BanG Dream! 澄み渡る空、翔け抜ける星   作:ティア

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どうも、ティアです!あまり間を空けずに投稿できました!よかった!

ゴールデンウィークも後少し。少しでも進めたいな〜と思ってますので、よろしくね。

ドリフェスも開催しましたね!結果は引いたらツイッターの方に乗せようと思うので、楽しみに(?)してください。

さて、今回はりみりんの問題が解決した後から。あの子の出番もあるよ!でも日常回って感じになりそう。

では、どうぞ!


phrase20 変態の定義

「大丈夫か?美羽」

 

「うん!気分もスッキリ!もう学校行けるんじゃないかな~?」

 

「ダメだ。明日までは我慢してろ」

 

「ちぇ~。つまんないの~」

 

美羽が病院に運ばれた日から、今日で1週間が経つ。母や俺も心配しながら看病していたが、特に目立った発作も起こることなく、美羽も元気に過ごしている。

 

とは言え、何があるかは分からない。母は学校に行かせてやろうと言っていたが、俺が拒否した。万が一もあるし、せめて1週間は様子を見ておきたかったからだ。

 

過保護だと思うか?そうかもしれないな。でも、それくらい美羽は大切で、俺にとってはかけがえのない存在なんだ。

 

かわいそうな妹だから、少しでもいいから力になってやりたいんだよ……。

 

「そんな事よりお兄ちゃん?もう学校に行く時間じゃないの?最近家出るの早いじゃん」

 

自分の事なのにそんな事で片づけるなよ……。それはともかく。

 

「今日は香澄が一緒に登校したいって言うから、まだ家は出ない。迎えに来るみたいだからな」

 

「ふ~ん。だったらお兄ちゃんが迎えに行けばいいじゃん」

 

「香澄が来たいって言ったんだよ。何かよくわからないけど」

 

「……ふ~ん」

 

香澄も明日香も、美羽の事は心配してくれてたな。今日会ったら、明日には学校に戻れるって教えてやろう。

 

「……ところでさ、お兄ちゃん」

 

「うん?喉でも乾いたか?」

 

「香澄さんとは……今どんな感じなの?」

 

一瞬何を言われたのかわからず、俺は美羽の横になるベッドに足をぶつける。ゴツンと鈍い音がして、俺は痛みで足を抑える。

 

「あっ、動揺してる!もしかして、何か進展がおありのようで……!?キャー!羨ましい!」

 

「な、何言ってんだ美羽!?香澄とは何もねーよ!///」

 

「そんな事言っちゃって~?顔が赤いですよ?お兄ちゃ~ん?」

 

ぐっ……この妹は、朝から何を言い出すんだ!?心臓に悪いし、ニヤニヤしてるのが本当腹立つ!

 

「だから違うって言ってるだろ!?大体、何で俺が香澄の事をそんな目で見ないといけないんだよ!?」

 

「え~?長年の関係だし、あ~んな事やこ~んな事をするような、大人の関係に近づいていても……」

 

「美羽、何か今日変だぞ!?いつもこんなだったか!?」

 

「あー!今私の事変な人みたいに言った!ひっどーい!お兄ちゃんのイジワル!」

 

え、どうして俺の方が責められないといけないんですかね?誰か教えてくれ。

 

「うるさいな!香澄とはそんな関係じゃない!ただの幼馴染だし……///」

 

「へ~?でも、香澄さんって一緒にいて楽しいし、可愛くてスタイルもいいじゃん!身近にそんな子がいたら、特別な感情を持ってもおかしくないって!隠す事なんかないよ!」

 

「ば、バカな事言うな!香澄をそんな風に見た事なんて、一度もねーよ!///」

 

くそ……そんな気なんて全然ないのに、美羽のせいでどうも意識してしまう。ただの幼馴染で、空回りするほどの元気っ子。俺の中では、それくらいの認識しかない。……はずなのに!

