねぇ。」

獏は私を称賛する。

「だけど……、だけど!もう既に3枚目のカードは発動されているのよ!!」

そう言うと、彼女は私の視界から消えた。

(一体どこに……?)

「……あなたは、私を認識できない。」

真後ろから声が聞こえた。空かさず後ろを振り向く。やはり、彼女はいない。

「おいおい、二度忠告させるのはやめてよぉ。」

また真後ろだ。私は素早く剣をまた作り、後ろに振り回す。だが、そこに姿はない。

「まだ分からないかい?私が常に死角にいる理由。ちなみに、この謎を霊夢さんはすぐ解明したね。……もっとも、戦績が多いのが大きいけど。」

あの巫女と、過去に戦闘した事がある人妖。……心当たりが多すぎて、まともに絞る事ができない。狙っているかは分からないが、ヒントにならない。

(どうやら、明かす気はなさそうね……。)

やれやれ、と思いながら、私はその場を動かないことにした。要は、サイレント防衛宣言。無理に襲った所で意味はないし、むしろ相手の術中にはまってしまう。彼女の言葉から察するに、巫女は早期にこの仕組みを知り、攻略できた。しかし、それはハンデがあったから。無知の私には、当然何が起こっているのか見当がつかない。「無闇に移動しない」というのも、この状況では得策だったりする。

原理もよく分からない瞬間移動を繰り返しながら、彼女は私に対して手刀で攻撃してくる。動かぬ私は、防戦する一方だ。

次に瞬間移動されると、彼女はいなくなっていた。

(まずい、一旦消えると次にどこから出没するか分からなくなる……!)

辺りを見渡す。しかし、見えるのは自然と、無残に破壊された建物だけだ。

(こんな攻勢なのに、逃げたってわけでもなさそうだし……。)

私は瞬きをした。その一瞬だった。目を開いて入ってきた光景は、針地獄。数メートル先から複数のナイフが私に向かってきた。

(剣ではたき落とせば……。距離が距離だし。)

と、身構えたその時、ナイフの速度が急に上がった。

(何も力を加えてないはずなのに……!)

高速度のナイフに対応できず、私はその殆どをまともに食らってしまった。数メートル距離を置いたのは、私の余裕を呼ぶため。……まんまと摑まされた。

「タネ無しマジック〜……なんてね。」

獏は私に示すようにして、一本のナイフを持つ。やはり、顔は不気味な笑みを作っている。

(やっぱり、やっている事が……もろエンターテイメントねぇ……。観客はいないけど。)

私は微笑して頭を抱えた。どうしよう。攻略法が分からない。

「いやいや……、まだ分からないかい?さっきの攻撃は、結構ヒントだったんだけどな〜。」

「……手加減してるつもり?」

私が問いかける。

「ごもっとも。こんなんじゃ、まだ面白くないからね〜。」

何だか屈辱感を覚えた気分だ。しかし、今はそれに耐えるしかなかった。

今までは、心読能力によって心理戦では無類の強さを誇った。前にも話した通り、今でも勘は冴えている。が、彼女はそれ以上に天才なのだ。自分の能力を深く知り、それを応用しているのだから。私なんて、まだ完全に使い切れていないと言うのに。

……一つ妙案を思いついた。私は、自分に刺さったナイフを獏に向かって投げた。当然、ある程度距離があるので、彼女はそれを避けようとする。しかし、それに加えて、ナイフの速度が明らかに遅くなっていったのだ。

(確実に避けようとして、やっと正体を明かしたわね……!)

