BanG Dream! 澄み渡る空、翔け抜ける星   作:ティア

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上手く間を空けずに投稿できました。

まだまだ先は長いですが、構成はほとんどできてます。時間が取れないってだけで……。

少しガルパの話でも。現在2周年のイベントが始まってますが、パワフル持ちが全然いなくて……。

とりあえずチョココロネりみりんをセンターにしてるので、見かけたらよろしくお願いします。

さて今回は、そんなりみりんの話です。


phrase14 バンドはできない

美羽が病院に運ばれたと知ったのは、俺がバイト中の時だった。

 

仕事がひと段落終わり、俺は休憩室で一息ついていた。そんな時、病院と香澄の母さんから連絡が入っていることに気が付く。

 

思い当たるのは、1つしかなかった。美羽に何かあった、それで電話してきたのだと。

 

俺はすぐに電話し、事情を確認した。何でも、美羽が自宅から119番の電話をかけたらしく、すでに息苦しそうにしていたらしい。

 

家に救急車が駆けつけ、その騒ぎを聞いた香澄の母さんが付添人として同行。それで俺に電話してきたと言う話だった。

 

俺はすぐにオーナーに事情を伝え、バイトを早引き。SPACEから病院までは近いため、そのまま走って向かった。到着した時には俺の母さんの姿もあり、香澄の母さんと心配そうに待っていた。

 

俺も固唾をのみ、無事を祈って待つばかり。やがて香澄の母さんも家に戻り、俺は母さんと2人で待合室に残った。

 

「美羽……お願い、無事でいて……」

 

「母さん……」

 

「あなたは大切な娘なの。もう、何も失いたくない……」

 

父さんとは数年前に離婚している。だからこそ、1人で育ててきた大切な娘だ。それは俺だってそうなんだろうが……やはり、美羽に対する思いは大きい。

 

何にせよ、母さんは家にいる時間は少なくても、俺たちの事を何よりも考えてくれてる。

 

「…………」

 

今にも泣きだしそうな母と、何もできずに検査が終わるのを待つ俺。

 

美羽の検査が終わったのは、それから数時間後。もう夜も更け始めてきた頃だった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「しばらく安静にしていれば、今回は楽になるってさ。入院じゃなくてよかった~!」

 

検査が終わり、医師から告げられたのは、当分の間安静にしている事だった。薬を投与し、家で大人しく経過を見る。学校に行けなくなるのは美羽にとって辛いだろうが、そうは言ってられない。

 

「ごめんね、お兄ちゃん。迷惑かけて。それに、お母さんも」

 

「そんな事言ってる場合か。病人は安静にしてろよ?」

 

「そうよ。美羽が早く元気になれば、それだけすぐに学校に行けるようになるから」

 

「は~い。仕方ないけど、2人の言うとおりだからね。家でゆったりしていま~す」

 

こうして、俺たちは家に戻り、美羽が安静にする準備をすすめた。けど、俺は最初、医師に対して美羽の入院を勧めていた。

 

どのみち学校に行けないなら、家に美羽を置いて放っておくよりも、病院に美羽を任せた方がいいと思ったからだ。美羽の容態の事もあるし、何より家に美羽を残すと、1人で過ごす時間が増えてしまう。

 

 

それだけは、どうしても避けておきたかった。

 

 

だが、医師からはそこまで深刻に対処する必要はないと言われ、そのための様子見だと言っていた。説得を続けようとしたが、仕方なく折れた。本当によかったのかと、腑に落ちない点はあるけどな。

 

「翔、今日はもう疲れたでしょ?バイトもあったみたいだし、後は母さんに任せて」

 

「何言ってんだよ。母さんだって俺以上に頑張って仕事してるだろ。休める間に休んでおかないと、母さんこそぶっ倒れるぞ?」

 

「ダメよ、翔。明日も学校あるでしょ?もう遅いし、ゆっくり休んで」

 

「現役の高校生なめんなよ。それくらい……」

 

「いいよ、お兄ちゃん」

 

反発する俺に歯止めをきかせたのは、美羽だった。

 

「お母さんも、私は大丈夫。全身不随の患者じゃないんだし、さすがに自分で出来ることくらいはするよ」

 

「いや、安静にしろって言われてただろ」

 

「日常生活くらいできるよ!それに、本当にヤバいんだったら、こんな軽口叩くことなんかできないでしょ?」

 

「…………」

 

 

『う……うっ、ひっく……お、お兄ちゃぁん……!』

 

 

「……あぁ、そうだな」

 

