BanG Dream! 澄み渡る空、翔け抜ける星   作:ティア

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どうも、ティアです!1ヶ月ぶりですね……いや、もっとか。なかなか時間が取れないのですが、完結目指して頑張りますよ!

それに、今もバンドリがYouTubeで再放送してるし、タイムリーって事でいいかなと(理由が雑)

今回は少しオリジナル要素が含まれるかな?では、どうぞ!


phrase54 深まる熱情

「こっちはこれでOKと……。後は、これを向こうの部屋に運ぶだけかな」

 

香澄たちが準備に勤しんでいる間、たえはステージ裏の機材等の調整の仕事を受け持っていた。ライブの質に左右するため、さすがに香澄たちには専門的な事を任せるわけにはいかないからだ。

 

人数も少なく、かなりハードな仕事になってしまったが、たえは何とか終わらせることができたようだ。

 

「え~っと、この部屋でよかったよね。……あれ?スケジュール表?」

 

機材関係の道具を運び込んだ部屋で、たえはたまたまある物を目にしてしまう。それは、SPACEの予定を管理しているスケジュール表。1ヶ月分のライブの予定等がぎっしりとメモされているはずのスケジュール表だが、何故か途中から空欄になっている。

 

「これって……」

 

ライブの予定がないのか?いや、だとしても全く予定がないと言うのも考えにくい。曲がりなりにも認知度があり、評判の高いライブハウスだ。それが示し合わせたように空白の時間が続くのは違和感がある。

 

さすがのたえでも、これには何か事情があると察していた。それが何なのかは、今のたえにはわかるはずはなかったが。

 

「あー、おたえここにいた!グリグリとロゼリアの人たち来たよ!」

 

「……あっ、香澄。うん、今行く」

 

香澄にて招きされ、たえは部屋を出る。ただ、空白の目立つスケジュール表だけは、頭から離れる事はなく……。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「うーん、ライブ凄かったね!」

 

「そうだな。俺も裏から見てたが、特にロゼリアの演奏は群を抜いてた。あれがバンドなんだなって……」

 

その後、俺たちはどうにかライブを成功させることができた。いつも以上にハードではあったが、それでも成功できたのは香澄たちのおかげだろう。素直に感謝してる。

 

「お姉ちゃんたちもかっこよかったけど、ロゼリアの人たちもすごかったな~」

 

「ボーカルの湊さん……だっけ?あの人の歌、マジでプロ並みじゃね?」

 

「演奏のレベルも高かった。普段、どんな練習してるんだろ」

 

りみに有咲、たえもロゼリアのライブには感じるものがあったようだ。俺だって、あのバンドのライブは文句のつけようもないほど質が高かったと思っている。

 

俺もみんなも、いい経験になったんじゃないかな。

 

「ね、あそこにいるのってロゼリアの人たちじゃない?」

 

沙綾が見つけた先、そこはエントランスの休憩スペースだった。その一角に、ロゼリアが集合している。

 

もうお客さんは帰っているため、ここにいるのは俺たちとロゼリアだけ。グリグリはまだ控室にでもいるのか、姿を見かけない。

 

「本当だ!ちょっと話しに行こうよ!あの――」

 

「待て、香澄。気持ちはわかるが、何か様子がおかしいぞ」

 

「えっ?」

 

だが、近づこうとした香澄を、俺は肩を掴んで引き戻す。集まったロゼリアは、ライブを終えて和気藹々と談笑しているような雰囲気ではなかった。むしろ、逆。

 

メンバーの1人……名前までは憶えていないが、茶髪でベースを弾いていた子が、悔しそうに泣き崩れているのが見えていた。メンバーも彼女をなだめ、とても部外者が軽々しく割り込める状況じゃない。

 

「ごめん、みんな……。大事なところで、とちっちゃって……」

 

「お、落ち込まないでください……」

 

「そーだよ、リサ姉~!あそこまですっごくいい感じだったんだし!」

 

ライブをしていれば、ミスはつきものだ。誰だって、完璧に演奏ができるわけじゃない。練習ではできても、本番では様々な要因によって左右されてしまう。体調、緊張感、場の空気。それが良くも悪くも、ライブなんだ。

