BLEACHの世界に最強になって転生 番外編   作:アニメ大好き

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どうもアニメ大好きです。

今回からタイトルの話数を変更しました。
後編は展開をどうするか試行錯誤して何回も書き直しを行ったので遅くなってしまいました。

最後まで楽しんでくれたら幸いです。それではどうぞ。


13話 死者を従えし者 後編

【暗澹の繭】は3人を飲み込んだ後も膨張を続けていき、直径10m程の球体となった。

 

「立花!雪音!」

 

 閉じ込められた2人の名前を叫ぶ翼、しかし全く反応がない。どうやら音は完全に遮断されているようだ。

 

「…翼、アタシのことはいいから嬢ちゃん達の助けに行け」

 

「そんなッ!?こんな状態の奏を置いていくことなんて「バカ野郎!」ッ!?」

 

「翼、お前は防人なんだろ!一般人を守ることが確かにお前の役目だ。だが同様に仲間も守らなきゃならないだろ!アタシのことを思ってくれるのは嬉しいが、今のお前にはアタシ以外にも仲間がいるだろが!」

 

 その言葉に翼は「ハッ」とする。昔は2人だけでノイズと戦い市民を守ってきた。そしてあの事件で奏を失い1人で復讐の中戦い続けた。だが今は違う。立花響、雪音クリス、マリア・カデンツァヴナ・イヴ、月読調、暁切歌…当時敵対し剣を交えた者が殆どだが、今では心から信頼する仲間。支え合える存在がいる。

 

「…確かに奏の言う通りね。仲間を救うことが出来ず何が防人だ。お陰で目が覚めた。ありがとう、奏」

 

「やっといつもの翼に戻ったな。じゃあ早く行ってやれ。嬢ちゃん達が待ってるぞ」

 

「エェ」

 

 奏にお礼を言うと日本刀を握りしめ闇の繭の元へと走り出す。

 

「(立花、雪音、待ってろ。今行く!)」

 

 ある程度近づくと地面を蹴り上空に飛び上がると日本刀を巨大なブレードに変化させ、勢いよく振り下ろし蒼い光の閃光斬【蒼ノ一閃】が放たれる。蒼い閃光斬は球体に当たると吸い込まれるように消滅してしまった。それでも諦めずもう一度【蒼ノ一閃】を放つが、やはり吸い込まれ消滅してしまう。

 

「あの球体はエネルギーを吸収出来ると言うのか。だったら…」

 

 日本刀を投擲させると巨大な刃へと変化し、それをライ◯ー◯ックの如くの蹴りを入れ急降下させる大技【天ノ逆鱗】が繰り出される。遠距離攻撃が通用しないなら物理攻撃で応戦しようと言う魂胆だ。

 

 その勢いのまま球体に直撃し轟音が響き渡る。それはまるで隕石が飛来と思わせる衝撃である。しかし球体には傷一つ付かない。悔しさに唇を噛み締めるが、彼女の心はまだ諦めてはいなかった。

 

 

「私は2人を…仲間を絶対助け出す。私の()は…こんなことくらいで止まりはしない!」

 

 

 その想いにギアが応えるかのように出力が上がりブーストが掛かる。

 すると一部に亀裂が入り穴が開いた。そのまま穴へと飛び込むと人魂に舌を伸ばしているメラスキュラの姿を確認、すかさず二本の短剣を投げるが身体をズラし回避されてしまう。

 予想外の出来事に唖然とするが、すかざす反撃しようとするメラスキュラ。しかし身体が全く動かない、動かせなかった。まるで何かに押さえ込まれているみたい。顔を動かせ視線を後ろへ向けると、先程投げつけた短剣が自身の影に刺さっていた。

 

 

 これが翼の技の一つ【影縫い】。自身の武器を相手の影に刺すことによって動きを封じることが出来る技。

 

 

 本来なら闇に覆われたこの空間では影など出来ないのが、迂闊にも翼が破った部分から光が差し込んでしまったため影が出来てしまった。

 

 メラスキュラが動揺した一瞬の隙をつき彼女の刃は身体を斬り裂き、喰らおうとしていた2つの人魂を抱き抱え響達を拘束していた靄を斬り裂く。

 同時に取り囲んでいた繭も消滅し、抱えていた人魂はそれぞれ開きっぱなしになっている響、クリスの口に入り込む。すると2人の瞳に光が戻る。

 