一瞬、脳裏に浮かんだ風景。俺はそれを振り払い、いま置かれている状況にだけ目を向ける。

 

「お母さんも、そんなに心配しなくてもいいよ。どうしても手を借りたくなったら、こっちから言うから」

 

「本当に、大丈夫なんだな?」

 

「もうっ、あんまりしつこいと私も怒るよ?お兄ちゃん」

 

「わ、わかりました。じゃあ俺はお先に失礼します……」

 

これ以上は美羽にガチギレされそうなので、スタスタと自分の部屋に退散する。が、素直に従ったとは言え、すぐに寝付けるはずがない。特に話し声は聞こえてこないが、美羽の容態が気になって仕方なかった。

 

「…………」

 

 

俺が、何とかしないといけないのに。

 

『お兄ちゃん……お兄ちゃん……!!』

 

あの時の美羽の泣き声が、俺の鼓膜に焼き付いて離れない。忘れたくても忘れられない、あの一瞬だけは。

 

 

俺が全てを悟り、そして誓いに変えた日の事は。

 

 

「……俺が、お前を」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「おっはよーございます!」

 

「…………」

 

「おい、そろそろやめとけ香澄。生徒会の人がすごい形相で睨んでる」

 

翌日。俺は香澄といつものように学校へ。だが、その手には何故かあの星のギター。わけを聞くと、有咲に譲ってもらったらしい。一体どういう風の吹き回しなのか。

 

で、そのまま学校に来てしまったことで、香澄は朝っぱらからライトブルーの髪色の生徒会役員に目を付けられる。問題児だな、こいつ。

 

「つか、何でギター弾きながら登校してんだよ!」

 

「だって~嬉しくて!」

 

「と言うか、何で有咲は普通に俺たちと登校してんだ?」

 

「そこは別にいーだろ!いや、そもそも突っ込むの今じゃねーだろ!」

 

それは有咲の言う通りなんだが。だが、さも当たり前のように香澄が有咲の家に寄り、有咲が一緒についてくる。サイクルが出来上がっているみたいだったし、何かこう……ツッコミを入れるのも野暮なのかと。

 

「って、今はそれどころじゃないからな。ほら、生徒会の人がこっちに来たぞ」

 

「え?何かいけないことでもあるの?」

 

マジかこいつ。どういう事態なのか、全くわかってねぇ……。

 

「あなた……校内に私物を持ち込むのは校則違反です。即刻、没収させていただきます」

 

「私物って……えっ!?もしかしてギターの事ですか!?ダメなんですか!?」

 

「ダメに決まってるだろ」

 

「なーくんまで!?」

 

そんなに堂々とギターを持ってくる奴がどこにいるんだよ。香澄は愕然とうなだれて、されるがままにギターを取り上げられる。

 

「弾きながら登校なんてありえません。私物を持ち込むなら、生徒会に手続きを行ってから持ち込まなくてはいけませんから」

 

「そ、そうなんですね……」

 

「放課後、生徒会室に取りに来るように。以上です」

 

「うぅ、そんな~」

 

てきぱきとした動きで、生徒会の人は香澄のギターを持ち去っていった。手慣れていると言うのが適切か。

 

「どうしよう有咲~!ギター持っていかれちゃったよ~!」

 

「私に言ってもしょうがねーだろ」

 

「じゃあ、なーくん~!」

 

「消去法で俺に来るな」

 

「じゃあ……あっ、りみりん!」

 

と、そこにりみが登校してきた。姿を見つけた途端に、香澄はすぐにダッシュしてりみに抱き着く。ちなみにこれ、さっき有咲の家に行った時にもしてるからな。有咲に。

 

「あ、香澄ちゃん……おはよう」

 

「おはよう、りみりん!」

 

「それに翔君と……あれ、市ヶ谷さん?」

 

「ど、どうも……」

 

また猫かぶりか。本性を知られていない奴の前では、コロッと態度を変えるらしい。美羽と明日香の前なら、もう猫かぶりは使えないんだけどな。

 

「聞いてよ、りみり~ん!私、有咲からギター貰ったんだけど、ギター取られちゃったんだよ~!」

 

「う、うん。そうなんだ……」

 

「あっ、でも放課後には返してもらえるから安心してよ!そうだ、放課後!ね、今日から練習、有咲の家でしようよ!」

 

「勝手に誘うな!あっ、じゃなくて……」

 

もう手遅れだ。簡単にはがれる化けの皮だな。ごまかそうとして俺と目が合い、何故か睨みつけられたが。意味わかんねぇよ。

 

