BLEACHの世界に最強になって転生 番外編 作:アニメ大好き
遂にオンピックが開催されました。無観客で寂しいと思いますが、画面越しでも選手の方々に熱い声援を送りましょう!
今回は昨年放送された胸糞悪くなったアニメです。第一話、明るく面白いアニメかなっと思っていたら、最後の最後であんな「どっ天返し」な展開になるなんて…。録画していたので全話観れましたが、その時丁度リアルの方でも精神的にヤバかったので、結局観終わったのが今年の3、4月くらいでした。
それで試行錯誤して時間が掛かってしまいました。
そして今回の話は主にその原作キャラの1人にスポットライトが当たってます。
それではどうぞ。
暗く冷たい海の中、1人の少年が仰向けで海面を見つめながら沈んでいく。
──────何で僕がこんな目に合わなきゃならないんだ──────
この世界にはある時特殊な能力を持った人物が生まれた。それ以降何かしらの能力を持った人間が生まれ、その者達を能力者と呼び、特殊能力を持った少年少女達が、とある孤島で「人類の敵」と呼ばれる存在と戦うための訓練に明け暮れていた。
しかしこの少年は能力を使わないため周りから【無能】と呼ばれ、虐げられ続け助けてくれる存在は誰1人とていなかった。
そんなある日転校してきたある1人の少女に目を奪われそうになる。その少女は無能な自分に対しても優しく接してくれていつしか心惹かれていった。
そして少女が転校してきた翌日、彼女が危険な目にあっていたところ自身の能力を使い窮地を救った。巻き込まれそうになって者達からも「ありがとう」と感謝の言葉を挙げられた。
そしてその日の夕方海辺の崖に行き、感謝の想いそしてこれから「人類の敵」と呼ばれる存在と戦うことの覚悟を告げ頑張ろうと誓い手を取り合った。
だがその少女はその手を掴んだまま自身を崖から突き落とされた。反射的に近くのロープを掴みブラ飾り上状態の中、彼女の助けを求めた。しかし彼女の目はまるでゴミを見るように蔑んだ。
そして彼女は語り出した。実は自分は無能力者で能力を抹殺するためにある組織から送り込まれたと言うこと。今まで自分に付き纏っていたのは能力を知るためであったこと、自分を崖から突き落とすことだけ考えていたこと。そして彼女は最後にこう告げた。
「人類のために死んでください」
そして少年はロープから手が離れてしまい、重力によって海に落ち沈んでいった。この時理解した…彼女のあの笑顔は全て
───────何で僕ばかりこんな目に遭わなきゃいけないんだ…僕が何したって言うだ────────
彼は家庭でも「家で一番の無能」と蔑まれ、愛されていなかった。必死に頑張ったのに認めてくれない。何も悪いことしていないのに蔑まれなきゃいけない。どうして自分ばかりこんな待遇を受けなきゃならないのか。だがその問いに応えてくれる者は誰もいない。
────────こんな形で終わるのか…僕の人生って…いったい…何だったんだ────────
もう全てがどうでもよくなり死を覚悟し目を閉じた。しかしその時だった。
『このまま終わるのか?』
突如自身の頭の中に聞き覚えのない声が響き目を開いた。
───────誰だ!?何処にいるだ!?───────
『そんなことはどうでもいい。それより貴様はこれで満足か?他者から
謎の声に言われ今日まで自分がされてきたことが蘇ってくる。持っていた本を燃やされ、無能だとバカにされ、終いには死んでくださいって崖から突き落とれた。
その記憶が走馬灯のように蘇ると、今まで感じたことのない、激しい怒りの感情が湧いてきた。
────────そんな訳ないだろう…僕は何も悪いことしてないのに…散々バカにされて、道具扱いされて、挙げ句の果てには殺される…こんなんで満足する訳ないだろう!────────
先程までの弱々しい表情から一変し、拳を握り締め出血しそうな程に歯を噛み締める。そして彼の瞳は今までに見たことない程の激しい怒りと憎悪に染まっていた。
─────────復讐したい。僕をコケにしたアイツ等に!そして僕を殺そうとした
『その復讐心…気に入った。いいだろう。なら私が、お前に復讐するための力を与えてやる』
その言葉を最後に少年は意識を手放した。その時目に入ったのは、一本の刀を背負った鮫顔の人物であった。
─────────────────────────────
あれから数日が経った孤島では次々に不可解な事件が起きていた。何と生徒が1人、1人と忽然と姿を消し始め中には殺害された者もいた。そしてこの日の朝も1人の生徒が殺害されていた。騒ぎだす生徒達だが、彼等とは別の意味で困惑している者がいた。柊ナナだ。
彼女はいつもニコニコして元気で明るいどこにでもいる少女である。しかしそれは仮の姿、彼女は委員会と呼ばれる場所から能力者達を抹殺するために送り込まれた刺客。そして1人の少年を始め、数日間で数人の生徒を殺害していった張本人である。
では何故そんな彼女が困惑しているのか?