「あれ?どうなってるの?」

 

「確かアイツに喰われそうになって…」

 

「立花、雪音無事か!?」

 

『翼さん(先輩)!』

 

 意識を取り戻した2人は翼に気付き近づく。

 

「翼さんが助けてくれたんですね。ありがとうございます」

 

「礼を言われる筋合いはない。仲間を守るのも防人としての使命だ」

 

「だったらもっと早く助けてほしかったな」

 

 スッカリ緊張が取れたようで雑談をする3人。しかし此処はまだ戦場、そんな和やかな雰囲気もすぐに消える。

 息を上げながら斬られた箇所を押さえ、痛みに耐えるメラスキュラ。その表情はさっきまでの済まし顔から一変し、酷く歪ませ憎悪に満ちていた。

 

「…私に傷を付けるなんて…風鳴翼(貴方)、絶対に許せさないわ!」

 

突如地響きが聞こえると、翼のから靄が飛び出し、彼女の身体に巻き付き拘束され自由が奪い先端部分は首を絞めていた。

 

「翼さん!」

 

「先輩!」

 

 急いで助けようとすると2人だったが、突如身体に力が入らなくなり座り込んでしまった。

 

「ち、力が入んねェ…」

 

「どうして…」

 

「何で力が入らないか?簡単よ。私の繭の中には瘴気が溜まっているのよ。でも微弱だから吸っても命に関わることはないから安心しなさい。けど、暫くの間は真面に動けなくなっちゃうの。だからそこで大人しく見てなさい。この娘が殺されるさまを!」

 

 地面に伏せた2人から翼に視線を向け靄の締め具合を強くする。それは骨を折ってしまいそうな勢いであった。

 

  「貴方私の【暗澹の繭】の破っただけでなく、挙句には私の身体に傷を付けるだなんて意外にやるじゃない。流石私の力に掛からなかっただけのことはあるわ」

 

「ど、どう言うことだ…」

 

「私達死刃にはそれぞれが司る死の形があるの。それはその死刃にとっての死相にして存在理由、そして時には能力にも繋がるの。因みに私の死の形は【信仰】。私の近くで少しでも疑いを持ってしまえば立ちどころに目を焼かれてしまうの。貴方達も見たでしょ、疑いを持った者達が目を焼かれる瞬間を」

 

 確かにノイズのと戦闘中現れた亡者達に疑いを持った者が、突如両目を抑えお悶え苦しんだ。あれは両目を焼かれたのだと確信する。

 

「でも貴方は天音奏(あの娘)のことを疑わなかった。それだけ貴方達の信頼が強いのかが分かった。だから貴方は最後まで残しておこうと思ったんだけど私に傷を付けたことで気が変わった。私の受けたこの痛み、貴方の命をもって償ってもらおうじゃない」

 

 メラスキュラは掌を向けるとそこに薄紫色のエネルギーの塊が凝縮されていく。

 

「消えなさい」

 

 放たれようとした時、一つの影がメラスキュラの頬を殴り付けた。その拍子に翼を握っていた靄を離してしまい、球体も消滅し不発に終わる。その正体は天羽奏であった。大切な友人を守るため根性と言っても過言でないほどの気力でメラスキュラの支配に打ち勝った。

 

「大丈夫か、翼」

 

「コホッ、コホッ…奏、ありがとう」

 

「気にするな、お互い様だろ」

 

「…全く、次から次へと…ウザいのよォ!」

 

 元々傷を負うのが嫌いなメラスキュラは斬られた痛みに続き、今の殴られた痛みによって怒りのボルージがMAX、靄で奏の四肢を捕まえ封じる。

 

「貴方、折角蘇らせてあげたと言うのに。やっぱり立場が分かっていない様ね」

 

「ハッ!お前が勝手にアタシを蘇らせただけだろう。それにアタシはお前みたいな屑に力を貸すくらいなら、死んだ方がマシさ!」

 

 奏の挑発的に態度にメラスキュラの額には青筋が浮かぶ。

 

「そう……それじゃあ望み通りにしてあげる!」

 

