BanG Dream! 澄み渡る空、翔け抜ける星   作:ティア

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祝!ガルパ2周年、おめでとう!!

多くの機能やメインストーリー2章の追加、限定キャラにドリフェスと、2周年にふさわしい大盤振る舞い!装い新たなガルパを、今日からまた楽しんでプレイしていきます!ガチャも引くつもりなんで、結果は次回の投稿で!

アニメも佳境を迎え、そちらも楽しみにしています。毎週のアニメのせいで、更新が遅れてるのもあるんですが……。

そんなアニメで1期の回想シーンがありましたが……この小説でも、後に触れていきますよ。

あまり前置き長くなるのもどうかと思うので、本編行きます。


phrase13 星の涙、揺れる心

「これをここに置いて……と。よし、ようやく片付いたな」

 

「うーん、終わったねー!」

 

「……あぁ」

 

最後の荷物が片付けられ、すっかり綺麗になった蔵の中を私――市ヶ谷有咲は、念願叶った目で見つめていた。

 

綺麗にしたら自由に使っていいと言うばあちゃんとの約束通り、ここは今日から私の独壇場。これからの生活に、私は心を躍らせている。

 

もっとも、私だけじゃこんなに早く終わらせることなんてできなかっただろうけどな。頼んだわけじゃねぇけど、好きで協力してくれたこいつらにも、少しは感謝しないといけないのかもしれない。

 

「にしても疲れたな……。俺これからバイトあるんだぞ?」

 

「それなのに来てくれてありがとう、なーくん!おかげで助かったよ!」

 

「バイト前のウォーミングアップだと思えば楽なもんだよ。何にせよ、よかったな有咲」

 

「……そうだな」

 

戸山香澄。成川翔。花咲川女子学園の生徒と言う事しかわからないが、その魂胆は見え透いている。うちの蔵に眠っていた、例の真っ赤なギターだ。私には値打ちはこれっぽっちもわかんねぇけど、相当レアな物らしい。

 

そのギターが欲しくて、私に付け入ろうとしている。親切にしてくれるのも、ただそれだけだ。こいつらに心を許して、私からギターを譲ってもらおうとでも考えてるんだろ。

 

けど、そうはいかない。今朝確認したら、まだ値段が吊り上がっていた。もう間もなく落札時間だけど、100近く値がついてたはず。高々ギターで、よくそんなに熱くなれるよな……。

 

「んじゃ、俺はもうバイト行くよ。これ以上遅くなると、オーナーに怒られるからな」

 

「うん、わかった。本当にありがとう、なーくん!」

 

「気にするなって。また何かあったら、いつでも頼ってくれよ」

 

荷物を持ち、あいつは走って家を出て行った。これからバイトって、あいつも苦労してるんだな。関係ねーけど。それに、よくこんな私のために協力してくれるもんだ。

 

 

さて、後は……こいつだけか。

 

 

「ねぇねぇ有咲!またギター見せてもらってもいい?」

 

「……別にいいけど」

 

って、あれ?何で私今OKしたんだ?こいつにギター見せるなんて、本当は死ぬほど嫌なはずなのに。

 

わかった。きっと今の私は、少し浮かれているんだ。蔵も片付いたし、100万円と言う大金もすぐに私の物になることが確定している。

 

それに比べたら、ギターを見せてやることなんて大したことはない。適当に済ませておいたら、後は関係ない。

 

「えへへ、ありがとう!それじゃ早速……」

 

ギターバカは放っておいて、外の風に当たるために蔵を出る。何だかんだあったけど、これでようやく蔵が私の物になるんだ。そう考えると、嬉しくて仕方ない。

 

「…………」

 

さて、まずは何をしようか。ふかふかのソファでも置いて、ネット回線も引いて……ずっとネットサーフィンしてるのも悪くないな。防音だし、少し騒がしくなってもばあちゃんの迷惑にもなんねーし。

 

「…………」

 

なのに……何でだろう。楽しみで、仕方ないはずなのに。そのために、私は借りたくない手を借りてまで、見たくない顔を見続けてまで、蔵の掃除を終わらせたはずなのに。

 

 

どうして、私は今、寂しいなんて思ってるんだ……?