それは彼女は能力がない上に女性であるためか、戦闘技術もそれ程高いものではない。だから主な殺害方法は毒針を使った毒殺である。しかし今回の殺害方法は喉元を斬り裂かれ背中にも刃物で刺された後があった。今までの彼女の殺害方法とは違う、つまり今回の殺害は彼女の仕業ではないからである。
「(石井リュウジを殺したのは私ではない。だとすると私の他に刺客が。それとも…)」
その日の夜彼女は1人考えていた。抹殺対象が減るのは大いに構わない。だが自分のことを怪しんでいる人物が約1名いる。下手に行動しようとすれば自分の立場が危うくなるから、取り敢えず今は深く追求しないことにした。
そして時が過ぎ2日後の夜、大規模な爆発音が響き、島全体が揺れるほどの振動が起きた。学生寮にいた生徒達は窓を開けて確認すると森林から煙が上がっていた。ナナは制服に着替えて急いで現場にへと向かう。
「(委員会が何かしたのか?いや、それにしては目立ち過ぎる。一体何なんだ?)」
自身を此処に派遣した組織の仕業と考えた。しかし報告もなしにそんなことを実行するメリットが考えられないからその考えは消える。ではあの爆発は何なのか?兎に角その場に行けば何かわかるかもしれない、ひたすらに走り続けた。
そして煙が上がった思われる森に到着。しかし火災が発生した訳ではなく、特にこれと言って変わったところは見られなかった。爆発音に気付いた1人の教師と生徒達が次々とやって来た。
「皆さん、どうして此処に?」
「ナナしゃんが寮から出て行くのが見えたので、もしかしたら人類の敵と出くわすかもしれませんから心配で付いて来ちゃいました。でも私だけじゃ不安なのでキョウヤしゃんに頼んで付いて来てもらったんです!」
「あぁ、犬飼に頼まれて追おとしたところでコイツ等に会って訳を話したら、全員行くって言い出してな」
「あったりメェだろ!リーダーが行くってのに、俺様が行かねェ訳にはいかねェだろう!」
「そうそう。僕達は人類の敵と共に戦う仲間なんだから」
「皆さん…ありがとうございます(チッ、余計なことを)」
ナナはいつもの笑顔で感謝の言葉を伝える。しかし予想外の出来事に何が起こったのか詳しく調べたかった本人は内心「余計なことをしやがって」っと罵倒する。
「おい、鶴見川はどうした?一緒にいたんじゃないのか?」
「あぁ?何でも腹の調子が悪いから先に行っててくれってよ。本当アイツはメンタル弱いだよなぁ」
精神面の低さに情けないと愚痴るモグオ。その強気な態度に「相変わらずだな」と殆どの者が呆れだす。その時…
「フフフ」
『ッ!?』
…突如夜の闇の中から怪しげな笑い声が聞こえた。
「この島には大勢の能力者いると聞いたのでどれ程の者達かと思ったが、まさかこんな子供ばかりとはな」
「誰だ!?何処にいやがる!出てこい!」
さらに「ガサ、ガサ」と物音がすると、奥から1人の人物が姿を現した。しかしそれは人と呼べる姿でなかった。黒と白が特徴の着物を纏い、頭部が鮫、さらに巨大な大刀を背負った長身の怪人であった。
「何だテメェ!?人類の敵か!?」
「そうだな、まず名乗るのが礼儀だな。私はデストロイヤー軍にして死刃の1人、【サンダールJr.】。そしてもう一つの問いだが、その答えで間違はいないだろう」
「何!?さては今までクラスの連中がいなくなったのも、リュウジの奴を殺したのもテメェの仕業か!」
「それは違う。そのリュウジと言う奴を含め、お前達の仲間を殺したは私ではない。私は先程この島に来たばかりだ」
怪人────サンダールJr.は腕組みをしながら淡々と質問に答える。
「それよりもお前達に合わせたい奴がいる」
「俺達に合わせたい人物?」
「お前達のことをよく知り、お前達もよく知る者だ」
「私達もよく知っている人?」
自分達がよく知る人物、その言葉に皆頭に「?」が浮かぶ。こんな怪人が合わせたい人物なんて皆目検討も付かない。
「直ぐにわかる。出て来い…
『!?』
後方の暗闇から現れたのは1人の少年であった。それは数日前に行方不明になった「中島ナナオ」であった。髪が伸び服装は変わっているが、間違いなく中島ナナオ本人で間違いなかった。しかしその表情は以前のような優しさは無く、逆に狂気を感じさせていた。