 完全にキレたメラスキュラは掌にドロドロの液体を出現させすると奏にへと投げ付け腹部にへと命中する。すると液体が触れた部分から腐食しだし全身にへ侵食していく。

 

「奏ッ!!」

 

 この光景に翼は身体を起こし掛けようとするが、奏が「来るな!」と叫び反射的に脚を止める。そして自身にへと振り向き笑顔で告げる。

 

「翼、お前の歌は希望だ!だからこれからも歌い続けろ!大勢の人達に希望を届け続けろォォ!!」

 

 その言葉を最後に腐食は彼女の身体全体に広がり、その肉体は朽ち果て灰となり魂の証である人魂のみが残った。

 

「イヤァァァーーー、奏ェェェーーー!!」

 

 最愛の親友が再び消滅する瞬間を見せられ絶叫する翼。メラスキュラは素手で奏の人魂を掴む。

 

「…もう輪廻転生も出来ないように、喰らってあげる」

 

 大口を開け喰らおうとした時、手首に何かが巻き付く。引っ張られ口元から離れると誰かに奪い取られた。

 

「この魂は翼の大切な人、この以上貴方の良いようにさせはしない!」

 

『マリア(さん)!』

 

「私達もいるデスよ!」

 

 別の声が上の方から聞こえ振り向くと、ビルの屋上に調と切歌の姿もあった。2人は屋上から響達の共へと飛び降り、マリアは抱えていた奏の魂を離す。魂はそのまま天にへと昇って行った。

 同時に響とクリスも動けるまでに回復し立ち上がる。

 

「な、何故調、切歌(貴方達)が!?零余子はどうしたの!」

 

「あの鬼だったら私達に怖気付いて逃げちゃったデスよ」

 

「私達を嘗めないでほしい」

 

「クッ…。でもマリア(貴方)が此処に来たと言うことは 自分の妹を殺したってことよね。どんだけ大切って言っても人間の想いなんてこの程度なのよ」

 

「…貴方何か思い違いをしているようね」

 

「?」

 

「セレナは…あの子は自身の本当の気持ちに気付いてたのよ。だけど貴方はセレナの心の隙間に漬け込み、私達姉妹の絆を断ち切ろう押した。私は貴方を許さない、セレナ、そして翼の友人、天羽奏のためにも…貴方をここで倒す!」

 

「マリア…」

 

 翼は奏の死を見て戦意喪失仕掛けていたが、マリアの言葉を聞き「辛かったのは自分だけでなかった」こと、そして奏から「大勢の人に希望を与えろ」と言う想いを託されたことを思い出し立ち上がった。

 メラスキュラは肉体以上に精神的苦痛を与えても関わらず全く絶望しない彼女達の存在が不快で仕方がない。だから手加減なしで潰すことにした。

 

「…いいわ、なら私も本気で行かせてもらうじゃない!」

 

 メラスキュラが口を大きく開けると、身体に塒を巻きしていた靄が入り込み飲み込まれていく。靄が全て飲まれ「ゴックン」と喉を鳴らすとメラスキュラの身体が光だし周りに強い衝撃波が襲い、装者達全員腕で顔を覆う。軈て煙が晴れ姿を現すと、上半身は少し背が伸び大人びているが腕や背中、顔の頬には鱗のようなものが、さらに下半身は蛇の尻尾になっており、目の眼中は獲物を狙う鋭い縦長、口からは長い舌を出しチロチロさせていた。それはまるで神話に出てくる怪物【ナーガ】を連想させる。

 

「フフフ、どうこの姿。前の方が可愛かったけど、それ以上に美しいでしょ、この姿♪」

 

 メラスキュラは変身し大人びた自身の姿を余程見てもらいのか見せびらかす。が…

 

 

「ハッ、それがテメェの正体か。その方が化け物地味でお似合いだぜ」

 

「下半身が蛇みたいになってて気持ち悪いのデス!」

 

「なんて悍ましい姿…」

 

 

…普通に考えれば「美しい」とは思えない。装者達の口からは「気持ち悪い」や「化け物」等の単語が次々と出でくる。

 

「…フン、人間の主観で理解出来るなんて思ってないわ。でも女性に対してその言葉…礼儀がなってないわね」

 

