先鋒戦 前半 東一局 三本場
東 片岡優希(清澄高校1年) :136,700(起家)
南 龍門渕透華(龍門渕高校2年):89,800
西 津山睦月(鶴賀学園2年) :83,700
北 宮永咲(風越女子1年) :89,800
――竹井久(清澄高校3年生)
私だって全国大会の決勝の舞台に照準を合わせたかったわよ。
けど県予選で勝てなければ、全国の舞台には上がれない。
清澄の戦力では真正面から普通に戦っても、龍門渕や風越女子には及ばない。
だから最初っから全力全開でやるしか勝機が無いと分かってた。
もしも風越女子の監督が彼女の特性に気付いて警戒してたとしても、この手は止められない。
「ゆーき……」
だって、和の全国優勝の決意に秘めた願いを知った優希が
『続けて、ダブルリーチだじぇ!』
「頑張って下さい……優希さん」
「ほんま南浦プロの言ってた通りになったのぉ」
「そうね」
半荘戦のうち東場を得意とする優希、南場で好調となる数絵。二人の特性は真逆だけど似てる。
数絵のお祖父さんである南浦プロは孫の中学生時代の牌譜を分析し、その特性に波があることに気付いていた。
南浦プロからアドバイスを受けた私は優希の中学生時代の牌譜を集めてグラフにしてみた。
それからはインターハイまでの間、麻雀の打つペースを調整させて貰っていた。
東一局の平均テンパイ速度、その頂点の波をインターハイに合わせるために……。
余裕を持ってインターハイの決勝に波を合わせることは不可能ではなかった。
「私の悪待ちと、風越女子の監督さんの悪運、どちらが強いのかしら」
けど、全国大会ならともかく県予選決勝となると絶対的に時間が足りなかった。
だから無理やり直近で合わせられる最高の高さの波に照準を合わせた。前後の落差が激しい乱れた波。
その波を県予選の決勝に持ってくると、個人戦の波が大きく崩れるので戦えない。
それに全国大会に出場できたとしても、最初の週は使い物にならないだろう……決勝に波を合わせるのも難しくなる。
それでもリスクを背負って、私は県予選決勝を勝ち抜くことが第一だと賭けたのだ。
もしも清澄が県予選で負けてしまったら、彼女たちにとって一緒に出場できる最後の大会になるかもしれないと聞いたから。
「京太郎くんの幼馴染さんには申し訳ないけどね」
「いえ、俺も原村の家族の話は、優希から聞きましたから」
この夏のインターハイが私にとって最後の大会になるのは構わない。
けど、やっと新しく入って来た四人の部員の最後の夏の思い出を県予選敗退なんかにはしたくない。
――龍門渕透華(龍門渕高校2年)
ぐぬぬ。連続ダブリーなんてありえませんわ。以前、はじめ(国広一)に「早い
(※「早いリーチは安そう」の駄洒落だと言われています)
こんなの確率も何もありませんわ。当たったら事故みたいなもんですわね。それなら此処は普通に風牌の{北}から捨てます。
「ロン!」(Wリーチ、一発 40符3翻の3本場で7700+900点)
{一筒 二筒 三筒 六筒 六筒 六筒 北 北 二索 三索 四索 六索 六索} {北}
よ、よりにもよって直撃……これで81200点。
きっと解説席では『なんと龍門渕が最下位に陥落ー!!』とかアナウンサーが絶叫してますわね。
あ、ありえません……このわたくしが、龍門渕が単独の最下位なんて、ありえませんわー!!
いつも目立ってなんぼとか言ってますけど、こんな悪目立ちなんかは望んでないですわっっ!!
「ダブルリーチ!!」
ハッ?(威圧)さ、三連続リーチですって!一体全体どんな確率ですか!!
ダブルリーチが出る確率は約1500分の1と言われていますから……それが三回連続となると……天和よりも低い?