 

だってそうだ。あいつにはいつも振り回されて、苦労する事ばかりだ。厄介事に関する記憶の方が強いくらいだし、よかったことなんてまず数えるほどしかない!いや、それは香澄にちょっと失礼か。

 

それに、香澄も香澄だ。俺の事をそんな……特別な意識を持っているとも思えない。あの香澄だぞ?異性を好きになるなんて、まだ子供みたいな香澄には到底早い。恋愛感情なんて知りもしないだろう。

 

ずっと一緒にいたし、仲もよかったし。当たり前のように隣にいたから、今更何かを感じることも俺にはない。

 

「…………」

 

でも、香澄と一緒にいるのは別に悪い気はしない。何だかんだで、香澄はいつも楽しそうで、眩しい笑顔を俺に向けてくれて。

 

そんな香澄の姿を見ているのが、俺にはとても楽しくて……。

 

「あれ~?また顔が赤くなってるよ~?」

 

「~~~~~~!!///」

 

頼むから止めてくれ。これじゃあ、俺が本当に香澄に恋してるみたいじゃねーか……。

 

「なーく~ん!待たせてごめ~ん!学校行こ~!」

 

「ほら、行ってきなよ。彼女さんが迎えに来てくれたよ?」

 

「だから、彼女じゃねぇよ!」

 

俺はからかう美羽に見送られ、美羽の部屋を出る。自分の部屋に置いてあった鞄を持ち、急いで玄関に向かおうとして……俺はまた、自然と美羽の部屋に視線を向けていた。

 

「…………」

 

俺は、美羽を守らないといけない。病気で苦しむ妹に、これ以上の苦しみを与えないためにも。

 

 

俺が、守るんだ。

 

 

「……そうだ。俺が」

 

誤解させないように言うが、母への美羽の接し方が悪いわけではない。美羽が病院に運ばれた時だって、心から涙していた。俺と同等に愛情を注いでるんだ。実の娘なのだから。

 

 

なら、俺が美羽を守る理由は何なのか。

 

 

「おはよう、なーくん!」

 

玄関に向かうと、そこには身支度を整え、ランダムスターを背負った香澄が。いつも通り、髪型は星をイメージしたものになっている。どう見ても猫耳だけどな。

 

俺は靴を履きながら、香澄に挨拶しようとして……。

 

 

『彼女さんが迎えに来てくれたよ?』

 

 

「……あ、あぁ。おはよう香澄」

 

さっきの美羽の言葉を思い出して、言葉に詰まってしまった。

 

「あれ?どうしたの、なーくん?具合でも悪いの?」

 

「いや、何でもないんだ……ハハ」

 

美羽の奴……後で覚えていろよ!?相手はあの香澄なのに、どうしてこうもドキドキしないといけないんだ!?

 

「くそ……美羽が余計な事言うから……」

 

「みーちゃん?」

 

「あ、いや、何でもない!何でもないんだよ、ハハハ!」

 

「絶対何かあるよ!なーくん、今日なんか変!」

 

香澄に変とか言われたら、もうダメなんじゃないか!?これも全て、美羽が意味深な事を口にするから……。

 

「……美羽」

 

 

 

 

なら、俺が美羽を守る理由は何なのか。それは……。

 

 

 

 

俺だけが、美羽に求められていたから。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「じゃーん!どう?私のギター!かっこいい?」

 

「わぁ!香澄、ギター始めたんだ!」

 

「すごーい!星のギターだ!」

 

香澄と一緒に登校し、教室に入ってからの事。背負っていたランダムスターを取り出し、香澄はまるで新しいおもちゃのようにクラスメイトに見せびらかしていた。

 

しかし、よく生徒会の人に見つからなかったよな……。今度見つかったら、ただじゃすまないだろうし。俺は自分の席に座り、香澄のギターお披露目会(?)を傍観していた。

 

「おはよう翔。今日は少し早いね?」

 

「沙綾か、おはよう。これでも香澄と一緒に家出てきたんだけどな」

 

「そっか。家隣なんだったよね」

 

と、そこに沙綾が声をかけてきた。空席の椅子を借り、俺と向き合う形で椅子を置いて腰掛ける。

 

