ウィークリー麻雀TODAYの西田記者が帰った後、藤田プロに誘われて高そうな焼肉屋へ。給料日前なんだけど奢りだよね?
「私はビールで」「ならウーロンハイを」「じゃあハイボールで」
飲みながら記者の前では少し語り難かった風越女子の面子について話す。カンパーイ
竹井久の知人とはいえ、安易に情報を漏らすような人ではないはずだ。まさか弱みとか握られてないよな?
どうしても原作知識に引きずられがちなので、第三者の意見が聞きたかった。グビッグビッ
「なるほど。先鋒と大将が一年生か、博打だな」
たしかに先鋒と大将のWエースが一年生って原作でも清澄以外には無かったよな?
というかスタメンに一年生が三人も入ってたのも清澄だけ……だよな。うろ覚え。ゴクゴク
スポーツ競技のような体格差とかはないとはいえ、普通であれば競技歴の年数差は大きい。
つうか三人娘は競技歴でいうと全員が初心者(笑)だからな。ようやく対木が麻雀を初めて一年くらいか。ニクモキタカ
「たしかに3人も1年をスタメンに入れてますが、校内ランキング通りの実力順ですよ」
久保コーチが選手の選考に関してフォローを入れる。ジュージュー
まあ部員が足りなかった清澄とは環境が違うのだよ。環境が!(慢心)
「オーダーを聞く限りだと、天江衣が出てくる前に終わらせる作戦にも思えるが?」
先行逃げ切りというのは久保コーチにも指摘されたが、その意図は無かった。アフッアフッ
原作だと大将戦までもつれるってイメージが強い。ただ、それはあくまで原作という物語の知識だ。
実際にデータを調べるとインハイの団体戦では予選は勿論のこと全国大会でも大将戦を前に終わる試合というのは割とある。
高校野球の例えになるが、地方大会だと点差コールドで終了する試合は少なくない。それに甲子園(全国大会)では点差コールドが認められていないだけで、実際には点差コールドの適用となる試合(5回以降は10点差以上、7回以降は7点差以上ついた試合)が無いわけではない。ジュージュー
この団体戦の10万点が飛ぶというのが、高校野球のコールドゲームくらいの割合で起こる。まあ大将戦も含めてなので、大将戦を前にとなれば割合も減るが、少なくはないのが伝わるだろう。パクパク
だからこそ作戦として先鋒にエースを据えるのが
「藤田先輩は龍門渕の大将には天江衣がなると?」
「おまえが龍門渕の監督だったら先鋒にするか?」
「……いえ、難しいですね」
悩んだのは原作知識があるからだ。もしも龍門渕の麻雀部顧問を引き受けて宮永咲が勧誘できなかったら、天江衣を大将より前に据える。そして魔王が出てくる前に他を飛ばす。原作崩壊とか言わない。また冷やし透華が安定してるなら彼女を大将にするのもありだが難しいだろう。ジュージュー
「貴子はどうだ?」
「龍門渕の大将は天江衣かと思います。春の大会はテストでしょうね。
作戦というよりスタンスでしょうが、昨年も大将戦まで繋げば勝てるといった感じを受けました」
「そうだ。龍門渕は一番後ろに天江衣が控えているからこそ、他の選手が自信を持って打てる」
「なるほど」
一理ある。天江衣が先鋒で大量得点を稼いで、首位を最後まで守る戦いというのは士気を保ち続けるのは難しい。
実際に春の大会では、天江衣が抑えられた結果、そのまま失速して挽回する気配も無かった。モグモグ
それよりも大将まで回れば、多少の失点は挽回してもらえるという状態で打つ方が精神的な余裕もあるだろう。
原作の全国大会だと北海道の有珠山高校が似たような感じだったな。ゴクゴク
龍門渕はちゃんとした指導者がいないのでオーダーの意図が読み難い。何というか透華お嬢様がノリで決めてても不思議じゃない印象があるのだ。ハイボールツイカ-
「なら清澄の原村和は一年ですし先鋒でしょうか?」
久保コーチが質問する。原作知識が無ければ無名校に入ったインターミドル王者は麻雀部の絶対エースのはずだ。
「わからん。まあ天江衣のように、チームの信頼を得ていれば大将もあるだろうが」
「先鋒は無いと思いますよ。清澄には先鋒向きの
「それは原村和と一緒にスカウトしようとした一年か?」
原村和のスカウトは久保コーチというか学校の意向が絡んでいたから片岡優希のことも覚えていたようだ。
「はい。東場を得意とする先行逃げ切り型の選手ですね。
まあエースと言うよりも、先鋒以外だと使い勝手の難しいタイプでしょうか?(計算苦手だし)」
「ほう。伊達にインハイで選手兼監督とか言われてただけのことはあるな。
それとも情報収集や分析は熊倉さん仕込みかい」
「まあ新道寺女子の須田山コーチからも学びましたしね(清澄は原作知識ですけど!)」
「となると原村和は大将か。いや南浦プロのお孫さんもいるのか」
久保コーチが考えているけど、清澄については大将が原村でも南浦でも心配はしてない(油断?)
自分が部長だったら原村和が副将で、南場に強い南浦数絵が大将かな。火力は劣るが副将で稼ぎ、大将で守りきって勝つ永水女子の作戦に近い形だ。けど南場でも天江衣の支配が破れるとは思えない。パクパク
竹井久は原作みたいに「全国優勝」を狙っているのだろうか。けど、アレは原村和の入部に加えて宮永咲という異才に出会ったからこそだと思う。それでも最後のチャンスに全国出場の野心くらいはあるだろうし、挑みもせず諦めるような性格でもないか。プッハ-
「もうオーダーの登録は終わってるのだから、予選が始まれば分かるさ」
もう何度も検討したことだ。それより予選直前の強化合宿の内容について練った方が良い。
藤田プロがビールをグイッと飲み終え追加の注文をし、話題に一段落つける。
「それより今年のインターハイはルールの変更が告知されただろ?」
「ええ、赤ドラの採用など運の要素が強まり、春季大会もですが試合数も少なくなりましたね」
「去年までは、どちらかといえば地味な競技ルールでしたからね」
「偶然性が高まりすぎるといった批判もあるが?」
そういえば原作でも藤田プロが解説で何か言ってた記憶あるな。
インターハイのルールは、赤ドラ4枚、多家和(ダブロン・トリロン)無し(いわゆる「頭ハネ」)、アリアリ、ダブル役満無し、数え役満あり、と一般的な競技ルールとは程遠い、運の要素が強いのが特徴的だ。
ちなみにアリアリというのは「喰いタン」と「後付け」の二つ、どちらもアリで行うルールのこと。
これが、この世界における麻雀の大会の一般的なルールかというとそうでもない。
「あー、そうか。藤田先輩は実業団の所属プロだからルール変更の意図が分かり難いのか」
「どういうことだ?」
プロ雀士ではないが転生してからインハイ、インカレ、世界大会と麻雀を打ってきた。
それなりに原作だと分からなかった裏事情というか、業界の事情についても知ることができた。
「国内リーグ向けのプロと、世界大会で戦えるプロの選出および育成方針の違いでしょうね」
県予選の導入部と県予選の闘牌で詰まっていてストックが残り1話となりました。
時間を置いて考えるという手もありますが、あんまり書くのを止めると、そのまま投げ出してしまいそうで……むむむ。
連休で阿知賀編を読み直したのですが、これで清澄が予選敗退したら……と思うと心が痛みました。私はアニメの阿知賀編を見て、離れてた咲を読み直した口で、かなり阿知賀が好きなのです。