 

だが、彼女たちの言葉を聞いてライブを思い返してみるが、特にそれらしいミスはしていなかったように思える。いや、もしかしたら本当は気づいていないだけかもしれない。ミスをミスとして認識させないような、そもそもなかったかのように思わせる演奏技術に、脱帽するしかない。

 

それ以上に、そこまで些細なミスにもここまで悔しさを滲ませることができるのは、バンドに対する熱意が底知れないと言う裏返しでもある。見習うべき点だ。

 

「落ち込んだところで解決なんてしません。演奏でのミスは、地道な練習で改善するべきです」

 

「えぇ。紗夜の言う通りよ。終わったことを悔やんでも、意味はないわ」

 

「でも、せっかくグリグリとのライブだったのに……」

 

「こんなところで落ち込んでるんじゃないよ」

 

そこに現れたのは、オーナーだった。まだ涙を流すロゼリアのメンバーの元に、ゆっくりと近寄っていく。

 

「……ライブってのは、完璧な演奏が100点なわけじゃない。客は、どうしてわざわざライブハウスに歌を聞きに来てくれると思う?」

 

「それは……」

 

「今この瞬間、目の前のあんたたちがどんなステージをやり切ってくれるか、それを楽しみにしてるんだ。その期待、理想ってのは……完璧な形だけを描いてるわけじゃない」

 

「オーナー……」

 

「やり切ったんだろう?」

 

その言葉で、泣いていた彼女は涙をふく。悔しさに満ちていた表情とは打って変わり、自分の成し遂げた演奏に誇りを持っているようにも見えた。

 

「……はい」

 

「だったら、胸張って帰りな。よくやった」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

それだけ言うと、オーナーはフッと笑い、店の奥に消えていく。一瞬だけ俺と目が合い、軽くうなずいておいた。

 

ロゼリアのメンバーたちも、どこか晴れ晴れとした様子でSPACEを後にしていく。もう暗いムードはどこにもなく、むしろやる気に満ち溢れていた。

 

「……オーナーって、厳しいけど何だか先生みたい」

 

「そうだな。バンドに一生懸命で、本気だなって思うよ」

 

「バンドの事、大好きだよね。オーナーって」

 

沙綾の言うとおりだった。バンドに対して誠実で、だからこそさっきのような言葉を投げかけられるのだろう。日頃の態度も、バンドへの真摯な姿勢が厳格に見えてしまうだけで、本当は思っているような人じゃないんだよな。

 

「ここでライブしたいって香澄の気持ち、わかった気がする。私もここでライブしてみたいなって思うよ」

 

「私も、今度は勝手にじゃなくて、ちゃんと認められて立ちたい!」

 

オーナーの生き様を直に感じて、いい影響を受けたみたいだな。インフルエンザには困らされたが、全てが悪い方向に傾いたわけじゃなかったようだ。

 

香澄はもちろんだが、他のみんなもSPACEでライブがやりたいと言うやる気と目標を持った。ポピパが前進するうえで、大きな一歩になったんじゃないか。

 

「けど、SPACEに立つのは簡単じゃないぞ?前にも言ったが、オーディションは厳しいからな?」

 

「翔の言うとおりだよ。みんなを怖気づかせるわけじゃないけど、オーディションを合格したバンドって、ここしばらく見てない気がする。それだけレベルは高いんだよ」

 

「「う……」」

 

確かにな。ここ最近は、ライブに出るバンドがワンパターン化している。グリグリもそうだが、常連のバンドが中心なんだよな。早い話が、マンネリ化だ。

 

もちろん、香澄のようにステージに立つことを夢見て、オーディションを受けに来るバンドも一定数はいる。演奏も申し分ないし、気持ちだって中途半端なバンドはいなかった。

 

けど、届かない。どれだけ願っても、それだけで立てる場所じゃない。マンネリ化の理由がそこにあると言っても仕方ないのは仕方ないんだが……生半可なバンドを立たせるだけでは、ただの演奏会と何も変わらないからな。

