そろそろインターハイ団体戦のオーダーを決める必要がある。団体戦の申込みは最低で五人、補員(補欠)を含めて最大八人での登録となる。スタメン五人のオーダーは事前登録となっており、発表はインターハイ予選の初日に行われる。
過去には、わざと補員の三人をスタメンに置いて、他校のオーダーが発表された後に、補員を欠場させて主力スタメンのオーダーを決めるという作戦を取った学校もあった。この不正行為は、すぐに明らかとなり、不正を行った学校は厳しい処分を受けた。
団体戦はトビ終了もあり、点差によって後半になればなるほど自由に打てなくなる可能性が高い。
そのため先鋒に最も強い選手(≒得点力が高い選手)をエースとして据えるのがセオリーとなっている。
また最終戦まで僅差でもつれ込めば、最後は大将同士の戦いとなるため、大将にも優れた選手を置く必要がある。
最新の風越女子麻雀部の校内ランキングは以下の通りとなっている。
1.宮永咲(1年) 1855
2.福路美穂子(3年) 1837
3.対木もこ(1年) 1812
4.池田華菜(2年) 1754
5.東横桃子(1年) 1732
6.深堀純代(2年) 1684
7.吉留未春(2年) 1676
8.文堂星夏(1年) 1643
9.弓野奈津美(3年) 1639
10-浅井真澄、大迫昭乃……
原作知識を元にして必勝のオーダーを冷静になって考えるのであれば、先鋒:福路、次鋒:池田、中堅:対木、副将:東横、大将:宮永と言ったところだろうか。先鋒、中堅と次鋒、副将は逆でも良い。何より大将に魔王(宮永咲)が控えていることに絶対的な安心感がある。
しかし風越女子には「校内ランキングの1位」はエースとしてインハイでは先鋒に据えるという伝統が存在する。腕試しの意味合いが大きかった春の選抜大会とは違って、夏のインターハイにおける先鋒というのは別格の役割なのだ。
また池田のような自称ではなく、校内ランキングというハッキリとした目安があるので「まだ1年の宮永はエースとするのは気が早い」とか「先鋒は荷が重い」などとは言い難い。そしてランキング1位を譲ったキャプテンの福路が率先して「宮永さんが、風越女子の新しいエースです」と周囲に認めさせている影響も大きい。池田でさえ「自分は二年のエースだし」と、暗に宮永をエースとして認める発言をしている。
久保コーチとも相談したが「校内ランキングの1位のエースが先鋒」という伝統は崩して欲しくないそうだ。毎年の先鋒がコーチや監督といった指導者の意志とは関係なく決まるというのが作戦的な縛りになることは理解した上で、風越女子における特有の事情を説明してもらった。
ぽっと出の新任監督が急に伝統を崩してしまうと、部員たちはスタメンが校内ランキングを無視して、監督の独断で決められてしまったように感じて、選手との間に不協和音を引き起こす原因の一つになりえるという話だ。
まず風越女子の麻雀部にとって先鋒のエースというのは、憧れの象徴で身近なスターといえる存在だ。多くの部員たちはその憧れを胸に秘め、校内ランキングの頂を目指して日々努力しているという。つまり伝統が崩れれば、校内ランキングという仕組みそのものが、有名無実化してしまうということだ。
もう一つは校内ランキングを無視したスタメン決めにより指導者の権力が強まると、今後は部員たちがコーチや監督に気に入られようと顔色を伺うようになるという懸念だ。そうなると部内の健全な競争は阻害される。これは長期的に麻雀部を指導することになる久保コーチの立場としては望ましくは無い。また監督のクビがすげ替えられた場合には、麻雀部全体を混乱に陥れた原因として悪影響が残ってしまうと指摘された。
また強引な手法でスタメンを決めて一定の結果を残せたとしても、OG会や保護者会の反発があるだろうと言われてしまった。
まさか転生してからスラムダンクの豊玉(大阪代表でラン&ガンのところ)の監督の気持ちを実感することになるとは……。
やはり根回しというのは重要だ。新道寺女子ではコーチ代理を務めたが、2年のエースである白水哩とコンビを組んだ1年の鶴田姫子はともかく、すばら先輩こと花田煌をインハイのスタメンに据えることはできなかった。