 メラスキュラは下半身の尻尾を持ち上げ装者達に叩き付ける。全員その場から回避し散会、真正面から切歌が大鎌を振り上げ、後方からは響が拳を打ち込む体勢を取っている。

 

 しかしそんなことは想定済み、切歌の大鎌は指の爪を伸ばし受け止め、響には尻尾を腕に巻き付け地面に叩き付ける。

 

「こんな鈍の武器で私を斬ろうっての?嘗めないでほしいわね」

 

 もう片方の腕で切歌の顔を鷲掴みアイアンクローで頭を締め、尻尾は上下運動させ響の身体を何度も何度も叩きつけた後、180℃振り回し握りしめていた切歌と衝突し2人はそのまま投げ捨てられる。

 

「フフフ、アタシが肉弾戦が出来ないと思った?だとしたらどんだ大間違い。肉弾戦は嫌いなだけで苦手じゃないのよ」

 

「食らいやがれ!」

 

 上空で待機していたクリスと調、それぞれ数発のミサイルと無数の丸ノコを発射させる。

 

「【蛇毒散腐(デッドリーポイズン)】!」

 

 メラスキュラは口から紫色の液体を吐き出しそれがミサイルと丸ノコに掛かると、溶けだしミサイルは地面に落ち爆発、丸ノコはも遠心力を失い地面に落下。さらに爆発で飛び散った液体が瓦礫に触れると、その箇所が同じように瞬く間に溶けてしまった。

 

「【蛇毒散腐(デッドリーポイズン)】は毒性を持った私の胃液と消化液が合わさったもの。触れたら勿論、近づいただけで溶かすことが出来るのよ」

 

『ハァァァーー!!』

 

 上空から翼とマリアがそれぞれの刀を振り下ろすが、メラスキュラは2人の手首を掴み動きを封じ、【蛇毒散腐(デッドリーポイズン)】を吐き2人の武器を腐敗させる。咄嗟に手放し武器は離してからたった数秒でドロドロに溶けてしまった。そして呆気に取られている2人に尻尾を叩きつけ振り払う。

 

「翼さん、マリアさん、大丈夫ですか?」

 

「あぁ、この程度問題ない。立花の方こそ無事か?」

 

「はい、全然大丈夫です」

 

「でもどうするデスか?あの人には私達の攻撃が全く通用しないデスよ」

 

「このままじゃ全滅しちゃう」

 

「ハッ、弱音吐いてんじゃねェ。アタシ達がやらなきゃ誰がやるってんだ。諦めた口言ってんじゃねェぞ」

 

「…そう、私達は諦めるわけにはいかない!」

 

 マリアは新たなブレードを生成すると単体で突っ込む。だがメラスキュラは撓やかな動きで翻弄し、尻尾で腕を叩きブレードが手から離れた瞬間首に尻尾を巻き付かれ強く締め付けられる。

 

「死に損ない風情がウロチョロと。とっとくたばりなさい」

 

 締め付け具合をさらに強くさせこのまま締め殺そうとする。だがマリアの心の闘志は消えていなかった。

 

「私は…こんなことで…諦めたりしない!」

 

 左腕の竜手から収納短剣を取り出しメラスキュラの腹部に押し当てる。そして先端から一筋のレーザーが身体を貫く。腹部を貫かれ血を吐くメラスキュラ、さらに痛みで締め付け具合が緩くなったことでマリアは脱出、脚で胸部を蹴り飛ばし距離を取る。

 

「皆んな、今よ!」

 

 その声に応えクリスは特大の銃火器を2台取り出し連弾させ怯ませる。その隙に調は無数の丸ノコを放出、そして全ての丸ノコが合わさり巨大化。切歌は鎌の刃が3枚に割れ、それぞれの刃から斬撃を飛ばす。

 

 メラスキュラは尻尾を使って上空へと飛び上がり2人の攻撃を回避するが、飛び上がった先には響と翼が待ち構えていた。

 

 翼の背後に無数の刃が出現し雨のように降り注ぐ。メラスキュラはもう一度【蛇毒散腐(デッドリーポイズン)】を吐き溶解させ残った刃は尻尾で薙ぎ払う。だがその後方から響が目の前に現れ、右腕のカートリッジを引き拳を打ち出すと黄色い閃光が放たれ腹部に命中、メラスキュラは反動と重力によってそのまま地面にへと落下。だが尚も立ち上がり口から流れる血を拭き取る。

