囚われし妖怪の運命紀行   作:震顫

5 / 12
クラウンピース初登場。
壊れすぎているのは否めない。




11月2日

 「地霊殿に本を返して欲しいの。行ってきてくれる?」

友人様が、こんな事を言ってきたので、は地霊殿に向かいました。地霊殿は、どうも地下にあるようで、

(にしても、地霊殿の主ってどんな人なのかねぇ?)

とワクワクしていました。

 いざ地霊殿に着くと、余りに荘厳な入口が現れました。そこからは、何か心が冷え切るようなオーラが出ています。

(えーっと、図書館……図書館……。)

友人様は、地霊殿の主が普段、図書館にいると言っていました。でも、案内図もない、この大きな館。探すには無理がありますよ、友人様……。

 やっと見つけた時は、私は、足がやられるほど疲れていました。これでも、まだ回りきれてない部屋もあるのですから、地下にあるとは言えど、甘く見すぎていました。

(早く終わらせて帰ろうかな……)

そう思って、気怠げに扉を開けました。すると入った途端、鎖が私めがけて飛んできたのです。わざとなのか、鎖は命中しませんでしたが、一気に疲れを忘れる程、恐怖感を覚えました。ご主人様が、

「あの妖怪、主にしては能力自体が弱いから、その気になれば私一人で倒せるわよん」

なんて冗談を言っていましたが、本気で来られたら喉元に一突きですよ、あの鎖で。

(この妖怪にケンカを売ったら……、多分即殺だろうなぁ)

 私の方に振り向いて放った言葉を、今も覚えています。

「ここに入る時には、『2回ノック』。そう張り紙に書いてありました……よね?」

これが、友人様でさえ一目置く地霊殿の主……いえ、「ぬし様」との出会いでした。

 

 私がテーブルの上に本束を置くと、ぬし様が私に話しかけてきました。

「自己紹介が済んでいなかったですね。私の名前は古明地さとり。地霊殿の主を務めています。あなたは?」

「私の名はクラウンピース!」

「フフッ、噂通りの元気な娘」

ぬし様がそう呟くと、すぐ表情を変え、

「……終わったなら、早く帰ってくれません?気が紛れるので」

と、退くように言われました。

「あの、少し休むとかは……?」

「別に静かにしてくれるなら、構いませんが」

しかし、そこまで強制ではなかったようです。

 本棚を見渡すと、天井まで、凄まじい量の本が置いてあります。一体どこから集めたのやら。その中から、一冊、気になる本があったので、手に取って読み始めました。確か、天体に関する図鑑だったかな。中々に分厚い本だったので、これで時間を潰せると思いました。

 2、3時間経った後でしょうか、急にペンを止めて、

「まだ帰らないのです?それとも、何か自分に合う本でも見つけたのですか?」

と、問いかけて来ました。

「はいっ!たまたま見つけた図鑑に夢中になってしまって……、帰った方が?」

「なるほどね……」

すると、「ぬし様」が、また振り向いてくれました。

「確かに、自分に共通するテーマの本があれば手に取りたくなる、その気持ちはよく分かります」

と、笑って。その風貌は、どこか、純粋に憤怒した友人様のような……。一目置く理由が分かりました。

 

 読み終わった頃には、短針が5か6を指していたと思います。

「お邪魔になりそうなので、そろそろ帰りますね」

と、私が言うと、主様は、黙って手の甲で軽く手を振りました。そして、気に障らないように扉を丁寧に閉め、図書館を後にしました。

 帰っている最中、私は彼女の事が気になって仕方ありませんでした。ただただ、単純に興味がありました。友人様が、何の意図で私を地霊殿に派遣したのかは、教えてくれませんでしたが、きっと、見聞を広めてきてくれ、という事でしょう。なら、明日も行かなくては。

 問題は、ご主人様と友人様が許してくれるかですかね……。

 

 




11月2日

クラウンピースとやらがやってくるのは知っていた。素直で根は良い子だろう。しかし自由奔放な所は否めないかもしれない……。それが引き金で、何か問題が起こるという訳でもないが
邪魔であるのは変わりない。研究も中々進まないし




  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。