 

「でっ、でも立ちたい!みんな一緒に、この場所でライブしたいんだよ!」

 

「だろうな。香澄ならそう言うと思ってた」

 

「エヘヘ、やっぱりわかる?」

 

「当たり前だろ。俺は香澄の幼馴染なんだからな」

 

それこそ、お前の行動パターンなんてわかりやすいんだからな。思考回路が単純と言うか、何と言うのか。

 

「ねぇ翔。次のオーディション、いつだったっけ?」

 

「確か、来週にはあった気がするな。もうすぐだな」

 

「じゃあ、みんなで受けようよ!オーディション!!」

 

思いついたら即行動かよ。ブレねぇな、こいつは。

 

「はぁ!?まだ何の準備もしてねーだろ!?」

 

「来週はちょっと早すぎない……?」

 

「今からでもやれば大丈夫だよー!」

 

根拠もないのに、そう言い切ってしまうのは何なのか。そんなやる気だけで通過できるほど、SPACEと言う舞台は甘くないと言うのに。

 

けど、何故だかできる気がしてしまう。この、真っ直ぐでブレーキもないような彼女ならば。

 

「また考えなしに言いやがって……」

 

「とか言って、付き合ってあげるんじゃないの?」

 

「う、うるせーぞ沙綾!」

 

「これから毎日練習しなくちゃね。有咲もやる気みたいだし」

 

「おたえまで私をからかうんじゃねー!」

 

いや、もう有咲はそう言うキャラだから仕方ない。諦めるんだな。

 

「放課後は蔵練だね、香澄ちゃん」

 

「俺もできる限りはサポートするぞ。顔出せるなら顔出すようにする」

 

「ありがとう、なーくん!よ~し、みんなで頑張るぞー!」

 

「「「「おーっ!」」」」

 

どこまでできるのかはわからないが、俺も応援しよう。香澄が作ったバンドだ。香澄が、それにみんながやる気なら、SPACEでのライブに向けて、俺は惜しみなく力を注いでやる。

 

「って、有咲!おーってやろうよ!」

 

「えっ、いや……私、そう言うのは別に……」

 

「恥ずかしいの~?」

 

「そうみたい。有咲、照れてるよ」

 

「う、うるせーよ、おたえ!てか、こっち見んな!ちょ、ついてくんなってぇ!!」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「……先ほどは申し訳ありませんでした」

 

「いや、こちらこそすまなかった。あの子たちは悪くないのに、大声を出してしまった」

 

「それは、俺から伝えておきますよ、オーナー」

 

「悪いね、成川」

 

それから数分後。俺は香澄たちを一旦エントランスで待機させ、オーナーの部屋の中にいた。さっきすれ違った際に、目線で合図を送られたからな。準備の時の不注意による失態に対して、まだお咎め食らってなかったし。

 

けど、何故かたえまで一緒に行こうとして来たんだよな。あいつは関係ないから放っておいたんだが、何か納得いっていないようだったし。

 

で、オーナーに部屋に通され、先ほどの件について謝罪して……今に至るわけだ。オーナーからの注意もなく、むしろ自らの非を詫びるほど。

 

と言う事は、俺を部屋に呼んだ理由は準備中の件だけじゃない。ここまでハッキリとは口にしてはいないが、きっとオーナーには別の思惑があるんだろう。

 

 

例の、写真について。

 

 

「しかし……私も不甲斐ないね。自分の事しか見えていない」

 

「……俺も予想外でした。まさか、ノートにあの写真が挟まっていたなんて」

 

「ノートを整理していた時に、うっかり入ったんだろうね。楽屋の外から写真の話が聞こえた時には、私も冷静さを失っていたよ」

 

「それは、仕方ないですよ。オーナーにとって、あの少女は……何よりも大切な存在だったはずなんですから」

 

笑顔を見せる少女の姿は、オーナーには何物にも代えがたい宝物だった。自分の事のように大切で、少女との時間はかけがえのないものだった。今も写真を大切に持っていることからも、その思いは伝わるだろう。

 