 

「私の美しい姿に傷を付けるなんて…絶対に許さない!アンタ達諸共、この世界の人間纏めて葬ってくれるわ!」

 

 その身体からドス黒いオーラが立ち登る。彼女の怒りと憎しみに加え、全ての未練ある亡者達の怨念が乗り移ったかのようだ。

 

「確かに人間は他の人が自分が持ってないものを持っていたりするといいなって思うことがある、羨ましいって思うことがあるよ。でもだからってそれで他人を傷付けていいことにはならないよ。私達は人の心に漬け込んで他人を傷付ける人なんかに…」

 

 

 

 

 

 

『絶対に負けない!』

 

 

 

 

 6人の想いが1つとなりギアが光り輝き変化する。背中にはそれぞれのギアに模した色の羽根が生えてとてつもない光のオーラを纏っていた。これぞ己の限界を超えたシンフォギアの最終形態、限定解除(エクスドライブモード)

 

「これは!?この感覚女神族の魔力に似ている!しかも四大天使に匹敵する程の力!何なの、この忌々しい光は!?」

 

「これは皆んなで紡いだ絆、世界中の人達が紡いでくれた絆の力だ!」

 

 今の彼女達は天の使いと言うにも等しい程に光り輝いている。

 

「絆…そんな物私が打ち砕いてあげる!」

 

 メラスキュラが指をパチンッと鳴らすと背中に漆黒の羽根を生やした二本角の生えた赤いデブ、顔が太陽の形をしたグレーのガリガリ、腕を生やした青い鳥等、まさに悪魔と言うに相応しい姿をしたノイズとは違う怪物が多数現れる。

 

「コイツらは私と同じ魔神よ。まぁ私に比べたら強さは大したことないけど、これだけの数を相手に出来るかしら?貴方達、行きなさい!」

 

 メラスキュラの号令で無数の魔神は一斉に装者達に襲い掛かると同時に装者達も戦闘を開始する。

 

 響は右腕に装着された巨大な光り輝く槍で上空の魔神を貫き、クリスの巨大化した銃の中心部が開くと紅い閃光を放ち次々と魔神を撃ち落とす。

 

 調は両手、両脚、ベッドギアが分離、合体してロボットにへと展開され司令塔の頭部にへと乗り込み、切歌の鎌が3枚に増え鋭利の爪となり回転させながら、それぞれ魔神の群れにへと突っ込み斬り裂いていく。

 

 翼は両脚のブレードを巨大化させ二本の刀と共に周囲の魔神を斬り刻み、マリアは蛇腹剣を振るい複数の魔神を斬くと同時に、刃が複数に分裂しそれぞれの先端からレーザーが照射させ撃ち落としていく。

 

 

 リミッターを解除されたギアの力は凄まじく、ほんの数分で召喚された魔神の群れは全て倒された。

 

「そんな。いくら雑魚とは言え魔神族よ。それにあれだけの数がいたのに、たった6匹の人間に全滅させらるなんて…こんなこと、あるわけないわ!」

 

 メラスキュラは両手の爪を伸ばし再び尻尾を使って飛び上がり突撃する。6人はその場を動かず皆で手を取り合うと、目の前にバリアが展開される。メラスキュラはそのバリアに阻まれ弾き飛ばさ地面に落下する。

 

「これで決める!」

 

 マリアの胸元から取り出された剣が宙へと浮かび上がり粒子と化し6人に降り注ぐ。

 

 すると響とマリアのギアが身体から剥がれ一度分裂し、響の【ガングニール】は黄金の右手の、対するマリアの【アガートラーム】は銀色のガレット状に形成された。そして6人を包み込むように2人のギアは組み合わせエネルギーを纏い回転しながら突撃を開始する。

 

 光り輝き合わさる巨大な2つ拳が自身にへと迫る。【蛇毒散腐(デッドリーポイズン)】を吐き腐食させようとするも、拳に当たる前に蒸発して消滅する。

 

「!?だったらこれよ【虚閃】!」

 

 両手を合わせ薄紫の閃光【虚閃】を発射、黄金の拳とぶつかり合いとてつもない衝撃波が周囲を包み込む。両者の大技がぶつかる中、次第に拳が虚閃を押し返し始める。その状況にはメラスキュラを驚きを隠せなかった。

