暇潰しに書いた小説です。

興味がある方はぜひご覧下さい

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これは、最悪の殺人鬼が見る過去の悪夢


殺人鬼のみる悪夢

黄昏時、もうすぐ逢魔時になろうとしている頃、森の中に1人の少年が倒れていた。

 

「………っ」

 

少年は気がつき、ムクリと起き上がると辺りを見渡した。

 

「…………?」

 

少年は何も理解ができない様子で立ち上がる。

 

「……っ」

 

だが少年は突然その場に倒れ込んでしまう。次に襲ってきたのは、極度の疲れと空腹。少年はその極度の疲労と空腹が原因でその場に倒れていた倒れていた。

ふと、少年は自分の右手に持っているものに気づいた。

 

「?」

 

それは鈍く光り、ボロボロになりかけている長い『ナニカ』があった。

 

「……?…?」

 

しかし少年は極度の疲労により、それが何なのかわからなかった。

少年は再び立ち上がり、自分の姿を見た。

両手には“赤い手袋”らしき物を着けて服はボロボロになっており、靴はまったく履いていなかった。

 

「………ゥゥッ」

 

何故、こんな姿なのかという考えも先に腹が空腹を訴えており、それ所では無かった。

その後、少年は付近を探索し食料が無いか、あちらこちらへと歩き回っていた。

何故、自分はここに居るのか。何故、自分はこんな事になっているのか。

そんな思考すら、彼の頭の中には入っていなかった。

 

「…………!」

 

暫くして、少年は遠くに建造物が建っているのに気づいた。

少年はフラフラとなりながらもその建造物へと向かって行った。

その建造物に入り、辺りを見渡す。

所々、ボロボロとなっており、廃屋の様な建造物だった。

オマケに調理器具も一つも無く、鉄臭い臭いが辺りに広がっていた。

 

「ァ……」

 

広い部屋に入ると中央に“肉”が置いてあった。

少年はそれを見つけるとすぐ様近づき、それを口に入るぐらいの大きさに切って口に入れた。

 

「……ウゥッ」

 

『苦い』

そんな味が口の中に広がったが、腹が減っていたため肉をその場で全て平らげた。

腹が満たされ、疲れも取れやっとまともに思考がまとまるようになり辺りの状況を確かめた。

 

「…………。………?……!?」

 

そして少年は部屋の惨状を見て異変に気づく。

部屋のあちこちに血の跡が着いており、鋭い刃物で斬った様な跡もあった。

更に少年は頭に嫌な考えが浮かび、口を抑えた。

ゆっくり、ゆっくりと、少年は先程まで自分が食べていたものに視線を向ける。

 

「!!??」

 

そこにあったのは“骨”。動物の骨では無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

“人間の骨”だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…!?…!?…!?…!?」

 

少年は漸く自分の置かれてる状況を思い出す。

“自分は殺し合いをさせられている”という状況を。

知らない集団に知らないエリアに閉じ込められ、知らない他人を“殺せ”と。

当然、少年はそれを拒絶した。

しかし、逃げれば逃げる程、自分を殺しにくる刺客達が大勢襲ってくる。

少年は襲ってきた刺客の持っていた刀を奪い、襲ってきた刺客達を殺して行った。

そうして少年は長い時間逃げ続け、力尽き、森の中で倒れていた。

その事を思い出すと少年は自分の姿を改めて見た。

右手に持っていた鈍く光る長いナニカは刀。そして赤い手袋を着けていたと思っていた両手は返り血で浴びた手だった。

 

「ウッ……グゥ……!オ…ェ……」

 

少年は胃の中に入れた人肉を吐き出そうとする。

しかし、既に胃の中に入ってしまった物は、中々出てこなかった。

 

『ガシャン!!』

 

「!?」

 

突如として窓ガラスの割れる音がして、音が鳴った方向を見る。

 

「ハァ……ハァ……ハァ……」

 

そこには、大きな斧を持った男が殺気を放ち、少年を睨みつけていた。

『獲物を見つけた』という目を向けながら。

 

「ハッ…ハッ…ハッ…」

 

少年は後ずさり、男から距離をとる。

 

「ガァァァァァァァァ!!!!」

「!!??」

 

『ドガァァァン』

 

しかし、男は一気に少年との距離を詰め、持っていた斧を大きく振り下ろす。

少年はすぐ様横に避ける事で攻撃を食らわずにすんだ。

 

「フゥ……フゥ……フゥ……」

「…………ッ」

 

男は斧を持ち上げると再び、少年を睨みつける。

少年はそれを見て、震えながらも構える。

そして暫く沈黙が続き。

 

「ガァァァァァァァァ!」

「アァァァァァァァッ!」

 

男と少年は一気に距離を詰めお互いに攻撃を仕掛ける。

そして。

 

「ガァ!?」

 

少年が男の攻撃を避け、男の横腹に刀による一撃を与えた。

 

「グゥゥゥゥ……!」

 

男は当たり所が悪かったのか横腹を抑え、その場に蹲った。

その隙に少年は刀で男の胸を貫いた。

 

「ガァ……アッ……」

 

やがて男はその場に倒れ、身動きしなくなった。

少年はそのまま、後ろの壁にもたれかかって座り込む。

少年はこの後どうするか、何処まで逃げるかを考える前に休みたいという気持ちが勝っていた。

しかし、それは全く叶わなかった。

 

『ガチャ』

 

「!?」

 

扉の開く音がして少年は直ぐに立ち上がる。

視線を向けると、そこに居たのは武器を持った刺客達で無く、白衣を着たガスマスクの集団だった。

少年はそれを見るやいなや、ガスマスクの集団を睨み付けた。そのガスマスクの集団こそが少年達に殺し合いをさせた張本人達だった。

 

「捕らえろ」

 

先頭にいた人物が言うと近くにいた人物が何かを少年に向かって投げつけた。

 

『プシューー』

 

「!!??」

 

それが地面に当たると共に煙が吹き出しはじめた。少年がその光景に驚いていると次第に目が霞み始めた。少年が耐えようとするが倒れてしまう。

それを見てガスマスクの集団が少年に向かって歩き始めた。

そして、ガスマスクのが少年に手を伸ばし……。

 

 

 

 

「!?」

 

ガバッと起き上がり、フードを被った男は胸を押さえ付ける。

心臓がうるさいほど鳴っており、呼吸も荒い。

 

「ハァ……ハァ……ハァ……クッッソが!!」

 

男は拳を地面に叩きつける。

男は先程まで自分にとって忌々しい悪夢を見ていた。

昔の過去の出来事の夢だった。

 

「ハァ……ハァ……チッ…」

 

男は舌打ちをすると立ち上がり掌を地面に向ける。すると。

 

『ズズズ…』

 

地面から、正確には彼の影から刀が現れた。

男が刀を取ると、歩き始める。

次の標的《ターゲット》に向けて。

 

「Beginnen wir jetzt mit der Jagd」《さぁ、狩りを始めようか》

 

男、『暗闇の殺人鬼』と呼ばれた男は大きな笑みを浮かべ闇夜に消えていった




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