それだけ影響を受けた少女の写真だ。あの控室での叱責は、他人には簡単に見せたくないと思っての事だろう……と、普通ならそう思ってしまう。

 

でも、違った。明確には、そこに潜んでいる感情の問題だった。決して少女への愛の深さゆえに引き起こされた行動では、何一つなかったからだ。

 

「私も大人だ。仕事に私情を持ち込むことはしない。けど、どうしてもあの写真を見ると……思い出してしまうんだよ」

 

「……数年前の、例の事件ですか」

 

「……あぁ」

 

そう呟くオーナーの表情は、苦痛に歪んでいた。あの写真の少女の笑顔とはかけ離れた、重く深い事件を思い返して。

 

「今でも信じられない……なかった事にしてやりたいと心から思っているよ。奴らの事も、まだ許したわけではないからね」

 

「ですが、あの事件は解決した話でしょう?憎む気持ちはわかりますが、そんな感情で動いてもあの子がよくなるわけじゃないですよ。むしろ、あなたが悪人になるかもしれない……。そうなったら、それこそあの子が戻ってくる居場所もなくなってしまう」

 

「わかっている。気持ちの話と言うだけだ。だが……事件に関しては、あくまでも表向きの話だよ。何も解決しちゃいない」

 

「オーナー……」

 

「奴らから受けた、あの子の傷はどうなった?変わり果てていくあの子を見て、耐え続けなくていけない私たちの傷はどうなった?事件が解決して、治ったとでも言うのかい?」

 

「……それは」

 

それはまさに恐怖だった。悪意の矛先が理不尽に向けられ、平穏だったはずの時間を歪め砕いて行く。歪みは新たな歪みを生み、希望がどこにもないかのような暗闇を見せる。

 

そしてその暗闇は、今もなお続いている。どこまで歩けば終わりが見えるのか。何故、こうも絶望しなければいけなかったのか。罪を背負い、生きていかなければならない枷を身につける必要はどこにもなかったはずだ。あの少女も、そしてオーナーだって。

 

一瞬だ。たった一瞬で、全てを壊された。超えてはならない一線の先に、その崩壊は存在した。

 

それは悪夢だ。夢として見るものだ。フィクションとして語られるものだ。現実に合ってはいけないことが、容赦なく少女を襲い……。

 

「……すまないね。困らせる質問をした」

 

「いえ、大丈夫です。オーナーの言う事も、もっともですから」

 

ふと、オーナーの声で我に返る。思い返した事件の、苦い味を口の中に感じながら。

 

初めてこの話を聞いた時、俺はショックで吐きそうになったのを覚えている。怒りで体が震え、そのやり場のなさに歯噛みした事も。

 

「いつになったら、また戻れるんだろうね……あの頃に。あの子と過ごせたはずの日々を、今からでも過ごしていきたい」

 

「……いつか戻れます、きっと」

 

「その言葉は嬉しいさ。それに、そう望んでいるからこそ、お前は今ここにいる。あの子を救ってほしいと、私が心から願うからこそ」

 

「えぇ……わかっています」

 

戻りたい。それは、普段のオーナーの見せない、想像もできないほどに弱々しい言葉だった。でも、そう吐き捨てなければ整理がつけられない。湧き上がってきた恐怖を閉じ込め、蓋をすることができない。

 

そんな言葉に俺は……応えなくてはいけない。それは、2つの意味で。少女を心から願う事。そしてもう1つは……。

 

「絶対に救い出して見せます。あんなことが起こって、今も……これからも苦しみ抜いて生きていくだけの時間、過ごしていいはずがない。被害者なのに」

 

「……そうさ。でも、時間は動いていないよ。私も、あの子も」

 

「だったら動かします。あの子の時間を動かして、オーナー……あなたの時間も取り戻します」

 

「フン……気障ったらしい事、言ってくれるじゃないか」

 

「あっ、い、いや……」

 

「真に受けなくていいよ……冗談を言えるくらいには、落ち着けたみたいだ」

 

苦笑を浮かべるくらいには、余裕はあるようだった。てか、この人冗談とか言うんだな。そんな人だとは思ってなかったぞ。

 