 

「どうして!?たった6匹如きの人間の力に、私が押されるなんてッ!?」

 

「6人じゃない」

 

「!?」

 

「この拳はアタシ達6人、そして世界中の人達の想いの力!1人じゃダメでも皆んなとなら乗り越えられる!貴方1人で世界中の人達の想いが集まったこの拳を────────止められる訳ないんだァァーー!!」

 

 遂に虚閃は押し返されメラスキュラは手と尻尾を使って拳を受け止めようとするが、圧倒的な大きさと質量で耐えきれず拳と地面の間に挟まれ押し潰される。

 

「アアァァァァァァァーーー!!」

 

 

 

ドカーーーン

 

 

 

 絶叫の断末魔が響き渡り大爆発を起こし大きなクレーターが出来上がった。

 

 全てが終わるとガングニールとアガートラームが解除され、翼、クリス、調、切歌は響とマリアを支えながらゆっくりと地面に降り立ち他の4人もギアが解除される。

 

「やったな、立花」

 

「流石響先輩デスね」

 

「いや〜、そんなことないよ〜」

 

「この野郎、あんま調子に乗んじゃねェぞ」

 

 煽てられ調子づく響にクリスがツッコミを入れると言ういつものバカ騒ぎの会話が流れる。これにて一件落着…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…とはならなかった。

 

「ちょっと待って、何か可笑しい!」

 

 翼が何か違和感に気付き周りを見渡す。よく見るとメラスキュラによって復活したとされる亡者達やノイズが消えていなかった。メラスキュラを倒したのならその力によって復活した者は全員消滅するばす。しかしノイズ含め亡者達は未だに健在、一向に消える気配がなかった。

 

「何で消えないの」

 

「倒したのにどうして…」

 

「まさか!?」

 

 嫌な予感がし後方に視線を向けると、クレーターから元の姿に戻ったメラスキュラが息を切らしながら浮遊し這い上がってきていた。取り込んだ靄も戻っていたが、服はボロボロ、肌も所々焼け爛れ、意識を保っているのがやっとの状態に近かった。

 

「ハァ…ハァ…クソ…クソ…クソォ…」

 

「メ、メラスキュラ様…大丈夫ですか?」

 

 そこに身体を完全回復させた零余子は震えながらもメラスキュラの安否の確認ため近づく。そして所々に残っていたノイズ達が集結し2人を守るように前に出る。

 

「…まさかあの攻撃を受けて生きているとは」

 

「なんてタフさなの…」

 

 装者全員の力が集まった大技を食らったにも関わらず生きていた、その見た目からは想像も付かないそのタフさに驚愕する。

 

「ハァ、ハァ…あたり…前でしょ…私は…死刃だよ。…確かに…階級は…8(オクターバ)で…低い方…だけど、…それでも死刃に…名を連なる者…そんな私を…私をォ…私をォォ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私を嘗めるんじゃないわよ、小娘どもォォォ!!

 

 

 逆上したメラスキュラは纏っていた靄で近くにいた複数のノイズを巻き取ると、そのノイズ達の身体が一瞬にして消滅し人魂のみの状態となる。その魂の一つに長い舌を伸ばし絡め取ると一気に丸呑みにした。その光景に装者達は驚愕し、零余子に関しては「ヒッ!」と声を上げってしまっていた。

 しかしそれでも気にせず次々と魂を喰らっていく。すると身体の傷がミルミル消えていき、最後の一つを喰らった頃には傷は全快し無傷の状態となっていた。

 

「あ…あぁ…」

 

 零余子は一瞬にして大量の魂を食らった光景に「もしかしたら自分も同じように食べられるのではないか」と恐怖して身体の震えが止まらなかった。

 

「あら?何を怯えてるの零余子。心配しなくても貴方はノイズ(コイツ等)みたいにはしないわ。だって私の可愛い従属官ですもの」

 

「は、はい。ありがとうございます…」

 

「その怯えた姿───本当に可愛いわ♪」

 

 メラスキュラは怯えている零余子の頭を胸に寄せ抱きしめ溺愛する。そんな自分達にへと視線を向ける装者達に気付くとそのままの体制で視線を合わせる。

 