 

 

「あっ!?」

 

バカの声だ。それに、固い物を打ち付けたような衝撃音。何かあったに違いない。別にあいつの事はどうでもいいが、大事な商品に傷でもついてたら大変だ。

 

「ちょっと大丈夫!?怪我とかしてない!?」

 

蔵の中に入ると、そこにはあのギターを大切に抱えたあいつが。傍にあるケースは、なぜか取っ手が取れている。って、何であいつを気遣う言葉が先に出たんだよ、私は!?

 

「わ、私ケース落としちゃって……ご、ごめん……!」

 

「別に謝んなくたっていいだろ。落としたって言うかこれは……取っ手が外れただけだな」

 

金具もさび付いていて、もう使えそうにないな。ケースは丸ごと取り換えるしかないか。落とした衝撃で弦も何本か切れていたけど、本体に傷はない。それくらいなら、楽器屋さんに行けば直せないことはない。

 

胸をなでおろし、私は未だにギターを抱えているこいつから、ギターを取ろうとして……。

 

「ごめん、ちゃんと持ってなかったから……!どうしよう、ごめん……!」

 

「え……!?」

 

ちょっと待てよ、こいつ……泣いている?目立った外傷と言えば、さっき話した弦の事くらいだ。なのに、こいつは大切な宝物を壊してしまったようにうずくまって泣いている。ボロボロと、涙はまだ止まりそうにない。

 

 

何でだ?どうしてだ?そこまでお前は、このギターの事が大事なのかよ……?

 

 

「…………」

 

意味が分からない。そんな事をしても、情けをかけてギターを渡すはずがない。理想の未来を掴めそうなのに、それを放り投げる必要はどこにもない。

 

それに、私はこいつにギターを盗まれたこともあるんだぞ?それに、しつこく付きまとってくる。ウザくてたまったもんじゃない。私とは気が合わない人種なんだよ。

 

「うっ、うっ……ごめん……!」

 

でも、今の涙は。そんな言葉で片づける物とは違う。こいつの事はウザいけど、ギター目当てで流した嘘の涙とは違う。

 

 

こいつは、いつだって本気なんだ。真剣なんだ。

 

 

「戸山さん」

 

「ぐすっ、うぅ……」

 

「戸山さん……。戸山……っ、戸山香澄!!」

 

「っ!?」

 

周りも見えずに泣いていたこいつも、ようやく我に返った。私は壊れたケースを適当な場所に寄せ、スマホを取り出して近辺の地図を調べる。

 

「いつまで泣いてるつもり?さ、行くよ」

 

「行くって、どこに……?」

 

「楽器屋!そのギター、直しに行くって言ってんの!」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「うぅ、直ってよかったよ~!」

 

「あ~はいはい、そうだな」

 

私たちは近くの楽器店に駆け込み、ギターの弦を張り替えてもらった。壊れたケースについては、新しいケースを発注してもらう事で折り合いがついた。

 

てかこいつ、また泣いてるのかよ。どれだけこのギター好きなんだか。

 

 

けど、何か眩しいな。何かのために、ここまで真っすぐでいられるって。

 

 

「よかった~よかった~!ごめんね、本当にごめんね~!」

 

「落としたくらいで大げさなんだよ。店員も若干引いてたぞ?弦が切れてただけだし、特に支障もないって言ってたし」

 

「よかった……」

 

って、また向こうの世界に入っていきやがった。私の事は眼中にありませんってか。へいへい。

 

「…………」

 

こいつ、うるさくてウザくて、まだ盗まれたことを忘れたわけじゃないけど……悪い奴じゃないのかもな。今の姿を見ていたら、そう決めつけるのも違う気がしている。

 

何だかんだで協力してくれてたし、最後まで弱音を吐くこともなかった。それがギターのための頑張りだと思えば、それまでなんだろうけど……。

 

「もう落としたりしないからね。フフッ」

 

私以上に、このギターの事を考えて、心配していた。大切に思っていた。ほんの少し見せてやる時でも、触らせる時でも、あいつはいつも楽しそうだった。

 

あいつなりに言うなら、キラキラドキドキしてる……って事なんだよな。

 