その隙を得て、私は腕を作成し、彼女に拳を飛ばす。彼女の移動速度は、ナイフ投出速度が遅くなる度に遅くなる。要は、この拳は相対的に速くなる。これに対応できずに、彼女はこの痛みをゆっくりと味わう事となった。

意味不明な瞬間移動、物体の急な加減速……。つまるところ、彼女は「時」を夢創していた。そりゃ、一度時止めの能力と戦闘したことのあるのなら、早期に攻略できたのは当然だったな。

 

獏は、少し愚痴っていた。まぁ、「手加減したのに、こんなに殴ることもないだろう。」と思っているのだろうか?そんな彼女には、「自ずから時を減速したのがいけないのだ。」という感情論をお送りしたい所だ。

どうやら、彼女は心が落ち着いたようで、

「夢創『フィフス・ディメンション』」

を発動させる。ここから推測するに、さっきの時空干渉スペカは、「夢創『フォース・ディメンション』」で、あながち間違ってはいないであろう。

「私は……、既に5次元にいる!」

獏はそう言って、二つの物体を作り出す。その形は、まるでゾンビのようだ。

また時加速が始まり、ゾンビは生物と言っても差し支えないような動きとなった。物体しか作れない彼女が、擬似人類を生成したのだ。

(白属性がゾンビに効くからいいものの……!)

問題は、別にあった。生成中、時加速を行なっていたため、数は尋常ではないくらいに膨れ上がり、いくつか中隊が構成できる規模となった。さらに、意思があるかのように統制が取れており、無駄がない。

「さぁ、この軍隊に勝てるかな?……とりあえず、″多勢に無勢″の集団ではないという事を言っておくよ。」

そう私に忠告して、彼女は前進の合図を送った。それと同時に、ゾンビらが威勢良く私に突撃してくる。

私は双剣に切り替え、襲ってくるゾンビ達を斬りつける。ゾンビは切創の白魔力により、たちまち消えていく。しかし、それ以上に襲ってくる方が多かった。ゾンビの人(?)盛りで、本人が見えないが、おそらく、今も生成し続けている。この速度に圧倒されて、あの巫女は負けた。確証がある。物体を反射するだけじゃ、これには勝てないのだから。

一瞬、ゾンビ達の隙間から、獏の服装が見えた。そこへ突っ切っていくと、確かに人が入れる一定の隙間はあったが、彼女はいなかった。

(時止めを使って逃げられた!……いや!)

後ろの気配に気づいた。空かさず、剣を後ろに振る。……果たしてそこにいた。

「おやおや、ご名答。」

獏は空気を固めて、私の攻撃を受け止めた。私は微笑する。

「流石に、すぐ逃げるような、野暮な妖怪ではないというのは、この戦闘で十分知れたわ。むしろ、自分自身でもう既に分かっているはずだろうに。」

「お褒めの言葉かい?ありがたいね。」

別に褒めてはない。が、煽ってきたのは確かだ。気を揺さぶった所で意味はないというのに。

また時止めを使い、消えた。

(今度はどこから……。)

私は、再度鎖を靴に取り付け、レール走行の如く急上昇した。この鎖の利点。それは、時にギリギリ干渉し、時加速下でも通常の速度で鎖を飛ばせる事だ。それ故、動きがやや俊敏なゾンビ達に邪魔されずに済む。

追手のゾンビを、逃げつつも確実に数を減らしていく。残り100体前後になった所で、残りの鎖を使い、さっきの捕縛縄の要領で、獏の四肢を掴もうとした。当然、彼女は時止めを使い、逃げる。が、私は行動パターンを見抜いていた。それは、上から見て、初めて分かった。

実は、(意図が全く分からないが)ゾンビの塊の中に空間が5つあった。いわゆる、安全地帯だ。獏は、この5つの中でしか、時止めによる瞬間移動をしていない。これが分かれば、あとはモグラ叩きでしかない。

「……ひ、卑怯な気がするのは私だけ?」

急に、獏がビビり始める。

「そうねぇ……。でも、あなたはこれを対処できるのでしょ?夢を現実化できるのだから。」

逆に煽ってみる。因果応報とはこの事だ。躍起になってまた襲ってくると思ったが……。

「……くッ!」

獏は指を鳴らした。すると、ゾンビは消え、加速していた時も通常の速度となった。スペカの効力を消したのだ。安心してしまったのか、私は一回、血を吐いてしまった。

(あなたの有頂天も、もう終わりよ……。)

 

 

私は、勝利を確信していた。自尊心も相当傷ついたのだから、もう襲ってこない、そう思っていた。しかし……、

「……ハハッ。」

ポケットから紙を一枚取った。

(この獏……、まだ何か持っている!)