それよりも……何だかりみの元気がない。確かにいつも大人しく口数も少ないが、今日は声のトーンが低い。ギュッと口をつぐみ、拳を握りしめている。

 

何かあったのか?俺はりみに何かあったのか聞こうとするが……。

 

「う、あ、あの……ごめんなさいっ!」

 

突然、りみが深々と頭を下げる。何に対しての『ごめん』なのかは、俺たちには全く分からない。面食らった俺たちは、続くりみの言葉を待つことしかできなかった。

 

「その、香澄ちゃん……。私の事、バンドに誘ってくれたのは嬉しいよ。けど、ごめんなさい……。私やっぱり、バンドはどうしてもできないよ」

 

バンドができない。その事に対しての『ごめん』だったのか。ひとまず、謝罪の意味だけは理解した。

 

けど、どうしてだ?りみがバンドをできない理由は、一体どこにあるんだ?音楽には興味あるって、前にも話していたはずなのに。本人だって、バンドはやってみたいと言っていたはずだ。

 

だが……やるのは遠慮したいとも言っていた気がする。今になって、俺はそんな彼女の言葉を思い出した。

 

「え……?何でダメなの?親にダメって言われた?」

 

「ううん!」

 

「それとも、私が無理に誘っちゃっただけで、他の人とバンドやってるとか……」

 

「ううん!」

 

「じゃあ……誰かに脅されてる?」

 

「ううん!」

 

いや、むしろ『うん!』って言いだしたらどうするつもりだったんだよ。どんな奴と関わり持ってんだ、りみは。

 

「だったら、やっぱり私とするのが……」

 

「ち、違うの!私、その……ごめんなさい!!」

 

「あっ、りみりん!?」

 

走り去っていくりみ。そして取り残された俺たち。バンドはできないと決別され、香澄は唯一のバンド仲間を失った。

 

その理由も、定かではないまま。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「牛込さん、来ないね」

 

「そうだな……。教室で声はかけたんだけど、1人で飯食いたいって」

 

「う~ん……。どうしちゃったんだろ、りみりん」

 

りみが逃走して数時間。と言っても、クラス自体は一緒だし、話をすることはできた。けど、口にするのはごめんの3文字。それ以上の事情を聞きだすことは、俺や香澄ですらできなかった。

 

そして昼休み。俺たちは中庭で、昼食を取ろうとしていた。りみは俺たちと距離を置いているから、俺と香澄、沙綾の3人。そのつもりだったんだが。

 

「何でいるんだ?」

 

「居て悪いかよ」

 

「えっと……市ヶ谷さん、だよね?」

 

「失礼。契約結んだんで」

 

俺と沙綾で対応が違いすぎる。とまぁ、そう言う事だ。何故かこの場に有咲がいて、これから俺たちと昼飯を食べようとしている。今まではそんな事なかったのに、マジで理由がわからない。しかも、契約って何だ?

 

「有咲が一緒に食べたいって」

 

「言ってねぇ」

 

「言ったよ」

 

「そう言う言い方はしてねぇ」

 

あぁ、そう言う事か。香澄から直接聞いたわけじゃないのに、何となく経緯が想像できてしまう。やっぱこいつ、ツンデレなんだな~って。

 

「へぇ、いつ仲良く……」

 

「なってないです」

 

「忙しいな、お前」

 

「横やり入れてくんな!」

 

こうもコロコロ性格が変わると、役者とか向いてんじゃないかって気もして……あ、でもそれはないか。さっきもすぐに本性見せてしまったからな。前言撤回。

 

「翔とも仲良さそうだね。クラスも違うのに」

 

「アハハ……ちょっと成川君とは、色々あったので……」

 

「そんな呼び方されたの初めてだぞ。もっと普通に話せばいいのに」

 

「うるせーって言ってんだろ!」

 

沙綾もキョトンとしているな。こっちの有咲を見るのは、これが初めてだったんだろう。沙綾よ、これが市ヶ谷有咲なんだ。

 

「でもどうしよう!りみりん、何でバンドやるのダメなんだろ~?」

 

「知らねぇよ」

 

「ちゃんと考えてよ~!」

 

「本人に聞けよ!」

 

もっともなんだが、それができないから苦労している。理由がわかればこっちも納得して引き下がれるんだが、このまま立ち去られてしまってはどうしようもない。

 

だから俺たちは、何とかして理由を探り当てようとしているんだ。

 

「ごめんとしか言ってくれなくてな。だから無理なんだ」

 

「お前に聞いてねー」

 

「口はさむくらいいいだろ。そんなに香澄に夢中なのか」

 