「それで?香澄は……何やってるの?」

 

「さぁな。ギターの発表会でもしてるんだろ」

 

「発表会って……」

 

「でも、沙綾にだってそう見えないか?」

 

「……確かに」

 

ジャカジャカと鳴らしてみたり、クラスメイトに触らせてみたり。どうみても、お遊戯で発表会をしているようにしか見えない。ま、当の本人がご満悦そうだから、俺は別に何も言う事はないんだけど。

 

「えへへ!じゃあ、とっておきのきらきら星を聞かせちゃおうかな!」

 

「……ねぇ翔。何できらきら星なの?」

 

「いや、わからない。あいつの持ち歌第一号なんだろ、きっと」

 

適当に理由を作ったが、昨日のライブの時も何できらきら星なんだと内心ツッコミを入れていたからな。もう少しバンドらしい曲を歌えばよかったのに……。本当に発表会じゃないんだぞ。

 

あ、そう言えば沙綾は昨日の話を知らないな。折角だし、きらきら星のエピソードも交えて順に説明しておいた。

 

「……って事があってな」

 

「そうだったんだ。翔も大変だったね」

 

「あぁ。でも、良くも悪くも香澄に助けられたよ。選曲がきらきら星ってのはどうかと思ったけどな」

 

「香澄らしいと言えば、香澄らしくない?」

 

「……その一言で解決できてしまうのは、逆に恐ろしいな」

 

でも、香澄だけの手柄じゃない。有咲も、りみだって頑張ってくれた。俺は裏方として、できる事を全力でやったんだ。その火付け役は、間違いなく香澄だった。

 

「あれ?今、香澄に近づこうとしてるのって、確か……」

 

「うん?」

 

教室に入ってくる、香澄と同じようにギターケースを背負って登校してきた少女。腰まで伸びた長髪。スタイルのいいモデル体型。間違いない、奴だ。

 

「あ、花園さん……だよね」

 

香澄が先に気づいた。俺が昨日SPACEで指導役について頼んだ、花園たえの事に。たえは香澄のギターをマジマジと見つめ、それから香澄の顔に目を移す。

 

「あれ?その背負ってるの、ギターケース?すごい!花園さんもギター弾くんだ!」

 

「そのギター……」

 

「あ、これ?えへへ、ランダムスターって言うんだ♪珍しいギターみたいで――」

 

「……変態だ」

 

「へっ?」

 

「「え……」」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「私、変態なのかな……?」

 

「じゃん?」

 

「変ではある」

 

「当たり前だろ。何言ってんだ」

 

「ええっ!?有咲にさーやも、なーくんまで!?」

 

昼休み。俺は相変わらず、香澄たちと中庭にいた。有咲と沙綾はそうだが、りみもグリグリの一件があってからは、香澄と昼食を食べるようになっている。

 

後で香澄から聞いた話だと、りみがもう1回バンドをやってくれると言い出してくれたみたいだし。自分に自信をもって、バンドに向き合ってくれるのなら、俺としては嬉しい限りだ。

 

「り、りみり~ん……。私、やっぱり変態なの……?」

 

「え、えっと……」

 

「そうなんだぁぁぁぁ!!」

 

しどろもどろになるりみ。かえって変態説を濃厚にさせてしまい、香澄は悲鳴を上げていた。ここにいる全員から変態認定って……香澄も哀れだな、おい。

 

「ちょ、ちょっと変だけど、全然変じゃないよ!」

 

「それ、フォローになってなくね?」

 

こればっかりは、有咲の言うとおりだと思う。たえみたいにストレートな言い回しじゃないけど、変だって言ってしまってるし……。

 

 

……待てよ?俺、気づいてしまったんだが。

 

 

「有咲の方が変だよ!」

 

「はぁ!?何でここで私の名前が出るんだよ!」

 

「この前、盆栽に……『トネガワ可愛いね~。お水あげるね~』って言ってた!」

 