でも……この人の心の傷は、完全に癒えたわけじゃない。その根底にあるのは、数年前の事件。そして、あの写真の少女。

 

時間が止まってしまったのなら、もう一度動かしてやる。あの写真の中で、カメラ越しに微笑んでいたように……もう一度。それを望んでいる金髪の少女も、君には確かにいるんだから。

 

「もう一度笑えるように。あの子が……美空が」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「けど、さっきのロゼリアのギターの人、どこかで見た事あるんだよね~?」

 

「そうだっけ?あれ、でも言われてみれば私も見たような……?」

 

「さーや、心当たりある?」

 

「う~ん……何か見た事ある気はするのに……モヤモヤするな~?」

 

その日の帰り道。俺はオーナーとの話を終え、香澄たちと合流していた。美羽に電話を入れたのだが、今日は明日香の家で夜ご飯を食べさせてもらったから、あまり急がなくてもいいとの事らしい。

 

と言う事で、俺は香澄たちと一緒に帰る事にした。荷物も有咲の家に置きっぱなしみたいだし、もう時間も遅い。女の子だけで夜道を歩かせるわけにもいかないしな。

 

「はぁ……。今日は練習以上に疲れたな……」

 

「おいおい、そんなので根を上げてたら、バイトなんかできないぞ?」

 

「くっ、翔に上から目線で言われるの腹立つ……!」

 

たえはともかく、りみはまだまだ元気そうだ。このメンバーの中で疲れてるの、有咲だけだからな?ちょっとは働く辛さを知れ。

 

「けど、翔君やおたえちゃんの仕事、疲れたけど楽しかったよ。またやってみたいな」

 

「だろ?疲れるけど、やりがいはあるからな。本当にいい仕事だよ」

 

「いやぁ~それほどでも」

 

「何でおたえが照れてんだよ」

 

そもそも照れる場面だったかどうかも怪しいけどな。

 

「あ……ところで翔」

 

「ん?どうした、たえ」

 

「実はさっき、たまたまスケジュール表見たんだけど、今月の途中から空欄になってたんだ。それをさっき、オーナーに聞きに行こうとしてたんだけど……」

 

「あぁ……そうだったのか。言ってくれたら俺が聞いておいたのに」

 

「……確かに。翔ってやっぱり天才だね」

 

たえってやっぱりド天然だよね。

 

「でも、やっぱり気になるな。書き忘れかもしれないけど、ちょっと変だな~って思ったから。翔はどう思う?」

 

「俺も……そう思うな。あのオーナーでも、歳には逆らえないって事だろ」

 

俺がそう答えたのを聞いて、たえは納得したように引き下がる。と、そのやり取りを聞いていた沙綾が、

 

「フフッ、自分の働いてるところのオーナーの事、そんな風に言うんだ~?」

 

「い、いやこれは言葉のアヤって奴だろ!真に受けるなよ、沙綾!?」

 

「へぇ~?本当にそうなのかな?」

 

「ちょ、止めろよ沙綾。それに、りみまで笑ってこっち見るな!」

 

「だ、だって……エヘヘっ」

 

何だか完全に悪者扱いだな……。まぁ、仕方ない。俺が口下手だったって事でよしとするか。あ、でもオーナーにも、おばあ……年寄りだってイメージをつけてしまったな。よからぬ飛び火してしまったぞ。

 

 

けど……それでいい。

 

 

「……まだ、だからな」

 

「えっ?なーくん、何か言った?」

 

「いや……何でもないよ」

 

 

今はそういう事にしておいてくれ、オーナー。

 

 

あの話を口にするわけには……まだいかないでしょう?

 







目指す場所。立ちたい思い。



高まる思いは留まることなく、ついにオーディションの日を迎える。



憧れを形に変えるために、歌う少女。



だが、彼女の歌が響く時、知られてはならない悪夢もまた頭角を現していく。



それは、青きギターの少女の疑念から生まれたものであり……。



静かに崩壊への扉へと手をかける、とある少女の行動によるものでもあった。



次回『後戻りはできない』
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