「……っ、はぁ!?な、何変な事言ってんだよ!?///」

 

顔を真っ赤っかにして言うセリフではないな。説得力が皆無なんだが。

 

「市ヶ谷さんって面白いね。反応が見ていて楽しいって言うか」

 

「面白くないし、楽しくもないです。見せ物じゃないですから」

 

「そうかな?私、市ヶ谷さんの違う一面が見られて嬉しいよ。普段は学校にも来ないし、あまり知らなかったから」

 

「う、嬉しいって……!い、いや、えっと……は、話を戻すぞ!///」

 

「照れ隠しだな」

 

「ニヤニヤすんな!翔が一番タチ悪いぞ!?」

 

だって、面白いんだよ。普段は振り回される方だから、振り回す方になるのも悪くないな~って。

 

「悪かったって。とりあえず、話をいったん戻すぞ。何でりみがバンドを止めたのか……やっぱ、放っておくのもモヤモヤが残るだけだしな」

 

「ごめんとしか言ってくれないし、どうしたらいいんだろ……。さーや、何かわかる?」

 

「私?う~ん……でも、何か事情がないとやめるなんて言い出す事ないよね?最初は乗り気だったんでしょ?」

 

「そこなんだよな。どこで心変わりしたって話なんだが……」

 

やっぱり直接話が聞けたらな……。何とかして、りみと自然に話せる状況を作り出せたらいいんだが……。

 

「つーか、ごめんって言ってたなら、そう言う事なんじゃねぇの?」

 

「そんなー!ちゃんと考えてよ、有咲ー!」

 

「くっつくなって言ってんだろ!あぁもう、うぜぇ、うぜぇ!!」

 

「む~……。あっ、有咲!卵焼きあげるから!」

 

「えっ……こ、これは、よくあるおかずの交換ってやつ……!?」

 

食いつくのかよ。しかもすごくソワソワしてるんだが。交換したくて仕方ないって気持ちが、もう全身から滲み出てる。

 

「アハハ。市ヶ谷さん、やっぱり面白いね」

 

「い、いや今のは……」

 

「交換でもいいよ?」

 

「し、しねぇよ!」

 

「アハハ……ごめ、可愛い」

 

「なっ!?可愛くないです!」

 

耐え切れなくなったのか、沙綾が笑い出した。沙綾の知ってる有咲と、今の有咲のギャップが違いすぎるからな。完全にからかっているようにしか見えないけど。

 

「いいじゃないか。可愛いって、褒めてくれたんだぞ?」

 

「お前まで止めろ!」

 

「やっぱ、本当におもし……プッ、アハハ!」

 

「そ、そんなに笑わないでください!ちょ、あーもう!!」

 

困り果てた有咲の声が、中庭に響く。ま、沙綾にも気に入られたようで何よりだってことだな。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「……さて、どうするよ」

 

「りみりんの事だよね」

 

「この状況で他に何があるんだ」

 

結局、何事もないまま放課後に。りみはすぐに家に帰ったみたいで、追いかける暇もなかった。

 

仕方ないので、香澄は有咲の蔵でギターの練習をすることに。その辺の事情も、俺はまだよくわかっていないんだけど。

 

で、俺はバイトもないし暇なんで、香澄と蔵にお邪魔してきた。有咲の嫌そうな顔と言ったら、般若のお面かってくらいだったけど。

 

で、数時間くらい練習して、今日は家に帰ることに。練習と言っても、まずは基礎的な部分を教えるところからだったけど。正直進捗はほとんどないです。別に俺自身ギターをやってるわけじゃないからな……。

 

俺は香澄と並んで帰り、せっかくなのでりみの件を振ってみた。香澄だって、このままにしておくつもりはないに決まっている。

 

「どうにかして知りたいよ。りみりんがバンド出来ないのは仕方ないけど、何で止めちゃったのかだけでも知っておきたい」

 

「だよな。無理にバンドに誘うのも筋違いだ。だから俺たちは、りみを連れ戻すためじゃなくて、りみを納得して送り出すために理由を見つけるんだ」

 

「え~?それじゃあ何だか卒業式みたいだよ、なーくん」

 

「ん?いや、そう言うつもりじゃなかったんだけどな……?」

 

にしてもだ。りみがバンドを止める理由を考えてはいるが、どうにもそれらしいものが思い当たらない。家族の事でも、他にバンドをやっているわけでもない。既に八方塞がりって感じだよな……。

 

「でも、何でだろう?私、りみりんに何か嫌われることしちゃったとか……?」

 

「心当たりはあるのか?」

 

「ないけど……」

 

