風越先鋒、宮永咲   作:のぶほし

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初の本格的な闘牌シーンです。前半は、ほぼ原作通りですが難産でした。


第12局 対子

「宮永と対木は、福路と池田のいる卓に入ってくれ。

 この四人で半荘(東南戦)を行ってもらう。25000点持ち30000点返しだ。

 ただし収支の清算は前後半で、それぞれ行うから注意するように」

 

「は、はい」

 

「……」コクン

 

「わかりました」

 

「今日も手加減なしだし!」

 

 原作のように赤4枚を追加するといった小細工は行わない。

 宮永と対木の対決で何が起こるかに興味があるからだ。

 そして福路がプラマイゼロを崩せるかも今後を占う試金石だ。

 まあ池田は久保コーチが言ってた通り叩いて伸ばす方針だ。

 

 

[東一局] (親) 池田

 

「親だし、今日も絶好調だし」

 

 はやくも三巡目で池田がリーチ。ツキが光ってたのもあって面子に選んだんだしな。

 福路は片目をつむっているけど、表情から察するに池田の打点の気配が大きいのは気付いてる様子。

 

「にゃはは、リーチ一発ツモ ドラ2 満貫で12000! 4000オールだし!!」

 

 池田 +12000 他 -4000

 

 

[東一局 一本場] (親) 池田

 

「また、リーチだし」(-1000)

 

「それ……ロン、チートイツ 3200(+1000)」

 

「にゃっ!」

 

 対木 +4200 池田 -4200

 

 まずは対木の後ろに回って様子を見守る。対木もこは原作では闘牌シーンがなく能力が不明だ。

 一見しただけだと対木の異能の力(オカルト)は「対子を集める」能力のように感じる。

 

 麻雀は14枚の牌の組み合わせで「あがり(完成の形)」をつくるゲームだ。

 そのために基本的には「3枚1組」(順子or刻子)の組み合わせが「4つ」必要となる。

 

例 {二萬 三萬 四萬} {四筒 五筒 六筒} {二索 二索 ニ索} {中 中 中} {西 西}(雀頭=アタマ)

 

 順子(シュンツ) {二萬 三萬 四萬} 三枚の連番の数牌が集まったもの

 刻子(コーツ) {三索 三索 三索} 同じ牌が三枚集まったもの

 アガりの形の中で必要な同じ牌の「2枚1組」を雀頭(ジャントウ)という。(雀頭も対子)

 

 対子(トイツ) {五萬 五萬} 全く同じ牌が2枚ある状態

 {北 北}+{北}→{北 北 北}(刻子)

 ※上の例にもあるように、もう1枚同じ牌が重なれば対子は刻子となる。

 

 対木が得意とする七対子(チートイツ)は、対子を7組揃えることで出来るちょっと変わった役だ。

 

 

[東二局] (親) 対木

 

対木もこ {一萬 一萬 二萬 三萬 四萬 四萬 三筒 六筒 七筒 二索 二索 東 南} {三萬}(二向聴(リャンシャンテン)

 

 そして配牌時の対子率も異常に高い。対子が四、五組と集まっているのが当たり前だ。

 これが阿知賀勢のような「ドラ」や「あったかい牌」や「ボウリング繋がり」といった感じの能力あれば、特定の牌に対する警戒も可能だが、対子は「全ての牌でつくれる」のが対策が非常に難しい。

 

 対木は麻雀歴が一年未満ということもあって異能の力(オカルト)に振り回されている打ち方だが、五カ月で東海王者になっただけあって、かなり厄介な能力だ。

 

対木もこ {一萬 一萬 三萬 三萬 四萬 四萬 三筒 三筒 七筒 二索 二索 東 南} {七筒}(聴牌(テンパイ)

 

「……リーチ」 {七筒}(in)→{東}(out)

 

「リーチです」(-1000)

 

 他の三人が対木の速度に対応できない。福路が追いかけようとするが……。

 

「……ツモ、チートイツ 3200オール」{南}

 

 対木 +10600 福路 -4200 他 -3200

 

 

[東二局 一本場] (親) 対木

 

 後ろから見守っていると対木が一人だけ別のゲームをしているのでは無いかとさえ感じるときもある。

 

対木もこ {二萬 二萬 三萬 四萬} {四萬}(in) →{二萬 二萬 四萬 四萬} {三萬}(out)

 

 今のように平然と{二萬 三萬 四萬}の順子を崩したりもする。

 

対木もこ {二萬 二萬 四萬 四萬 白 白} {白}(in)→{白}(out)

 

 そして役牌の刻子をつくる気さえないのだ。

 