趣味が盆栽って、女子にしては珍しいよな……。ある意味、そっちの方が変ではあるか。いや、それは盆栽女子を敵に回すことになるな……。

 

「へぇ?市ヶ谷さん、盆栽とおしゃべりを……」

 

「してね……ないです!」

 

あ、また猫かぶり。はがれかけてたけど。

 

「言ってた!」

 

「言ってねぇ!」

 

「有咲、絶対言ってたよ!」

 

「そんな言い方はしてねぇ!」

 

「あ、そういや前に有咲の家の前通ったら……『私の大事なトネガワ~。ずっと可愛がってやるぞ~』って……」

 

「お、お前ら何で人の家をのぞき見してんだよ!?プライベート空間だぞ!?」

 

ムキになって突っかかってくるが、逆にこの場にいる全員の笑いを誘う事しかしない。何だか香澄よりも子供みたいで、おかしいんだよな。だから沙綾も、たまにからかったりしてるんだと思うし。

 

「でも、何で変態なんだろうね?」

 

「わかんな~い!有咲、どうしてだと思う?」

 

「知らねぇ」

 

「りみりんは?」

 

「わ、私も……」

 

「さーやは!?」

 

「え~……?そう言われてもな~……」

 

「なーくんは!?」

 

 

ギク……。

 

 

「……知らないな」

 

「じゃあ何で変態なの~!?」

 

……すまん、香澄。それは多分、俺のせいだ。たえは、昨日の俺の話を真に受けて変態って言ったんだ。そうに違いない。

 

昨日だって、香澄の事は戸山さんと呼んでいたはずだ。そう、俺が話の流れで、香澄の事を変だと言わなかったら……。

 

「あれ、翔?何か気分悪そうだよ?」

 

「えぇっ!?だ、大丈夫なの翔君!?保健室行かないと……!」

 

「い、いや大丈夫!りみも保健室とか、そこまで大げさに考えなくてもいいから!」

 

くそ……。今日はやけに振り回される一日だ。朝は美羽にからかわれてたし、今だってたえの天然が招いた騒動に巻き込まれてるし。てか、本当に変態呼びするなんて思ってないだろ!?

 

でもまぁ、いっか……。何だかんだで、香澄は変態みたいなもんだしな……。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「皆さん、ナップザックは完成しましたか?終わらなかった人は、放課後補習ですよー」

 

家庭科の時間。俺たちはナップザックを作ることになっていた。用途は問わず、自分の入れたいものに合わせて作っていく。俺は特に決まっていなかったが、それなりの大きさに仕上げておいた。

 

「よし、完成っと」

 

「……俺もだ。にしても、沙綾早いな」

 

「袋物はよく作るから、結構得意なんだ」

 

俺よりも一回り小さめのナップザック。その分、細部が丁寧に作られている。慣れてるって感じが伝わってくるな。

 

「牛込さんは?」

 

「私もできたよ、沙綾ちゃん」

 

って、あれ?りみの作ったナップザック、沙綾の奴より小さいな?小物でも入れるつもりか?

 

「うわ~沙綾ちゃん、上手だね!」

 

「牛込さんもね。でも、上手と言えば……翔のじゃない?」

 

「ん?俺?」

 

沙綾が俺のナップザックを手に取り、それをりみに見せる。適当に作ったから、お世辞にも上手とは言えないと思うんだけど……。

 

「本当だ……。細かいところも丁寧に縫ってある……」

 

「翔、器用なんだね。感心しちゃった」

 

「そ、そうか?別にそこまでこだわって作ったわけじゃないんだけどな……?」

 

「だったらなおさらだよ。普通にこんな綺麗なナップザック作れるなんてね」

 

「あ……でも俺、母さんが仕事忙しくてあまり家いないからさ。それで家事とかやってるから、もしかしたらそのおかげかもしれないな」

 

美羽が小学生の時とか、シューズ入れがほつれたりすると俺が縫ってあげてたからな。自然と裁縫スキルが身についてたのかもしれない。

 

「へぇ、偉いね。家の事、翔がやってるんだ」

 