ハッ!計算なんてしてる場合じゃありませんわ。
まだ始まったばかり、わたくしは全国でも戦った経験がありますわ。しっかり落ち着きませんと――
(※ちなみに33億7500万分の1です。天和の1回の確率は約33万分の1と言われています)
きっと昨日感じた衣に似た空気は彼女だったんですわ。清澄の先鋒は衣並の相手だと思って戦いますわよ。
そう、風越女子の先鋒なんて見た目からして大人しげなピカピカの一年生ですからね。
去年の女がエースの座から外れたのは、きっと伝統を捨てた作戦で龍門渕に勝ちに来たに違いありませんわ。
ようやく落ち着いて来ましたわ。やはり上級生として余裕を持ってるところをアピールしないといけませんわね。
龍門渕の麻雀は「常に優雅たれ」が家訓ですわ。さっきの放出はうっかりではありませんわよ。今回は{中}牌を捨てます。
「ポン」 {中 横中 中}
一瞬ドキッとしましたわ。鳴いたのは風越の先鋒ですわね。この異常事態に動揺なしとはやりますわね。
流石に三連続の一発はありませんでしたわ。
――読川尊月(監督)
慌てるな。慌てるな。想定内だ。想定内。まだ序盤だ。まだまだ大丈夫だ。
「龍門渕が牌山から拾ってきたのは{六萬}ですか」
「咲っちが鳴いてズラしてなかったら、また一発でしたっすね」
「……とまらない」ジー
「味方なら、止まるんじゃねぇぞ、って応援するけど、そこは止まれよ……」
「清澄の片岡、むちゃくちゃですね……」
宮永がファインプレーでズラしたけど今や東場の神と化したタコスを放置するのは危険だ。
『ツモ、3000オール』(Wリーチ、門前ツモ、平和 20符4翻の4本場で2600+400ALL)
{二筒 三筒 四筒 四萬 五萬 六萬 七萬 八萬 一索 二索 三索 西 西} {三萬}
「けっきょくツモって来たし」
「東一局で清澄の一校だけがプラス54300点ですか」
「落ち着け、ままだっ、あわてるような時間じゃない」
「監督、噛んでます」
「有名バスケット漫画のエースみたいなポーズしてますよ」
「監督が落ち着いて下さい」
やべー、べーわ。想定外の事態にめっちゃ動揺してるわー。
どうでもいいけどスラムダンクの仙道やハンター×ハンターのゴンの髪型って何て名前なんだろうか。
おっと現実逃避してる場合じゃないな。県予選で負けたら、風越女子はクビ?
公立の教職員採用試験は第1次選考試験を7月に行うところが殆ど。締切は……5月末だよな。オワタorz
いや、選手を信じろよ。もっと熱くなれよ!
いいか、自分の運とかを信じるな!原作を信じろ!原作で活躍した
「問題ない、大丈夫だ。うちのエースを信じてる」
「そうですよね。宮永さんは、スロースターターですから」
「そうっすね。咲っちなら、最悪でも南場の終わりにはプラマイゼロにしてくれるっすよ」
「さすがに連続のダブルリーチは、もう終わりみたいですね」
ようやくタコスが纏っていた
さすがに県予選決勝での天和炸裂は自重しました。
ほら三連続Wリーチの方が打点が低かったから……なお確率。
隕石が頭に直撃する確率(1/100億)>三連続ダブリー(1/34億)>サメに襲われて命を落とす確率(1/10億)
隕石とかサメとか漫画や映画では珍しくない確率だな。
咲が清澄に入学しなかった分だけ、和と優希の友情が原作よりも深まってます。
タコスは原作よりも覚悟を持って予選決勝に挑んでます。友情パワーだじぇ。
更に清澄は原作随一の智将である部長に加えてシニアの南浦プロが力を貸してます。
龍門渕の見通しの甘さは、やはり指導者がいないのがネックとなってます。
読川監督は今のところはレジェンド(有能)ではなく「レジェンゴ(無能)」です。