その紙を横に振って、獏はスペルカード宣言をする。

「エターナル・ドリーム」

(まずい……、あれは……。)

スペルカードを専門に研究をしてきたから分かる。あれは、ラストスペルだ。しかも、終わりがないラストスペル。自尊心がなくなった今、彼女は逆に″無敵″だ。勝ち負けだの、立場だのはどうでもいい所まで来ている。ただ、(目の前の敵)を倒せればいい、それだけを思って。

「私への攻撃は、全て効かない!よって、私の攻撃は永遠!あなたは何度も″夢落ち″するのよ!」

「″夢落ち″……?どういう事よ?」

問いかけても答えてくれない。もはや、何も見えていないのだろう。それは、妖しく光る目、大きく吊り上がった口から見て明らかだった。

……このままだと、無差別に人妖を襲いかねない。ここで喪失()らねば。

私は、獏の先にあった幹だけが残った巨木2本に、それぞれ一本ずつ鎖を刺し、一気に移動しながら襲った。だが、獏はそこから逃げなかった。

(これなら……!)

勝ちは確定した、そう思ったのも束の間だった。

双剣は、確かに彼女を斬った。両肩をだ。しかし、直後瞬きをすると、逆に彼女に襲われていた。しかも、私と同じく両肩を狙って。

訳が分からなかった。ならば、と今度はその攻撃を防ごうと試みた。だが、これも瞬きをした後には無かった事にされていた。結果、この攻撃を食らってしまう。

(あんな瞬間で攻守が変わるわけないはず……。たとえ、夢創でそれが配置を弄れようとも。)

内心焦っていた。彼女の、私が狙った箇所を見た。……剣が触れ、かつ裂いた実感はあった。だが、そこに患部はなく、服すら裂けていなかった。

(立場が……替わっている?)

自分でも、ここまで驚異的な理解力があるとは思わなかった。能力を使っているのは、私が瞬きをしている間だけ。実際は、単に立場が入れ替わっているのではなく、加えて私の認識、感触、等が獏と共有され、変わっているのであろう。簡単に言えば、私が攻撃したという「事実」を攻撃される「事実」に捻じ曲げられた、という所か。

鍵は1つ。能力行使者である彼女に、如何にして認識されないようにするか、だ。となると、話は早かった。何せ、この状況にぴったりなスペカがあるのだから。

それはオートマグであった。すぐに、私はそれを発動し、6つ全ての魔法陣を重ね、すぐに狙いを定め、撃つ。銃弾は、再び肩に命中した。

(やったか……!)

しかし、瞬きをすると、逆に私の肩に空気弾が貫かれていた。どうやら、既に認識されていたようだ。まだ速さが足りない。

これ以上速さを大きくするには、どうすれば良いのか?鎖をより速く飛ばすには、魔法陣の重ねがけがさらに必要となる。……脳裏に、ある一枚が過ぎった。

(……懺悔の鎖。)

まだ、懺悔の鎖はLv.2までしか解禁されていない。しかし、これを初めて使った時、ふと変な事を思ってしまった。Lv.2では、キリが悪く、もう一段階あるのではないか、と。

その予想は的確だった。右端に、本来書かれているはずの『Lv.2』という文字が、『Lv.3』に変わっていた。この瞬間、私は初めてこの能力の成長を自覚した。おそらく、最初で最後の経験であろう。

(フフッ、遅すぎる青春ねぇ……。)