「ここに来るのも久しぶりだなぁ〜。やっぱりシャバの空気は美味しい」
「な、中島ッ!?お前なのか!?」
「うん。久しぶりだね、皆んな」
「なんか随分と雰囲気変わったな」
「まぁ、そりゃあ半年も経ってるだから。あっ、でも
全員がナナの方へ視線を向けると、彼女は目を見開き身体を震わせていた。それはまるであり得ないものを見ているかのように。
「ど、どうしたんですか、ナナしゃん?」
「おい、どうしたんだよリーダー。それに震えて」
皆んなナナのことを心配しているが、彼女にはその声は届いていない。今はその声を聞き取る余裕がないのだ。
「ど、どうしてお前が…だってお前は「崖から突き落としたはずだって?」ッ!?」
「そうだよ。確かに僕は
口調は今までと同じように丁寧口調で話しているが、彼が発する言葉の一つ一つに憎悪と言えるような殺気を感じる。その最中キョウヤがあることに気付き口を開く。
「ちょっと待て中島。お前今、柊が崖から突き落としたって言ったか?」
『!?』
「うん、言ったよ。僕はあの日の夕方、崖から突き落とされたんだよ。他でもない、そこにいる柊ナナさんにね」
中島は指でナナを指し鋭い眼差しで睨み付ける。
「そして彼女は言ったんだ。『お前達能力者こそが、人類の敵だ』ってね」
「じゃあ渋沢が行方不明になったり、葉多平や羽生が死んだのも…」
「多分全部ナナさんがやったんだと思うよ。僕のことも崖から突き落として死ぬのかどうか
中島はナナの秘密を次々と暴露していく。自分のしてきたこと、企みが明るみにされ口を噛み締め睨み付けるナナに対し、中島は「ざまあみろ」と言わんばかりの皮肉めいた目で見下す。そんな時胸倉を掴まれた同時に頬を殴られ転倒する。殴ったのはモグオだった。
「巫山戯るテメェ!俺達が人類の敵だと?巫山戯るのも大概にしろよ!俺達はこの島で隠しされて、したくもねェ訓練を受けさせれてんだぞ!それなのに俺達を殺すだと?テメェの方が余程人類の敵だ!!」
「…黙れ」
「あぁ?」
「黙れと言ったんだ、この屑ども!!」
ナナはいつもの皮を被っている笑顔ではなく、裏の顔へとなりナナオに負けず劣らずの狂気の篭った眼差しを向けていた。
「お前達能力者は自分達が特別だとばかり思いその力を私利私欲のことだけにしか使ってない!お前達は存在してはいけないんだよ!────この化け物どもが!!」
彼女の内に秘めていた本音、さらに「化け物」と言う言葉を突きつけられてショックを受ける者、放心する者も居れば、当然激怒する者もいた。
「テメェェ!!言わせておけばァァ、いい気になりやがってェ!!」
侮辱の言葉を浴びせられ完全にキレたモグオは腕を振り上げ殴りかかろうとする。だがその腕を掴んで静止させる者がいた。
「待て飯島」
「離せ小野寺!この女は渋沢や葉多平を殺しただけじゃなく、俺達まで殺すつもりだったんだぞ。今ここで殺しとかねェと俺達が殺られるんだぞ!」
「確かにな。だが
キョウヤはモグオから手を離すと、座っているナナの前に移動し見下ろす。
「柊、石井を殺したのもお前か?」
『?』
「ハァ〜?何言ってんだよお前。ナナオがさっき言ってたじゃねェか。今まで居なくなって連中は全員コイツが殺したって。石井の件もコイツに決まってるだろ」
「確かにな。だが、それにしてはおかしな点がある」
「おかしな点…ですか?」
「中島を始め今まで行方不明になった奴や殺害された殆どの連中*1が柊によって殺されたのはわかった。だが殺害された奴等の死因は毒による「毒殺」だろ」
『ッ!?』
ナナが殺害した生徒の殆どは自身の所有物である毒針や毒液を使っての毒殺。故に生徒達には肌色が悪くなる以外に外傷は見られなかった。しかし今回の石井リュウジの場合は違かった。
「石井は刃物のような物で喉元を刺されて殺害された。明らかに今までのケースとは殺害方法が違う。…柊、石井を殺したのは本当にお前か?」
「…石井リュウジを殺したのは私ではない。私ならあんな大袈裟に殺した後を残すような真似はしないからな」
ナナから否定の出た言葉が出た。確かに今まで誰にもバレず隠密に行動してきた彼女の行動にしては大胆的過ぎる。しかし今の彼女の言葉を信じる者が何人いるだろうか?