もし、あのギターが私の知らない誰かの手に渡ったとして、その人は大事にしてくれるのかな。大金は得られるかもしれないけど、こいつみたいに心の底から一喜一憂してくれることなんてあるのかな。

 

それはわからない。けどこのバカ……戸山香澄なら、きっと大切にする。この先何があったとしても。

 

 

だったら……私は。

 

 

「……それ、持って帰れば?オークションの出品、取り下げたから」

 

「えっ?な、何で?だって有咲……」

 

「大事にする?」

 

「す、する!大事にする!どんな事があっても、絶対にランダムスターは手放さないよ!!」

 

「ちょ、近い近い!わかったから!」

 

たく……マジで何なんだか。ついさっきまでは、そんなこと口にするなんて誰が想像してたんだ。

 

でも、これでよかったんだよな。ギターのためにも、こいつのためにも。柄にもないことをやったとは、自分でも思うけど。

 

「よし。じゃあ今からオークションの取り下げを……実行、と。これで、そのギターはお前のものだ」

 

「や、やった~!ありがと、あり━━」

 

「ただし、540円」

 

まさかタダでやるわけじゃない。そこまで私はお人好しじゃねーんだ。催促するように、私は手を出す。

 

「……えっと、何で540円?」

 

「オクの取り下げ手数料。100万はおまけしてあげる」

 

「ありがとう!え~お財布は……あ」

 

「どうしたんだよ」

 

「ギターの修理代に使っちゃったから、後300円しかなくて……ダメ?」

 

「やっぱ売る」

 

「ダメーー!!」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「ただいま……あ、ばあちゃん」

 

「おかえり、有咲。蔵の中、すっかり綺麗になったねぇ」

 

蔵に戻ると、そこには様変わりした蔵を見て感心しているばあちゃんが。その手には、待ち望んでいたものが。

 

「約束通り、有咲の部屋にしていいから。はい、鍵。なくさないでね」

 

「鍵?おばあちゃん、2個ついてるけど……予備?」

 

「違う。1個は地下室の鍵。片付けしてたから、気づかなかったかもしれねーけど」

 

それだけ済ませると、ばあちゃんはすぐに蔵から出て行った。私は地下室の扉を開け、あいつを招き入れる。

 

小ぢんまりとした場所だが、静かに過ごすには最適な場所だ。地下室の扉を閉めると、もう外の音はほとんど聞こえなくなる。中にはレコードや最小限の音楽機材があり、それらはすぐに戸山さんの気を引いた。

 

「……わぁ!何ここすごい!レコードもいっぱいで、おっきいスピーカーも!」

 

「そんなに驚くことかよ。こっちはスピーカーじゃなくてアンプ」

 

「あんぷ?」

 

こいつ、本当に何にも知らねーのな……。私でも知ってるのに、そんなんでよくバンドなんてやる気になってるよな。

 

「ほら、シールド。そのギターに刺してみて」

 

「う、うん。えっと……これでいいのかな?」

 

「じゃあ、弾いてみたら」

 

「うん……」

 

そんなに緊張されると、こっちまで緊張するだろーが。もっと気楽に弾いてくれよ。なんてこっちの気持ちも知らないで、戸山さんはぎこちなくギターの弦を鳴らす。

 

前に軽く鳴らしていた時とは違う。音が何倍にも増幅され、地下室に響き渡る。って、アンプ付けたけど音漏れ大丈夫だよな?扉は一応閉めたし、ここは防音対策も施されてるけどな……。

 

で、当の本人はどうかと言うと。

 

「すごい……すごいすごい!すごい、鳴ったよ!ギュイーンって!すごい!!」

 

すごいしかレパートリーねぇのか。何か、呆れてくるな。高々アンプ付けてギター鳴らしただけなのに、こいつは子供みたいに無邪気に喜ぶんだし。

 

まぁいっか。喜んでくれたなら、ギターの出品を取り下げた甲斐があったってもんだし。これからは、そのギターと一緒にバンド作りに励むことだろ。

 

 

そう考えたら、何だか急に寂しい気持ちが芽生えてきた。

 

 

「もう1回……キャ~!すごい!音が私の中に、ギャーンって流れ込んでくる!」

 