 対木を見出した恩師がいうには同世代の中学生たちは一緒に打つことを「感覚が狂う」と言って嫌がったという。

 たしかに彼女の麻雀はマイペースな性格と同じように、独自の感覚(リズム)を持っている。

 普通の麻雀では3+3+3+3+2(=14)と集めるところを、対木は2+2+2+2+2+2+2(=14)で集めようとしているのだから当然だ。

 

対木もこ {二萬 二萬 四萬 四萬 八萬 六筒 六筒 一索 一索 二索 二索 白 白} {南}

 

 やはり残念なことに彼女にとって麻雀は、単に対子を7つ集めるだけのゲームになってしまっているみたいだ。

 ただ対子を6つ集めた時点で、あまり深く考えずにリーチをかけるのはインハイに向けて直した方がいいだろう。

 

「……リーチ」 {南}(in)→{八萬}(out)

 

「それロンです 1000」

 

 宮永 +1000 対木 -1000

 

 

[東三局] (親) 宮永

 

 先ほどから福路は対木の捨て牌から情報を得ることに苦戦している様子だ。

 宮永との対局は、福路と対木で別々に行ったほうが良かったかもしれない。

 

 池田は池田で相手のリズムには惑わされず、あくまで自分を押し通すスタイルなので相性は悪くはない(勝てるとは言ってない)

 

 宮永は-6200点。前半のオーラスも近づいており点数調整が必要なはずだ。

 プラマイゼロ29600点から30500点のわずかな範囲。必要な点数は……

 

「ロン タンピンドラドラ 11600(ぴんぴんろく)です」

 

宮永 + 11600 池田 -11600

 

宮永 30400(±0)

 

 

[東三局 一本場] (親) 宮永

 

 先ほどは満貫12,000点のアガリではプラスになってしまうところを見事な調整。

 あとは適当に見守れば、プラマイゼロのまま終わるだろうが……。

 

「ツモ 3000・6000」

 

 右目を開いてない福治も流石に何事もなく前半を終わらせるつもりはないか。

 

福路 +12000 宮永 -6000 他 -3000

 

 

[東四局 オーラス] (親) 福路

 

南 池田華菜(二年) :15000(起家)

西 対木もこ(一年) :31800

北 宮永咲(一年)  :24400

東 福路美穂子(三年):28800

 

 宮永は {五筒}か{八筒}が出れば5200点でプラマイゼロか。

 

「……む」 対木→{五筒}(out)

 

 やはり原作通りスルーか!

 トップの対木からアガれば、1着となりオカが与えられるのでプラマイゼロにならない。

 

「……ん」 福路→{赤五筒}(out)

 

 おそらく福路は。宮永の「勝ちは眼中にない」スルーに気付いている。

 だから5200点のアガリができないようする。

 

「リーチです」(宮永さん、どうしますか?)

 

 相変わらずだが日常の性格とは違って対局中の福路は意地が悪い。

 リーチ棒が出て場に1000点増えた。こうなるとプラマイゼロにするには70符2翻のみ。

 符は最大で110符まであるが、60符以上は殆ど無いため点数早見表の暗記でも無視することが多い。

 

 そんな役満以上のレア役を狙ってつくるなんて、まずは不可能だと殆の人間は考えるが――

 

「…‥カン!」トン {西}(in)→{七筒}(out) {裏 西 西 裏}

 

 そうだ。魔王と呼ばれた原作主人公が終わるはずがない。

 

 卓上を支配する超人的な豪運! 正社員雇用を可能にする道標!

 

嶺上開花自摸(リンシャンカイホウツモ) 70符2翻は、1300・2600」

 

 見学していた風越女子の部員たちから「ワッ!!」と歓声があがる。

 池田は驚きの表情、福路は達観した表情、そして対木は……。

 

 宮永咲 {一筒 二筒 二筒 三筒 三筒 四筒 九筒 九筒 九筒 二索}{裏 西 西 裏} {二索}

 

東南戦 前半 収支

 

池田華菜(二年) :13700(-16)

対木もこ(一年) :30500(±0)

宮永咲(一年)  :29600(±0)

福路美穂子(三年):26200(-4)

 

 

「みのがしたんだ……さっき」ゴッ!!

 

「も、もこちゃん!?」

 

 咲-Saki-ワールド特有の「ゴッ倒す!!」オーラが対木から放たれる。

 

「わたしだって……おこる」

 

 波乱の後半戦が始まろうとしていた。

 




点数計算は、面倒くさがらずに表計算ソフト使って行わないとダメですね……。

*ご注意*
積み棒の加点や符計算などの点数計算や点数表記に誤りが確認されています。
個人的に麻雀のルールに対する理解が、かなり浅いため修正を棚上げしております。
感想欄へのご指摘は歓迎してますが、とりあえずの間は闘牌シーンは「雰囲気を楽しむ程度」の情報として扱って下さい。
この問題に関しては個人的な力量不足で早期の解決が非常に難しく誠に申し訳なく思っています。
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