運命は、何故私を再び表舞台に連れ戻したのか?私に、成長の可能性を信じさせるため?あるいは、強力な能力を持てる素質があったため?問いが見えない問い……もとい、「Eternal Question」が、私の頭に種を蒔いていった。しかし、その答えは、いたって単純だった。

(なるほど……。答えなんて、最初からなかったのねぇ……。)

ただただ、この異変・怪異というイベントを″楽しめ″という事だったのではないか、と。実際に、久し振りに地上の多くの箇所を飛び回ったし、色々な妖怪とも戦闘った。この問いに、初めから答えなんてなかったのだ。

そして、この「鎖符『懺悔の鎖″Lv.3″』」は、運命がくれた最後のプレゼント。そして、この異変という名の「クエスト」をクリアするための「必須アイテム」。要は、これを使う事で、この異変、そして、妹も助かるという事だ。

(さて、この夢から覚める時が来たようねぇ……。)

私1人で、夢界から現実に引き戻す作業が、始まる。この異変の思い出が、走馬灯の如く流れていく。その走馬灯を感じながら、スペカを発動させる。

「鎖符『懺悔の鎖″Lv.3″』」

 

ついに、魔法陣が合計10個となった。

三度、魔法陣を重ね、構える。当然、獏はこれを認識しているため、このまま撃つと、私はまた空気弾で貫かれてしまう。

そこで、私は1つ確認をした。あえて彼女の側を横切り、後ろ蹴りを食らわす。瞬きをすると、やはり立場は入れ替わり、私の脛に蹴りが当たる。しかし、私の手は相変わらず銃を構えたままだった。その行為が「危険」と判断されなかったのだ。

(どうやら、確実に攻撃が来るものだけを選んでるようねぇ……。)

銃形を維持しながら、一旦構えるのをやめる。そして、そのまま上に飛行し始めた。認識できなくなると考えたのか、獏は私を追いかけてくる。

いわし雲ができる高度くらいだったであろうか、今度はあっちから攻撃を仕掛けてくる。彼女は、空気を固め、さっきの弾丸の如く飛ばす。これを私はわざと当たる。どちらにしろ、私がその「攻撃に当たる」という真実は変わらないのだから。

弾丸は腰から背中にかけてえぐるように通過した。それを動機に、今度は飛ぶのをやめ、重力に任せて一直線に落下していく。

(まずい……!)

そう思ったのだろうか、慌てて獏も方向を変える。目の開き具合が、それを教えてくれる。

私は、銃を構え直す。距離は5メートルを保ったままだ。

「さぁ、夢から覚める時間よ……。」

私がそう呟くと同時に、鎖の銃弾は放たれる。

人間、及び人間的思考のできる異種が、物体を視認するまでは、0.3秒かかる。

対してこの銃弾は、音を置き去りにし、『超音速』という名にふさわしいマッハ1.3の速度で飛ばした。約450メートル毎秒と言うべきか。距離は5メートル。よって、獏に弾丸が到達する時間は、0.01秒。

結果は、明確だった。

彼女は、被弾後に来た衝撃波で、再び上に飛ばされてしまう。一方で、私は地面に打ち付けられる。

(まぁ、こうなるのは分かっていたけど、中々痛いものねぇ……。)

瞬きをしても、結果は変わらない。

……私は、打ち付けられた地面の上で寝転がった。今になって、体全体の傷口が痛み始める。どうやら、限界突破でもしていたらしい。

唯一神は消えた。真意は違うだろうが、ゲーテの言った通りだ。

 

 