「だったらそう言う話じゃないってことだ。香澄が嫌で、避けたいわけじゃないんだよ」

 

仲もいいし、ランダムスターの件もりみの方から心配してくれたくらいだ。香澄に気がないわけじゃない。なら、距離を置かざるを得ない事情があるのか。

 

「う~ん、もうわかんなくなってきちゃったよ……。りみりん、私とバンドしたいって言ってくれたのに、誘ってくれて嬉しいって言ってたのに……」

 

「いや、そうとも限らない。俺はりみから、バンドをやりたい気持ちもあるけど、やりたくない気持ちもあるんだって話を聞いたことがある。もしかしたら……」

 

「そ、それって本当なの!?」

 

「あぁ。直接聞いたから間違いない。それも、香澄がまだバンドに誘う前の話だからな」

 

となると、ズルズルと引きずって断り切れなかっただけなのか。いや、それだけの事情では片付けられない『何か』がある。

 

一時期はバンドに積極的だったんだ。それが今になって、消極的になってしまった。りみを突き動かすだけの『何か』が、きっと俺たちの知らない場所にある。

 

その答えを知るのはりみだけ。だが、今の俺たちじゃ聞き出すことはできない。りみの気持ちが変わってくれないと、教えてもらう事はできない。

 

「……少し強引な気もするが、これしか方法がないな」

 

「えっ?何かわかったの?」

 

「わかったと言うか……りみの事情を知るための作戦って言った方がいいかもな」

 

俺は思いついた作戦を香澄に伝える。考えていても埒が明かないなら、こっちが取れる手段は限られてくる。

 

「それって……上手く行くの?」

 

「行くかどうかは香澄次第だ。もちろん、俺もできるかぎりのサポートはするけどな」

 

「うん……。りみりんには悪いかもしれないけど、これしか方法がなさそうだし……」

 

「さっきも言ったけど、これは俺たちが納得してりみを見送るための作戦だ。戻ってきてほしい気持ちはあると思うけど、りみの考えも尊重しないといけない。無理にバンドに引き入れても、それでバンドとして成り立つかと言われたらそんなわけないからな」

 

「……わかってる。私やるよ、なーくん!」

 

「よし、その意気だ。詳しいことは明日にでも話すから」

 

上手く行くのかは、正直よくわからない。成功するかどうかのカギは、香澄にかかっているんだからな。

 

けど、香澄ならやってくれるはず。腹は括ったみたいだし、俺も協力はするつもりだからな。

 

「ありがとう、なーくん。あっ、話は変わるんだけど……」

 

「ん?どうした?」

 

「昨日、あっちゃんから聞いたんだ。みーちゃんが病院に運ばれたって話」

 

「あぁ……その事か」

 

改まった口調になるから、まだ何か深刻な問題を抱えているのかとヒヤヒヤした。昨日の美羽の事、香澄の耳にも届いていたんだな。

 

「大丈夫だったの?みーちゃん、元気にしてる?」

 

「心配ないよ。美羽は今、学校休んで家にいるんだ。しばらく大人しくしてるように言われたけど、香澄が思ってるより元気だから。てか、元気すぎて本当に昨日病院に運ばれたのかって疑いたくなるくらいだ」

 

「そうなんだ……よかった~!あっちゃんも思い詰めたみたいだったし、お母さんも家にいなかったから、そんなに具合悪いのかなって」

 

香澄も明日香も、心配してくれてたんだな。そんな必要ないくらいに、美羽はピンピンして家にいるけど。今頃ギターでも弾いてのんびりしてるんだろう。

 

 

ま……心配は心配のままで済んでくれるのが、一番なんだけどな。

 

 

「ベッドで寝た切りってわけでもないし、入院もいらないって言われたからな。数週間様子を見たら、また学校に通えるようになるよ」

 

「早くみーちゃんが学校に行けるといいね!その時は、このランダムスターも見せてあげたいな!」

 

「別に隣なんだし、遊びに来ればいいだろ。美羽もその方が嬉しいと思うよ」

 

「じゃあ、また時間がある時にお邪魔しよっかな♪」

 

「あぁ。でも、まずは明日だ。りみの事情、何としても突き止めるぞ」

 

「うん!」

 




そう言えば、前回の投稿の時にガチャ結果報告とか言ってたんですが、まだ引いてません(ちょい)

厳密にはミラチケのガチャとドリフェス20連はしたんですが……とりあえず星4は2体出ました。聖堕天使と脱猫かぶり、どっちも持ってなかったのでok。

今日これから引くので、次回こそ結果報告します。
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