何故だかわからない。こいつは、目当てのギターを手にした。私が折れる形になってしまったけど、そのおかげであいつは、もうここに来ることはないはずだ。蔵の掃除も終わったし、あいつを惹きつけるものは、ここにはない。

 

って、何で私はこんなこと考えてるんだ。あんな奴、用が済んだらさっさと帰ってくれたらいい。こっちは迷惑して、振り回されて、毎日が憂鬱で仕方なかったんだ。もう顔なんて見たくない。

 

「…………」

 

 

見たく、ない……はずなんだよ……。

 

 

「あ……でも私、そろそろ帰らないと。有咲、ギターありがとね!」

 

「……外まで、送ってやるから」

 

「……?うん、わかった」

 

蔵の外に出ると、綺麗な夕日が輝いていた。私は眩しさに目を細めながら、家の外までこいつを連れて行く。わざわざ送るほどの距離じゃなかったし、すぐに着いたけど。

 

「本当にありがとう、有咲。ギター大切にするよ!」

 

「……あぁ」

 

これで、こいつとの時間も終わりか……。

 

「…………」

 

別にいいさ。悪い奴ではないけど、暑苦しくて休む暇もない。キラキラだとか意味不明な事を言い出して、周りを引きずり込もうとする。付き合う方の身にもなってほしい。

 

 

終わり……なんだよな。

 

 

「それじゃあね、有咲」

 

「……っ!」

 

違う。なら、今私が感じている、このモヤモヤは何だ?

 

あいつがいなくなる。嬉しいはずだ。なのに、心は真逆の気持ちを訴えている。

 

終わることに意味なんてない。また元に戻るだけの話だ。あいつに出会う前からずっとそうだったように、1人だけの世界に……。

 

そう思っていたはずなんだ。でも、そうじゃなくなった。あいつが、いきなり蔵に入り込んでギターを盗んで。私だけだった世界を、無理矢理にこじ開けたから。

 

知ってしまったんだ。誰かといる事が、楽しいんだって事に。

 

私、この時間が終わってしまうことが嫌だったんだ。

 

「……待ってくれ!」

 

「え?」

 

声が出た。けど、次は?行かないでくれとでも頼んでみるか?そんな恥ずかしいこと、口が裂けても言えない。ましてこいつに対してなんて……。

 

でも、止めないと。私1人の世界を壊したのは、他でもないお前なんだ。責任は取ってもらう。

 

「あ、あのさ……戸山さん。いや、香澄」

 

「うん?」

 

「ここで……その、練習すれば?今日は無理だろーけど、また明日から……」

 

「え!?いいの!?」

 

くっそ……こんだけの事言うのに、何で顔が火傷しそうなくらいに熱くなるんだ。それに、そんなに喜ばれるとこっちも困る。に、二重の意味で恥ずかしいだろ……。

 

「た、ただし!昼休みに……」

 

「昼休みに?」

 

上手く言えなくて、声が裏返ってしまう。ここまで緊張したのは、今日が初めてかもしれない。それこそ、告白でもするような……って、何考えてんだよ!?

 

いや、今ので少し落ち着いた。とは言え目は合わせられないから、俯いて言葉を続ける。

 

「……ごはん」

 

「ごはん?」

 

「そ、その……一緒に、ごはん食べてほしい……です」

 

何故か丁寧口調になってしまった。最後の方は声が小さくなってしまったが、香澄が息を呑むのが聞こえた。恐らく、私の言葉は届いている。

 

「い、嫌ならいいけど!」

 

「あ……有咲!嫌じゃないよ!むしろ私の方からお願いすることだよ!」

 

「えっ……?お願いって、もうギターは手に入っただろ。私なんかと一緒にいる理由が、どこにあるってんだ?」

 

「確かにギターも欲しかったけど、それだけじゃないよ!私、もっともっと有咲と一緒にいたい!いっぱいおしゃべりして、仲良くなりたい!」

 

「香澄……」

 

「それに、私有咲とバンドやりたいんだ!前にも言ったでしょ?SPACEでの有咲、すっごくキラキラしてたって!」

 

バンド……そういや、私をバンドに誘うって話もあったな。適当な事言って、都合よくメンバーを集めているようにしか聞こえなかった、あの話。ま、別にやるとは言ってないから、その件はどうでもいいんだけど。

 

 