獏が落ちてきた。私は、ボロボロの体を奮い立て、彼女に近寄る。

「まだ私に戦闘る気があったなら……、その隙を狙って乙りに来るかもよ?」

「それは冗談かしら?1つ言えることは……、まだ、それを言える気力はある、という事ね。」

私は、巫女対して獏が言った言葉を借りて話す。これに彼女は声を霞めて笑った。

「ところで……、どうするんだい?私の身体は。礼式的に、乙らせてもいいんだぞ?」

彼女が提案する。

「んじゃ、お構いなく。」

私は剣を生成し、獏の胸を素早く切り裂く。すると、彼女の身体は、みるみる回復していき、傷1つなくなる。

「……何の真似?敵を全開にさせるなんて。逆に乙られて欲しいの?」

この質問に、私は何かを想うように答える。

「それは……、あなたはもう敵ではないから。もう、あなたの心には戦闘意思なんて全くない。これは、私が心を読めなくても分かることよ。」

「……大した妖怪ねぇ。」

彼女は、どこかで私の事を尊敬したらしい。……そもそも、この会話中の脅迫も、自分の真の心から吐いたものではないのは知っていた。言わずもがな、私は覚り妖怪だもの。

急に、獏が、

「……なら、あなたには私から何か差し上げます。さぁ、何が欲しいです?」

と、譲歩を持ちかけた。当然、私はこう答える。

「そうねぇ……。やっぱり、能力を元に戻して欲しい、かな。」

「……え、良いのかい?そんな強力な能力を持ったのに、それを手放して。」

彼女は少し動揺した。

「……良いのよ。私なんて、異変を解決するなんて事は不向きだし。今は妹の能力が戻って欲しい、ただそれだけよ。」

あまりにあっさりした理由で、さらに動揺したが、すぐに立て直した。

「……分かりました。では。」

と、獏は1枚の紙を夢創する。それは、明らかにスペルカードだった。

「このカード1枚で、この異変は終わる。……にしても、本当に良いのです?」

「……悔いなんてないわ。」

だって、初めて自分の手で異変を解決したのだから。これ以上の青春はない。

やれやれ、と言いながら獏はスペカを発動させる。

「幻『夢創崩壊』」

その発動を見届けて、私は守矢から飛び去った。直後、爆音が響き、胸が痛むような衝撃波が発生した。

(多分、この痛みを受けて能力も変わったのねぇ……。まぁ、それが一回で済んだのだから、運が良かったとも言えるけど。)

後ろを向く。神社は本来の姿を取り戻していた。最後に、夢創能力でも使ったのだろう。

飛んでいると、人里が現れてくる。すると、脳内に、いつものように声が入ってくる。吐けない暴言、抑えられた恋愛感情、卑猥な妄想……。見ると、私の第三の眼は、再びその眼球を露わにした。うん、いつも通りだ。

やっぱり、地霊殿は遠いと思う。着くのに1日中かかった。入口の、厳重に施錠された扉を開ける。そこには、血涙を流していたものの、見事に閉じた第三の眼が、靴箱から顔を出していた。一番の笑顔を出してしまったかもしれない。だが……だが……、間違いなく、それは妹であった。

「おねえちゃーーーんっ!!」

彼女は、靴箱から出てきて、玄関で腕を広げて待った。その胸に、私は飛び込まずにはいられなかった。

「ありがとう!やっぱり、お姉ちゃんは自慢の姉だよっ!」

その言葉に加え、最高の笑顔にVサイン。……体が足で支えられない。気付くと、私は妹の胸で泣いていた。無論、これは悔しいのが理由ではない。嬉しいのだ。いつもの、明るいこいしに戻ってくれた。鎖の能力なんてどうでも良い。ただ、妹を失うのだけは、絶対に……!

「……おねぇちゃん?どしたの?」

あまりに泣き崩したからか、不思議がって聞いてきた。

「大丈夫よ、こいし……。ただ、あなたさえいれば、私は……それだけで……。」

俗に、この異変は能力変化異変だの、夢創異変だのと呼ばれるようになった。

 

 

解決して2、3日が経過した。どうやら、あまりに寝てなかったからなのか、解決日の深夜に就寝すると、つい今日の朝9時まで起きることはなかった。おまけに、ペットたちに、

「さとり様、不在中のお仕事が溜まっておりますよ。」

と、叩き起こされたようなものだから、まだ寝ようとすれば、いくらでも寝れる。

実際、仕事も溜まっていたのだし、そんな事も言ってられない。というわけで、現在それに取り掛かっているのだが、ふと、こんな事を思ってしまう。

(あの異変以降、試したことはないけど、鎖の能力って使えるのかしら?)