「ハッ!殺人鬼の言うことなんて信じられるかよ!!」
「確かに。今までの君の言葉だったら信じてあげられたかもしれないけど、今の君の言葉は全く信じられないな」
その意見に大勢の生徒が賛同。「今すぐコイツを殺せ」、「でないと俺達が殺させる」と言う言葉まで飛び出す始末。
「わ、私はキョウヤしゃんの言う通りリュウジしゃんを殺害したのはナナしゃんじゃないと思います。それに今の言葉、ナナしゃんが嘘言ってるとは思えないんです」
「そんなの俺達を騙すための嘘に決まってるだろ。もう俺は騙されてねェぞ。今ここで俺が正義の鉄拳で制裁してやる!」
モグオはお構いなしに能力で燃やそうと能力を発動させる。だが火玉が当たる直前、綺麗に消滅した。一体何が起こったのだろうか?
「飯島君は本当に短気だな。そんなじゃあ、いつか損しちゃうよ」
そう。拳が当たる直前、中島が自身の能力で無効にしたのだ。しかしそれよりもその場にいた者達は中島がモグオに口出ししたことに驚いていた。あのビクビクしていたナナオが、モグオ相手にそんなことをするなんて想像もしていなかったからだ。
「中島!?テメェ何やってんだ!」
「何って?」
「俺がこの人殺しを制裁してやろうとしたのに、何に邪魔してんだって言ってるんだよ!お前だってコイツに殺された掛けたんだろうが!」
「あぁ。簡単だよ、今彼女に死なれちゃ困るからさ」
その言葉に「?」が浮かぶ。自分を殺そうとした奴なのに、死なれるとは困るとはどう言うことなのだろうか?すると中島からとんでもない言葉が出てくきた。
「僕が此処に来たのは、彼女に復讐するためなんだよ。だから僕以外の人に殺されちゃうと非常に困るんだよ。だからさ、モグオ君────僕の獲物を横取りしないでくれるかな…」
そして中島の雰囲気が一般し、その瞳からとてつもない威圧感を発した。いつもなら突っかかるモグオも、そのプレッシャーに当てられ押し黙ってしまう。
これが本当にあのオドオドしていた中島ナナオなのか。彼を知る人物達からしたらまるで別人である。
「それにキョウヤ君や犬飼さんが言った通り彼女は嘘言っていない。石井君を殺したはナナさんじゃないよ。隠密にことを進める人が、あんな大それたやり方する訳ないだろうし。あっ、先に言っておくけど別に彼女を庇っている訳じゃないよ。僕は彼女に殺されかけたし、第一庇っても僕には何の得もないしね」
確かに今ここでナナを庇っても中島にはメリットが何一つない。何より自分を含めここに居る全員殺そうとしている人物の始末を邪魔をした、寧ろデメリットの方が多い。
「じ、じゃあ、一体誰が石井しゃんを?」
「それは…コイツだ!」
サンダールJr.は右手から複数の光の紐が飛び出し何も無いはずの後方の茂みにへと伸びる。すると人の声が聞こえると紐に巻き付かれた何かが茂みから引き摺り出される。それは刃物を持ったガス状の姿を男性、しかしその顔に生徒達全員、見覚えがあった。
「つ、鶴見川!?お前何で此処にいるだ?」
それはさっき「腹痛で遅れる」とモグオが言っていた鶴見川レンタロウであった。
「ど、どうして鶴見川しゃんが?」
「それにその手に持っている物…まさか!?」
「貴様の予想通りだ。その石井とか言う小僧を殺したのはコイツだ」
衝撃の事実。石井リュウジを殺したのは、あろうことか仲が良かったはずの人物であった。
実は彼は可愛い物やキレイな物、さらに善人を汚したりするのが大好きな外道。初めは犬や、猫等の野生動物を殺していたが、それがエスカレートしていき、遂にあの晩【石井リュウジ】殺害に至った。
『クソが!てか何でお前俺に触れることが出来るんだ!?俺の意思がなけりゃ触れられないってのに!?』
彼の能力は【幽体離脱】。身体から意識のみを分離させることが出来る。さらに物を擦り抜けることは勿論、物に触れることも可能、正にチート級の能力。それなのに自分の意思で触れた訳ではないのに、光の紐が身体に巻き付いていることに混乱していた。