そんな事よりも。香澄が、一緒にいたいって言ってくれたことが……ただ嬉しかった。

 

 

「だからバンドやろう?ねぇ、有咲~!メンバーもまだ1人しか集まってないんだよ~!」

 

「あーもう、肩掴んでブンブンするな!あんまりしつこいと、やっぱりギター返してもらうからな!?」

 

「わ~っ!ダメだよ、有咲~!」

 

ギターを強引に奪おうとする有咲と、それを阻止しようとする香澄。夕闇の中で繰り広げられる光景は、一見すれば仲の悪い喧嘩にも見えるかもしれない。

 

けど、今は……。

 

「……ハハッ」

 

「え?有咲、今笑った?」

 

「は!?わ、笑ってねーよ!」

 

「ううん、絶対笑った!だって今、ハハッて言った!」

 

「うるせーよ!からかうんなら、本当にギターやらねーからな!?」

 

「それだけはダメー!」

 

気に入らない奴ではある。今でも、最悪な出会いだった事は忘れていない。でも、

 

ぶっきらぼうだった彼女の心にも、かすかな光が灯る。気に入らない奴で、出会った頃から印象は悪かったはずなのに。そんな奴と過ごした時間が、気が付けば楽しいものになっていたなんて。

 

でも、それだけじゃなかった。何かのために真剣になり、涙を流した姿に心を打たれた。あれが演技だとは思えない。ただ純粋な気持ちだったんだ。それが今ならわかる。

 

有咲にはそれが眩しかった。自分には欠けているものが、彼女にはちゃんとある。だから、ギターを託した。

 

 

そんなもの、いくら大金を貰ったところで買えるものじゃないから。

 

 

夕闇に溶ける、少女たちの人影。楽しそうで、ほほえましくて、幸せに包まれた彼女たちだけの空間。

 

 

だが……。

 

 

「…………」

 

2人の少女、そして星のギター。それらを怒りの形相で見守る、もう1つの影。

 

快く思わない者も、確かに存在していた。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

その日の夜。香澄はランダムスターを持ち帰り、上機嫌で家に戻っていた。隣の翔の家の電気は、まだついていなかったが。

 

翔の母が仕事で忙しい事は、香澄も知っている。帰りも遅く、香澄もここ数か月は見ていない。だから、電気がついていないことは珍しいことじゃなかった。

 

翔はバイトに行っているし、美羽はきっと友達と遊んでいるんだろう。と言っても、それにしては遅い時間だとは思ったが。

 

「たっだいま~!」

 

「あっ、お姉ちゃん帰ってきた……」

 

リビングから明日香の声が聞こえる。ちょうどいい。譲ってもらったランダムスターの事、明日香に自慢してやろう。何の興味も示さないだろうけど、今は誰かにギターの事を見てほしかった。

 

 

だから、香澄は明日香の様子がおかしいことに気づくことができなかった。

 

 

「聞いてよ、あっちゃん!私、ギター貰っちゃったんだ!」

 

「……へぇ、そうなんだ」

 

「ランダムスターって言ってね!このギターと一緒に、バンドやるんだよ!私!」

 

「……何か、嬉しそうだね」

 

「うん!一目見た時から、このギターがいいな~って思って!オークションに出された時は、ちょっと焦っちゃったけど……」

 

「その様子だと……メール、見てないよね」

 

「え、メール?」

 

スマホを取り出して確認すると、確かに明日香からメールが。時刻はかなり前だ。楽器屋さんでギターを直してもらっていた時くらいか。

 

「あ、ごめん。全然気づいてなかった……」

 

「やっぱり……」

 

「何かあったの?」

 

さっきから返事が上の空。そして香澄は、ようやく明日香の表情が優れないことに気が付く。ただごとじゃない。そう悟るのに、時間はかからなかった。

 

そんな明日香が香澄に向けた一言は……。

 

「美羽が、今日……病院に運ばれたんだ……」

 

「え……!?」

 

高ぶっていた香澄の気持ちを冷ますには、十分すぎるものだった。

 




ようやくランダムスターゲット。ここまで13話か……少し長かったな。





……この期に及んで、まだメインキャラの1人が登場してないってどうなんだ。(タグには名前あるのに)
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