「?何を驚いているのかしら?私達魔神族は生物の魂を喰らえば魔力が回復するの。でも私はその力がさらに進化して、魔力だけでなく傷をも回復することが出来るようになったの。だからノイズ(アイツ等)は私にとって従属官であると同時に回復薬でもあるよ」

 

「自分の仲間を食べるだなんて…」

 

「化け物が…」

 

「失礼ね。仮にも私は女よ、女に向かって『化け物』なんて失礼にも程があるわ。それに零余子(この子)は私が直々に選んだの。だからノイズ(アイツら)みたいに食べたりしないわ。そんなことより貴方達、よくも私にここまでの屈辱を味合わせてくれたわね。今の力が弱った貴方達を殺すのは簡単だけど、それじゃ私の気が済まないわ。だからたっぷりと苦しめてから───────殺してあげる」

 

 口が吊り上がり今まで以上の殺気を肌で感じる。力を使い果たしギアを纏うことが出来ない自分達に対しメラスキュラは全回復してしまい形勢逆転。もうダメかと思ったその時、いきなりメラスキュラの動きが止まる。

 

「何よ急に?私は今イラついてるの。つまらないことだったら……デストロイヤー様が!?…分かったわ、すぐに迎えを頂戴」

 

 誰かとの話が終わると発せられてた殺気が治る。

 

「貴方達の相手はここまでよ」

 

『ッ!?』

 

「何だと!?」

 

「ハァ!?何言ってやがるんだテメェ!」

 

「私達の主君からの命令で今すぐ戻ってくるように言われたの。だから帰らなきゃいけなくなったの。本当は私にこれ程の屈辱を与えた貴方達を殺したいけど、主君であるデストロイヤー様の命令じゃ仕方ないもの」

 

「逃げる気か!」

 

「逃げる?見逃してもらうの間違いじゃないかしら?」

 

 ギアを纏えない今の自分達が真面に戦えるはずがない。このまま戦いを続ければ間違いなく自分達が全滅する。反論したいがメラスキュラの言い分が正論であるが故に黙り込んでしまう。

 

「これ以上貴方達と話しても時間の無駄だし、ここで失礼させてもらうわ」

 

 上空に亀裂が入りその中から黄色い光が溢れ出すとメラスキュラと零余子を包み込み、柱に当たった攻撃は全て弾き返され消滅してしまう。そして2人は光に釣られて登っていく。

 

「貴方達の顔は覚えたわ。だから貴方達も忘れないでね私のことを。次に会った時こそ貴方達全員、私の手で殺してあげるから覚悟してなさい、人間の小娘共!」

 

 そう言い残すと彼女等は裂け目の中に吸い込まれ、同時に裂け目も閉じ消滅。そしてその場に残っていた亡者達は一斉に消滅した。

 

 

 今回の戦いで肉体は勿論精神的ダメージも大きかっただろう。特に風鳴翼とマリア、翼に至っては再び親友の死を目の前で見てしまったのだから尚更かもしれない。

 だが彼女は一人じゃない。天羽奏(親友)が言ったように今の彼女には手を取ってくれる、支えてくれる仲間がいる。いつ何処にいてもそのことを忘れない限り彼女が誤った道に進むことはないだろう。

 

 

 

 だが彼女達のこの戦いは更なる敵との、世界を命運を賭ける大きな戦いの余興に過ぎなかったのかもしれない。

 




メラスキュラの変身については本人曰く「可愛くないから嫌だ」と言っていたので、最近よく見るナーガっぽくしました。
身体の回復の件については、原作ではメラスキュラ含め魔神族は魂を喰らえば【魔力】を回復させることは出来ても、【身体の傷】は回復しないと言う欠点があると思います。原作でメラスキュラは全身が火傷を負った時、グロキシニアの神器の力で完治していましたから。
そこでメラスキュラは特にその能力がパワーアップし、魔力回復と同時に傷の回復が出来るようにしています。

デストロイヤーからメラスキュラに伝達された内容は、以前登場したサーガインと同じ内容です。

次回は誰がどの世界に行くのか楽しみにしていてください。
感想などあればどうぞ。
それではまた次回。

中島ナナオを生かす、生かさないか

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