まぁ、異変は解決したのだから、発動しないのが正解であろう。しかし、微かに望みを感じる。

よし、物は試しだ。私は外に出て、最初みたいに、岩盤に飛ばせるか確認してみた。前に飛ばすよう、自己暗示する。……しかし、何も起こらないようだ。私は笑った。

「まぁ、異変も解決したし、起こるわけないわね。大体、こういうのを考えているって事は未練が……。」

 

ジャラジャラジャラ……バシュッ。

 

聞いたことのある、鎖が擦れる音が聞こえた。私は戦慄した。右上を見ると、見たことのある鎖が、見事に岩盤に刺さっている。

(ていう事は……!)

今度は第三の眼を確認する。……眼は、再び閉じていた。何かを察し、さらに怯える。

「なら……、なら、一体この能力は何なのよ……?」




どうもー、震顫もといfriskです。ちなみに、この「震顫」というネームですが、これは「frisk」をGoogle翻訳した際に、たまたま出てきたデンマーク語訳の「新鮮」を文字ったものを使用していますね。
さて、唐突な自分語りは置いといて、今回、過去にあるんじゃね?と思いながら「幻想郷に住む者たちの能力が一斉に変わってしまった」という異変を題材に、書き綴らせていただきました。小説って綴る分なら簡単じゃないか、と思っていましたが、弾幕の戦闘描写ってかなり難しいですねぇ……。そこら辺を今後改善していきたいと思います。
あとは主人公(古明地さとり)の強力設定。そのせいで、最初の三回は無傷負けなしとかいう無敵状態を作ってしまいました……。こればかりは、私自身が「主人公は鎖を使って欲しい!!」とずっと考えていたからなんですけどね(笑)。ある意味、自分の理想を兼ね備えたような設定でもあります。

夢といえば……、秋ぐらいに卒業アルバムにコピーして載せるための色紙に四字熟語を書いてくれと言われました(わざわざ色紙に書く必要があるかどうかはさておき)。座右の銘は何となくありましたが、四字熟語じゃなかったので、電子辞書でらしい語を調べてみましたが、やはり見つからなかったんです。で、ふと思い立ち、この小説に頻繁に出てくる「夢」という字をキーワードとして検索すると、こんな四字熟語が出てきたんです。
「夢幻泡沫」
人生は夢のように儚いもの、という無常観を表した熟語の一つです。これみた瞬間、即決しましたね。
「夢」の話題をもう一つ。皆さんってどんな夢見てます?最近でいうと、私はよくテレビのように視点がコロコロ変わる夢をよく見ています。なので、自分がいないことも多々……。悪夢でいうと、ポケモンのメガスピアーの形をした蜂が教室内を周回した挙句、私に刺しにくる夢ですね。ドレミーにとって、これは美味いのかそうでないのか……。

そうそう、今後の展開ですが……、実は一連の流れはもう考えています。次回以降の内容について、詳しくは教えられませんが、少しばかり情報だけは。
まず一つ目。少なくともさとりは、表舞台には顔を出しません(出た時にはおそらく幻想郷の敵になる時でしょう)。要は裏で活躍するようになるという事です。
二つ目。次回作には、この本作の登場人物とは別の人妖を主人公で出します。次回作は、簡単に言えばその人妖とさとりが出会う話ですね。本編でいう魔理沙ポジ、と言うところでしょうか。
最後三つ目。シリーズ三作目において、三人目の主人公格を出したいと思います。予定ではオリキャラですね。実際にいてもおかしくないように、設定は入念に作られております。

最後に。この「夢創録」の話は私の中であくまでもプロローグ的立ち位置です。全体の物語は、次の話から徐々に動き始めます。

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