「まぁな。昔からやってるし、毎日の事だからな。もう慣れたって感じだな」

 

「翔君、すごいな……」

 

そんな風に尊敬のまなざしで見られると恥ずかしい。家事ができるって、そんなに立派なことなのか?当たり前のようにやってきたから、よくわからないが。沙綾もりみもそんな感じなので、俺は強引に話を変える。

 

「そ、そう言えば二人とも、ナップザックは何入れるつもりで作ったんだ?」

 

「ん~特に決めてなかったけど……ちょっとした小物入れって感じで使えないかな~って。牛込さんは?」

 

「私は……チョココロネとか、入れられないかな~って……」

 

どれだけチョココロネ好きなんだよ。ナップザック作るのに、コロネ入れる用途なんて普通考えないぞ。

 

「アハハ。牛込さんらしいね」

 

「だったら、もっとデカいの作ってもよかったんじゃないか?そうすれば、チョココロネだってたくさん入れられるだろ?」

 

「……はっ!?そ、そうだよね!あぁ……失敗しちゃったな……」

 

本気でショック受けてるし。何かこうして見ると、りみって可愛く見えるな。また今度、チョココロネでも買いに行ってやろうかな。きっと喜んでくれるはずだ。

 

「で、香澄は?もうそろそろ時間ないけど、終わってる?」

 

「うぅ、さーや助けて~!全然終わらないよ~!」

 

終わらない?香澄は裁縫とか下手じゃなかったと思うんだけどな……。中学の時も、家庭科の成績はよかったはずだし。これくらいならすぐに終わらせてもおかしくない。

 

じゃあ何で?そう思い、俺は香澄の机をのぞき込むと……すぐに理由は分かった。

 

「な、何だか香澄ちゃんのナップザック、おっきいね?」

 

「うん!これくらい大きくないとね!」

 

デカい。まだ半分もできあがってないほど、香澄の作ろうとしていたナップザックのスケールが大きかった。

 

「……何入れるつもりなんだよ」

 

「ギターケース!」

 

「えっと、ケースを袋に入れるの?」

 

また香澄は、他の人が考えないようなぶっ飛んだ発想をするんだな……。ケースを入れるケースって、どういうことだよ。

 

「いやいや、そりゃ終わんないって。みんな作ってるの、小物を入れるようなサイズだよ?」

 

「りみなんか、チョココロネ入れるやつだぞ」

 

「な、何か恥ずかしいからやめてよ~。あ、でも沙綾ちゃんに翔君。あれって……」

 

りみの指さす場所。そこには、机一杯に布を広げて、はさみで切断している女子生徒の姿が。どう考えても、ナップザックの大きさではない。

 

「花園さん、それ何作ってるの……?」

 

「ギターケースを入れる袋だよ」

 

お前もかよ……。香澄と考えてる事一緒か。似ていると言えば似ているんだけどな。

 

「あ、あはは……。香澄とおんなじことしてる人がいる」

 

「花園さん……だったよね。私、ちゃんと話したことないかも……」

 

たえはどこか浮いているからな。言動はぶっ飛んでるし、いつも1人でいるようなイメージがある。

 

 

でも……本人だって、望んでそうなったわけじゃない。俺は、その事を知っている。

 

 

「はい、時間ですよ。終わってないのは……戸山さんと花園さんね。放課後、頑張って完成させましょう」

 

「「あ、はい……」」

 

居残り確定。ま、こればっかりは仕方ない。今日の練習には行けそうにないな。有咲が知ったら、どんな反応するだろうな。

 

「香澄ちゃん……」

 

「うぅ、りみり~ん……」

 

「泣きついても居残りは居残りだろうが。放課後は1人で頑張るんだぞ」

 

沙綾は家の手伝い。りみは先に有咲の家に行って練習を始めるだろう。香澄には悪いが、自分で始めた事には責任持ってもらわないとな。バンドの話に置き換えてもいい。

 

 

それに……俺は今日、放課後に行くべきところがあるからな。

 

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