彼女は1年の段階でOBの野依理沙プロと対局しても飛ばなかった。この鋼のメンタルを鍛えれば「誰が相手でも飛ばない(箱割れしない)」という持ち味に繋がっただろう。この花田の特性は、某サイトの能力版強さランキングでもベスト10に入るほどに優れたものだ。チームとして団体戦を勝ち抜く上で、マイナスになることのない強さがあれば、随分と勝ちが計算しやすくなるのだ。
しかし花田の実力は周囲に認められておらず、コーチ代理の立場では強権は発揮できなかった。彼女については自分やプロといった強者を相手に当たり負けしなかったと須田山コーチには伝えてある。須田山コーチによる検証が間に合わなかったのか、春の大会ではスタメンに選ばれていなかった。しかし持ち味が明らかになれば原作通りにインターハイのスタメンに抜擢するだろう。
コーチ代理の立場では無理だが、実績を積み重ねた須田山コーチであれば、それが可能だからだ。
新道寺女子は「このところインハイの成績が振るわない」などと言われているが、一昨年はベスト16、去年はベスト8と、そこまで極端に悪い訳ではない。求められる水準が高いのだ。
九州随一の強豪校としてベスト8は当たり前、ベスト4に入って東京や大阪の強豪を破って優勝杯を持ち帰ることを望まれているのだ。コーチ代理となった際は県代表が不安視されて、全国出場しても上位は期待されず、ベスト8入りしたら「流石は須田山コーチが鍛えていたチームだ」とか「新道寺女子ならベスト8は当たり前」など言われて、それほど高くは評価されなかった。
原作の新道寺女子が採用した「副将にエースを据えて大将で逃げ切る」作戦という、セオリーとは真逆の布陣もコーチ代理であれば実現はできなかっただろう。
部員数の少ない弱小チームや何でも出来るゲームじゃないんだから、フリーハンドでスタメンが決めれる訳ではないのだ。漫画の世界に転生したと言っても世の中というのは、いつも世知辛いのだ。世の中、世知辛いのじゃ~。
風越女子の先鋒は、宮永咲。これは決定だ。思いつきで決めたタイトルを回収するためにも
なぜなら僕が風越女子麻雀部の監督に就任した理由は、インハイ優勝などではなく正規雇用と安定した生活だからだ。
志が低いとか、考えがセコいとか、器が小さいとか言われようが関係ない。もし全国ベスト8になって教職として採用されても、OG会や保護者会の反発が強い中で教師など絶対に続けたくない(断言)
それでも宮永が自ら「私は大将が良いです!」とでも言ってくれればと悪あがきに面談をしてみたが、逆に「お姉ちゃんのポジションは何処になるでしょうか?」と問われてしまった。
一瞬だけ言葉に詰まった後に「エースである先鋒か、もしくは春の大会で務めた大将の可能性が高い」とだけ返事をした。原作知識的に嘘となる可能性の高い「宮永照は大将説」を強くは押せなかった。もしも魔王に「監督に騙された」とか思われたらインハイ中やインハイ後の麻雀部が非常に気まずくなるからだ。小心者だと笑ってくれ。
「それなら、私は先鋒を選びます! お姉ちゃんが大将でも後悔はしません。
福路キャプテンから風越女子のエースになって欲しいって頼まれましたから!!」
幸いなことは淡白なところのあった宮永に想像以上にエースとしての自覚が目覚めていたことだ。
やはり清澄と風越女子では麻雀部を取り巻く環境の違いが大きいのだろう。
また校内ランキングの2位と3位には本人の希望を聞いた方が良いと久保コーチにアドバイスされた。風越女子の伝統としてはベスト3は絶対にスタメン入りするそうだ。ただ4位や5位となると10位くらいまでと実力的に大差はないので確定ではないらしい。
過去にも来年に向けて経験を積ませるために3年を外し1年や2年を入れたり、逆に後輩が卒業する先輩の花道を飾るためスタメンの座を譲るということも有ったようだ。
そこでキャプテンの福路にも希望のポジションを確認したところ「中堅」という意外な言葉が返ってきた――。
な・ん・で?
ようやくタイトル回収! ちなみに元のR-18ネタでは特にスタメンは決めてなかったです。
感想欄でも取り沙汰されていたスタメンのオーダーですが、賛否両論は当然あるかと!
これが「さいきょう」の布陣だとか私も思ってないです。
物語なりの理由や事情をご都合主義だと感じることもあるでしょうがご了承ください。
校内ランキングの横にある数値は何となくの雰囲気づくりです。
現時点で作者が考えてる力量差を数値化したものかな?