「教えてやろう。私は霊体であっても触れることが出来るのだ。勿論武器も然り。貴様にこの意味がわかるか?」
自分の意思とは関係なく身体に触れることが出来る、攻撃も当然。つまり…
「例え貴様が霊体であっても、私は貴様を始末することが可能と言うことだ」
レンタロウは自分の状況に怒りを感じていた。霊体の自分ならどんな攻撃であっても擦り抜けることが出来る、だからどんな奴が来ても無敵だと思っていた。しかし今目の前にいる
「だがこのまま始末するのはつまらん」
しかしサンダールJr.はレンタロウをゆっくり地面に降ろすと、巻き付いていた紐を解き解放した。
「せめてもの情けだ。その刃物で私に傷を負わすことが出来れば見逃してやる。何処からでも掛かってくるがいい」
情け?見逃してやる?明らかに格下に対して言うセリフ。コイツは何処まで自分を馬鹿にすれば気が済むのか。レンタロウは怒りではらわたが煮えくり返りそうであった。
「ならお望み通りにしてやるよ、化け物」
────俺を馬鹿にしたこと、後悔させてやる────
そう思いながらレンタロウはサンダールJr.に向かって走り出す。しかし当の本人は腕を組みながら突っ立っており全く動く気配がない。不審に思いつつも諦めた、若しくは内心ビビりの小心者と思い、迷うことなくそのまま刃を身体を突き刺した……ように見えていた。しかし実際は身体に当たっているが刺さっておらず、身体の表面で止まっていた。
思いがけない状況に目を見開くレンタロウ。さらに腕に力を入れるがビクともしない。ならばと両手で柄を持ち力を込めるが「バキン」と刃の方が折れてしまったのだ。
「貴様の実力はこの程度か?」
折れた刃物を投げ捨て、だがそれなら簡単に受け止めてられてしまう。振り払おうとしてもビクともせず、逆に腕を引かれ腹に拳を打ち込まれ吹き飛ばされる。すると腕から伸びた光の紐に巻き付かれると、地面や近くにある木々に何度も叩き付けられる。
霊体であるはずなのに、何故木々を通過出来ないのかっと思う所だが、痛みでそんなこと考える余裕はなかった。
最後に勢いよく地面に叩き付けられると、拘束から解放される。顔を上げた時には既にサンダールJr.が目の前におり自身を見下ろしていた。
「どうした、終わりか?」
レンタロウの表情は先程までの笑いを浮かべた狂気顔から一変し、恐怖顔に染まっていた。今の彼には自分を見下ろすサンダールJr.が途方もない怪物に見えていた。そして首根っこを掴まれ無理あり立たされる。
「い、いやだ…助けてくれ…」
「これ以上何もないなら、終わりにするとしよう」
サンダールJr.は閉まっていた扇子を取り出すと、首根っこを離し閉じたまま縦一直線に振り下ろした。
しかし何も起こらないので虚仮威しと思った次の瞬間、視界が真っ二つになる。何が起こったのか全く理解出来なかったが次第に状況を理解していき、身体(霊体)が真っ二つにされていることに気付く。
後ろにいる生徒達が視界に入ると「助けて」とばかりに手を伸ばすが、彼の本性を知ったことで誰も手を差し伸べるものはなく、結果最後は1人虚しく消滅したのであった。
「邪魔者は始末した。思う存分貴様の目的を果たすがいい」
「何から何までありがとうございます」
サンダールJr.は扇子を仕舞い中島から離れ後方の茂みへと移動し、再び腕を組みその場に立ち尽くす。
「それじゃあ始めようか。僕を馬鹿にしてきた──────
ネットで中島ナナオは生存しており、更に闇堕ちしたとのことだったので、原作と経緯は違いますが同じ闇堕ちなので問題ないでしょう。
そして残念ながはサンダールJr.の戦闘はこれでお終いです。
次回は中島ナナオの復讐劇になるのでサンダールJr.は戦闘には参加しません。元々彼の復讐のために力を与えたので…。
その変わり中島ナナオがチート級に無双します。
ここでアンケートを締め切らせていただきます。ご協力してくださった皆様方ありがとうございます。
感想などあればお願いします。次回も楽しみにしていてください。